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*32*
ⅢⅠ、心の世界
「SOUL WORLD」にて―吉永楓―
此処は…?
気がつくと私は、氷の上にいた。湖が凍ったようなその氷は、不思議と冷たくなかった。立ち上がると、紺色の空が広がっている中に水と氷でできた土地。そして目の前には氷の城がそびえ立っていた。
「綺麗…氷の城なんて初めて見た。溶けたりしないのかな?」
私はなんとなく1人で呟いてみた。
「この城は水神の子の加護がある。簡単には溶けぬ。」
驚いて声のした方を見ると、カワセミがいた。カワセミは、背中が瑠璃色でお腹が栗色をしたとても綺麗な小鳥。
「貴方は…?」
「私はグレイスの心の一部。グレイスの、清らかでありたい想いの結晶、とも言う。」
「じゃあここは、美波の『SOUL…』ええと…。」
「『SOUL WORLD』だ。グレイスなら、城にいる。」
それを言うと、カワセミは飛んで行ってしまった。とりあえず城を目指して行くしかないみたいね。
私は先を進む事にした。
どのくらい進んだだろう?城はだんだん近くなっているけど、まだ着きそうにない。少し休憩しよう。私は氷の地面の上に座った。それにしても綺麗な世界…。
「あれ?楓さん?どうして此処に?」
なんだか聞き覚えのある声…。振り返るとなぜかドリーズがいた。
「ドリーズ!久しぶりね。でもどうしてドリーズが此処に?」
「さあ?私も分からない!」
あれ?いつものドリーズとなんか違うような…。
「だって私にも色々あるし、暇じゃないんだよ?それなのに美波さんが急に王座を降りるなんて言い出すし…。世界は大混乱なんだよ!!」
全然話が見えてこない…。
「今『掛橋』が崩れて大変なのに、美波さんったら自己中なんだから!」
言いたい放題言ってドリーズは、飛んで行ってしまった…。
何なの?一体この世界…。
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