コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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【キャラクター】勇者→魔王=\(^o^)/【再募集開始!】
日時: 2013/02/23 22:47
名前: とろわ ◆DEbEYLffgo (ID: Ytr7tgpe)
参照: http://www1.x-feeder.info/penetoro/

◆キャラクター再募集について
>>617

『ようこそ 【ゆうしゃが まおうすぎて せかいが やばい】へ!!▼
このおはなしは ‐ゆうしゃ‐ なのに まおうのような しょうねんが▼
なんだかんだ いいながら せかいを きゅうしゅつする そんな おはなしだ!▼
さあ さっそく かれらの ものがたりを みていこう!▼』





どうも。掛け持ちストレベル50ぐらいのとろわです。
今回は剣と魔法モノ……のようなギャグです。くだらないと思います。
いつもは学園モノなので新しいモノに挑戦したいなあとか思ってみたり。

タイトルは【勇者→魔王=\(^o^)/】と書いて【勇者が魔王すぎて世界がヤバイ】と読むッッッ!!
……ちなみに略称は【ゆまばい】。5秒で決めた。


†新・ゆまばい目次
>>629


◇キャラ紹介[main] >>2
◆キャラ紹介[サブ] >>204
◇投稿キャラ紹介[味方] >>53
◆投稿キャラ紹介[敵] >>265

◆イラスト >>177

◆目次 >>267


◇素敵なお客様【職業は主の妄想/ネタ切れ感が否めない】
【リメイク以降:ギルベルト氏命名称号/苦情等ありましたらコメントしてください】

■はるあ様【妖精】
□joker(元:Spade)様【召喚士】『納豆ボンバー』
■夏樹 りん様【治癒術師】
□香雪様【道化師】
■ピアニッシモpp様【幻術師】
□とみ様【整備兵】
■抹茶猫様【海賊】
□ミルクチョコレート様【竜騎兵】
■あんず様【人形遣い】
□刹那レン様【剣闘士】
■バーバー父様【除霊師】『チョコ0個ディスコ』
□ノッカーウ様【死霊術士】
■神楽様【射手】
□グレイ様【聖職者】
■マス様【銃使い】
□白月様【精霊騎士】
■ダイ様【錬金術師】『ゴーイング・マイ・ウェイ』
□星月 光様【魔法少女】
■チェリー様【占星術師】
□水月様【吟遊詩人】
■黒き太陽様【情報屋】
□魔人様【専業軍人】
■檜原武甲様【死刑執行人】『歩く電信柱Lv.2』
□haruno様【魔導士】
■雷斗様【爆弾兵】
□ちゅきりそ様【巫女】
■フォンデュ様【暗殺者】
□カキコ君様【調教師】『MADE IN CHINA』
■月葵(元:フレイア)様【討伐者】『修羅場に巻き込まれ体質(先天性)』
□ミルクキャンディー様【殉教者】
■nunutyu様【枢機卿】
□黒鱗様【虐殺者】
■北野(仮名)様【追跡者】
□部長様【放浪者】
■れいん様【旅人】
□池野 刃様【指揮官】
■まみ様【調律師】
□うえってぃ様【道具屋】
■アンリエッタ様【司教】
□ななし様【薬草使い】
□Dr.クロ様『大根踊り』
■ジェヴ様『キラめく乙女力』

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Lv.23 加護「炎の精霊と鍛冶屋の関係」 ( No.467 )
日時: 2012/04/15 14:22
名前: とろわ ◆DEbEYLffgo (ID: 4pBYKdI8)
参照: 魔王「そんなことまでして鍛冶屋とかやりたくないんですけどー」

「ああ、そうか。確かにそういう時期もあるよな」
ギルベルトは涼しそうな表情でそう言う。
少年は訝しげにギルベルトを見つめると、ギルベルトは気持ちが悪いほどのにこやかな笑顔になった。
「うん、反抗期にはそういう行動をしたくなるよな」
「へぇ?」
少年はガクリと膝を曲げ、やれやれと呟いた。
「そーんなにボクの事が信用できないの?」
「当たり前だろ」

「……お前なあ」
さっきまで黙って聞いていたフォンシエがギルベルトの方へ近づく。
「な、なんだよいきなり」
ギルベルトがそう言うのと同時に、フォンシエはそっと耳打ちする。

