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しりとりシリーズ
作者: 彩都  (総ページ数: 51ページ)
関連タグ: しりとり 
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*14*

 『宿世』

 俺とお前は、最初から、敵で、最初から、仲間だった……そう思いながら、俺は、敵の事を考えた……俺とお前は、何時も一緒だった……小さい時から、ライバルで……小さな頃から、とても良い友達だった……
 ただ、単純に考えて、死んだお前の事を考えた……まぁ……人が死ぬのは仕方無い……でも……俺より、早く死ぬなよ!前に約束したじゃないか!『死ぬ時は一緒だぞ!』ってさぁ!
 あまりにも早い死に俺は泣くしかない……お前は何歳で死んだ……?……言ってやる……弱冠12歳だ……早過ぎる……そう思いながら、涙を流した……
 ただ……一緒に死にたかった……俺はその思いしかない……そして、俺は、殺人鬼に殺された……背後から、グサリと……大量に血を流しながら……俺は……目の前が真っ黒に……

 ニッコリと、髭のジジイが笑っていた……何なんだ……そう思っていると、ジジイは言った。
「たーはっは!これは面白い小僧だ!お前も数ヶ月前に死んだアイツと同じだな!たーっはっは!!」
 ……はい?……いや……このジジイは何なんだ……?そう思っていると、ジジイは言った、とても簡単で、分かりやすい言い方で、言った……
「ただ、お前達で言う……『神様』……かな……?」
 なっ……!?このジジイが『神様』って言うのか!?本当にか……?
「完全に疑っておる……ホイ!」
 いきなり何だと思うと、右手の杖で、少し振る、すると、食べ物が出てきた、因みに俺の好きなハンバーグだった。
「たーっはっは!やっぱり驚いておる!やっぱり、人間は面白い!だから作って正解じゃ……んで、この食べ物を食っても良いぞ?食うか?」
 完全に今、腹が減っていた所だ……そう思って、ハンバーグを食べる……ん?……何だこれ……?味がしない……?
「いや……そりゃそうじゃろ……何たって、今、お前は死んでいるんだ……『感覚』という、感覚を失っている状態だ……さて、本題に入る……お前、前世で、何か、やり残した事は無いか?」
 ……完全に俺はやり残した事がある……『アイツと一緒に死ぬ事だ』……!すると、『神様』とやら、は言った。
「ただ、そのやり残した事の為に生き返らしても良い……ただし条件がある……誰にも、生き返ったという事を言うなよ?言った瞬間にお前は記憶から、消去される……それでも良いのか?」
 ……完全に俺は笑った、こんな楽しい人生をもう一度やっても良いのか、と……『神様』は言う……「そうだ……」と……なら、やってやる、何度でも、運命を切り替えてやる!そう思いながら、俺は生き返ったのである……目覚めたのは、俺も、お前も死ぬ前の世界、まぁ、俺が死んだのはお前の死んだ後なんだが……そして、日付を見た……今をもう少し詳しく知っておきたかったからだ……ふむ……お前の死ぬ数日前だった……この歴史を、『俺と一緒に死ぬ』運命に変えなければ……俺はあれから、何度もシミュレーションした……
 ただ……思った……俺がどれだけ介入しても、お前は一人で死んで行った……俺はこの『お前が一人で死ぬ運命』を変えられないのか……?そう思いながら、俺はお前が死んで、俺も死んで、生き返らせてもらって、お前が死んで、生き返らせてもらって……の繰り返し……まるで、RPGで『運命』という、ラスボスを倒す為に、お前が死んで、俺はそれに続く為にリセットボタンを繰り返し押している、バカみたいに感じた……もう……『運命』という怪物は倒せないのだろうか……?
 完全にそう思いながら、死んで、何回目だろうか……?そう思い始めた頃……約百二十五万四千三百七十八回目の生き返りを感じた頃だった……あれ?何か可笑しい……?何でだ……?今、完全に何か、可笑しい気が……?何なんだ……?そう思いながら、また死を繰り返すのか……とか、思っていた、だが、学校の帰宅時の事、俺はお前と、一緒に帰っていると、通り魔に襲われた、まず、俺はお前が殺されるのを見る、そして、俺も殺す様仕向ける、そして、殺された……あれっ?今回の生き返りは何か、変だったな……そう思いながら、俺はお前と一緒に死ぬ事が出来た……それだけでもう十分だった……

 ……ただ……煩いな……そう思っていると、お前と、『神様』が喋っていた……何だ?知り合いみたいに駄弁ってやがる……そう思っていると、お前は言っていた。
「大変でしたよ……アイツを殺すには……なんせ、アイツが死ぬのは俺が死んだ後でしたもん……あぁー、楽しかったです、有難う御座いました……」
「ただ、君達を合わせるには、大変だったよ……二人共、同じ願いだもん……流石に焦ったよ……」
 与太話を壊す形で、俺は入っていく……すると、お前が言った。
「大変だったよ……お前をここ迄のステージに立たせるのは……骨が折れた……いや、肉体を失ったか……まぁ、何はともあれ……有難うな……お前も、俺と同じ願いだったとは……俺は嬉しい」
「いや、何の話……?」
「死んだろう?そして、二人のやり残した事が、二人共『二人で死ぬ事』……だったんだよ……」
 ……『神様』が補足してくれて助かった……ん?って事は……俺と、お前は同じ願いって事は……
「ハッ!俺は、お前と一緒に死にたかったんだ……もう、死を繰り返さなくても良いんだ……もう、疲れたろう?さぁ、天国に行こうぜ?」
 ……絶対叶える願いが、お前と一緒とは……俺は涙が止まらなかった……俺はお前の手に取られ、宙に浮いた……『神様』は笑っていた……お前も笑っていた……そして……俺も笑った……

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