完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

しりとりシリーズ
作者: 彩都  (総ページ数: 51ページ)
関連タグ: しりとり 
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

10~ 20~ 30~ 40~ 50~

*32*

 『真っ暗闇』

 ……はて、此処は何処だろうか……?僕は、目覚めた瞬間、真っ暗闇の中に居た……真っ暗闇の中、寒い部屋の中で布団に包まれていた自分は、真っ暗闇の恐ろしさに少し怖がりながら、布団から出る……布団を畳んで、周りを確認……真っ暗闇以外ないな……はて……僕は何か悪い事をしただろうか?僕の実家の田舎では、『悪い事をすれば、真っ暗闇の場所で反省しなければならない』という、話というより、古来に伝わる昔話と言う物か。
 完全に半信半疑で信じていたが、まさか、自分が、それを経験するとは……まぁ、それは置いといて……自分が悪い事をしたのならば、その『悪い事』を探さないといけない……そう思いながら、少し歩く……何か、少し歩いた方が、アイディアって浮かばない?僕は思い付くと思うんだよ、きっと、ね……そして、数分歩いた……真っ暗闇は端を知らない様で……歩いても歩いても、周りは晴れないし、布団から、逆に離れていくだけだった……僕は急いで、布団の所へ走って、戻った。
 ただ単純に何かしたっけ?そう思いながら、右手の親指と人差し指で拳銃の様なマークを作って、顎に当てる……これって、良く人が考えるスタイルだよなぁ……自分でもしてらぁ……と自虐的に罵りながら、考える……本当に自分が何をしたのだろう……そう考えながら、寝転がる……本当に何をしたのか分からない……そう思いながら、立ち上がって、考える……ていうか、この空間ってトイレとか、食事が出来るスペースとかあるのかな……?もしも無かったら、大変だぞ……小便、大便垂れ流しで死ぬかもしれないしな……そう考えると、何とおぞましいんだ、この空間は……急いで、この謎を解かないとな……
 何だかんだで、数時間が経った……気がする……そぅんな感じがする……ただ、それだけだ。
 大丈夫……自分は簡単にこの空間から出れるって……そんな甘い言葉を投げかけながら、自分を奮い立たせる……だが、それももう限界な様で──因みにトイレと食事については大丈夫な様だ……お腹も減らないし、尿意、便意も無い……だから、トイレと食事は大丈夫、と認識したのである──そして、矛盾点を思ってしまった、それは、『もしも、この真っ暗闇に来た理由、そして、謝ったとして、その内容が間違ってるなら、出れない』……と言う事だ、こういう状況になったら、もっと出れない、という事になるだろう……それはそれで大変じゃね……?そう思いながら、考える……一体何をして、悪い事と認定されたのだろう……?それさえ、思い出すか、教えてくれさえ、すれば、謝る事なんて簡単なのに……そう思いながら、真上を見た……何も無い、虚空が自分を呼び覚ます……もっと考えろよ……と……
 突然、『あっ、これは無理だ、諦めよう』……という考えが過ぎった……でも、過ぎらせて、放って置くのも仕方無い……なので、また、布団の中に入って、寝る事にした……どうせ、寝たら、思い出すかも知れないし……そう思いながら、就寝した……

 単純に言おう……寝ても、この空間からは逃れる事は出来ない、と……寝惚け眼で、目を擦りながら、周りを確認する……何も変化無しっと……マジでかよ……何も変化が無いってどういう事だよ……?もう、開放されても良いんじゃ御座いません?神様よぅ?と神に喧嘩を売る様にメンチを切って、睨むが、一応、虚空を睨んでいるので、自分が惨めに感じて止めた……ていうか、本当に自分が何をしたか、分からないんだけど……?誰も知らないの?ねぇ!ねぇってばぁ!?……そう、叫んでも、誰も返答してはくれなかった……神でも、返答してくれたら、嬉しかったが……まぁ、誰か返答したら、それはそれで怖いが……だって、自分以外に誰かが居るって事だよ?何か怖くない?怖くない……あっそ……どうせ、ただの独り言ですよーだ……まぁ、自分でむくれても仕方無いが……良い加減を思い出さないと……そう思いながら、ゆっくり、自分の過去を思い出す……
 数時間前……友達と、ビールを飲んで、ネトゲで、動画撮ってもらって(知り合いが動画投稿者だから、参加させてもらっている)……そして、投稿者の彼女を弄ったりして、その日は寝て……そして、自宅に帰って、投稿者の動画を見て、取捨選択等をして、今日は仕事が無いから、家で、また寝て……
 ……ていうか、寝てばっかだな……まぁ、それ程、自分の仕事が忙しい訳で、寝る間も削っているのかな?そう思いながら、起きて、この真っ暗闇の空間に居た、と……そして、この空間に居る理由は……分からない、と……あぁーもう!何が何だか分かんねぇよ!何!?知り合いの彼女を弄ったから、こんな所に居んの自分!?そう思いながら、叫ぶ、『知り合いの彼女弄った事謝りますから、ここから出して下さい!申し訳有りませんでした!』と言った、すると、いきなりの感覚に驚く……何だか、体が吸い込まれ……!?

 レターボックスの中に何か、投函される音で、目覚める自分……起き上がって、周りを確認……何時もの自分の部屋……そして時間は、まだ、数時間しか経っていなかった……まさかの夢オチですか、これ……?そう思うと、笑いが込み上げて来た……何だよ……何なんだよ!何か損した気分だ……そう思いながら、起きた証の牛乳を飲みに向かった……これで、自分は助かったのだ……そう思いながら、体を動かした……

 NEXT 『皆、無』

31 < 32 > 33