コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- あたしのボーイフレンドは神様
- 日時: 2011/03/27 21:04
- 名前: 彩 (ID: fS3ho1RJ)
.
あなたは神様を信じますか?
もしも神様があなたの前に
現われて一緒に生活する事に
あなたはどうする?
——あたし?
あたしなら喜ぶかな、
何でだと思う?
それはあたしのボーイフレンドは
神様だからだよ
.
- Re: あたしのボーイフレンドは神様 ( No.31 )
- 日時: 2011/04/03 11:22
- 名前: 彩 (ID: fS3ho1RJ)
無言のまま、堅苦しい空気が支配し始めた。
大体彼は何を話しに来たんだ。
早く話して欲しいんだけど、彼を見たら視線が合った。
「あのさ」
「なに」
「単刀直入に言おう、お前が好きだ」
外国人というか神が良く『単刀直入』という四字熟語を知ってるな、と
感心する前に彼の言葉にあたしは言葉を失った。
—— あたしが好き?
人生で始めての経験に何も言えないあたしにあの言葉を思い出す。
ヘラさんに言われた言葉だ。
『人を愛する事を馬鹿にしないでください』という言葉。
あれはヘラさんがジェシファーノがあたしの事が好きだと見抜いて伝えた言葉なんだ。
だけど、あたしはジェシファーノが好きなんだろうか。
分からない。
でもよくよく考えればあたしはジェシファーノの事が気になってる。
それは異性を感じているから、気になっているんだ。
今まであたしはただ生まれて死ぬだけの人生としか思えない人生だった、
それは違うと実感させてくれたのは、ジェシファーノだった。
川の水の時も、きも試しの時も、いつもあたしは彼を気になっていた。
好き。
前からずっと言われたかった言葉だった。
幼い小さい頃に両親が土砂崩れで死んだ時にあたしはまだ6歳だった、
レスキュー隊に救出されるまでずっと死んだ両親を見続けてきたんだ、
あんな非現実的な体験をして以来、人としての〝人生〟を失っていた。
だけど心の底ではずっとお母さんたちの愛に飢えてると言うんだろう、
あたしは両親のいる子が羨ましかったよ。
叔母さんたちも我が子同然に可愛がってくれたんだけど。
「それでさ、お前と別れる前にこれを渡しておこうと」
そっとあたしの手の平に乗せたのは、栞だった。
良く見ると押し花で桜の花が押されていた。
「例え俺に恋愛感情を持ってなくても、これだけは持っていて」
淡い桃色の花が色あせる事は無い、と彼は付け加えて言った。
「これはお守りだ、お前が危険な時に絶対に守ってくれる」
「……お守り?」
「ああ、それと、始業式が始まった後、近くの川辺に来て」
彼はそれだけ言い、『じゃあな』と言って家を出て行った。
それっきり彼は遊びに来る事は無かった。
彼に貰った栞は、大切に机の引き出しの中に入れた。
もうすぐ春休みが終わる頃の出来事だった。
人生で初めて他人から『プレゼント』を貰った日でもあった。
夜になっても彼の貰った栞と約束と言葉が頭から離れなかった。
その時、叔母さんが家に帰ってきた。
「お帰りなさい、叔母さん」
「ただいま、芽衣ちゃん。お土産あるわよ」
「分かった。今度は何処へ行ってきたの」
「京都よ」
リビングに行き叔母さんのお土産を色々と見た。
その時にあるネックレスを見つけた。
「何これ」
「ああ、センス良いわね。本物のルビーとダイヤよ」
叔母さんは世間で俗に言う〝お金持ちの未亡人〟だった。
だからルビーとダイヤなんて容易く買えるだったけ。
保険金も軽く1億は越していると言ってたな。
「お得意先の社長さんに特別に貰ったんだけど、いる」
お土産のネックレスは二つあった。
ひとつはルビーの星で、もうひとつはダイヤの星だった。
桜の栞を貰ったお礼にこのネックレスを上げよう。
彼は……ルビーが良いかな。
「貰うね、おやすみ、叔母さん」
「おやすみなさい、芽衣ちゃん」
ネックレスを持ちリビングから出た。
.
- Re: あたしのボーイフレンドは神様 ( No.32 )
- 日時: 2011/04/03 11:24
- 名前: 彩 (ID: fS3ho1RJ)
中嶋 優sama
面白いとは本当ですか!?
そんな事を言ってもらうとは、
もう泣きそうです笑
応援ありがとうござます★
頑張りますね!
.
