コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- ロイ〜ケダモノと呼ばれた少年〜
- 日時: 2013/07/27 18:52
- 名前: ぴんくのうさぎ ◆v8I1Bhr5SU (ID: EOxiYAsu)
こんにちはー!ぴんうさです☆
前まではもうひとつの作品をメインにしていたんですが、いろいろあってロックをかけたので、こっちをメインにしたいと思います。
なのでこれからは、こっちを本格的に更新していきたいと思いますっ!
……ただし、ただでさえ更新が亀どころかカタツムリ並に遅いため、これが完結するのはいつになるやら…((汗汗
カップ麺の麺が伸びない程度にお待ちください←
☆':.*あてんしょん*.:'☆
▲.これは、SFファンタジーのお話です。
△.荒らしはお断りっ!!もし荒らしている方がいても、無視しておきましょう。
▼.作者には文才のぶの字もございません。
▽.以上のことが理解できない方は回れ右をおすすめします。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<<目次>>
第1章 ■天竜・マームの秘密編■ 第1話>>1 ..第2話>>2 ..第3話>>3
第4話>>4 ..第5話>>9 ..第6話>>10
第7話>>11 .第8話>>15 ..第9話>>16
第10話>>20
第2章 ■能力試験編■ 第11話>>22 .第12話>>48 ..第13話>>69
第14話>>74 .第15話>>104 第16話>>120
第17話>>123 第18話>>151
【参照とか記事数とか100ずつ突破したらやろう企画←】
☆参照100突破記念!☆
>>28←2文ぐらい触れてます 笑。
>>63←まだズルズルと引きずってます。早く書けや!←
>>114>>116←「*shortstory*とある休日の猫騒動」……100記事ぐらいぶっ飛んでやっとの企画ですww
☆参照200突破記念!☆
>>45←特に言うことはないです(`・ω・((おい
>>63←「ノリでキャラ募集しちゃおう企画」……なんか300突破も祝ってますが、そこはスルーでww
☆参照300突破記念!☆
>>63←「コメ返の仕方変えちゃおう企画」……上でもこの記事は少し紹介されてますがとりあえず載せておきます 笑。
☆参照400&記事数100突破記念!☆
>>101←変なテンションだった時に投稿した記事ですwいろいろ嬉しかったんですよ、はい 笑。
>>111←「登場人物の詳しい紹介しちゃおう企画」……てなわけで始まった登場人物紹介ですが、多分増えていくものかと思われるので後ほどまとめることにしますww少々お待ちください((ペコ
☆参照500&600突破記念!☆
>>114←でもまだ企画何も考えてないよ。ていうか100突破記念ここで祝っちゃってるよ。もう本当何がしたいんでしょうねこの人は((アンタのことだよッ
>>127←やっと企画発表です。遅い。
>>133>>135←さーサマ(朔良サマ)の案を採用させていただきました!
>>138>>141←「*shortstory*執事&メイドコスプレ喫茶in夏の学園祭」自分でも良くわからないところが多いです。バリバリ恋愛ものにはできませんからね……。ロイとリリーですし。それでもいいという方は読んでいってください。
☆参照700&800突破記念!☆
>>153←夏の学園祭の後半アレンジとか言ってますが結局は続編ということで収まりましたw言ってる事違くて済みません 汗。
>>163←「*shortstory*執事&メイドコスプレ喫茶in夏の学園祭・続編」リリーがおかしくなります。あしからず←
【番外編】
第1弾 ■ケダモノの過去■ 前編>>32 後編>>41-42
【特別行事企画】
2013年 ■七夕編■ 七夕準備>>90 七夕当日>>100
<<お客様様カミサマサマ>>
珠紀サマ ■コメントありがとうございましたッ!!しかも何度もたくさん!!初めての時は、珠紀サマからのだと知ってパニックになったことを覚えています!!笑。しかもこの方は、尊敬するすごい文才の作者様でもあります♪お気に入りの小説、この方のものばかりですw■
四ノ宮サマ ■SFファンタジー系の話が好きだと知り、めっさテンションが上がりましたwしかも、今までにたくさんの小説を書いてきた、経験者様でもあるのですッッ(`・ω・´)キリッ ちょくちょく読みに行かせてもらってます(´∀`)■
緋兎の血*サマ ■まさか、小説カキコで一番尊敬している方に来ていただけるなんて、思いもしませんでした……!!((感激 緋兎の血*サンの小説は読むたびに吹き出しそうになるのをこらえてますwそれくらいユーモアセンスが神で面白いです( ´∀`)b■
