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*31*
十一冊目『あの言葉を今ここで』
「お前…、本当にナツか…?」
ナツの残酷さに、グレイは背筋が凍る感覚を感じる。
質問の意味が分からないという様に、ナツは首をかしげた。
「はぁ?俺はナツだよ、何言ってやがるテメェ」
「それが…お前の意思か…?」
会話が出来ていない、そう感じたナツは心で悪態をついた。
―んだよ、この変態露出魔。
この時、ナツは違和感を覚えた。
どうして自分はこの男を、知っているような口ぶりだったのだろう?
何でこんなにも、悲しさが沸くんだろう。
「…ああ、俺の意思だ!」
そう言うことで、自我を保てる。
ナツはがむしゃらに、グレイに向けて咆哮をする。
素早い身のこなしで避け、グレイはナツの瞳を見据えた。
間違いない、ぶれている。
「あの時、お前は!お前は、何て言った!!!」
グレイはナツがぶれているのを隙に、懐へもぐりこむ。
―が、それは失敗に終わった。
「ぐぅっ!?」
突如、誰かの蹴りが腹に入りグレイは吹き飛ぶ。
丘の下は深い谷だ、落ちたらひとたまりもないだろう。
「あらよっと…迷うんじゃねぇよ、ドラグ。お前は俺たちの、仲間だろ?」
「ああ…、当たり前…だ」
2対1。圧倒的な不利の状況に、追い込まれた。
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