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FAIRY TAIL ―誤りの戦争― 完結
作者: ハヤチ  (総ページ数: 57ページ)
関連タグ: FAIRYTAIL ナツ・ドラグニル 二次創作 微々グロ 闇落ち 
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*19*


「…ん…」

ルーシィは、目を覚ました。
―そうだ、昨日は妖精の尻尾で話し合って…。
 作戦が考えられなくて、喧嘩して…。
 …帰っちゃったんだ…。

やわらかいベッドが心地いい。
するとリビング(ルーシィにとって)が、騒がしい事に気づく。

「…なーんか展開が読めるのよね…」

そーっと、そーっと奥を見ると。


「おはー」
「よお、ルーシィ」
「邪魔をしているぞ」
「おはようございます」
「綺麗な部屋ね」

「やっぱりねぇー!」

皆でソファの上でくつろいでいるのを見ていると、本当に今まで通りに感じられる。

「もー、何なのよ…」
「まあまあ、早く飯食っとけ」
「うっさい!何で急かすのよー…」

ブツブツと少し前に買った、菓子パンを頬張る。
ふわりとした食感と、程よい甘さが口中に広がった。

「昨日さ、俺達…喧嘩ばかりで作戦も何も出来なかったろ?」
「うん」
「そこで、もう諦めた」

ルーシィはこの時、諦めたの意味を勘違いしていた。
もう、ナツはどうしようも出来ないのだろうか。
だがグレイから出た言葉は、それをすぐ裏返した。


「俺達だけで、乗り込むぞ」
「…ふえええ!?」

パンを食べているので、上手く叫べない。
ルーシィは急いで、パンを完食した。

「ぷはっ、無理あるでしょ!?相手の魔力、グレイも感じ取れたでしょ!」

一人一人の魔力が、異常に高い。
下っ端と思われる者も、中々に手強かった。
「まあな」、とグレイは軽々しく言う。

「じゃあっ…、」
「ルーシィ」

凛とした、エルザの声はルーシィに届いた。

「今までお前は、自分より魔力の高い奴等に出くわしただろう?」
「う、うん…」
「あの時、お前はどうやって勝ったんだ?」

ルーシィの心臓が、高鳴った。

―自分の絆が、心が。

「…分かっただろ?仲間を思う気持ちが、私達の最大で最高の武器だ」
「うんっ、そうよねっ!あはは、昨日決意したのに…駄目だなぁ」

まだ弱い自分がいる、でもそれは決して弱さじゃない。
どんな自分も、糧なのだ。何かの思いが、力を与えてくれる。



「―!!!」

シャルルの頭に、予知が浮かび上がる。

それも、鮮明に。




『…俺、気づいたんだぜ』

ザザッ

『そんな…やめてよ…ナツを放して!!!!』

ザザッ

『あの時、お前が言ったんだろーが!本音を言えって!!』

ザザッ

『貴様の思いは、強い。それで私の仲間が傷つくのなら、許すわけにはいかない!!』

ザザッ

『あのときみたいに、また貴方を助けます!だからお願いッ、もうやめてぇぇぇ!』




「!!」

「シャルル…?」

新しい予知が、シャルルの心を揺さぶる。
もうこの運命は曲げられない事も、シャルルは知っていた。


―ナツが、死ぬ?

直感で、そう感じた。
これは伝えるべきだろうか、エルザを見上げる。

「…予知か」
「……」

やはり妖精女王には、敵わない。





「そんな…」

ルーシィとウェンディには、涙が滲んでいる。

「その感じでいくと、俺はナツと戦うんだな」

喧嘩ですまない、殺し合いになるだろう。
グレイはなるべく、そんな状況を避けたかった。

「対戦する相手は…、各自が望む相手となったか…」

エルザは素直に思う、ミラーリを助けたいと。
あの少女とは、会った気がするのだ。


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