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SOUL COLOR(消えない罪)
作者: 璃蘭  (総ページ数: 53ページ)
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ⅢⅡ、心の支え

 しばらくして、私はなんとか城にたどり着く事ができた。入口には誰もいない。無用心過ぎると思いながら、私は中に入って行った。
 城の中には誰もいない。普通なら、使用人とかいるのに…。
「おい、お前はそこで何をしているんだ!」
 突然の声に驚いて振り返ると、手の平サイズの小さな虎がいた。精霊か何かかな?
「私は美波を助けに来ただけよ。」
「美波?…グレイスか。お前などに、グレイスの何が分かるというんだ!俺はずっと小さい頃からグレイスと一緒にいた!お前の知らない事も全て知っている!」
「へぇ、例えば?」
「実は炭酸が嫌いだったり、酔いやすかったり、挙句の果てには…。」
「スピィク〜!!私の友達にちょっかい出さないで!!」
 この声は…美波?振り返ると、水色のワンピースを着た美波が立っていた。
「楓ちゃん!さっきスピィクが言ってた事は忘れて!お願い!!」
 やっぱりいつもの美波とどこか違う…。この世界って、現実世界と同じ人がいても中身が少し違うみたい。
「分かったわ。それで…スピィクって?」
「スピィクは、私の心の支えとなる者だよ。小さい頃から一緒なんだ。」
「だから美波の色々な事を知っていたのね。スピィク、私は吉永楓。よろしくね。」
「…お前なんかと仲良くする気はない。」
 スピィクはそっぽを向いた。そんなに無愛想に接しなくても…。
「そんな事より美波!この世界に来たのは初めてでしょ?私が案内してあげる!」
「でも…。」
「大丈夫大丈夫!道に迷ったりしないから。」
 私の抗議も聞かずに美波は、私の手を握って駆け出した。

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