(いくらそうだったとしても、あの年頃の子供ってのは難しいもんでさ。そういう事を言っちゃ駄目なんだよ)
(おお、成程。確かにそうだな)
(だから、そういう事を言わずに、微笑ましく見守ってやるのが年上の義務ってこったな)
(ははーん、そうすりゃいいのか。面倒くせえけどしゃーねえな)

「ちょっとー。お兄さん×2。すっごくボクに失礼な事言ってるよね。絶対そうだよね」
少年は暫く様子を窺っていたが、痺れを切らしたのかそう言って二人の間に立った。


「どうやらまるっきり信用していないみたいだから、その証拠を見せてあげようじゃないか」
少年はそういうと、自分の眼帯をさらりと取った。







そこには炎があった。

少年の瞳の色を滅茶苦茶にかき乱すような炎。
それが、眼帯の下に隠されていたモノであった。
「んだよ、コレ……」
ギルベルトは珍しく顔をひきつらせ、少し恐怖してそう呟いた。
「これこそがまさに鍛冶屋『イフリータ』の証。イフリータから炎の加護を授かった証拠だよ。イフリータは炎の精霊の事で、まあ、実際は『サラマンダー』っつーらしいんだけどね」
「ちょっと待ってくれ、サラマンダーって四精霊の事だよな?」
フォンシエが驚いたような表情でそう言うと、少年はコクリと頷いた。
「そう。でも、四精霊は伝説上の生き物で、とある事件をきっかけに消滅しちゃってるんだ」
「なら、なんでサラマンダーが……」
「まあ、それで身体は消滅しちゃってるんだけど、まだ命自体は残っているらしーんだよね。これ以上の事は極秘事項だから言わないけどさっ」
そういうと少年はクスリと笑った。
————まあ、勿論ギルベルトには理解不能な訳で。
「世界征服うんぬんの次は四精霊かよめんどくせ」
と臍を曲げていた。

「まま、あんまり細かいことは気にしないほうがいいよ。とりあえず簡潔に説明すると、ボク達は片目を代償として抜き取って、代わりにこのイフリータの目と呼ばれるモノをはめ込むのさ。そうすると、イフリータの力で炎を自由自在に操って、色々な武器の加工ができるんだよねー。まあ、これは選ばれた人間にしかできないんだけどサ」
「……鍛冶屋こえぇ」
想像以上のグロデスク、とギルベルトはそう呟いた。
「だいじょーぶだいじょーぶ。皆優しいから」
「いや、そういう問題じゃないだろ」
フォンシエは顔をひきつらせながらそうツッコむ。
「とにかく、これからこの鍛冶屋『イフリータ』をよろしくね! この店以外にも、世界各地にあるからさ。みんな個性的でおんもしろいよ〜」
と、営業スマイルで少年はそういった後、ギルベルトの大剣を見て目を丸くした。
「うわお、そんなレア剣どこで手に入れたの?!」
「んあ、別に。そこらの森に」
「そこらの森にって……。凄すぎ、だってそれボク達の間で噂になるぐらいの名剣だよー!」
「そんなに凄いもんだったんだな。——あ」
フォンシエが何かふと思いついたように言った。
「そういや、この剣の正式名称ってなんなんだ?」
すると、少年は自慢げに

「そんなの【ブラックオーラを纏った大剣】に決まってるじゃないか!」
と言った。








硬直。

フォンシエは昨日の会話をもう一度頭の中でリピートさせる。


「そ、それって名前とかあんのか?」

「ふん、そんなの【ブラックオーラを纏った大剣】に決まってんだろks!!」
「ッグフッッッッ」






「————は?」

フォンシエは無意識にそう呟いた。
「ほーらやっぱり! 俺様は正しかったんだよ!」
ギルベルトは嬉しそうにそう言う。
しかし、フォンシエは納得がいかないような表情をしていた。
「なんでそんな有名な剣がそんなテキトーな名前なんだよ!」
「ふっ、名前に意味なんてないのさ……」
「なんでそこでかっこつけるんだそこで!」
「いいじゃねーかよ下僕。細かい事にいちいち文句つけてたら老けるぞ」
「お前は黙ってろ! あーもう、訳わかんねえ!」
フォンシエはそう叫ぶと、頭を抱えてうんうん言い始めた。




