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*30*
走る走る。
そのまま、二人は走った。
するとハッピーが、急に止まる。
「…ドラグを、奪う気?」
目の前に現れたのは、怒りに震えているレベリカ。
レベリカの周りの地からは、太く大きい茨が突き出ている。
「…グレイ、先に行って。アタシじゃナツとは、互角に戦えない」
「ルーシィ…でも、お前…」
ルーシィの顔は、悔しげだ。
自分の力では到底、ナツに及ばない。
この手で救いたかったのだろう、彼女の握り拳は震えていた。
「…ルーシィ、お前の心がナツを助けてるからな」
「!…ありがとね、グレイ」
「ああ」
ハッピーが、ルーシィの隣に降りた。
「オイラも、ここに残るよ。ルーシィが傷ついたら、ナツが悲しんじゃうからね」
「ハッピー…」
グレイは頷き、もうすぐたどり着く丘へ走った。
「…やっぱな、来ると思ったぜ」
「ナツ…」
グレイは、ナツの目を見つめる。
いつもの若草色が、酷く淀んで見えた。
「火竜の…」
「氷造型…」
炸裂、した。
「翼撃!!」
「戦斧!!」
ナツの腕と、グレイの斧が交差する。
力は圧倒的にナツだが、魔力の精密さは明らかにグレイが上だ。
お互いの顔が近い、グレイは改めてナツを見る。
「お前はっ、何で操られてんだ!」
「操られてる?どこがだ、これが俺の意思だ!」
ナツが力を振り絞って、グレイの斧を破壊した。
力の余韻で、グレイは吹っ飛ばされる。
「ぐっ」
「火竜の鉄拳!」
追撃とばかりに、こちらに迫るナツにグレイは間一髪避ける。
元いた場所には大きな、穴が空いていた。
「はぁ…、セーフ…」
「チェッ…外したかぁ…」
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