コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 【キャラクター】勇者→魔王=\(^o^)/【再募集開始!】
- 日時: 2013/02/23 22:47
- 名前: とろわ ◆DEbEYLffgo (ID: Ytr7tgpe)
- 参照: http://www1.x-feeder.info/penetoro/
◆キャラクター再募集について
>>617
『ようこそ 【ゆうしゃが まおうすぎて せかいが やばい】へ!!▼
このおはなしは ‐ゆうしゃ‐ なのに まおうのような しょうねんが▼
なんだかんだ いいながら せかいを きゅうしゅつする そんな おはなしだ!▼
さあ さっそく かれらの ものがたりを みていこう!▼』
*
どうも。掛け持ちストレベル50ぐらいのとろわです。
今回は剣と魔法モノ……のようなギャグです。くだらないと思います。
いつもは学園モノなので新しいモノに挑戦したいなあとか思ってみたり。
タイトルは【勇者→魔王=\(^o^)/】と書いて【勇者が魔王すぎて世界がヤバイ】と読むッッッ!!
……ちなみに略称は【ゆまばい】。5秒で決めた。
†新・ゆまばい目次
>>629
◇キャラ紹介[main] >>2
◆キャラ紹介[サブ] >>204
◇投稿キャラ紹介[味方] >>53
◆投稿キャラ紹介[敵] >>265
◆イラスト >>177
◆目次 >>267
◇素敵なお客様【職業は主の妄想/ネタ切れ感が否めない】
【リメイク以降:ギルベルト氏命名称号/苦情等ありましたらコメントしてください】
■はるあ様【妖精】
□joker(元:Spade)様【召喚士】『納豆ボンバー』
■夏樹 りん様【治癒術師】
□香雪様【道化師】
■ピアニッシモpp様【幻術師】
□とみ様【整備兵】
■抹茶猫様【海賊】
□ミルクチョコレート様【竜騎兵】
■あんず様【人形遣い】
□刹那レン様【剣闘士】
■バーバー父様【除霊師】『チョコ0個ディスコ』
□ノッカーウ様【死霊術士】
■神楽様【射手】
□グレイ様【聖職者】
■マス様【銃使い】
□白月様【精霊騎士】
■ダイ様【錬金術師】『ゴーイング・マイ・ウェイ』
□星月 光様【魔法少女】
■チェリー様【占星術師】
□水月様【吟遊詩人】
■黒き太陽様【情報屋】
□魔人様【専業軍人】
■檜原武甲様【死刑執行人】『歩く電信柱Lv.2』
□haruno様【魔導士】
■雷斗様【爆弾兵】
□ちゅきりそ様【巫女】
■フォンデュ様【暗殺者】
□カキコ君様【調教師】『MADE IN CHINA』
■月葵(元:フレイア)様【討伐者】『修羅場に巻き込まれ体質(先天性)』
□ミルクキャンディー様【殉教者】
■nunutyu様【枢機卿】
□黒鱗様【虐殺者】
■北野(仮名)様【追跡者】
□部長様【放浪者】
■れいん様【旅人】
□池野 刃様【指揮官】
■まみ様【調律師】
□うえってぃ様【道具屋】
■アンリエッタ様【司教】
□ななし様【薬草使い】
□Dr.クロ様『大根踊り』
■ジェヴ様『キラめく乙女力』
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- Re: 【番外編】勇者→魔王=\(^o^)/【予告】 ( No.596 )
- 日時: 2012/10/17 22:46
- 名前: とろわ ◆DEbEYLffgo (ID: lyYROhnH)
>バーバーくん
ありがとう!!
僕もまさかここまで続くとは思っていなかったとです。自分で言うのもなんだけどゆまばい大好きだw
本当に早いよね、時の流れ恐ろしいわ……。
僕もバーバーくんにはじめましてって言った時がついこの間のような気がするよw
がんばるよ、終わったらじゃかじゃか更新したいなあ。
恐ろしい事になる……よ。まああいつらだしね!
見てる分にはいいけど関わりたくないよね(笑)
一周年には間に合うよう努力しますw
そうして、長い間応援してくれてありがとう;;これからも頑張ります!