「——キミのお連れさんって愉快だねぇ」
「全くだっつーの。頭おかしいんじゃねえのまじで」
「お前等に言われたくねえ……」

Lv.24 闇夜「真夜中の青年」 ( No.470 )
日時: 2012/04/25 17:00
名前: とろわ ◆DEbEYLffgo (ID: ejYHSi8p)
参照: 魔王「モブの癖にでしゃばるなよっていう感じだよねえ」

その後、二人は探索だけでなく誘拐事件の情報収集をした二人は、夜遅くになってやっと屋敷に帰ることができた。

「ぐあー」
ぼふり、とベッドに倒れる異世界人を横目に、フォンシエは何かを紙に書き込んでいた。
最初はその様子をスルーしていたギルベルトであったが、あーでもないこーでもないとぶつくさ呟いてるフォンシエに嫌気がさし、むくりと起き上がってフォンシエを睨みつけた。
「ん、どうしたんだ?」
どうやら無自覚で独り言を呟いてたようだ。
「なんでキョトンとしてんだよ下僕。お前はあれか、音漏れしやすい無能なヘッドフォンか」
「ヘッドフォンはわからないが悪態をつかれていることは十分分かった」
「ってそんな事はどーでもいいんだよks。何書いてるか3文字以内で述べよ」
「んな事出来る訳ねーだろ! ……まとめ?」
「分かる訳ねーだろそんなのでよォ。さっさとその紙よこせ」
「暴君だ……」
フォンシエはそう呟きながら、ギルベルトにその紙を渡した。

「えーと、『エメラルド色の髪の少女』、『ルビーの瞳の少女』、『薔薇のような少女』、『狐耳の少女』……。なんだか色々あんのな」
大量の情報に一通り目を通しながらギルベルトが呟くように言う。
「しかも、シアオンでは見かけない顔らしいから、恐らく犯人——というか、七大悪魔なんだろうな、『狐耳』っていうところからして」
「ヘンテコな耳のくせに何言ってんだよ」
「ヘンテコ言うな、一応希少価値なんだぞコレ。——で、なんで狐耳が七大悪魔だって言い切れんだ?」
「それはな————」

と、フォンシエが言おうとした途端にノックの音が響く。
「あ、入っていいぜ」
ギルベルトがそう素っ気なく言うと、丁寧に扉を開けてミレイユが入ってきた。
「お話し中すみません」
「いいや、いいんだよ。それより、わざわざこっちに夕食を運んできてもらってすまないね」
「いえ、それが私の仕事ですから」
ミレイユは食事をテーブルの上に並べながら、きっぱりとそう言った。
「お前の仕事は分かったからさっさと運べやks」
「なんっでお前はいちいちそんなに上から目線なんだよッ!」







「疲れた……」
と、無意識に声が漏れる。
その後、夕食でぎゃーぎゃーと騒ぎ、風呂の遠さにケチをつけ、寝るのかと思ったら屋敷探索に行った友人の事をふと思い出して、どっとため息をついた。
「まあ、嫌ではないんだが胃痛がひどいな」
なんだか自分が一気に年を取ったような気がして嫌になったが、首を横に振ってその気持ちを払拭した。
「しっかし、いい景色だな」
フォンシエは目の前の景色をぼおっと眺める。

実をいうと、フォンシエは屋敷を出て、街の中心部にある大きな橋の上にいた。
気分転換に軽く寄ってみよう程度の気持ちではあったが、なんだか随分遠くまで来てしまった、と少し後悔していた。
「まあ、綺麗だからいいんだけどさ」
「そうだよね。僕も初めてこの街に来たんだけど感心したよ」
「————!!」
フォンシエは突然の出来事に驚き、そうして反射的に声の方向へと体を向けていた。
「やあ、初めましてかな」
そこにいたのは気のよさそうな、長身の青年であった。