妖狐ちゃん(妖狐サマ) ■とても深いコメントをしてくださり、ありがとうございました!!詳しい好みなどまで教えてくださったので、ますますやる気が……!!o(`д´ 。)メラメラ 今後は頑張ってもっと天竜のマームとレオを出せていけたらいいな、と思ってます(´∀`*)■
藍歌サマ ■貴重な、好みのキャラクターの意見を教えてくださってありがとうございました!!タイプだなんて言ってもらえて嬉しかったです 笑。藍歌サンの小説もなかなか奥深くて、続きが楽しみですっ!!マームとレオのキャラを、壊さないように頑張ります!!w■
さーサマ(朔良サマ) ■わざわざ検索までしてくださった方です!!!ヽ(゜Д゜;)丿スゴイ 朔良サンもSF好きなんですか!!そういうコメントを頂けると、俄然やる気になります!!!笑。プラス、レオ推ししてくださいましたw朔良サンの小説も凄いですよ!文才が……ヮ(゜д゜)ォ!■
ひーちゃん(ひよこサマ) ■ここで初めましてでしたねー、コメントありがとうございます。SF好きですか!!私も大好きです!!笑。好きだから書いてるんですが……ロイたちよ、暴走しないでくれ((汗 ひよこ……あ、なんだろう、お菓子のひよこが食べたくなってきた(^q^)←おい■
小虎。サマ ■オリキャラ投稿をしてくださった神様でございます。私からの面倒くさい注文も、すんなりOKしてくださいました゜(゜´Д`゜)゜逆に、オリキャラを扱うというプレッシャーがっ!!((ズシッ オリキャラ募集してそれで小説書いてる作家様は、本当に尊敬します。■
あるゴマサマ■素晴らしい恋愛小説を書いてらっしゃる神作者様です!!幼馴染の恋愛ってもう本当すごいと思います(`・ω・´)コメントを頂いて、「おぅふっ!」と言う変な歓声?奇声?wを上げたことを覚えていますwww相変わらずマームが人気なようでwコメントありがとうございましたッ!!!■
月花サマ■ここで初めましてでしたね、コメント嬉しかったです!!テガミバチを知っている方に会えてもう本当に嬉しかったです←/今度ラグのことや、ショタっ子のこと(いや、それはお前だけだ)、語り合いましょう( ´∀`)b可愛い系男子連盟でも(なんじゃそりゃ)作りますか!?((自重しろ■
チャルトンサマ■ここで初めましてでしたが、私は隠れ読者でしたwいつも感心しながら読みすすめてました(`・ω・´)ロイ君の魅力を分かっていただけて嬉しいです。一応主人公なんで← 萌え属性があったほうがいいかと思っt((黙 影プロは私も大好きです。じんさんは絶対天性の才能持ってますよ、ええ。■
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【オリキャラ募集用紙】
◎名前/ふりがな【(カタカナ洋風ネームでよろしくお願いします。できる限りかぶらないようにっ!!><;)/】
◎性別&一人称と二人称【男/女 一人称/俺、私、我(笑) 二人称/あなた、君...etc... なんでもおっけーです!!】
◎魔法【(なんでもおっけーです!!どういう魔法かも、書いて下さると助かります。)】
◎職業【先生/生徒/フレンド/商人 今回はこの範囲でお願いします><;】
◎容姿【(できる限り正確に!!なおかつほかのキャラとかぶらないようにお願いしますっ!!)】
◎性格【(なんでもおっけーです!!ほかのキャラとかぶらないようにお願いしますっ!!)】
◎特徴【(無くてもOK!!)】
◎口癖【(無くてもOK!!)】
◎サンプルボイス【(無くてもOK!!)】【】【】
◎あなたの名前/ふりがな【】
◎あなたの作品名&掲示板【(URLも参照に載っけてもらったほうが良いです。無い場合は無いと記入して頂ければおっけーです!!)】
◎あなたから一言【(感想・要望・アドバイスなど……。無くてもOK!!)】
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詳しくは、>>63にて。
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↓では、プロローグです↓
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覚えていない。
親のことも。自分が今いる場所も。していることも。
そして……自分のことも。
夕立が去ったあとの灰色の空の下。
そこに広がっていた光景。
それは。
真っ赤に染まった屍と
真っ赤に染まった”ケダモノ”
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- Re: ロイ〜ケダモノと呼ばれた少年〜【行事企画!七夕準備】 ( No.96 )
- 日時: 2013/07/06 09:52
- 名前: 朔良 (ID: 2IhC5/Vi)
こんにちは!
