完結小説図書館
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*46*
テスト終わったあああ!
9月はオール休みなので、たくさん更新できると思います。
9月中に過去編を終わらせたいなあ。お前ら鈍ってないかあ?
~コマリチームの今~
コマリ「課題が終わらないよお! 助けてトキ兄……! 税の作文って何書けばいいのおおおお」
美祢「コツコツやれってあれほど……」
こいと「コマリさん、ぐずぐず言ってないで手を動かしてください。明日登校日でしょ!」
(コマリは夏休みの課題の処理に追われているようです)
~宇月の今~
宇月「もー!何べん言ったらわかんのや! 手の動きがちゃう!もっと腰を落とす! そんなんで兄ちゃんなんか越えられんで!」
??「ううううう……もう配信始まってるかなあ」
宇月「見たいならもっと頑張り! 術式が強いのは確かなんやから。そら、 もう一本!」
(宇月は誰かと手合わせをしているようです)
ちなみに憑きもん!キャラの今のところの組み合わせは
●コマリ組(コマリ×美祢×こいと)
●秘密共有組(宇月×こいと)
●いとこ組(美祢×宇月)
●神友組(こいと×由比)
●霊能力者組(正鷹×宇月)
●子供組(コマリ・こいと・由比)
●(若干)大人組(美祢・宇月・正鷹)
です。
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――俺・バンは、おかっぱ頭の少年をチラリと横目で見ながら、猿田彦との出会いを思い出していた。
急だったし焦ったよなあ。声がするもんで友人に言ったら、みんな「何も聞こえない、知らない」って首を振るんだもん。
で、こりゃ一体どういうことだ、と顔を上にあげたら、道路脇のアパートの屋根の上にアイツがいたわけよ。
職業柄、摩訶不思議な出来事や心霊現象には慣れていたから、神だと名乗られた時もさほど驚きはしなかった。これまでにも付喪神(つくもがみ)や土地の神とは関りがあったし、彼らの力を借りて悪霊を祓っていたからだ。
藍琉や榛原と一緒だったのがまずかったな。
あいつらは霊感もねえから、こっちが何を言っても信じないし、嘘つき扱いするし。
(もっと早く、状況を理解していたら、余計な誤解を生まずに済んだのに。危うく俺の秘密がばれてしまうとこだったわ)
そんな俺でも、彼が「お前の体を乗っ取りたい」と口にした時は内心かなり驚いた。というのも、位の高い妖怪や神様はプライドが高く、滅多に自分から頭を下げないからだ。
今まで共闘してきた幽霊や妖怪に関しても同じだ。水の神、火の神、座敷童、ぬらりひょん……。彼らは、俺が何度も頭を下げ、必死に頼み込んでようやく契約を得た相手だった。
いやーあれは笑ったよなあ。古事記にも名を遺す偉大な神が、わざわざ人間の前で腰を折ったんだぜ? イザナギやイザナミと並ぶような神様だぜ?
