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*74*
え…。
状況が飲み込めなくて、私は動けなくなった。
立花は正面にいて、それで手が背中に…。
ってことは。
私抱きつかれてる!?なんで?
幸い、今帰っている人はいないようだった。人には見られてないけど…。
訳がわからなくなって、しばらく沈黙が続いた。その沈黙を破ったのは、立花のモゾモゾした声だった。
「ごめん…。俺、初恋だったんだ…。」
「……。」
その言葉で私は解放された。
唖然として立ち尽くす私。
「……いきなり抱きついてごめん…。初恋だったからって、あんな事
しちゃいけないのに…。ほんとにごめんな…。」
すごく申し訳なさそうにして謝ってくる橘を見ていたら、不思議なぐらい
スーっと涙が出てきた。
なんでこんなことになっちゃったんだろう。
立花も、さらも傷ついて。
抱きつかれたことに、そんなに怒りは湧いてこなかった。
心でずっと唱えてる言葉…。
「ごめんなさい。」
そんな言葉しか出なかった。
悲しさを顔に浮かべて、見つめ合う二人。
突然で儚かった恋が、ついに終わりを告げた。
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