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*105*
晴香
「そもそも貴方達はなんなの?」
巧
「俺自身、オルフェノクに関してはさっぱり分からないがこれだけは言える」
巧
「俺と人としての草加とキュルルは実験体だった」
アライさん
「じっけんたい?」
巧
「ヒトと獣、2つの力を持った覚醒新生物オルフェノク………俺はそんなのになる為に何百年もここに住まわされた」
魔理沙
「憩いの場のお客ってまさか」
巧
「全員実験体だ、大体は覚醒せずに死んだかどこかに行ったりしたがな」
晴香
「じゃあ、イエイヌさんは何なの?」
巧
「後から知ったんだが獣の設定を得るためには獣を近くに放す必要があったらしい」
巧
「そのために動物がそばにいてやる必要があった、傍から見れば戯れているようにしか見えないからカモフラージュ代わりにもなったんだろ」
イエイヌ
「私もその内の1つ………?」
巧
「そうだ、忘れもしない数百年前………全てのオルフェノク実験体が人では無くなった時、撤退作業が始まった」
那雄宏
「作業って、片付けか?」
巧
「ああ………獣の殺処分、完全なる証拠隠滅ってやつだ」
イエイヌ
「えっ………!!」
巧
「その場所には血すら残らないほどに真っ白になっていた」
巧
「だが運良くシェルターに篭もり発見されなかった獣がたった1匹だけ存在していた」
マクスウェル
「それが………こいつというわけか」
イエイヌ
「じゃあ、まさか………!!」
巧
「そうだ」
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ウルフオルフェノク
「………ちっ、ダメだ、何も残っていない」
ウルフオルフェノク
「もう少し早く気がついていれば………」
「あっ、お客様………」
ウルフオルフェノク
「この声は………生き物?」
イエイヌ
「いらっしゃいませ、遊具は何も無く動物も私1匹のみのつまらない場所ですがごゆっくり………」
ウルフオルフェノク
「………真っ白だ」
イエイヌ
「えっ?」
ウルフオルフェノク
「お前の心は真っ白で、純粋で………綺麗な洗濯物みたいだ、見ているだけで心が洗われる………」
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巧
「俺はイエイヌを見た時頭の中で2つの考えがよぎった」
巧
「1つは無事な奴がいて良かったという安堵」
早苗
「もう1つは?」
巧
「もし、こいつが生きていることを関係者が知れば………殺しに来るだろう」
イエイヌ
「!」
巧
「イエイヌがクリーニング屋を始めたと知っていつ狙われてもおかしくないと悟った俺はオルフェノクの体を捨て再び『乾巧』として生きる道を選んだ」
巧
「イエイヌはオルフェノクになるためだけに呼ばれた俺達を愛してくれた、そしてイエイヌは、またあの時のように楽しく過ごせることを夢にしていた」
巧
「あの頃の俺には夢がない。でもな、夢を守ることはできたんだ。」