でも、彼のその態度を目で見て、俺は思ったんだ。
こいつが、俺の望んだ人物なのかもしれないって。隣に立ってほしかった人なのかもしれないって。
自分が神でも、俺が超強い能力者でも。どんな相手に対しても敬意をもって接してくれる、優しいやつなんだって。
『いいよ。いつでも乗っ取れよ。一蓮托生ってやつだうわー、すっげえテンション上がるなジャ〇プの漫画みたいじゃね? 知ってる?』
家では流石に怒られるなと思って言えなかったけど……。
自分の体に他の人の魂が入るって、めっちゃワクワクすんな。
『知らないなら教えてやるよ!俺も家が厳しくてあまり堂々とは見れないんだけどこっそりスマホのアカウント作ってウェブ漫画とか読んでてさ、〈魂★神〉っていう漫画の主人公が憑依系の能力者で無意識に自分と重ね」
『あーあーあーあー、落ち着け。とりあえず落ち着いてくれ』
『ンで俺の推しキャラは兵馬(ひょうま)ってんだけど、そいつの相棒が加治木(かじき)って名前で、羽織着てて、めっちゃお前に似てるなって、マジで盛り上がってきたな俺お前めちゃくちゃ気に入ったわ』
『わかった。わかったから一旦、深呼吸してくれ』
猿田彦は羽織の裾で顔を覆い、苦笑していたな。懐かしいぜ。
出会った日、俺たちは約束を二つほど交わした。
一つ。お互い隠し事はナシ。同じ肉体を共有する者同士交流を深めるため、どんなにつまらないことでも意識的にシェアすること。楽しかったこと、うれしかったこと、悲しかったこと、辛かったこと。全て包み隠さず話すこと。
二つ。片方が困っていたら援(たす)けあうこと。それぞれがお互いにとっての右腕となるよう日々努力を重ねること。
体を乗っ取られている間、人間の意識は朦朧とする。それは俺も同様だ。暗い暗い闇の中に放り投げられたような感覚。両目はしっかり開いているのに視界は絶えず暗く、両手は空いているのに何もつかめない。ふわふわとした精神状態でありながらも、ちゃんと脳は働く。
そんな中聞こえた相棒の言葉。
――〈協力してほしい。討伐したい奴がいる。おまえの力を貸してほしい〉
いつも冷静な彼に似つかわしくない、上ずった声。
何が起こっているのかを一瞬で理解することはできない。
しかし何を自分に求めているのかはすぐに把握できた。
『あー、なんか知らんけどヤバそうね。……仕方ねえなあ。ホントに全部使っていいのね? 出力100でもいいのね?』
あの日の約束の2番、〈片方が困っていたら援けあうこと〉。
なぜかは知らんが猿田彦は今ヤバい状況で、かなり追い込まれている。だから俺を頼っている。
説明はそれだけで十分だぜ、猿。あ、猿って呼ぶと怒るんだっけ?
あいにく、俺は育ってきた環境の影響で、細かいことが苦手だ。
俺は俺らしく大雑把に、好きなようにお前の意思をくみ取る。
オッケー、要約すると「とりま援けて」だな。了解っと。
さあさ皆様ご覧あれ。ここに君臨するは番家長男・番正鷹。
別名:鳥神様。神を取り憑かせ、彼らの持つ異能を自由自在にコントロールする、〈狂瀾怒濤〉の戦法がウリであります。
以後、お見知りおきを。ではここらで舞台暗転といたしましょう。
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「鳥神様だと?」
禍の神は猫のように鋭い瞳をさらに細めて言った。
「貴様、何者だ。只者ではないな」
「そんな怖い顔すんなって。かわいい顔が台無しだぜ」
俺は右手を広げ、胸を広げる。
「俺のモットーは大胆に・簡単に。だから説明も手短に済ませるぜ。ようく聞けよ」
大きく息を吸い、肺に空気を送り込む。血液を循環させ、体の各部位の機能精度を高め、次の動作に入るためのエネルギーをためる。
「お前を倒すやべー奴だ、よ!」
右足を一歩後ろに引き、左足を前に出す。腰を落とし、右手を銃の形に組む。左手を右手首にそっと添え、狙いを定め。
「番流憑依術第一式:魔矢引(まやひき)」
瞬間、どこからともなく無数の矢印が発生した。大きさは様々。針のように細いものもあれば、こん棒のように太いものもある。
矢印は俺を囲む形で空中に浮かび、矢先を禍津日神に向けた。
「………霊能力者か。忌々しい!」
禍津日神が両手を前に出し、防御態勢をとる。
がしかし、その口から術名が唱えられることはなかった。
「BANG」
鳥神の声に合わせて、数百本の巨大な矢は弧を描いて飛んでいく。その速度はまちまちで、時に遅くなったり、かと思えば空を切ったり。
そしてついに。
「………かはッ……ヴッ」
切っ先が鋭利な一本の矢印が、背後から禍の神の胸を突いたのだった。
(※次回に続く!)