コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- あたしのボーイフレンドは神様
- 日時: 2011/03/27 21:04
- 名前: 彩 (ID: fS3ho1RJ)
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あなたは神様を信じますか?
もしも神様があなたの前に
現われて一緒に生活する事に
あなたはどうする?
——あたし?
あたしなら喜ぶかな、
何でだと思う?
それはあたしのボーイフレンドは
神様だからだよ
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- Re: あたしのボーイフレンドは神様 ( No.1 )
- 日時: 2011/03/28 15:36
- 名前: 彩 (ID: fS3ho1RJ)
春休みがもうすぐ来るという手前に皆は喜び宿題を鬱陶しいがってる。
あたしは宿題を分けられた時点で家に戻った後に全て終わらした。
皆は友達と遊ぶとかに専念しているようだ。
春休みに泣くな。
あたしはそんな真似もせず、ただ家に引きこもるような生活だろう。
普通は友達とか遊んだりするのが楽しいようだけど、あたしには、
—— 友達はいない。
居なくても別に困らないから作らず、俗にいう「疎外」の状態だ。
クラスの皆はあたしが気味悪いのか、滅多に話しかけも、話題にならない。
つまり、地味な存在だ。まあ、成績は世間に認められるくらい素晴しい出来栄えだ。
容貌も世間で俗にいう〝美人〟らしくある程度はモテているようらしい。
そんなある日、遂に転校生が来る事になった。しかも〝外国人〟だ。
ハーフでもなく「純粋な外国人」で皆は大興奮している。
だけど日本語が出来るのか?という話題に持ち切りだが先生曰く。
「ご両親が日本に永住した後に生まれたらしく日本語は完璧だ」
との事で再度大盛り上がりを見せた。
あたしは興味がなく、ただ日々を過ごしていた。
そんな感じで転校生が来る朝から他のクラスの子までも来るまでに。
あんな風に騒がれるのは逆に迷惑なんだろうけど、彼等は気にしない。
チャイムが鳴り他のクラスの子は残念がりながら、自分の教室に戻っていった。
担任の先生が教室に来て遂に転校生の紹介がされた。
「おい、入って来い」
先生に言われて転校生が教室に入った途端に、皆は息を呑んだ。
漆黒の黒髪に少し薄い褐色な肌で全体的にしなやかな体形に目は光が、
反射すると赤く見える紅茶色で顔は端正で全体的に〝美青年〟だった。
だけど表情は無表情。
「アレックス・ジェシファーノです」
とだけ言い後は無言の彼に男子はつまらなさそうだが女子は彼に夢中だった。
先生は戸惑ったのか苦笑いして誤魔化しながら席を指した。
あたしの席だ。
話題の転校生の席があたしなので更に皆のざわめきが酷くなった。
視線が増すなか、あたしは何食わぬ顔で彼が早く隣に座るのを望んだ。
人間関係が苦手なあたしには耐え難くも無いが、やはり苦痛なのだ。
早く早く座らないかな。
「分かりました」
と流暢な日本語を使い彼はあたしの隣に座った。
視線は更に増したがすぐに開放され視線が目の前に戻っていった。
「ジェシファーノの出身国の「ギリシャ」について今日は話そう」
先生の授業が始まった。
今日の授業はやはり話題の〝転校生〟に関する授業だった。
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- Re: あたしのボーイフレンドは神様 ( No.2 )
- 日時: 2011/03/28 16:15
- 名前: 彩 (ID: fS3ho1RJ)
放課後になり今日は部活が全て休みで皆は浮かれながら帰っていく。
あたしは誰もいない教室でまだ小説を読んでいた。隣には、転校生。
遠い異国の人が隣にいる。何となく不思議な感覚にさせるものだ。
ふと、隣を見れば彼は本を読んでいた。
題名は伊豆の踊り子。
どんな外国人だ、とあたしは思わず噴出しそうになった。
「…………何だよ」
と明らかに不機嫌そうな態度で言う彼にあたしは急に冷めた。
「アンタの事は何も知らないけど、文学とか分かるの?」
「アンタに聞くけど海外文学とか見てるけど分かるのかよ」
あたしの呼んでる小説は「罪と罰」というドストエフスキー作だった。
