コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 憂鬱スター !
- 日時: 2011/10/16 18:04
- 名前: さく ◆z8XkX1aJMs (ID: LJORQFwR)
そんな憂鬱になってしまうくらいに、
私はあなたのことが好きで、好きでたまらなかったみたいなの。
( はじめまして! )
さくといいます。よろしくおねがいします!
ちなみに、ほぼと言っていいほど甘いお話です。
でも片思いとか切ない話も大好物です(^o^)!
( もくじ )
>>1 ( 好き )
>>2 ( ふれる )
>>3 ( 始まり )
>>8 ( 夏祭り )
>>9 ( 遠距離メール )
>>12 ( 強がりな彼女が大好きな僕 )
>>13 ( 保健室の二人 )
>>16 ( 憂鬱スター )
>>17 ( 愛する君にピースサイン )
>>18 ( 早朝鉄道 )
>>19 ( 聞きたくない ) ◎予備話 >>20
>>21 ( ハッピーウェディングの憂鬱 )
>>22 ( 本屋さんの彼女 )
>>32 ( 苗字 )
>>33 ( うそのないあなた )
>>34 ( 泡 )
>>35 ( 微熱注意報 )
>>36 ( 科学の部員恋愛 )
>>37 ( 臆病者の目の前 )
>>40 ( リアル )
>>44 ( 不器用な時間 )
>>45 ( ふぁーすときす )
>>46 ( 中学2年生の恋愛 )
>>49 ( ああ、なんて幸せな )
>>50 ( また、ね? )
>>51 ( 掌の言葉 )
>>52 ( チクリ )
>>57 ( 君と私の放課後 )
>>58 ( 揺れる気持ち )
>>59 ( ゼロスタート )
( 中編 )
:鏡写し ( 2/2 ) ◎ >>29(備考)
>>24 | >>28
:先生の白衣 ( 3/3 )
>>41 | >>42 | >>43
:時間とアンバランスな気持ち ( 3/3 )
>>53 | >>54 | >>55
( 綾瀬 と 作治 )
>>6 : 登場人物
>>5 : 綾瀬と作治
>>7 : 綾瀬の想い
>>14 : 僕の綾瀬さん
◎ memo
>>15
◎ お客さん
peachさん 季月さん 蘆田 蛙さん 神楽さん
( あなたと私の合図は何? )
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- Re: 憂鬱スター ! ( No.42 )
- 日時: 2011/08/22 18:11
- 名前: さく ◆z8XkX1aJMs (ID: opLc/10u)
きっと、私は先生の優しさに溺れていただけかもしれない。
「……松田先生?」
私がカラカラと滑りの悪い、科学準備室の扉を開けると松田先生は白衣を着て、いつもの席で座ってプリントをめくっていた。
「おー、安本」
といいながら手を上げ、こっちこっちと手招きをする。
私は重たいプリントをどさっと先生の右隣に置いた。
「ごくろうさま。使って悪いな」
先生は何事もなくそのプリントを一枚取り「安本に任せると仕事が早く進む」と言った。先生の何気ないその一言にドキドキした。
西日が差し込む教室はぽかぽかとしており、ふっとすると寝てしまうような気温だった。
「いえ、大丈夫です」
私は先生の受け答えに笑い、科学準備室を後にしようとしたとき先生が——。
「安本ーっ!」
と言った。私は後ろをぱっと向くと、同時に何かが飛んできた。それを瞬時的にキャッチする。
ぱっと握った手を開くと小さな紙に包まれた飴が手の中に転がっていた。
「……飴ちゃん?」
「疲れてるなら言えよー聞くし、白衣貸すから」
先生はプリントをめくりながらだが、私にそういった。
科学準備室を出ると、すこしだけ冷たい空気が頬をすべるように抜けた。