朔良です。
七夕ですね……!
家族との馴れ初めとか、そういうの良いですよね。
うさちゃん……とお呼びしたいな、と思ったのですがよろしいでしょうか?!
「私の願い事」というものを学校で書きまして、色々と皆のを見て笑いました。
「二次元に入りたい」
「魔法を使いたい」
「天皇になりたい」
「レン君の彼女になりたい」←……分かるけども!
そして私は「長生きしたい」ですww
- Re: ロイ〜ケダモノと呼ばれた少年〜【行事企画!七夕準備】 ( No.97 )
- 日時: 2013/07/06 21:27
- 名前: ぴんくのうさぎ ◆v8I1Bhr5SU (ID: DFRKYlWL)
- 参照: もうすぐ記事数100突破だー……あ、どうでもいいですねすみません。
>ひよこサマ
ぴんうさ「ひよこサン、こんばんはー!!」
レオ「いや、問題ないぞ。七夕って意外と何も無いからな」
ぴんうさ「こらっ!夢を壊すな!織姫と彦星に謝れっ!!!」
リリー「あぁ……漫画もいいわねー。こっちの世界で流行ってて、私が今読んでる漫画のシリーズを揃えたいわ」
レオ「別に聞いてない」
リリー「い、いいじゃない、別にっ!!」
ダイアナ「……なんだかリリーって、作者と性格似てる気が……?」
リリー「まさか!!(即答)こんな駄作者と似てるわけないじゃない!!!!!!同じにしないでよ!!!!!!!」
ぴんうさ「……あの、半分泣きそうなんですが」
ロイ「…………え?お母さん?お母さんって、あの金髪の……「はーーーいロイはそれ以上考えちゃダメ!!!」
ロイ「どうしてですか?」
ぴんうさ「話が狂っちゃうから」
ロイ「……なるほど」
レオ「なんだこのほのぼのとした会話は」
ダイアナ「なんだか作者に殺意が湧きますよね」
ぴんうさ「いやなんでだよ!!」
リリー「いやぁー、この駄作者、本当超がつくほどのボカロ好きだからね。今もボカロ聴きながらコメント返信してるくらいだからね」
ぴんうさ「……いやぁー、それほどでも((照」
リリー「別に褒めてないわよ」
ぴんうさ「……泣」
全員「「「「「コメントありがとうございました!!」」」」」
>朔良サマ
ぴんうさ「朔良さん、こんばんはー!!そうですか!?そう言ってもらえて嬉しいです♪」
リリー「うさちゃん……可愛すぎないですか!?駄作者にはもったいないですよ」
ぴんうさ「うるさいっ!!あ、リリーはこんなこと言ってますけど、それで全然構いませんよ!!」
レオ「リリーだけじゃないぞ、言ってるのは」
ダイアナ「そうですよ」
ロイ「失礼だとは思うけど、その歳では……」
ぴんうさ「ちょっ、私を何歳だと思ってるの!?おばサンじゃないんだから!!!」
ダイアナ「え、そうだったんですか?てっきり……」
ぴんうさ「まだっ!まだ若いから!!とれたてピチピチの魚並みに若いから!!」
レオ「意味分からんぞ。説明になってない。とれたての魚が若いとは限らんだろうが」
リリー「あんたもつっこむところが違う様な気がするけどね」
ぴんうさ「天皇になりたい……。その発想はすごい 笑。神じゃなくて天皇なところが 笑。」
リリー「あんたもつっこむ(?)ところがおかしい!!」
ぴんうさ「ていうか、レンの彼女になるとか……。その人に100点あげちゃいますね。あ、いや、90点ですかね。私なら妻になりたいですかr「黙れ作者」
ダイアナ「長生きは大事ですよ。私だって結婚する前に死にたくないですし」
ぴんうさ「……いやぁ、あんたが結婚することはないよ。だって私がそういう設定にしたいから。ふふふふふh「シねえええええッ!!!!!」
ぴんうさ「……すみません。すみませんから、なんかぱわーあっぷしてる銃を向けるのはやめてくださいぎゃあああああああああああ!!!!!!」
リリー「……ていうか、ダイアナ秘書って、何歳なの?」
ダイアナ「私が答えると思いますか?((黒い笑み」
リリー「……冗談よ」
全員「「「「「コメントありがとうございました!!」」」」」
- Re: ロイ〜ケダモノと呼ばれた少年〜【行事企画!七夕準備】 ( No.98 )
- 日時: 2013/07/06 22:00
- 名前: 小虎。 (ID: pt4UZong)
七夕かぁ。
小さい頃に、お人形がほしいって
かいたら、カってもらえたことがあるですよね。
いや、夢かと思いました-w-w-w
私のかいそうはおいといて。
こうし、、、「更新期待してるよ!