なるほど、あたしも人の事が言えないわけだ。
「ゴメン、何となく気になったからさ」
「俺には良く分からないな、日本人の美徳とか、ギリシャもだ」
日本に生まれたなら日本人の性質とか知っていても可笑しくないのに、
彼は何も分からない日本文化に憧れて来日した外国人みたいだ。
—— 絶対に何かが可笑しい。
あたしの思惑とは裏腹に彼はあっさりとまた無言のまま読書に戻った。
何が言いたかったんだ?結果的に苛立たせる行為にあたしは呆れる。
と同時にチャイムが鳴り、下校時間の放送が鳴った。
机に置いた鞄を持ち小説を机の中に入れ、あたしたちは教室を出た。
「もう、こんな時間か」
「お前には帰る家があるんだな」
「はあ?」
転校生に言われた言葉に思わず一言を言い彼の方を振り向くが居なかった。
教室のドアは閉めたはずだから入るなら音がするはずで当然いない。
廊下を見回る限り彼の姿はなかった。
どう考えても可笑しい。少しでも音がするはずだ。
アレックスジェシファーノ。
謎と不気味さを供えた転校生だという事が、この時で知らされた。
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- Re: あたしのボーイフレンドは神様 ( No.3 )
- 日時: 2011/03/28 18:46
- 名前: 彩 (ID: fS3ho1RJ)
何の関わりも無いまま転校生は「疎外」はされなかったが皆からは、
常に良く話題や評判の人物だった。
成績もあたしより良く、特に運動神経も良くて何もかも完璧だった。
当然彼は女子にモテるはモテるが彼は全く興味を示さなかった。
だけど女子は彼に猛アタックするのが虚しくて、同情させた。
そんなある日の放課後で部活が行われてる頃に図書館で一緒になった。
他に誰もいなくあたしは助かったと思いながら図書館に足を踏み出す。
「…………ジェシファーノさん」
不意にあたしはそう呟いた。目の前にはあの転校生が読書している。
彼はあたしの方を振り向くが、すぐに視線を本に戻す。
「何となく呼んだだけ」
あたしは言い訳するようにまた呟く。完全に独り言だが。
「ああ、そう」
と素っ気無く返事するがまたあたしの方を見て。
「鈴川、お前はギリシャ神話を知ってるか?」
「……知ってるけど」
「軍神アレスを知ってるか」
昔に読んだ事があるけど情けない神話だけだった。
「情けない神話だらけだよね」
と彼に言えば彼は一瞬悲しい顔をしたかと思えば、すぐ無表情に戻る。
彼の表情の変化に戸惑うあたしに彼は話を続ける。
「嫌われ者で実の親ですらも嫌われてる軍神は哀れだと思うか?」
何で彼はそのような事を聞くのだろう。
「さあ、嫌われても無関心になれば大丈夫なんじゃない」
「同じ答えだ、つまり、正解だな」
彼の言いたい事が良く分からないまま、彼は本を閉じ棚に戻す。
思わずあたしは彼の腕をつかんだ。
「———何だよ」
「アンタは何でギリシャ神話にこだわるの?」
彼の問いにあたしは疑問に思った事を口にする。
彼は暗く沈んだ表情を見せ、こう言った。
「俺がギリシャ出身だから」
「ああ、そう……」
それだけの理由であたしは付き合わされたのか、馬鹿馬鹿しい。
あたしも本を棚に戻して図書室を出ると同時に彼も出た。
何で付いてくるんだろう、と思ったがただの偶然だ、気にしない。
チャイムが鳴った。放課後を告げるチャイムだった。
——
玄関を出て靴を履き替えて徒歩登校なので歩いて校門を出た。
後ろに誰かが近づいてくる。振り向けば転校生だった。
何でまた彼と一緒にならなければならないんだ、少し落胆するあたしに。
「鈴川の家は何処ら辺」
と急に訪ねてきた。
「あ、ああ……桜宮マンションの二階」
「俺もだ」
「………何号室」
「120番」
「あ、隣だ。121番」
彼とあたしは何らかの〝運命〟とか〝縁〟があるのかも知れない。
そういえば叔母さんが隣に外国人が引っ越してきたと言ったから、
まさかとは思ったけど……。
「隣人同士だな」
「そうだね」
クラスの皆に隣人同士だと知られればどんな反応をされるんだろう。
間違いなく話題になるのは間違いない。頭が痛くなった。
そうとは知らずに彼はあたしの隣で歩いている。
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