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SOUL COLOR(消えない罪)
作者: 璃蘭  (総ページ数: 53ページ)
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ⅢⅧ、月の守護精霊

天体観測室にて―吉永楓―

「貴方は?」
「るぅ?ボクはルナ。月の守護精霊。それは月を守る為、それは月を奉る故。」
「随分ゆっくりな話し方ね…。聞いていると眠くなりそう。」
「るぅ…。この話し方にはちゃんとある、理由。それは儀式の守護の為。そして犠牲を無くす為。」
「つまり、慎重って事?」
「るぅ、正解。過ちを繰り返さない為。仕方ない事。僕は月の守護精霊。でも、本当に月を守護するのは神様。光神。ボクはあくまでも、月の儀式の守護精霊。」
「なるほど…。ところで聞きたいのですが、その持っている物は…?」
「杵。餅をつく物。」
「それは分かるわ。なぜそれを持っているの?」
「月の兎は、月の世界で餅をついて与える、地上の子兎。それが理由。日本にある伝説。」
「人間界にそんな話があるんだ〜。だったらわざわざ月にいかなくても、地上で餅つきすればいいような気がするけど…。」
「るぅ…。それは無理。月の兎は、可哀相にも猟師が銃殺。だから、地上だと透明。月に帰れば実体。」
「という事は、ルナさんにも子兎がいるんですか?」
 ルナは首を振って言った。
「いない、ボクの子兎。でももし子兎が現れたら、魂になった時に与える、月からの餅。」
「それで杵を持っていたのね…。」
「るぅ…。そろそろ本題の伝達。
 かつて、ボクは与えた、多くの儀式。でも、1つ犯した、大いなる罪、大罪…。それで、1つの村を崩壊。償いきれない罪…。」
「待ってください!その話…もしかして、弥月村の…?」
「弥月村?そんな場所、地図になかったわよ?」
「確かに地図にはありません。でも、古文書には存在しているんですよ。」
「正解。弥月村は、弥生の月…3月に祭をする変わった村。
 存在していた最後は西暦1901年。儀式で地界に陥落。」
「その話…もう少し深く聞かせて…?何だか私のした儀式と関係があるような気がする。」
「了解。実際ある、深い関係。まずは聞いてほしい、この話…。」
 ルナは、語り出した…。

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