顔立ちが整ってはいるが、いたって平凡な容姿。
髪の色は茶色で、見た感じ普通な好青年、と言ったところであった。

しかし。
————彼の瞳、まるで鮮血そのもののような色をしているな。鍛冶屋の少年のような程ではないんだが、でもどこか妖しい。なんだか吸い込まれるというか、あまりいい気分になるものじゃないような色だ。しかも瞳だけではない。なんだか只者ではないような、そんなような……
「ちょっとちょっと。僕の顔に何か書いてあるのかな?」
その言葉によって思考回路がシャットアウトされたフォンシエは、慌てて返答の言葉を口にだした。
「すまない、悪気はなかったんだ」
目線を下げてそう言うと、青年は少し困ったように笑う。
「いや、別にいいよ。僕は気にしていないし。それに、この瞳の事はみんなに変な風にみられるから、もう慣れてるしね」
「それでも、人の顔をジロジロ見ることはよくないだろう。本当に申し訳ない」
そういって頭を下げると、青年は慌ててフォンシエの行動を止めた。
「だーかーら。いいんだよ、別に。ていうか、そんな風に気を遣わなくてもいいよ。僕なんて所詮街人Aだしね」
けろりと青年はそう言う。その一言によって、フォンシエはなんとなく「この人はトロイと同類なんだな」と思った。

「そういえば、君の名前を聞きたいな。教えてくれる?」
フォンシエは一瞬迷ったが、別に教えて困るものもないだろうと思い、
「ああ、構わないよ。俺はフォンシエ。普通にフォンシエと呼んでもらって構わない。で、貴方は?」
「僕の名前はブラム。宜しくね、フォンシエ」
そういってにこりと笑うと、ブラムはすっと右手を差し出した。
「よかったらでいいけどね」
「勿論、こちらこそ」
フォンシエはそういうと、右手を差し出し、そうして二人は軽く握手をした。


「へー。フォンシエは旅をしているんだね」
「まあ、旅とはいってもまだ出発したばかりなんだけどな」
暫く話している内に、二人は大分打ち解けていた。
「で、ブラムは?」
「僕は仕事で来たんだ。……って、そういえば」
ブラムは腕時計を見た後、焦ったような表情になる。
「危ない危ない、そろそろ時間だから行かなくちゃ」
「そうか。少し残念だが、それならしょうがないな」
「そう言ってもらえて助かったよ。さて、それじゃ、またいつか」
「ああ、じゃあな。今度会える時があるといいな」
そう挨拶を交わした後、ブラムは軽く手を振りながら走り去っていった。
「……なんだか、結構いい奴だったな。最初変に勘ぐったりしたのが申し訳ないよ」
フォンシエはため息とともに、そう独り言を吐き出した。

「さて、そろそろ戻らないとな」
明日は戦うことになるからな、という台詞を心の中で呟いて、フォンシエは屋敷へ向かって歩き出した。







「なんだか、いや、絶対。また彼に、いいや、彼等に会うことになりそうだね」

掠れた声は、まるで本当に混ざり合うかのように、夜の闇にふうっと溶けていった。

Lv.25 疎林「悪魔の住まう場所」 ( No.471 )
日時: 2012/04/26 18:23
名前: とろわ ◆DEbEYLffgo (ID: ejYHSi8p)
参照: 魔王「それっぽい場所ほど胡散臭いよね〜」

朝。

鬱陶しい日の光が幸せな眠りを妨げ、一日の始まりを告げる残酷な時間。
「ほーら、もうすぐ朝食だぜ。早く起きろよ」
「うぜ……。もう少し、もう少しだけ寝るから黙ってろよ」
「さっきからそれしか言ってないじゃないか。今日は戦いがあるんだぞ? お前は分かっているのか?」
「んなん知ってるっつーの……」
そう言って布団に潜り込むギルベルトとは反対に、身支度を全てすませていたフォンシエ。どうやら彼は朝型の人間のようだ。
「ったく、早く起きないとここのメイド達にがっかりされるぜ。なんだかんだでモテモテなんだからさ、お前」
フォンシエが冷やかすようにそういうが、ギルベルトは「お前もだろーが……」などと独り言を呟くだけで、起きようとしない。

結局、そのあとフォンシエに無理矢理起こされることになった。







「うし、準備完了だな」

朝食を終え、身支度が全て終わったギルベルトがそう言うと、フォンシエがギルベルトの近づいた。
「最後の確認をしよう。俺達の目的を言ってくれ」
「グレド疎林に行って、悪魔をボコボコにする、だろ?」
「ああ、そうだ。よーし、それじゃ出発しようか!」
「俺様の足を引っ張んじゃねーぞ」