- Lv.35 僕等「選ばれた人間」 ( No.597 )
- 日時: 2012/11/18 09:00
- 名前: とろわ ◆DEbEYLffgo (ID: hts56g28)
- 参照: トロイ「今回は世界観について触れた回になってるよー」
ハンプティはふと時計(どうやらこの世界に時計は珍しいらしく、一部の金持ちぐらいしか所持していないという)に目をやる。
時計の針はもうすぐ七時を指す。(少なくとも外見は)お子さまなハンプティはあまり夜遅くに行動しない方がいいと判断し、いそいそと帰りの支度を始めた。
無機質に時を刻む針の音が、一気に耳に響く感覚に襲われ、ギルベルトはもぼおっとただその音を聞いていた。
————あー、なんつーかなぁ。
なんだか懐かしいような、なんとも言えないような感じになった。
だから、ギルベルトは気付かなかった。ハンプティが窓の外を見ながら呟いた言葉に。
「今宵は満月、か」
目を細めて、寂しそうに呟いた台詞に。
「そういえば、ひとつ質問があるんだが」
「あら、なーに?」
ミレイユの代わりに紅茶を淹れるローズ(ミレイユは頑なに拒否したが、「もうメイドじゃないでしょ」と言われて渋々引き下がった)が、がした方向に顔を向けると、フォンシエが柔らかく微笑んだ。
「その、『選ばれた人間』について教えて貰いたいんだ。それってどういうのが基準で『選ばれた人間』になるんだ?」
「すっかりその説明を忘れていたわね。……はい、ミレイユちゃん」
「あ、ありがとう、ございます……」
ミレイユは主人が淹れた紅茶をしばらくじっと見つめていた。
やがて、飲む決心がついたのか、ぐびっと一気に飲み干す。そうして、美味しいと小声で呟いた。
「ああ、俺様も気になってたんだよな。——まあ、俺様的にはミレイユが言ってた『勇者』の方が気になるんだが」
無意識ににやにやといった表現が似合う表情になったギルベルトがそう訊ねると、ローズは「じゃあそれについても知っている限りで説明するわね」と言ってこほんと咳払いをした。
「まず、『選ばれた人間』というのは、文字通り世界に選ばれた——どうしてその人が選ばれたのかはわかっていないけれど、七大悪魔の城に入れる資格を持った人の事、だそうですわ。あ、七大悪魔は分かるかしら。リティアちゃん達が七大悪魔よ」
「じゃあ、城に入れた俺達は『選ばれた人間』なんだな」
「なんか特別感? みてーなのがあっていいな。超VIP待遇じゃねえか。で、それって何人ぐらいいんだ?」
「確か……。十人ぐらいしかいない、とかなんとか」
その言葉に、フォンシエは目を丸くした。
「! そんな低確率のものなのに、ただの狩人が選ばれていいんだろうか、って感じはするな。もっと強い人間ならいるだろう?」
「フォンシエくんも十分強いと思うけど……。まあ、確かにそうかもしれないわね。イスト王国騎士団団長の『アンジェラ』も選ばれてないっていうから。強さだけが基準じゃないのかもしれないわね」
「騎士団ってまた随分とRPGっぽいな。……やっぱつえーのか?」
「ええ、とっても。【イスト最強】とか言われてるぐらいだし、人望も厚いわ」
「最強か……。闘ってみてーな」
「いや、多分敵わないと思うぞ? ……しかし、ますます謎は深まるばかりだな。そんな人が選ばれず、俺が選ばれた理由が」
「そこまで気にしなくてもいいと思いますよ、フォンシエ殿。フォンシエ殿は私達を引っ張ってくださったじゃありませんか」
「そ、そうかなぁ」
照れ臭そうに笑うフォンシエをぎろりと睨み付けるギルベルト。目は「俺様よりもリーダーぶるんじゃねえよks!」と語っていた。実に分かりやすい程。
「まあ、一旦その話は置いておこう。……で、なんなんだ? 勇者って奴はよぉ」
「うふふ。なんだか男の子って感じがするわね。じゃあ、早速そのお話をしましょうか」