頑張ってね。-w-w-w」
です。
バイ リュイカ
因みに作者森に連れ込んで、
ミィナの別荘ろぐはうすで拘束中だよ♪
- Re: ロイ〜ケダモノと呼ばれた少年〜【行事企画!七夕準備】 ( No.99 )
- 日時: 2013/07/07 08:20
- 名前: 妖狐 (ID: 8.g3rq.8)
レオってイケメンだったんですね・・・・・・///
想像…妄想すると素敵なレオ様がもわもわとっ(殴
すいませんでした!(頭をぶつけるぐらいの勢いでおじぎ
本当に、勝手にレオ様を妄想するなんて!
私、この罪を償って川に身投げしてきます(>_<)
いろいろと最初から崩壊してますね(汗
でもレオ様の容姿や蛇嫌いな理由を知ったらもう!
というかシューガさん(?)のたまごが蛇に食べられたなんて(;_:)
私その它とっ捕まえてちょうちょ結びに結んでいやります!<(`^´)>
七夕企画♪
辛口カレーライス…いやいや激辛カレーライスw
すごいですね^^
私も一口食べてみたい気がしなくもないです(どっちなんだ
なんだか食べたらあの世へ昇天されそうで
でも、すごく食べてみたくて…
ロイのお母さん(?)すごいですね^^そして素敵です☆
ロイ君もお母さんを幸せにすることが義務なんて・・・・・・
私こそ惚れてしまうやろー!!
あの時のお母さんの気持ちがすごくわかりますっ!
惚れてしまうやろー
惚れてしまうやろ〜
惚れてしまうやろ……(エコ
なんだか山頂に向かって叫びたい気分に駆られました!
そういえばなんですが、副校長お疲れ様でした!
ぴんくのうさぎさん、すごいです!
参照数も読者様のコメントも多いいですし、なにより一話一話が魅力的です!
キャラクターの個性がよく伝わってきてすごいなと思います!
私は途中、キャラクターの個性が迷子の時が多々ですから…
だから読みづらいことは承知です!(+_+)
それでもぴんくうさぎさんの温かく面白いコメントをもらうと とても嬉しくなります(^v^)
いつもいつもありがとうございます!
感謝してもしきれません!!
これからもがんばってください^^
応援しています☆
- Re: ロイ〜ケダモノと呼ばれた少年〜 ( No.100 )
- 日時: 2013/07/07 09:40
- 名前: ぴんくのうさぎ ◆v8I1Bhr5SU (ID: DFRKYlWL)
はい、そしてやってきました七夕当日!!w
締切って訳ではないですが、死ぬ気で書き上げました←
なので、少々雑かもしれませんw……あ、それはいつものことだって?……すみません。
とりあえず頑張りました。それでは見ていってください☆
(ちなみにこれは、2013/7/7に投稿したものです)
コメ返は英検の面接が終わってからします!!しばしお待ちください((汗
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(前回の話>>90)
特別行事企画 「七夕当日」
「……ふん♪ふふふん♪」
鼻歌交じりの上機嫌な様子の少年が、笹を飾っていた。
……そう、今日はついに七夕当日。少年の待ちに待った、7月7日の夜がやって来たのだ。
「ロイー!ご飯できましたよー」
かさかさと笹をいじっていると、下からいつものように女性の声がする。
「……あー、あとちょっとだけ待って!!これだけ飾ったら行くかr「不味くなりますよ?」
「……分かったよ……今行く」
女性の凄んだ声に負け、最後の一枚の短冊を机の上に置くロイ。部屋を出る前にもう一度名残惜しそうにその短冊を見ると、ゆっくりとドアを閉めた。
「……お待たせー!」
下に降りると、珍しくエプロン姿の女性が 手を洗いながら
「いえいえ、七夕竹の装飾お疲れ様でした。今日は七夕ということで、素麺を用意しましたよ」
と言って笑った。
テーブルの上に乗っていたのは、涼しげなガラスのお皿の上に 星型の薄焼き卵やイクラで彩られた真っ白な素麺だった。
「……わぁ……!!おいしそうだねー」