そうして、長い一日が始まった。







嫌な場所だった。

生命の潤いに飢え、渇ききった空気。青々とした表情を失い、痩せ細った木々。
まさに悪魔が棲む場所。それがグレド疎林であった。
ギルベルトは相変わらず呑気に説明神(ここの説明神は痩せていた)に近付き、説明を聴いていたが、フォンシエは地図を睨みながらルートを再確認していた。
「どうやら少し歩くみたいだな。しかし、あんなに栄えているシアオンのはずれにこんな淋しい場所が本当にあったとはな……」
フォンシエがそう思わず呟いた少し後に、説明を聴き終えたギルベルトがフォンシエの方へと歩いてきた。
「さ、行くぞ下僕。あんまり長居したくねーところだしな」
「そうだな、急ごう」
二人は早足で疎林に入っていった。







林の中には動物どころか魔物の気配すらなく、より一層不気味さを演出していた。
「……おい、本当にこの道であってんだよな」
珍しくギルベルトが不安そうな表情でそうフォンシエに尋ねた。
「合っている筈だよ。この奥から何かの気配を感じるからね」
「ならいいんだけどよ」
その会話が終わった途端、二人の口数は一気に減った。
ただでさえ気を張りながら移動しているのだ。これ以上話していたら無駄に体力を消耗してしまう心配がある。
それを感じた二人は話すことを止め、移動することだけに集中することにした。


しばらく移動していると、どこからか物音が聞こえた。
流石のギルベルトもそれに気付いたらしく、瞬時にその方向へ体を向けて武器を構える。
すると、そこには……

「っと、わりぃわりぃ。悪気はなかったんだ。だからそんなに警戒しないでくれよ」
どう上ったのか不明ではあるが、木の上に黒髪の青年が座っていた。
「お前、何者なんだ」
ギルベルトが剣先を青年に向けながら、鋭い声でそう尋ねる。
「俺はただの見張りだよ」
「見張りって……。七大悪魔の手先か」
今度はフォンシエがそう尋ねると、青年はわざとらしく首を横に振る。
「そんなんじゃねえよ。俺は仕事の都合でここを見張っているだけ。むしろ、お前等こそそうなんじゃないのか?」
青年が意地悪に笑いながらそう言うと、フォンシエが申し訳なさそうな表情になって、首をゆっくりと横に振った。
「いいや、そうじゃないさ。すまないね、いきなりそんな風に疑って」
「別にいいさ。こんなところにいる俺の方が怪しいしな」
青年はそういうとははは、と軽く笑った。
二人は構えていた武器をゆっくりと仕舞う。
「ま、安心してくれよ。俺はお前等の邪魔はしないさ。すまなかったな、驚かせちまって」
「ったく、とんだ迷惑だぜ」
「おいおい……。まあ、それならここを通らせてもらうよ。こちらこそ悪かったね」
そうして軽く手を降った後、二人はまた歩き出した、


次の瞬間。




「ぐがァアッッ?!」
破壊音と共にフォンシエがそう声を上げ、崩れるように地面に倒れた。
「!?」
ギルベルトが即座に背後を振り向くと、そこには苛立ちの表情を浮かべた先程の青年の姿があった。
「おいおい、背後の警戒を劣っちゃ駄目じゃねえか」
青年がそうニタリと笑う。
周囲を見渡すと、フォンシエの近くに木製のブーメランが落ちていた。

「ああ、安心してくれ。先は尖ってないから骨が数本折れた程度だから。あー、後、肺も潰れてるかなぁ」
青年は平然と、しかし言葉に苛立ちを含ませながらそう言った。

Lv.26 奇襲「謎の青年と小道具諸々」 ( No.473 )
日時: 2012/04/30 21:08
名前: とろわ ◆DEbEYLffgo (ID: oj1DPSdh)
参照: 魔王「……彼スカウトしようかな」

「……お前、なんで攻撃を仕掛けたんだよ」
ギルベルトは落ち着いた声で、しかしその中に殺気を含ませながら尋ねる。
「ん、なんか勘違いしてねえか? お前」
青年はわざとらしくやれやれ、という仕草をした。
「まー確かに、俺はお前等の邪魔はしねえつったな。でもよ、俺はお前等にそれ以上通られたら仕事の邪魔になるんだよ。だからさっさと消えるか死んでくれねえ?」
青年は苛立ちを隠そうともせずそう言うと、ギルベルトはふう、とため息をついた。
……会話が通じねえ相手なんだな、と諦めの意味をこめて。

