コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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_ほしふるまち 【短編集】
日時: 2015/08/30 21:19
名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: HTruCSoB)

( 空には、こんなに星があるのに )





こんにちは、村雨と申します(^ω^)
最近無性に文章を書きたくなって、スレを立てましたv
多分恋愛ものが多くなると思います(
コメントやアドバイスはいつでも大歓迎です∀




***novel***

【 金魚の飼育係 】>>2
【 キラキラ 】>>4
【 Love Letter 】>>7
【 星明かりが眩しいから、 】>>8
【 別れ話 】>>9
【 愛を晒せ 】>>10
【 ラブリーライアー 】>>15
【 足立くん征服計画 】>>16-17
【 恋路は近くにありて 】>>22-23
【 浴衣と天邪鬼 】>>27
【 FLASH 】>>31-32
【 あいつは××のことが好き。 】>>33 >>
【 豆太と颯太 】>>34 >>37
【 毒針に口付けを 】>>38-39
【 あめふり 】>>40
【 立ち入り禁止区域 】>>43-44
【 泣いてもいいですか 】>>47
【 歩道橋 】>>52
【 ある日美少女に告白されたら 】>>53-54 >>56
【 じめじめ 】>>63-64
【 Good Boy…? 】>>65-67
【 元、彼氏 】>>70
【 部長と副部長 】>>73
【 罵倒したい男子 】>>76-77
【 あいしてる、がつらい 】>>78
【 鳥籠の愛 】>>79
【 私、先輩を襲います 】>>80-81





***お客様***

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Re: _ほしふるまち 【短編集】 ( No.27 )
日時: 2014/07/22 20:00
名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: NuyUCoME)

【 浴衣と天邪鬼 】



 部活の帰り、俺は蒸し暑い空気を切るように自転車を飛ばしていた。下り坂をブレーキを踏むことなく一気に下って、駅前の公園の横を通り過ぎるとき、こっちに向かって歩いてくる見知った顔と目が合った。反射的に急停止する。自転車がボロい音を立てた。

「瀬名くんだ」
 そう言って、幼馴染の相内璃映は俺に微笑む。相内は、浴衣姿だった。そういえば今日は地元の夏祭りだったことを思い出す。
 紺の地に赤色の花模様。普段は下ろしている長い髪を今日は後ろで一つに束ねていて、白い首筋が見える。いつもより大人びているように思えた。────綺麗だ、と思った。

「なんだ、あいつとでえとかよ」
「……あいつ?」
「高野だよ高野」
「ああ! 雅樹のことね」
 相内は照れ笑いをした。頬がほんのり赤らんでいる。


 あいつ────高野雅樹は、相内の彼氏だ。そして俺は高野の腐れ縁。
 あいつは高校一年のときに初めて相内と同じクラスになった。そして最初から彼女のことが気になっていたのだと思う。毎日のように相内の話をしてきた。だから、俺は冗談半分で告白を勧めた。相内は、あいつみたいに軽くてチャラチャラした奴は苦手なんじゃないかと思ったから、どうせふられると思って。
 そうしたら、一週間も経たないうちにあいつは本当に告白した。相内は顔を真っ赤にしながらそれを受け入れたらしい。

 俺は後悔した。余裕ぶってあんなことを言ったのが悪かったんだ。俺のほうが、あいつよりずっと前から想っていたのに。

 *

「いや、デートっていうかね、雅樹がどうしても花火見たいっていうから……」
 相内が浴衣の袖を握りしめた。心なしか早口になっている。
 あいつが花火を見たいだと? 一昨年、男同士五人で祭りに行こうって話になったとき、真っ先にゲーセンのほうが良いとか言ってた、あいつが?

「そんなの口実に決まってるだろ」
「口実って?」
 相内がきょとんとした顔で見つめてくるので、俺は慌てて目をそらす。

「本命はお前を誘い出すことだったんじゃねえの」
「…………そう、かなあ」
 絶対そうに決まってる、と心の中で言い返す。

 言葉を濁しながらも相内は嬉しそうな顔をしていた。分かりやすい。本当に、あいつのことが好きなんだ。そのことが実感として重くのしかかってくる。
 ────俺はたまらなくなった。ペダルに全体重をかけ、自転車を急発進させる。
「じゃーな。彼氏によろしく言っといて」

「え、あ、うん! じゃあね、瀬名くん」
 背後で彼女の声が聞こえた。
 いつもよりペダルが重く感じるのは、このうだるような暑さのせいだけではないだろう。


 二十メートルほど進んだところで角を曲がるとき、相内の後ろ姿がちらりと見えた。艶やかな花柄、小さい背中。白いうなじ。
 祭りを楽しむ二人の姿がありありと想像できてしまう。人ごみの中でこっそり手なんか繋いだりして、狭いスペースで密着して花火を見る…………

────消えろ消えろ。
 いつまでもウジウジしてるみたいで格好悪い。相内のことなんて、もう何とも思ってねえよ。今日の祭りだって、勝手に楽しめば良い。せいぜい小さい花火を見て盛り上がっておけば良い。


 そしてあいつに喰われてしまえ。







-----

そろそろ夏祭りシーズンですねー(・ω・)
浴衣はやっぱり良いですよね!(何が
あんな態度をとりつつも、これからしばらくは未練を捨てられないことでしょう…((

Re: _ほしふるまち 【短編集】 ( No.28 )
日時: 2014/07/23 12:07
名前: ウさ (ID: jhXfiZTU)

こんにちは

こーゆー話「早く告っちゃえよヽ(´Д`;)ノ」
って思います!