「でしょう?今年は少し凝ってみましたから」
自慢げに言う女性と目を輝かせるロイ。二人共、席に着いて箸を持つと、同時に
「「頂きます!!」」
と言って、素麺に箸をつけた。
麺を軽くつゆにくぐらせ、そのままつるつるっと食べる。みるみる頬がピンク色に染まっていくロイ。喉を細長い麺がなめらかに通っていくのを感じながら、感嘆の声をもらした。
「んー、おいしい!!」
同意を求めようと、ほころびた顔を女性の方に向けたロイ。しかし、女性はまだ麺を口にしていなかった。
「……あれ、お、お母……さん!?な、何してるのッ!?」
「…………ふふ、これだけじゃあ、物足りないですからねぇ……♪」
すごいスピードで手を小刻みに上下に振り、自分の素麺に一味唐辛子をかけていく女性。真っ白な素麺が、真っ赤に染まっていく。女性は少し、狂気と化していた。
「お、お母さん、怖い!!怖いって!!」
「……ふふふ。あなたは自分の素麺だけを食べてればいいのよ、ロイ。別に食べさせようって訳じゃないんですから♪」
……そういう訳では無いんだが。
とにかく、そう言いながらも手の動きを止めない女性。元の白かった麺は、唐辛子のせいで原色がわからなくなるほど赤くなっていたのだった。
「……ごちそうさまでしたー!」
真っ赤になった得体の知れない物体を、美味しそうに食べる女性。そして、それを横目で見ながら平静を装って自分の素麺を食べる、という極めて高度な技をなんとかやってのけたロイは、『普通』に美味だった素麺が盛られていた ガラスの容器を台所へと運んでいった後、そのまま自室へと逃げるように駆け込んで行った。
……ぱたん。
ドアを閉めると、少年は力尽きたようにその前に座り込んだ。
「……見るだけならまだしも……。……あの匂いまではキツいよ、お母さん……」
ふぅ、とため息をつくロイ。あの唐辛子の匂いが相当こたえたようだ。しばらくぼーっと天井を眺めていた。
「……はっ」
慌てて頭を強く振る少年。思わず寝そうになったのに気づいたようだった。
「まだ寝ちゃダメだ!……せめて、あの短冊だけは飾っておかないと……!!」
気力だけで自分を奮い立たせ、やっとのことで立ち上がる。机まで、あと2メートル。
「……うう……。机がいつもより遠く感じる……」
そろそろと、足を動かす少年。机まで、あと1メートル。
「……あと……。あとちょっと……」
机まで、あと50センチ。
「ぬうううっ!!」
手を伸ばすロイ。短冊まで、あと10センチ!
「……掴んだッッ!!」
その瞬間、安心してしまったのか、少年はいきなり力が抜け、短冊を握り締めたままガクッと机に突っ伏して寝てしまった。スースー、と柔らかな寝息を立てるロイの寝顔は、とても幸せに満ちていた。
……数分後。彼の背中に、ふわっと布団がかけられた。かけたのはモチロン、さきほどまで真っ赤な唐辛子素麺をすすっていた金髪の女性だ。
女性は、ロイが気持ちよさそうに寝ているのをもう一度確認すると 部屋から去ろうとする。……しかし、ふとロイが何かを握りしめていることに気づいた。
「…………これは?」
ロイを起こさないように、そっと短冊をロイの手から抜き取る。不思議そうな顔をしていた女性だったが、そこに書いてあった内容を読んで ふっ、と笑った。
そしてそのまま入口付近に置いてあった笹に引っ掛けると、今度こそ部屋を出ていった。
電気が消されて闇に包まれた室内に置かれた、七夕竹。
『お酒が飲みたい』『辛いもの大食い選手権に出てみたい』『世界一周旅行をしてみたい』『宇宙人に会いたい』とかいう大人が書くとは思えないような願いが飾られた笹の中に、一枚だけ 明らかに雰囲気が違うような願いがあった。
女性が今さっきみたロイの願い。……それは。
『来年も、今年と同じように お母さんと一緒に七夕を過ごしたい』
夏の大三角と天の川が、晴れた夜の空で綺麗に輝いていた。
特別行事企画 ■七夕編■〜END〜
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