コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- オレの周りの殺人鬼たち
- 日時: 2011/04/05 11:04
- 名前: ヒマワリ (ID: hg1Gx/0a)
ハジメマシテ!!
ヒマワリと申しますw
えぇと、これから書くのは題名にしては怖くないタイプの小説です。
書き下ろし・・・。というか、思いつきで書きます。
どうか温かい目で見守ってください!!
★お客様★
無音サマ♪とぅいらサマ♪月読 愛サマ♪みかんサマ♪杏サマ♪
- Re: オレの周りの殺人鬼たち ( No.1 )
- 日時: 2011/03/28 11:13
- 名前: ヒマワリ (ID: hg1Gx/0a)
★プロローグ★
果てしなく広がる青空、綿アメのような白い雲。生暖かい風、草のにおい。もうすぐ開きそうな桜のつぼみは、今オレの座っている席から窓を通して見えた。
今日からオレもこの桔梗(ききょう)高校の一年生となるわけだが、この狙ったような青空は、ちとベタすぎやしないか??
なんて事をちまちま考えながら、オレは黒板の前で必死に熱弁をふるう担任の小室の話を聞いた。つぅか長い。自己紹介にどれだけ時間をかければ気が済むんだろうか。今年で25歳の熱血教師の担当教科は体育らしい。生徒たちの顔をじろじろ眺めては満足そうに鼻息荒く長話をさらに続けた。
「ねぇ、あの、先生の話、長いね・・・。」
ふと隣を見ると、げんなりとした様子の女子生徒が苦笑いを浮かべていた。無理もない。自己紹介だけで30分近くも経っている。
控えめな声で話しかけてきたその女子の名前は『桜丘 華(さくらおか はな)』。何で分かったか?名札を見ればわかる。
「えと・・・、『しょうきん・・・いっ、・・・・・・』?」
「名前のこと?」
オレが聞くと、桜丘はぶんぶん首を縦に振った。仕方がないので教えてやる。
「『小金井 龍斗(こがねい りゅうと)』・・・。」
桜丘は目を開いて「そっか!」とでも言うように、
「ごめんね、私、漢字とか苦手で・・・。」
それは苦手以上の問題だろう。
「そ・・・そうだよね、うん。ちゃんと勉強しなきゃね。」
私高校生になったらちゃんと勉強するって決めたの!!と、桜丘はガッツポーズをすると、そのままキリッと前を向いた。
それが、オレと桜丘の出会いでもあった。
- Re: オレの周りの殺人鬼たち ( No.2 )
- 日時: 2011/03/28 11:46
- 名前: ヒマワリ (ID: hg1Gx/0a)
★第一章★ ①
そんな出会いから早一週間が経過した。
その一週間の間にはクラスの委員会決めや掃除当番決め、あぁ、生徒たちの自己紹介なんてのもあったな。
自己紹介で分かった事だが、このクラスは男子よりも女子のほうが多いみたいだ。まぁ、元はといえばこの学校、女子高だったらしいし。「らしい」と言うのは、オレが世の中の事大半において興味を持たないからであり、この学校のことなどほとんど知らない。
自己紹介のあった翌日に行われた委員会決めはそれはもう盛り上がりに欠けた。というか、しらけた。わがクラス1−4(各学年8クラス)に氷河期が訪れたような感覚に陥るほど、誰一人として一言も話さない時間が延々と続いたように思えた。
理由はきっと満場一致で「めんどくさい」のだろう。しかし担任小室の熱意で、体育委員や図書委員その他モロモロはずるずると決まったものの、学級委員を決めるとなると、とたんに挙手が激減した。
小室の「委員会に入っとけば絶対将来役に立つんだ!入って損はしないぞ!!先生が保障する、絶対楽しいって!委員会のいいところはなぁ(略)」という熱血アピールもむなしく、教室は水を打ったように静まり返った。
そんな中、一人の生徒がゆっくり、控えめに手を挙げた。
「あの、私、やってもいいです・・・。いぇ、やります!」
肩までのショートヘアがさらりと揺れた。
小室が口をぽっかり開けて生徒を凝視する。
「桜丘・・・。お前、やってくれるのか!!」
熱血教師の背後から燃え上がる炎のオーラ。喜びを熱で表すところがまた妙にウザイ。
当の本人桜丘は、その熱意に少し驚きながらもカクンと首を前に倒した。まるで首がもげそうになった人形みたいだった。
「そうかそうか。ありがとう桜丘!!!!!みんな、桜丘に盛大な拍手を!!」
何がなんだか分からないまま、生徒たちはみなパラパラと拍手する。オレも隣の席だから拍手をしないわけにはいかないから、とりあえず拍手をする。
しかし、なんだろうな。この嫌な予感は。
しばらくして、拍手がぱらぱらと止み、小室が大魔王の雄たけびのごとく次のような言葉を放った。
「じゃあ桜丘、もう一人お前のパートナーとなる男子の学級委員を選べっ!!お前は積極的に参加してくれたからな、特別に選ばせてやる。」
クラス中からざわめきが起こった。エゴだとかセコイとか。主に中傷のようなものが。
しかし小室はそれを一蹴。「静かに!!!!!」と大声で怒鳴ると桜丘に注目した。生徒たちの視線もそれに合わせて桜丘に集合する。
桜丘はしばらく迷い、顔をほんのり桃色に染めると一言。
「じゃあ、小金井くんで・・・。」
オレをみて、ニコッと笑う。
「うん!!二人はぴったりだな。よし!!じゃあ学級委員の二人に盛大な拍手!! 音が小さい!もっとだ、そう!」
パチパチという響というか爆音の中、オレの脳はフリーズドライ状態だった。
え、オレが?学級委員?