- Re: あたしのボーイフレンドは神様 ( No.33 )
- 日時: 2011/04/03 11:44
- 名前: 彩 (ID: fS3ho1RJ)
始業式が始まり当然ジェシファーノも来ていたが良く憶えていない。
終わった後に急いで彼と約束した学校の近くの川辺に行く。
此処は人が滅多に通らない道として知られている。
二人で会うには絶好の場所だ。
川辺の草原に下りて目的の相手を探すと遠くにいた。
彼の元へ走った。
「………ジェシファーノ」
「芽衣、アレスで良いよ」
「……アレス、帰るんでしょ?」
「ああ」
既にアレスの体は光り始めている、暖かいオレンジ色で輝いていた。
そして下半身は既に消え始めていた。
「あのさ……これ、栞のお礼」
「ルビーのネックレス?」
「本物だよ、叔母さんがお金持ちの未亡人で貰ってきたものなの」
あたしは思わず『神』である彼なのに首にネックレスを掛けた。
星型の赤いルビーがとても似合っていた。
「お揃いだよ、ほら……」
あたしも鞄からダイヤのネックレスを取り出した。
だけど、このネックレス、何処かで見覚えがあった。
上手く思い出せない。
「お前の両親のネックレスだぞ、これ」
嗚呼そうだ、お母さんたちが死ぬ間際にあたしに渡したネックレスだ。
結婚祝いにお互い同じネックレスを記念に作った、と聞いたっけ…
記憶に埋もれていたけど今思い出した。
叔母さんはもしかしたら予想してあたしに渡したんだろう。
ふと、気付けば頬が濡れていた。
泣いてる。
生まれてお母さんたちが死んだ後、一度も泣いたことは無かったのに。
「ありがとう、……芽衣」
「いか……ないで」
「無理だ。俺は『神』でお前は『人間』お互い本来は関わり関ってはいけないんだ」
段々と消え行く彼の姿に、涙が頬から零れ落ちる。
「ほら、もう行けよ。——今までありがとうな」
その言葉と共に唇に何か感じた。
そうアレスにあたしはキスされたんだ。
人生始めてのファーストキスをあたしは体験している。
やがて唇が離れて、彼は優しく微笑んであたしに言った。
「さよなら」
そう言って彼の姿は光と共に消えた。
あたしは消えた後の草原に体育座りして俯き、泣いた。
静かに声を押し殺して泣いた。
川辺の道端には桜が満開の日の出来事だった。
.
- Re: あたしのボーイフレンドは神様 ( No.34 )
- 日時: 2011/04/03 12:06
- 名前: 彩 (ID: fS3ho1RJ)
あたしはもう高校2年になった。
後輩が出き1年と3年の中間という楽な時期。
今日はその記念すべき2年生デビューの初日だと言うのに、
制服のネクタイが見当たらず、机の引き出しを開けると。
「……栞?」
良く見れば桜の押し花で出来た栞だった。
あたしはこんな栞を持っていたかな?
栞を手に持つ。
持っていたか思い出せない、と同時に何か引っ掛かった。
「………んん?」
何か大事な事を忘れているような気がする。
とても大事で愛しいと思えるような人な気がする。
だけど、これはただの気のせいで多分お母さんたちの事だろう。
多分この栞も叔母さんから貰ったのを忘れていただけか。
—— 何だ、大げさな。
あたしはホッとしたが、肝心のネクタイが見つかっていない。
「ああっ…!」
机の引き出しを閉める前に栞を入れようかと迷ったが入れない事にした。
何となくこの栞を持っていないとダメな気がしてならないのだ。
ふと、本棚を見れば『ギリシャ神話全集』という本を見つけた。
この本にこの栞が似合っている。そう、直感が働いたのだ。
ギリシャ神話の本を本棚から取り、栞を挟んでひとまず机に置いた。
まずはネクタイ探しだ。
だけど、ベットの下にあると気付いてネクタイを取り出す。
「こんな所にあったのか」
まあ、良い。早くネクタイを付けよう。
ネクタイを付け終えた時に叔母さんが部屋に入ってきた。
「朝ご飯よ、早く食べないと遅刻するわよ」
「はーい!」
あたしは急いで部屋を出て下に降りた。
叔母さんは下に降りるあたしを見つめた後、部屋に出る前に。
「あら?……この栞」
部屋に入り机に置いた桜の押し花の栞を手に持ち、
「綺麗ね、芽衣ったら良い趣味をしているわね」
と小さな窓から光が射し込む机の位置に栞を置いた。
叔母さんもあたしの部屋を出た。
今日は清々しい晴天だった。
春風が気持ち良さそうな天気だ、春らしい天気。
窓から射し込んだ光で桜の栞が暖かいオレンジ色を放った。
Fin
- Re: あたしのボーイフレンドは神様 ( No.35 )
- 日時: 2011/04/03 12:08
- 名前: とぅいら (ID: x9loXZsD)
アレスぁあああぁっ!行くなよー(ノω・、)ぐすん
泣けるじゃねぇかよぉっ!
彩ちゃん、あなたは神ですか。そうなのですか!
もうほんとにおいしかった(。・ω・)ゞデシ
この掲示板は過去ログ化されています。