今度は逆にフォンシエが、「一昨日の夜のアレは一体何だったんだ」と言わんばかりの表情でギルベルトを見た(物凄い呆れ顔で)。
「勇者は、世界が危機に陥った時に与えられる称号みたいなものよ。勇者中心に解決への道が開けていくの。言わば『物語の主人公』っていうポジションになる人の事ね」
「物語の……主人公……?」
ギルベルトは心から驚いた表情で、『物語の主人公』というフレーズを繰り返し呟く。
フォンシエは、その様子を意外そうに見ていた。
————こいつなら、「そんなの当然だぜ」みたいな事を言うと思っていたんだがな。
すると、ギルベルトはフォンシエの方に目を遣ると、どこか透き通ったような——普段の行動からは想像もできないような酷く綺麗な、そうして脆く儚げな笑みを浮かべた。
「…………?」
その表情からは、彼の感情が一切読めなかった。
「……い、おーい」「うおっとっ」
意識がどこか遠くにいきかけていたフォンシエ。ギルベルトが手をぶんぶんと手を振っているのに気付いたのは随分と後になってしまった。
「どうしたんだよ。なんかお前悲しいことに明後日の方向を……「いや、全然全くもってそんなことはありませんから、」
てかお前の所為だろ、と言いかけたところで、フォンシエは慌てて口を押えた。
————またあんな風になったらたまったもんじゃない。自分から地雷を踏まないように気をつけなきゃだな。
寂しい顔をみるのはごめんだ、と心の奥底で呟く。
「……なんだよお前、さっきから挙動不審すぎるぞ」
「わりいわりい。——で、どうしたんだ?」
「いや、折角だから昔話をしてあげようかと思ってね。まあ、その書物が少なくて、大まかな事しか話せないんだけど」
ローズが控えめに笑う。恐らく、会話の流れからして『勇者』の話なのだろう。正直少し控えたい気持ちもあったが、今後の参考にもなるだろう。フォンシエも話を聞くことにした。
「ああ、よろしく頼む」
「昔、まあ、およそ一千年前の事なんだけれど。異世界から魔王がこの世界を侵略しようと現れました。魔王を倒す為に『勇者』とその仲間たちが世界に選ばれ、冒険を進めていきました。……あ、ちなみに、今回はこの世界にある魔界の魔王が征服しようとしているのよ。で、無事倒せたらしいんだけど、具体的な事が記されている書物がないのよね」
「それって世界中探してもってことか?」
「そうなのよ。凄いわよね、それも」
「でも、そんな大きな出来事があったというのに、何もないなんて違和感があるよな」
フォンシエの指摘に、うんうんと頷くローズ。
「その話自体がガセネタという説もあるけど、それよりも何者かによって破棄された、という説の方が有力よ」
「そりゃなんでだ?」
「かの昔、精霊の力を使った魔術『精霊術』で栄えていた北の国『ノーフ』が、その時以降鎖国状態になってしまったのよ。……って、精霊って分かる?」
「あー、鍛冶屋で四精霊? の話は聞いたな。それ以外は分からんが……。って、ちとタンマ。用語が多すぎて訳わからん事になってる」
ギルベルトの言葉に苦笑いするフォンシエ。
————まあ、いきなりそんな説明されても困るよな、俺も初めて聞いた話ばかりだし。まず、千年前の世界征服の話自体俺も初めて知ったし。
「んー、精霊ってことはあれか、人間界、魔界の他に精霊界ってのがあるんだな? 恐らく」
「ええ。……まあ、精霊の存在を確かめる術も無いし、書物も七大悪魔と比べたら極端に少ないし、そもそも精霊とは魔術のスタイルの一つである……とか言われているぐらいだから、いるのかどうかは怪しいんだけれど」
「とにかく、四精霊っつーのは精霊だと割とメジャーな存在なのな」
「ええ、その通りですわ。……で、まあこれは仮説なんだけど、『精霊が世界征服の際に致命傷を負って力が弱まっているから、それを守る為に鎖国をしている』と言われているわ」