まてまてまてまて。いやいやいやいや。
世の中の大半に興味がなくなおかつこの学校の事もほとんど知らずに適当に選んで入ってきたっていうのに!?
オレが、学級委員!?
そしてオレが学級委員を辞退するスキを与えまいと、むなしくチャイムの音が学校中に響き渡った。
♪第一章 続♪
- Re: オレの周りの殺人鬼たち ( No.3 )
- 日時: 2011/03/30 10:23
- 名前: ヒマワリ (ID: hg1Gx/0a)
★ 第一章 ★ ②
そんな無理やりな学級委員決めのさらに翌日。
オレは入学直後に出来た友人『三芳 光輝(みよし こうき)』という男子生徒とともに学校への長い長い道のりを歩いていた。
季節は春といっても、次に待ち構えているのは夏なわけで、気温のほうも絶好調に温まっていた。
「何でこんな長い道のりの自転車通学を禁止するかねぇ。」
三芳は坊主頭を手のひらでピシッと叩いた。
「自転車置き場がないんじゃないかな。というか、オレこの学校の事知らないから。」
三芳は目を見開いて、
「マジかよっ!!え、それで学級委員になっちゃって平気なの!?」
「オレはやりたくてやってるわけじゃないからな。」
しばらくの沈黙のあと、三芳はぼそりと次のような言葉を漏らした。
「だったらおれがやりたかったなー。」
「え?」
一瞬聞き間違いかと思った。学級委員なんて誰も立候補しなかったし、学級委員なんてただめんどくさいだけだ。正直、この役職についただけでも憂鬱だ。
「譲ろうか?学級委員。やる気のないやつよりあるやつのほうがマシだろ?」
「だって ごにょごにょぶつぶつぶつぶつ・・・。華ちゃん可愛いし、何か萌えキャラというよりは妹系だし・・・。一緒に仕事してたらきっとウハウハ気分が毎日楽しめるんだろうなぁ・・・。ぶつぶつぶつぶつ・・・。」
話を聞いていない三芳の独り言をオレが聞き逃す事もなく、
「何だって?」
三芳の動きが止まる。ロボットのように首だけをまわして顔をこちらに向ける。その顔はどことなく青ざめているようでもあり、赤く染まっているようでもあった。中途半端な色だ。
「あ、いやぁ、えっとあれなんだ。うーん。気にしないでくれ。」
「いや、気にするだろう。何だ今のつぶやきは!!」
オレの声が大きすぎたのか、周りを歩いていた通行人たちがこちらに注目する。慌てて声のボリュームを下げてさらに問い詰める。
「桜丘がどうした?ウハウハ?」
「おおおっ・・・。もうおれの本性知っちゃった感じ?」
「本性?」
「うーん。小金井になら教えてやってもいいぞ!高校入ってからの最初の友人だしな。」
三芳は激しいジェスチャーを混ぜながら、オレのほうを向いた。どうでもいいが、歩きながら話してくれないか?もうすぐチャイムがなるのだが。
「おぉ、そうだな。歩こう。」
ギクシャクした動きで歩き始める。「教えてやってもいいぞ!」と言った当の本人は黙りこくって何かを思案しているらしく、オレたちの周りには沈黙の妖精が飛び回っていた。
そんな重い空気のまま歩き続けてようやっと校舎が見える所まで来た。生徒たちが門に吸い込まれていくのがよく見える。
「何を聞いてもおれの友人でいてくれよ。」
今まで黙っていた三芳が急に口を開いた。沈黙の重い空気が一気にシリアスな空気に変わった。
「いき」
「おれ超変態なんだ!!!!!!!」
・・・・・・・・・・は?
「もう限りなく変態。変態の最終変形。ストライクゾーンは広範囲。」
「いやあの、落ち着け三芳。お前の声でかすぎて周りに」
「告った人数は12人しかし全て玉砕に終わった!だからおれはここにはある決意を抱いてやってきた!!」
話をまったく聞く気がないらしい。イキナリの告白に本人自身もパニック状態に陥った為、大きな声が出すぎて周りから非難の声が浴びせられているのを知っているのはオレだけだろうか。
さらに三芳の変なテンションはエスカレートして、聞いてもいない『決意』とやらを語り始めた。
「その決意はなぁ、『彼女』をつくる事なんだ!!ビバ★リア充!目指せ夢のハーレム天国!!」
「リア充とハーレムはちょっと違くないか?」
「小金井、お前はおれの『ビバ★リアハーレム創造隊』のメンバーだからな!お前には副会長の位を授ける!おれがリアハーレムを創りだしたら、お前も楽しめるんだ!!!」
「いや、オレは遠慮しておくよ・・・。それより三芳、お前とオレとの間に亀裂を感じないか?」
「まずはもっと会員を集めないとだな!おれはメンバーをチェックしておくから、お前は・・・そうだなぁ、とりあえず待機!!」
そこでタイミングよくチャイムが鳴った。
というか、完全に遅刻になりそうだ。入学したてだから遅刻はしまいと固く己の胸に誓ったのに。三芳のアホ談義に付き合わされたおかげでもうギリギリじゃないか。
さっきまで騒いでいた三芳が急に静かになったと思い、隣を見たらもうその姿はなく、昇降口の前で手を振っていた。さっきの馬鹿でかい声のせいで女子生徒が彼を避けて通っているのはオレにしか見えていない。
「はやくこいよー!!」
誰のせいだと思ってるんだ。
オレは今日初めてのため息をつくと、重い足を引きずって昇降口に向かった。
しかしこのあと、あんな事になるなんてな。一週間後のオレとしては考えもつかなかったことだった。
★ 第一章 続★
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