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*33*
二話「狂ったら後は」
「まだ、穢れが足りないなー…。」
ルドはグレイの両手首に鎖をつける。
すると、苦しげなグレイの声が聞こえた。
「んっ……!」
「あ、おきたー?」
グレイはジャラリという音を聞くと、一気に意識が目覚めた。
「いあっ!嫌だあああああああ!!」
「はは!いいから大人しくして?」
ルドはグレイにそっと刀を持たせる。
グレイは捨てようとしたが拳を上から握られ、動かせなくなった。
「もうやだああっ!殺したくっ、殺したくない!!!」
子供のように泣きじゃくるグレイの腕を掴み、近くにいた人に向ける。
「あ、ああああ…!!!やっ、嫌だ嫌だ!!」
「いいから…それっ!」
グシャリと音がする。
辺りは赤の海と変わり果てていた。
グレイの目が一瞬だけ光を失う。
「うああああっ!!」
「くくっ…面白いねぇ??」
しばらくこの作業を続ける。
グレイの泣き声は小さくなっていった。
「あは、あははははは!!!」
今、ルドは何の力も使っていない。
グレイがついに、自覚したのだ。
(自分の求める事だけを、やる事を選んだんだなぁ。)
人を斬れば、赤が広がる。
グレイの白い頬にピシャリと赤がついた。
「どうでもいい!!どうでもいい!!」
狂った後など。
(何も、残らない。)
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