「ほー……。まあとりあえず大変だったんだなって事はわかった」
「まあ、その程度の理解があれば十分だと思うわ」
ローズはそう言うと、二人に優しく微笑みかけた。
「さて、そろそろ夕食の支度ができた筈。一体食事をとりましょうか」
◆
「……へえ、頭いてぇ」
ベッドにどっしりと腰掛け、そう呟くギルベルトに苦笑しながら、フォンシエは紅茶を飲んでいた。
明日はギルベルトやミレイユと共に旅路に必要な物を揃える為にシアオンの繁華街に行くことになるだろう。きっと明日も賑やかで楽しい筈だ。そう考えると自然と笑みがこぼれ出る。
きっと武闘大会も凄いものになるであろう。なんせイストや他の国の強者が、己の強さを証明するためにクラウンへと集まる。きっとギルベルトはノリノリでやるんだろうな、とフォンシエは思った。
「ほんと、不思議だ」
フォンシエは誰にも聞こえないぐらいの微かな音量で呟く。
ギルベルトと出会って、自分の人生が一気に変わってしまった。ただの狩人が、『選ばれた人間』になってしまったのだから。
それでも、不思議なことに、今の方が楽しいと思える。
それは全部、あの異世界人のお陰であろう。人生こんなに楽しいとは思わなかった。……大変なことの方が多かったから。
そんな、運命の悪戯に感謝しつつ、フォンシエは紅茶をすすった。
- ゆまばい一周年記念作品【ディヴェルティメント学園 前編】 ( No.598 )
- 日時: 2012/10/21 20:06
- 名前: とろわ ◆DEbEYLffgo (ID: lyYROhnH)
- 参照: ゆまばい学園パロディです
ジリ、ジリリ、ジジリリリと、変則的なリズムを刻んで、目覚まし時計のベルが鳴り響く。
まあ、無理もない。ヘンテコになってしまった理由は——「どっせい」
銀髪の目付きが悪い青年は、寝起きにしては豪快に踵落としを決めて、強引に音を止める。
こんな事を毎日のようにしているから時計はどんどんと調子が悪くなっている。別に壊れたら買えばいいし、という販売元涙目な精神の男なのだ。
——そう、ギルベルト・H・アイヒベルガーは。
*
「……遅いな」
携帯で何度も時刻を確認している蜂蜜色の髪の青年、フォンシエは(実年齢は気にしてはいけない。仕様です)、友人であるギルベルトの家の前でずっと待っていたが、痺れを切らしてインターホンを押してみた。
「おーい、ギルベルトー? 早くしないと置いてくぞー」
『あぁん? ならさっさと行ってりゃいいだろ』
「そうしたらお前学校サボるだろーが」
『…………』
「っておい、切るなよ! おーいってば「うぜーよksks」
扉を乱暴に開けて、ボサボサ頭が現れる。
「ったく、なーんでベンキョーしなきゃいけねーんだろうな」
「わかったからそれを言いながら俺の靴を蹴るのを止めろっ!」
という、相変わらずのノリでぐだぐだと【ディヴェルティメント学園】へ向かっていった。
*
【生徒会会長】と縫われた腕章を付け、黒髪の青年は堂々と廊下を歩く。
その横には、気弱そうなエメラルドの髪の少女が歩く。
「実に憎たらしい程いい朝だね。昼夜逆になんないかなぁ」
青年はどう足掻いても出来ないであろう台詞を呟く。しかし、彼の言葉には、本当にそれが実現出来てしまいそうな程の威圧感があった。
「あーでもあれか。テレビ番組って夜の方がいいのやってるもんねー。じゃあいいや」
「……あの、会長」「んー?」
狐耳の少女(仕様です)がおずおずと口を開く。青年はちらりと少女の方に顔を向けた。
「あの、どうして私と会長——ルーシャ会長しかいないんですか?」
「ふっふっふ、よくぞ聞いてくれたねリティア書記っ」
生徒会長ことルーシャは、書記リティアの正面に立ち、胸に手を当て息を吸い込んだ。
「それは——勿論、ネタバレになるからさ!」
「…………はい?」