私はペリペリと飴に着いていた紙をはがす。あの西日のせいか、飴は温かかった。ふんわりと香るイチゴのにおいは先生のにおいを思い出した、ああ、先生のにおいがする。
口の中では少し溶け、下にじんわりと香りが広がった。
紛れもない恋だった。
イチゴのにおいは白い白衣とは対照的な温かい香りだった。
先生、先生。
「……好きです。先生」
季節外れのイチゴのにおいはふんわりと全身を駆け抜けた。
( 先生の白衣2 )
- Re: 憂鬱スター ! ( No.43 )
- 日時: 2011/08/23 16:20
- 名前: さく ◆z8XkX1aJMs (ID: opLc/10u)
今日も化学準備室プリントを運んでいる最中だった。
松田先生が廊下の隅で携帯を出して、話していた。
でも私が見たときには、携帯を閉じて白衣のポケットにしまっていた。
私が科学準備室の扉を開けると、松田先生はいつもどおりの席で今日はパソコンを開いていた。
「プリントです」
先生はパソコンの画面を見ながらだが「ありがとう」と言った。
先ほどの先生の携帯が気になり聞いてみた。
「……先生、さっき誰とお話していたんですか?」
私がそう聞くと先生はパソコンをパタンと閉じて、私のほうを見た。
そして頭をかきながら、んー?とうなった。
「あ、いえ、別に……」
「いや、いいよ。見られちゃってたかー」
先生は苦笑いしながら私を見ながら言った。
「婚約者だよ。来月結婚するんだ」
疑いたくなるような言葉が私に飛んできた。耳を疑った。
「え……」
思わず漏れたその言葉は私の本音だったのだろう。
松田先生は苦笑いしながらも幸せそうな顔だった……。
ふんわりと香るイチゴのにおいに心が苦しくなった。
「誰にも言うなよ、生徒に言ったのは安本が最初だから」
そんな特別扱いいらなかった、私は先生、松田先生の隣にいたいのに。
私は胸が苦しくなった、うまくうまく息ができなくなった。
「……おめでとうございます。幸せになってくださいね」
嘘みたいな言葉がするりと口から出た。
びっくりした、私はこんなにも大人で、うまく自分の感情を隠せるんだと思った。
知らない間に先生を好きになって、知らない間に先生に失恋をしていた。
もっと、もっと大人になったらうまく気持ちを整理できたかもしれない、でも思ったよりも私はまだ子供で。自分の気持ちを隠すことしかできなかった。
科学準備室を出ると、涙がこぼれた。痛いな、胸が。
あふれ出す涙を止める方法なんてわからない。
先生の白衣のあの白色が懐かしくなった、先生。
間違いなく先生のことが好きで、先生の白衣、イチゴ、全部全部愛していた。
( 先生の白衣3 )
- Re: 憂鬱スター ! ( No.44 )
- 日時: 2011/08/25 17:48
- 名前: さく ◆z8XkX1aJMs (ID: tar6yAGP)
私はあなたがずっとそばにいて、あなたを失うことは無いのだと思ってました。
きっとそういう甘く淡い考えがいけなかったのでしょう。
あなたと手を繋いだことも、一緒に花火を見て笑いあったことも、寒いねと言って笑うあなたも、全部全部私のものだと思ってた。
あの恥ずかしそうに笑って、難しくキスをするあなたも愛しく、本当にああ、うれしいなと思った。
もうあなたと二人で笑うことも無いでしょう、それは確かなことです。
私に残ったものは何も言えない失望感とあなたを愛したという証だけなのです。
でも、証なんて時間がたてば上手に消えてしまうのだろう。
あなたを忘れるのにはまだまだ時間がかかりそうです。
好きだったんだな、そうやって思うのはあなたを失ってからです。大切にしなさいよ、と釘を刺されたから私なりに大切にしてきたつもりなんだけどな。
不器用だけど愛してくれたあなたは、私の大切な宝物だったりします。
星屑を宝石箱に閉じ込めるような、そんな感情です。