「なら、俺様からも一言言わせてもらうぜ。テメーが死ね!!」
ギルベルトはそう叫ぶように言うと、青年が上っている木めがけておもいきり叩き斬った。
メキメキ、という破壊音と共に崩れていく。ギルベルトは何故か楽しそうな表情をしていた。

そうして、木の先端が地面にぶつかった瞬間。

「!!」
ギルベルトめがけて木の棘が高速で飛んでくる。
間一髪のところでギルベルトは大剣で防御した。一歩遅かったら頭をぶち抜かれて死んでいただろう。
「へっ、案外やるじゃねえか。少しは楽しめそうだぜ」
青年は何事もなかったように立っていた。恐らく、倒れる前に地面に飛び降りたのであろう。
「まさかそんなちゃっちい小道具を仕掛けていたとはな」
ギルベルトは皮肉混じりにそういう。
「小道具、ねえ……。お前のお連れさんは、そんな小道具にボロボロにされてるけど?」
「!?」
即座にフォンシエの方に顔を向けると、そこには見るも無惨な男の姿があった。
気絶するかしないかギリギリの状態で、漏れ出す息は虫以下の弱々しさであった。
「……、大丈夫か」
ギルベルトが冷えきった声で訊ねると、フォンシエはなんとか作り笑いをした。
「だいじょうぶ。えるふみみは、そうかんたんにはしなないよ……」
ヒューヒュー、という息の音と共に、フォンシエはそう言う。
ギルベルトは溜め息をついた後、ゆっくりとフォンシエの方へ歩いた。
「おい、下僕。お前は寝てろ。もういいから」
「……。すまない、そうさせてもらうよ」
フォンシエがゆっくりと瞼を閉じたのを確認した後、ギルベルトは剣先を青年の方へ向けた。
「この馬鹿のせいで負担が増えたが、お前と特別に相手してやるぜ。感謝しながら死ね」
「ヒュー、驚いたぜ。守りながら戦うつもりなのな」
青年は本当に感心したような表情をした後、また先程のような苛立ちを含ませた笑みを浮かべた。

「その真新しい剣で何が出来んのか、俺がしっかり見ておいてやる」







完敗だった。


「…………ッッ!」
「なんだよ。あんなに大口叩いてたのにこのザマかぁ? 言っておくが、俺は下っ端の下っ端レベルの人間だぜ。んま、やっぱり餓鬼は餓鬼か」
ギルベルトはボロボロだった。
顔は何倍も膨れ上がるほどに腫れ、骨はもう何本折れたのかは忘れてしまった。五本目からカウントするのを諦めた。そんな余裕はすぐに消え去った。
しかも、青年は大剣相手に素手で闘ったのだ。手加減しないと可哀想だから、という理由で。
完敗だった。
「ほら、起きろ。今からチャンスをやるからよ。……お前等大人しく引き下がれば俺は何もしねえ。だが、これ以上殺るっつーんなら俺はお前等をいたぶり殺す」
俺って優しー。と呟きながら、青年はそう交渉する。
ギルベルトはその言葉を聞くと口元を緩ませ、ニヤリと笑った。
「……そうか、そーいうのな」
近くの木にしがみつき、弱々しく、しかししっかりと立ち上がり、声を発した。

「断る」

凛とした声が、青年だけではなくフォンシエの耳にまで届いた。
「俺様はそういう弱者じみた行動はとりたくねーんだよ。つーか、なんで俺様が死ぬみたいな流れになってんだよ。これから這い上がるんだっつーの」
もう勝算もないのに、不可能なのに、ギルベルトは渾身の力で『強がった』。
「……へえ、そうなのな」
傷だらけのギルベルトの全身を見てから、青年は口元だけ笑みを浮かべて、最後の一発を喰らわそうとした

その刹那。


「たあああああああああああああっっ!!」
「!?」


突然、叫び声と共に、眩い光が青年を襲った。

Re: 【仮休載】勇者→魔王=\(^o^)/【4/26最新話投稿】 ( No.475 )
日時: 2012/04/30 17:43
名前: バーバー父 ◆n7fYW9Kt9I (ID: Mi7T3PhK)

お久しぶりです。


フェンシエを木製のブーメランで倒すとか何者すか。
それと、やせてる説明神で吹いたwww
クッソw 必ず説明神って文字が出ると笑ってしまうwww




いつでも更新待ってるよ。


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