「いや、折角生徒会は【魔界】メンバーで揃えようってのにさ、ここで出してネタバレになったら勿体無いだろう! やっぱり本編で出てからじゃないとちょっと損したような気になっちゃうじゃんかー。ま、そういう事さ」
「あの、全く理解できないのですが「まあここは、とりあえず皆サボりって事にしようよ、実にありふれていて平和的な解決方法だしね」
「……はぁ」
リティアの頭上にははてはマークが三つほど浮かんでいたが、追求すると面倒な事になることは分かっていたので、気にしないことにした。
二人が玄関まで移動すると、銀髪の青年と蜂蜜色の髪の青年の頭が見えた。
その途端、ルーシャは銀髪の青年に近づき、いきなり胸ぐらを掴んだ。
「やあおはようギルベルトくん。今日も一昔前のバトル漫画みたいなオーラを放っているねぇ」
銀髪の青年——ギルベルトは、鬱陶しそうな表情でルーシャを睨み付ける。
「あーん? いきなり何すんだよテメェ、ブッ殺されてぇのか」
「それはこっちの台詞だよ。なんだよその服装は、ブレザーのボタンを閉めろ。てかネクタイはどうしたネクタイは。そしてこのベルト。赤がかっこいい(笑)とか思っているのかな? 後チェーンを付ける必要はないと思うけどぉ?」
「テメェ風紀委員じゃねー癖にゴタゴタうっせーんだよks。フォンシエの野郎だってネクタイつけてねーぞ。つーかオメーだって黒いマント羽織ってるんじゃねーかよ! なんだよその前のモコモコ、可愛い(失笑)とか思ってるのかぁ?」
「このモコモコの良さが分からないなんてね……。君は非常に残念だね。後僕はいいんだよ別に。お前だけしか指摘するつもりはないし」
「んっ、だっ、とっ、テメェ、ぶっ殺されてえのかああん?」
「はは、止めときなよ。君は弱いんだからさぁ」
二人が仲良く(?)喧嘩している間に、蜂蜜色の髪の青年ことフォンシエとリティアは見ていると微笑ましくなるような会話をしていた。
「あ、おはようございます! 今日もいい天気ですね」
「そうだな。——しかし、君は大変だな。あんなのの下で仕事しなきゃならないんだから」
「まあ、大変ですけど……それでも、皆さんいい人達ばっかりですから辛くはないですよ」
「そうか、それならよかった」
でも、何かあったら相談しろよ、と付け加えて言うと、リティアは頬を紅潮させて、こくりと頷いた。
「しかし、そろそろ止めないとだな。これ以上すると何か破壊しかねない」
「そうですね」
そう言うと、フォンシエはルーシャを殴ろうとするギルベルトの腕を押さえた。
「んだよ下僕、邪魔すんじゃねーよks!」
「落ち着けって。こんなところで殴り合いしたってしょうがないだろ?」
「違うよフォンシエくん。これは僕の粛清だ」
「会長、そろそろ朝礼の時間ですから、ね?」
リティアがそう言うと、ルーシャは渋々と引き下がった。ギルベルトも不服そうだったが、あまり面倒事を起こす気にならなかったようで、腕をゆっくりと下げた。
——と、万事解決したと思ったその時、空気を読まないお惚け教師の声が響いた。
「おはよーん諸君っ。バトルでもしたいなら、面白そうだから許可しちゃうよ〜。さぁ、【闘技場】へれっつらごーだ!」
紫のもみ上げが特徴的な、金髪碧眼の青年——トロイ・メライの一言によって、凄まじい朝が訪れる事になるのであった。
*
この世界では、人々は様々な【魔術】を使う事が出来る。
それは大小様々で、日常生活で役立つものから戦闘において爆発的な効果を発揮するものまである。
しかし、多くの魔術を使いこなせる者もいれば、ほとんど使えない者もいるのだ。
その中でも、主に戦闘用の魔術を使いこなせる人間が多く通う学園、それが【ディヴェルティメント学園】である。
授業のカリキュラムは普通の高校と大差ないが、授業の一つに【魔術】なるものが存在する。
