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*10*
「―――」
「…今、医務室で声が聞こえなかった?」
医務室ではルーシィ達がいる、回復したのだろうか。
部屋を開けると息を乱してるグレイと、それを無表情で見つめるルーシィがいる。
「グレイ、何して―」
「ここどこだよ!」
これではレビィの手に負えない。
エルザはとりあえずグレイを落ち着かせようと、ナツを呼ぼうとする。
だがグレイを止めるナツは、もう此処にはいない。
再びその事実に気づかされ、エルザは軽いショックを受けた。
こうなってしまった以上、自分がグレイのストッパーだ。
「グレイ、どうした」
「何でお前等、俺の名前知ってんだ」
落ち着きを取り戻したようだが、警戒心は振り切っていない。
だがそれよりも、エルザは疑問に思えることがあった。
「…グレイ、お前…何歳だ」
「7歳」
ガルナ島で、グレイはウルと出会ったのは10年前と言っている。
これでは11年前、家族と温かい日々を過ごしていた無邪気なグレイだ。
じゃあルーシィは。
エルザは横で、無表情のルーシィを見やる。
人形のように動かない、彼女の細い腕は力が抜けていた。
―グレイは精神が幼くなり、魔法が使えない。
―ルーシィは愛情がなくなり、何も愛せない。
これでは戦力は0だ。
どうしろというのだ、この二人を。
レビィが後ろで見ていたが、ふと口を開ける。
「ねぇっ、二人に何か関係ある人と喋らせたら?記憶が戻るかも知れないよ!」
「レビィ…グレイは確かにいるが、ルーシィはもう身内も関係者もいないぞ…?」
エルザらしくない、弱々しい声が聞こえてくる。
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