もう少し時間がたったらあなたを上手に愛せてないことに気づき、あなたに笑顔を向けて話せる日が来るのでしょう。
( 不器用な時間 )
- Re: 憂鬱スター ! ( No.45 )
- 日時: 2011/08/27 14:39
- 名前: さく ◆z8XkX1aJMs (ID: tar6yAGP)
本当に触れるか触れないかわからないぐらいに軽く触れた。
私はまるで目を一生開けないかのように強く瞑り、彼は私の頬にそっと手をあてちゅ、とした音もせずただ触れただけだった。
ほんのりと香る彼の香りが鼻をくすぐる。
「……恥ずかしい」
と彼が言った。暗くて顔はよく見えないけど彼の顔は真っ赤だろう。
私はそっと彼の頬に手をあてると、彼の頬は熱かった。
微熱があるのかと思うほど熱く、彼の顔は真っ赤だという方程式もできた。
彼と付き合って1ヶ月10日。
キスしていい? と彼が不安げに聞いた。ああ、キスするときって聞くんだなと思いながらも私はうんとうなずいた。
断る理由なんて見当たらなかった、でもキスって何でするんだろうと不思議には思ったけど。
「……なんでキスするの?」
と私が聞くと彼は少しだけ困った顔をしたがいつもどおりの顔になり笑った。
「好きだから、だけど……。誓いのキスみたいな……?」
「何の誓い?」
「これからも一緒に歩もうって言う誓い」
彼がそういうことを言う人だなんて知らなかった。
ああ、この人は私とずっと一緒に居たいんだ。そんなやさしさが私の気持ちを上手に暖めてくれた。
「……していいよー」
冗談めかしく言うと彼は「うん」と言って、唇に触れるか触れないかわからないキスをした。
「今度は教会だねー」
そういうと彼は「そうだね」と笑って私の手を握った。
( ふぁーすときす )
- Re: 憂鬱スター ! ( No.46 )
- 日時: 2011/08/27 16:14
- 名前: さく ◆z8XkX1aJMs (ID: tar6yAGP)
8月が終わり9月になり学校が始まった。
私がいつもどおりに自分の席に座って、彼が来るのを待っていた。
「また、新学期にな」と彼は言った。そしてどこか私はその言葉を信じて、また彼としゃべることを楽しみにしていた。
でも彼は来なかった。
そして教壇にあがった先生は思いもよらない言葉を私たちに言った。
「竹中は先週引っ越した。だから9月からは別の中学に通うことになった」
あまりにも事務的で機械的に述べた先生は「じゃあ始業式はじまるから、廊下に並べ」と言った。
ああ、竹中君は居ないんだ。
私の好きな竹中君はもうここには居ないんだ。
そう思うのに時間はかからなく、そして彼が居ない寂しさに胸が苦しくなった。
無造作な短髪、真っ黒な瞳、まだ男の子だけどどこか芯のもった竹中君。私はそんな竹中君のことが好きだった。
無邪気に笑って、私のことを呼ぶ竹中君が好きだった。
ぽたりと冷たそうな廊下に私の涙が落ちた。セーラー服が湿っていく感じがする。
「……千春」
私のことを後ろから呼ぶ声が聞こえた。私が後ろを向くと美代が居た。
そして、私の手にぽんと紙を乗せた。
「え?」
私が聞くと美代は笑って。
「竹中君が、渡してって。私、竹中君に会ったの、そんで千春にこれ渡してって、家に行ったけどいなかったから」
そういうと美代は私後ろだからと言って後ろに行き並んだ。
「2年後の春、そっちに戻ります。待っててください。竹中」
そんな不器用な文字がちいさな紙に書かれていた。とっさに書いたのだろうか、涙がいっそうあふれた。
竹中君、私ね、伝えたいことたくさんあるの。
「……竹中君」
その声が届き、近い将来笑っていることを私は信じようと思った。
( 中学2年生の恋愛 )
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