魔術の基本知識の授業をしたり、選択で【戦闘】【回復】を選び、実技を行ったりするという面が最大の魅力と言われている。
そうしてここ、【闘技場】は、選択で戦闘を選んだ者の憧れの場所——年に一回ある【武闘会】で、選ばれた者のみが闘う事の出来るところである。
そんな神聖な場所に易々と入れてしまうトロイは教師として失格のような気もするが……なんと、その闘技場の管理をトロイがしているんだから仕方がない。基本気まぐれで行動する人だから。
「てか、いいんですかー、トロイ先生」
フォンシエが呆れ顔でそう言うと、トロイはにこにことした表情を少しも崩さずに答える。
「うん。今日の朝行事は二人の闘いの見学に切り替えてもらったから〜」
「な…………」
フォンシエは絶句した。目の前のちゃらんぽらんにそんな権力があるとは到底思えなかったからである。
その一方、当の二人は闘志をみなぎらせて歩いていた。一触即発の雰囲気が漂っており、フォンシエでもかなり恐ろしいものを感じとっていた。
「まあ、模擬武器だからあの大剣の重みが感じられなくて残念だけどよぉ、それでもテメーの面汚しが出来るなら——たまんねえな」
「ハッ、木製でもよろよろしている君の首をもぎ取ってあげるさ」
「っ、よろよろしてねーよks! テメェなんて片手剣でもよろよろしてんだろーが!」
「そんな事してる訳ないだろう、捏造しないでくれるかな」「まーまーまー、闘う時にそれをぶつけてよ。今は大人しく、ね」
元々こんな風にしたのはお前だろうが、とツッコみたかったが、フォンシエはそれを飲み込んでスルーすることにした。
二人は模擬武器——ギルベルトは大剣型の武器、ルーシャは片手剣型の武器を手に取る。
ルールは【トロイが勝ったと判断した方が勝ち】という、単純明快かつ複雑怪奇なものであった。そもそもトロイの基準がどんなものなのかわからないため、どこまでやればいいのか全くわからない。トロイ曰く、「そうでもしないと楽しくないだろう?」とのことだった。
ほぼ全学園の生徒が集まり(サボタージュしている生徒もそれなりにいる)、固唾を呑んで見守っている。
「えーっと、改めてルール説明をしようか。今回は特別に攻撃魔術の使用を許可するよ。で、ボクが勝ったと思った方が勝ち。制限時間は三分。三分経過したら両者引き分けだよ。負けた方はその服装を直す! ……でいいよねっ」
「ああ、構わねえぜ」「望むところさ」
二人は声を揃えてそう言うと、二人への黄色い声援が響きわたった。
フォンシエは溜め息をついてその様子を見守る事にした(リティアはその後ろについている)。
トロイが人差し指をすっと頭上に掲げると、何処から現れたのか、金のトランペットが空高くに浮いた。
「それじゃあ、ラッパの音が鳴ったらスタートだよ〜」
二人はじっと黙って音が鳴るのを待つ。そうして、音が鳴った直後に、二人は地面を蹴った。
- ゆまばい一周年記念作品【ディヴェルティメント学園 後編】 ( No.599 )
- 日時: 2012/10/21 20:54
- 名前: とろわ ◆DEbEYLffgo (ID: lyYROhnH)
- 参照: 勇者VS魔王という夢の構図
残り一分。二人は襲いくる疲労すら気にならなく成る程疲れきっていた。
まさか目の前の相手がこんなにも強いとは。さっきから互角の状態が続き、一向に試合が終わる気配がしない。
しかし、引き分けの時は刻一刻と近付いており、二人は焦っていた。
————後ろに回りこもうにも、ルーシャの野郎がすばしっこくて中々近づけねぇ。隙をついて懐を狙うしかねえんだよなぁ……。
ギルベルトは剣を構え直そうとした途端、ルーシャが剣を思いきり叩きつけてきた。間一髪のところで受け止めたが、このままやられていれば間違いなく戦闘不能に陥っていただろう。
「……ったく、いい加減リタイアしたら? 疲れてるんじゃないの?」
