完結小説図書館
作者: にゃは (総ページ数: 69ページ)
関連タグ:
*44*
第十三神話「混沌と破壊と天之御中主神」
暗く覆われた空…光の輝きは一切通さない。
「アーテナー!力を貸して!」
ロムの声が全員に透き通るように響く。ロムの身体が煌めき、緑と黄色のオーラが混じり会う。その隙を狙って大型の巨人みたいな魔物がロムを襲う。
(間に合わない…)
「うぅ…………ロムは私の…将来の妹、死なせは…しない」
銀音がロムの前に立ちふさがる。
「銀音さん!」
「集中して!そらしちゃ駄目!!」
まるでお姉さんが妹を注意するように説得力のある優しい言葉がロムを駆け巡る。コクリと頷き、神力を集中し高めていく。同じく銀音も少しの神力を溜めて大技を放つ。
「真!【大地の怒り】」
銀音の神力が空気中を駆け巡る。黄緑のオーラが分散して稲妻のようにおおってゆく。以前の大地の怒りとは違い、地面だけでなく空中にまで振動を伝えていた。巨人は地割れにより深くに落ちてゆく。多くの鳥の魔物は空気振動で歪み、下に落下していった。
(すごいです!銀音さん)
ロムが安心したように神力を解放した。
「アーテナーの力よ!矛と盾よ!我が手に!」
するとロムの大きさに合わせたような槍と盾が現れる。どちらも金色に輝いた青き矛盾だ。
「覚悟してください!」
敵の中心に走りだし青き槍を振り回す。青き一閃が魔物を殲滅させてゆく。
魔物の最前線…そこにローズはいた。
「カオス…要るんでしょ?」
ローズがなにもない場所に話しかける。周りの魔物はローズの言霊により停止させられている。すると、ローズの後ろに闇に覆われた影が現れた。
「おや?天さんではありませんでしたか?」
なにかを察したようにローズが微笑む。
「ざーんねん天はまだだよ〜でも私が相手をしてあげる」
カオスの瞳は真っ暗で何を考えているのか全然検討がつかない。ローズはじりじりと間合いを狭めて距離を縮める。
(今は力の解除はできない…なら)
先手必勝…ローズが一瞬でカオスの真後ろに回る。
「ほう…」
そのままの勢いで膝蹴を噛まそうとしたが突然カオスが消えてしまう。気配はまだ残っている。ローズが周りを見渡す。
(たくっ!めんどくさいよ!)
「出てこい!!カオスぅぁぁぁあ!!!」
大声で言霊を発動させる。すると上空にカオスが姿を現す。瞬時にローズが跳躍し言霊により長剣をだす。
「あまいですね…喰いなさい悪霊よ、目の前の存在を消し去るのです」
カオスが邪気を無表情で発揮する。まるで死神のような悪霊が幽霊のように大量に現れ、ローズに絡み付く。長剣がおれるほど力が強い。
(しまっ…た…)
「ぅぅ…ぐぅ……………あぁ」
ローズは完全に抵抗できていない。幽霊がまとわりついたローズを見てクスクス笑っている。
(やっばいな…死んじゃうかも……………ごめんね、天)
目の前がぼやけ、薄暗くなる。頭もボーーっとして真っ白になってゆくのがよくわかる。死ぬんだ…私。
「諦めんのかよ」
(あれ?天の声?)
ローズの目が少しづつあいてゆく。すると目に写ったのは服がボロボロになった天だった。上の服はもはや原型がない。袖はなくなり、あばらの右の部分が破れている。
「おそ…いよ」
天はなにもしていないのにローズにまとわりついていた悪霊が消滅する。
「破壊の洗脳(ブレイクジャミング)」
(また、大人になっちゃってさ…あはは)
「遅くなってすまねぇ…こっから活躍させて貰うぜ」
天がカオスを睨んで神力を高める。
(さてと…さっさと魅咲を返してもらうか)
「いくぞぉぉおお!カオスぅぅうう!!!!!」