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*32*
「はぁっ、はぁ…!!」
ナツ達は今、無我夢中に走っていた。
目の前を見て、ずっとずっと。
グレイの匂いが近づいてきている。
なのに、すごく匂いがしたと思うと、消えてしまうのだ。
「…まさかだが、」
エルザが片目を瞑る。
義眼の目だけで辺りを見わたした。
「!!くそ、ここは幻覚だ!」
エルザの目は幻覚をくらわない。
義眼の目は幻覚を見せないからだ。
「こい、ナツ、ルーシィ、ハッピー!!」
エルザの言うとおりに走る。
助けたい、彼を辛いところから救いたい。
その気持ちでいっぱいだった。
―屋敷―
「…おきないなぁ…。」
「だろうな、強力な沈静剤だったし。」
うしろにガーレが立つ。
ルドは振り向かず、ガーレに問いをかけた。
「もしも、自分に仲間がいて、仲間が人質になったらどうする?」
「…そりゃ、今の頭首様のことか?」
グレイの方をちらりとみる。
気絶していても、涙だけは流れていた。
「いいから、答えて。」
「…無視するよ、目標があるならな。」
ガーレはその場を立ち去る。
ルドは苦笑いをうかべていた。
辛いなら、苦しいなら。
おぼれたいなら、おぼれとけ。
一話・終
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