完結小説図書館
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*20*
「…アイツ等は、何を企んでる?」
エルザは顎に手を添え、うなる。
その時、ドロップの言葉を思い出した。
「…ドラコーン クローフィ」
エルザの言葉に、その場の全員がエルザを見る。
「確か、奴はそう言ってたな」
「どういう意味だろうな?」
「…少し前、マグノリア図書館で見た気がするのよね…似たような言葉」
「何!?本当かルーシィッ!」
「うん…、確か……
ドラゴ・ブラッディ…世界の人間性を狂わせてしまう…恐ろしい魔法機具…」
―キブシの町・奥深く―
「…ドラコーン クローフィは…もう少しで…動ける…」
ドロップはケタケタと、おかしく笑う。
その光のない目は、まだ眠るナツを映し出していた。
「…お前の善が悪になるまで…、そう時間もかからないだろうさ
人工型、ニルヴァーナの力…なめるな…」
―マグノリア図書館―
「…なんで…?」
ルーシィは、ドラゴ・ブラッディについて書かれていた本を捲る。
だがドラゴ・ブラッディの記述だけ、破り取られていた。
「これじゃ手に入る情報も入らないわよ」
シャルルがはぁ、とため息をついた。
う〜、とうなだれるハッピーの頭を撫でる。
「…ナツ…」
ルーシィは今はいない、綺麗な桜色を思い出していた。
グレイは、古書のコーナーで探していた。
一つ一つ本を開き、探していく。
だがやはり、マグノリアの大図書館。
これでは日が暮れてしまうだろう。
すると、一つの本に目が止まった。
『MEKISS』
「…メイキース…」
メイキースは世界最初の造型魔導士で、兆年孤独唄の創造者でもある。
苦しめられたグレイにとっては、あまり見たくない本だった。
「…ま、見てみるか…」
重く感じる手で、本を手に取る。
久々に見た、重々しい本。
「最後まで読まなかったもんな、これで創造者がこいつだったら泣くぜ俺…」
さらりとありそうな事を言い、グレイはぱらぱらと進めていく。
「……?」
何かの紙が、するりと本から落ちていく。
取れかけたページが、遂に取れたのか。
「…!」
『ドラゴ・ブラッディについてのメモ』
「だ、誰が書いたんだ…?」
本当はグレイは、知っている。
この細い字、なのに焦っているようにくしゃくしゃだ。
翡翠のような緑の髪が、目の端に映った気がした。
『レイガ』
その記述の日付が、書かれている。
5年前、という事は彼は脱獄したのだろう。
一回だけ、このために。
「……今は、いい」
今は仲間だけを見ろ、過去に捕らわれるな。
自分にそう言い聞かせて、グレイはルーシィの元へ行った。
「これ…レイガさんの残した…」
ルーシィはレイガの最後を、この目で見届けていた。
それに関しては、ルーシィもレイガを尊く思っている。
「今はいい、それより内容は」