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*34*
ⅢⅢ、美波の過去、トラウマ
「それにしても、とても綺麗な世界ね。氷と水で、まるで氷の国みたい。」
「私はその国の姫なんだよ。だけど、お母様がもう歳だから、私が王女にならなきゃならないの。」
「へぇ、凄いじゃない!」
「…そうかな?」
「え?」
「だって、王女ってつまらないと思わない?ずっと部屋の中で政治考えたりするんだよ?」
「それはまぁ、そうだけど…。」
「そんなの、私には耐えられない!まるでかごの鳥だもん。」
「だから…逃げ出したの?」
「うん…。だって、私みたいに禁忌を犯した姫が、王女なんかになる訳にはいかないよ。」
「禁忌…?」
「城の、入ってはいけない場所に入ったから…。」
「どこなの?」
「地下室…。祭具とかがある。その祭具は、創造神が与えた聖なる物。むやみに見たり触れたりしたら、罪になるんだよ。」
「それが…美波の言う禁忌なのね。」
「うん…。」
「でも、それで美波のお母さん達は何か言ったの?」
「たくさん叱られた。だけど…ちゃんと心から反省すれば、神様も赦して下さるって言っていた。」
「だったら、もう赦してもらえているんじゃない?」
「どうかな…。創造神がまだ赦していないかもしれない…。」
「そうだ。神などが簡単に罪人を赦すはずがない。」
突然の声に驚いていると、目の前に黒いガス状の塊が現れた。その塊は紫色の瞳で、私と美波を見ている…。
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