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しりとりシリーズ
作者: 彩都  (総ページ数: 51ページ)
関連タグ: しりとり 
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*13*

 『死す』

 ん?、と俺は彼女に聞いた、呼び止められたからだ、何だ?と聞き返すと、ケーキを買って欲しいようだ……そういや、今日はクリスマスイブ……ケーキを買うのも良いな……よし、買おう……買ったのは、良いが、彼女に持たせてしまった……今日は一杯買ったからな……マフラー、コート、シューズとか、諸々……まぁ、懐は少し寒くなったが……先にケーキを持って帰って貰った……これで、俺が自宅に戻るだけだ……そう思いながら、のんびり歩く、両手に花が、両手に荷物だ……軽いのは、軽いが、量があるので、手に紐が絡んで痛い……早く帰りたかったが、この寒さにも慣れたかったんで、のんびり歩いているのだ……
「大サイズのケーキ販売中で〜す!」
 凄く大きな声で、サンタガールの女性店員とサンタの格好をした、恰幅の良い店員が、ケーキ販売をしていた……まぁ、俺の家に彼女がケーキを持って、待っているので、俺には関係無いと割り切って、前に進む……何処も彼処もクリスマス一色だった……クリスマスは良いとして、問題はハロウィーンだ……何で、あんなにコスプレ、仮装して街を動くのか……俺には、ウザいの一点張りしか、思い付かない……仮装とか、俺は恥ずかしくて出来ない……ていうか、何で、数百年前には、何もしなかったのに、文明開化以降はこういうイベントが多くなってしまったのだろうか……?
 完全にアウェーなんだよ、外国のイベントは……日本人は日本のイベントすれば良いものを……何で、キリストの生誕祭と前夜を祝わなければならない……?おまけにハロウィーンに限っては、何の祭り!?俺が知っているのは、『子供が幽霊や怪物に襲われるから、その格好に仮装して、襲われない様にする』……だっけか?今の日本に関係無いだろ!てか、もう怪物なんて存在しないだろ!そうだろ!?そう思いながら、苛つく……全く……俺とした事が、ガキの遊びに熱くなっちまった……まぁ、ガキの遊びに大人が首を突っ込んでみると、新しい発見が出来るが……まぁ、俺は大人一歩前だが……
 俄然、変な事を考えながら、俺は進む……すると、チキンを買い忘れた事に気付いた……やっべぇなぁ……チキンは彼女の好きな物の一つだった……忘れていて、買ってなかったら、破局かな……?そう思いながら、俺はコンビニで有る程度のチキンセットを買って、外に出る……コンビニの中は、温かかったが、外は寒かった……ホント……この寒暖差の激しいのは何だよ……?日本の冬だ……そう思いながら、自虐ネタを言ってみた……これほど寂しい自虐ネタは初めてだった……

 タッタッタッタッタ……と、後ろから、何か、靴の音がした……急いでいるんだな……と思いながら、後ろの人に押された、いたっ!と言うと、『すいません!!すいません!!』と、謝りながら、進んでいく……まぁ、謝るなら良いんだけどさ……そう思いながら、荷物を持ったまま、俺は進んでいく……
 車のスピードが早くなっている……早く帰って、妻や彼女、息子、娘に会いたいのだろう……そう思いながら、スピード違反で、止められていたりした……歩いている、俺には関係無い話だが……そう思いながら、家の近く迄、来てしまった……今行くのも、少しつまらない……そう思いながら、また、コンビニに行って、本を立ち読みする……最近の週刊誌は買っていないから、久し振りに買ってみるか……そう思って、有名な少年系週刊雑誌四種類を買う……約1000円もしたが、色々な漫画を楽しめるので、良いだろう……そう思いながら、段々重くなっている、両手の荷物を持ちながら、溜息を吐きながら、思う……買い過ぎたなぁ……今日の買い物は……手が痛いなぁ……と……

 とりあえず、俺の家の前に着く……服や、喉の調子を整えて、ドアノブを握る、ガチャリ……?何でだ?何時も鍵を閉めているのに……不思議に感じながら、彼女を呼ぶ、返事が無い……またもや、不思議だな……そう思いながら、玄関に立つ、ん?廊下が濡れている……?雪でも降っていたから、少し濡れているのかな……?そう思いながら、廊下を歩く……そしてリビングのドアを開ける……目に映った物は……

 刃物を持った、男と、血だらけのお腹の彼女だった……そして、刃物には、赤い鮮血がべっとり……へ?……男の顔をよく見ると、少し前にぶつかった男だった……俺は手の荷物を落とし、言う。
「……う……うわあぁぁ!!??何で!?えっえっ!?おまっ!?えっ!?ってか、お前!?何で殺した……」
 たんだ!?……と言いたかったが、口にタオルを巻かれて、声がもごもごとなる、喋れない……
「今から、お前も殺すんだよ……俺の彼女を奪いやがって……!!」
 適当に殺したのか、と思っていると、殺した理由が有ったのか……そう思いながら、恐怖する……いっ厭だ!俺はまだ死にたくない!!そう思いながら、反抗する、クソッ!ウザいな……!!と言いながら、俺の腹部に血だらけの刃物が刺さる……俺は、痛みで、ある程度覚醒するが、痛みで、動きたくない……!!
「いやぁ……全く……女が別れなかったら、こんな事にならなかったのに……」
 ニコニコと笑いながら言う……つまり、元カレか……俺は元カレに殺されたのか……そう思いながら、目の前が暗くなる……瞼が閉じようとしていた……俺は、生きているだろうか……?そう思いながら、俺の体は冷たくなっていった……

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