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*40*
「っ!自我を取り戻した!?」
「情けねぇな…あれだけで自分を忘れちまうなんざ…ナツに見られた上によぉ」
あからさまに怒り顔のグレイに、背筋が凍る。
―いや、物理的に冷たさを感じた。
「!?地面が…凍って…」
「立てねぇだろ?」
まるで般若の顔、顔が引きつってどんな表情か分からない。
もしかして、死ぬ?
―恐い。
ドロップは自分に心を説いてくれた人の名を、呟いた。
「―――」
ピタリ
グレイの拳が、止まる。
目を開いて顔を見ると、目は驚きの色に塗りつぶされていた。
「お前…知ってるのか…」
「………テメェが、名前を呼ぶな!」
ドロップは隙を突き、グレイを振り落とす。
バランスを崩し、グレイは仰向けに倒れた。
動揺で脆くなった氷が衝撃で割れ、鋭利な氷の破片を一枚グレイの喉元に刺そうとする。
「…何があろうとも、ドラグはわたさねぇ。アイツは、俺たちと同じなんだ!」
「アイツは向き合ってるだろーが!テメェらみたいに、他人事なんかにせず!」
「その喉元かき切って、その肌を血に染めてやろうか!」
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