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必要のなかった少年と世間に忘れられた少女の話
作者: 琴 ◆ExGQrDul2E  (総ページ数: 66ページ)
関連タグ: 殺人 SF 複雑 罪と輪廻 
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*21*

第六話<イジメってさ>

 勝てない。なんどやっても、勝てない。
(なんで勝てないんだ!)
俺は、自棄になっていた。
ここは、俺の部屋。今は朝。

 おれの悲しい苦しみは昨日の晩からのものだった。
昨日、雛の家から俺の家へ帰りながら、ゲームをしていた。
 つぎのゲームクリアでランクが11になる筈だった。
だが……勝てなかった。
「負けました。 コンティニューしますか?」
皮肉なゲームの画面表示。
 コンティニューするためには、金がいる。 勿論、現金だ。だから、俺はコンティニュー出来ない。
 初回限定のゲームの中で使える金は、とっくにコンティニューに費やした。

 あぁああああああああああああああああ!
と、怒鳴りたくなる。
でも、そんな近所迷惑なことはできない。
 母さんは、ただでさえ鬱気味なのに、これ以上に俺が原因でこじらせたくない。
 それにしても、この俺が勝てないボス。誰かに似ていた。……ゴリラみたいな奴。
そうだ! 中西剛だ!

 中西剛は、俺の先輩だ。
「暴力不良」って名でここらの地域に知られている。
俺も、何回か喧嘩になったことがある。どうにか逃げることができたが、本当危ない奴だ。
 そんで、こいつはゴリラに似ている。 とにかく、ゴリラ。体型が大きくて、筋肉ムキムキ。見ているだけで、暑苦しい。

 そんなことを思いながら、時計を確認。
(あ、ヤバイ)
 時計の針は8:30 を指していた。



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