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作者: にゃは (総ページ数: 69ページ)
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そして一ヶ月が過ぎた。
天たちの修行は長いようで短かったように感じるほど熱心に取り組んでいた。
カオスの現れる日、予告されたことで平和だった日々は一瞬で絶望へと変わっていた。
全員がほぼ学校の教室に集合していた。ロムにローズ、クライズに銀音が真剣な顔をしている。1つも笑うことはなくただ集中しているようだ。しかし天のみが来ていない。不安に思ったロムと銀音はオロオロし始めた。
「そろそろだ…皆行くぞ」
クライズが座っていた教卓を降りてドアへ向かう。
「あの天は…………?」
心配が隠せないロムはクライズを引き留めた。いくらなんでも天なしでは無防過ぎる。戦力もあるが人数も多い方がいい。
「あいつのために…この町を犠牲にはできないだろ?大丈夫だ、あいつは来るさ」
笑って教室を出ていった。それに続くようにローズが出ていこうとする。「早く来てね」とロムに言葉を残して出ていった。
「ロム……いこ?」
銀音に言われてロムは少し頷いた。
ロムは天を信じていない訳ではない。むしろ信じることが当たり前のくらいだ。ただ…天には魅咲という守るべき弱点がある。今は関係ないのにロムは心のなかでなにかを悟った。
ロムと銀音が正門をでて、外に出ると、クライズとローズが空を見上げていた。
「…………ものすごい神力ですね」
ロムがわざとらしく聞こえるように言う。
その数分後空が真っ黒に覆われた。黒ずむことを全く気付かせない。ほんの一瞬であり…「来たか」という長々しくも思えた。
「さぁ行きましょう」
ロムが先頭に立ち、跳躍しようとするがローズが服を掴んで引き留める。きょとんとした顔でロムはローズの瞳を見つめる。その先は先程と同じく空を見上げていた。
「あれ、雲でも邪気でもないね…魔物の大群だよ」
ロムに銀音が驚愕する。あまりにも急な事態で足がすくんだのか動けない。
「落ち着いてロムちゃん、銀音ちゃん。カオスの前の前菜ってとこだね…クライズ!数体でも落とせるかな?」
「あまりなめんなよ、全部出来るぜ」
そういってクライズの重力の力で上空の黒い魔物の集団が落とされてきた。欠かさずローズの言霊で大きな槍を無数に召喚し、突撃させた。上空で膨大な爆発音が響く。
「さ、やろっか♪」
「はい!」
「うぅ……………頑張る」
「天のバカ野郎が…早くこいよ!」
それぞれの神力がどんどん高まる。カオスの前の前菜…………そんなことは関係ない。この町に害を及ぼすのならば…
殲滅あるのみだ。