「それはオメェもだろうっ、がっ!」
ギルベルトが大剣を思いっきり押し付けると、ルーシャはそれをバックステップで回避した。
「そろそろおしまいにしようぜ。まあ
最後に笑うのはこの俺様だがな!」
「ふん、前半の言葉には賛同するよ」
ギルベルトは剣先に力を込めると、そこから炎が燃え上がる。
ギルベルトは間合いを取りながら、得意技——【業火剣】を繰り出そうとしていた。
一方、ルーシャの剣には闇の塊がなにかの生き物のように不気味に動き回っていた。
トロイはその様子を見て、不敵に微笑んでいるが、勿論二人が気付くことはなかった。
「うおらああああああああ! くたばれっ、【業火剣】ッッ!」
先に動いたのはギルベルトであった。
剣を振り上げ、ルーシャの懐めがけて全力疾走していく。
ルーシャもギルベルトの懐めがけて剣を叩きつけようとする。
二人の距離が縮まり、決着がつこうとしていた、
——その刹那、第三者の声が響きわたった。
「うおっと、そうはさせねぇぜ」
その人物はいきなり二人の間に割り込む。二人は驚愕して慌てて止めようとしたが、止めようにも止められない。
が、突然身体が急停止した。恐る恐る目を開けると、そこには……
「うあー、結構強くなってんのな」
「「んなッ?!」」
澄んだ小川のような、水色の髪の男が、二人の武器を【素手で】掴んでいた。
「学園長!」
ルーシャは目を丸くしてそう叫ぶ。学園長と呼ばれた男——パラケルススは、やれやれといった表情で二人の顔を眺めた。
「ったく、お前たちはもう少し手加減をしろ。これから授業があんだろーが」
「いでっ」「————! も、申し訳御座いませんでした……」
パラケルススに拳骨で殴られ、二人とも頭を押さえる。ルーシャは細々とした声で謝罪した。
「後トロイ。せめてルールを変えるとかしろ。二人が怪我でもしたらどうするんだ」
「ごめんなさーい、がくえんちょー」
トロイはにこにこと頭を下げる。反省する気はどう見てもなさそうだった。
「しかし、これだと引き分けっていうか……あ、そうだ。ここはがくえんちょーの勝利という事にしようかな♪」
「おう、負けた罰として、お前ら一週間学園指定の服装になること」
「んがッ……!」「僕のマントがぁぁ……」
そう言いながらも、二人は破る気満々だった。
「そうそう、破った場合の罰なんだが、特別に優しくしてやろう。昼休みにこのオレと一緒にひるごは「「言う事聞きます」」
普段なかなか頭を下げない人間が深々と下げている図は実にシュールだった。
「ま、とりあえず万事解決してよかったね♪ これで学園も平和になるね〜」
トロイは相変わらずへらへらと、呑気に笑っていた。
————その後日。
あの自分の信念をやたらと曲げないことに定評のある俺様人間と生徒会長が無駄にキッチリと制服を着こなしており、全学園の笑いものにされたのであった……。
- Re: 【衝撃の番外編】勇者→魔王=\(^o^)/【開幕ッ!】 ( No.602 )
- 日時: 2012/12/02 20:18
- 名前: バーバー父 ◆n7fYW9Kt9I (ID: Mi7T3PhK)
- 参照: マブカプ3、難しいけど上手くなりたい・・・。
お久しぶりーーー!!
テストと部活で中々見てなくてすいませんっ!
学園の方を見たんだけど、二人の戦闘の最後に出てきたのがパラケルススとはっ!? びっくりしてしまいました。
いつか、また学園パロディしてほしいです。
今度は沢山のキャラによる、どんちゃん騒ぎとか想像できて楽しみ。
本編でも勇者と魔王の戦闘も楽しみだな。
本編で闘う時は二人、もっと激しいだろうねw
自分もこんな面白いの書きたいぜー
また楽しみにまってます。
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