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イナズマイレブン5 さすらいのヒーロー
作者: 南師しろお  (総ページ数: 44ページ)
関連タグ: イナズマイレブン 不動明王 パワプロクンポケット イナイレ しろお 
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 狂犬ドッグスとの試合日当日。京香やカンタが観戦に来ていた。
「しかし面白い名前だな」と野口が言う。
「ウチだって、ビクトリーズなんて名前の割にはぜんぜん勝ててないけどな!」
 権田が言って笑う。
「ま、今日はよろしく頼みますよ! お手柔らかにね、ドッグスのみなさん!」
 そう言って玄武が、ドックスのメンバーのひとりに手を差し出した。が、なんとドックスのひとりは玄武の手に噛み付いた。
「げ、げええー!? 玄武さんが手を噛まれたでやんす! いったい向こうのチームはなにを考えているでやんすか!?」
 カンタが驚くのも当然で、ドッグスの全員が、狼のようによだれを垂らしながら吠える。そして試合開始の笛がなるまえに、ドックスはボールを持って勝手に試合をはじめた。
「ルールくらい守れよ。まあ俺が言えたギリじゃねーがな」
 不動は呆れつつも、体を当てて敵を吹き飛ばし、ボールを奪う。
 その日の試合は不動の活躍で、見事3−1のビクトリーズの勝利に終わった。
「おっちゃんやったなでやんす! プロよりうまかったでやんす!」
「ありがとな。ところで、お前の母親はいちおう商店街の人なのに、応援に来てないんだな。忙しかったのか?」
「あ、母さんはその。サッカーが好きじゃないから……」
 そう小さな声で返事すると、カンタは逃げるように走って行ってしまった。
 なにかまずいことを言ったかと思いながら不動が後ろ頭をかいていると、権田が説明してくれた。
「カンタのお母さんは四年前までこのチームのキャプテンだったんだ。そのころは毎日応援に来てくれたんですが。奈津姫さんはきっと、ご主人のいないこのチームを見ているのが辛いんでしょう」
「げ、そうだったのか。後でボウズに謝っとかなきゃだな……」
 


 カンタが川に小石を投げて遊んでいると、長身の男が声をかけてきた。
「そこの坊や、この町でさいきん変わったことはなかったか」
「あんた誰でやんすか? でも、ひとつあるでやんすよ! ヒーローが来たんでやんす!」
「ヒーロー? ちょいと話を聞かせてくれよ」

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