付き合っちゃってるからしょうがないかもだけど・・・

やっぱり村雨さんの短編好きです!

どんどん書いてください!

Re: _ほしふるまち 【短編集】 ( No.29 )
日時: 2014/07/23 20:27
名前: 朔良 ◆oqxZavNTdI (ID: 2IhC5/Vi)

 お久しぶりです、朔良です。

【 浴衣と天邪鬼 】もとっても素敵でした……!
 璃映ちゃんが残酷だなーと思いながら読んでいました。
 悪気がないピュアな笑顔は綺麗ですが、時に心をズタボロに傷つけるナイフのようなものですもんね。
 お疲れ様、瀬名君……

 やっぱり村雨さんは綺麗で幻想的な文章をお書きになりますね。
 楽しみも憎しみも綺麗にまとめられている気がします。

 
 更新応援していますね!
 頑張ってください(*^。^*)

Re: _ほしふるまち 【短編集】 ( No.30 )
日時: 2014/07/28 22:45
名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: NuyUCoME)

>>28
こんにちはっ∀

本当煮えきらない感じですよね;
私もモヤモヤしながら書いてました((

…私の短編が好き!? ありがとうございます頑張ります!
実はリアルの方も中々忙しいのですが、出来るだけ早めに更新できるようにしたいです!

>>29
こんにちはー(^ω^)

確かに璃映は残酷ですね;
瀬名の気持ちには全く気づいていないようで…

なんと! 綺麗ですか幻想的ですか!?
お話をまとめるのはあまり得意ではないのですが…そう言って貰えて嬉しいです+*

憎しみとかダークな感情を書くのは結構好きなんです(

Re: _ほしふるまち 【短編集】 ( No.31 )
日時: 2014/08/11 23:36
名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: NuyUCoME)

【 FLASH 】 1/2



「……あ、羽野さん? ……あたし、英里奈」
 インターフォンを押すと、すぐに玄関に向かってくる足音が聞こえた。

 扉が開く。最後に会ったのはあたしのテスト週間が始まる三日前だから、かれこれ二週間ぶりだ。彼の顔を見ると、自然と笑みが零れた。
「英里奈」
 しばらくぶりに名前を呼んでもらえたのが嬉しくて、玄関に入って扉を閉めるとすぐに羽野さんに抱きついた。
 彼が優しくあたしの頭を撫でる。なんて温かいのだろう。なんて落ち着くのだろう。





 あたしは二年前まで、ちょっとした雑誌モデルの仕事をしていた。その最初の撮影のときにあたしを撮ってくれたカメラマンが、六歳年上の羽野さんだった。
 無機質なシャッター音が響き渡る、真っ白なスタジオ。眩しいくらいのフラッシュライトを浴びながら、彼にカメラを向けられている中で自然と笑顔になっている自分がいた。

 けれど一年ほど経ってから、あたしはモデル業を辞めた。……まあ簡単に言うと、鳴かず飛ばずだったってこと。
 そして地元の大学に進学して、それから間もなく羽野さんとの交際を始めた。





「テスト、どうだった?」
「まあまあ、かな。でもこれからしばらく大学はお休み」
「ふーん。じゃあどこかに出かけようか」
「……本当!? じゃあ今日にでも──」
「今日は駄目だよ。やらないといけない仕事があるから」


 茶色で統一された広めのリビングに入ると、テレビの近くの机の上にはノートパソコンが置いてあった。今日中に終わらせないといけない仕事なんだ、と羽野さんは言った。

 羽野さんは二人掛けソファーの左側に座り、真剣な顔でノートパソコンに向かう。あたしはその右隣に座って、友達へのメールの返信をした。

 そうし始めてから十分くらい経って、今日が毎月読んでいるファッション雑誌の発売日だったことに気付く。
 隣でパソコンに向かう羽野さんの横顔を見つめた。パソコン画面には何やら細かい文字が沢山並んでいる。
「仕事、終わりそう?」
「……あと一時間は掛かるかな」
真剣な顔で彼は言う。

「あたし、ちょっとコンビニ行ってくるね」
「あー…………じゃあついでに、」
「ちゃんとコーラも買ってくるよ」
 あたしはそうして、ソファーから立ち上がる。

 羽野さんは、いつも家の冷蔵庫にコーラを常備していなければ落ち着かないほどのコーラ好きである。それを知ったのは、彼と付き合い始めてから間もなくのことだった。



 彼の住むマンションから一番近いコンビニまでは歩いて五分と掛からない。
 冷房が効きすぎているくらいの店内に入ると、目当ての雑誌を立ち読みする。羽野さんの撮った写真が掲載されているものだ。髪にゆるいパーマをあてている女性モデルが微笑んでいる写真だった。
 決して、彼の方から仕事で撮影した写真を見せてくれることはない。だけど、こうしてページの端に小さく印刷してある彼の名前を見ると、まるで自分のことのように嬉しい気持ちになる。

 写真を一通り見終わると、あたしは飲料売り場に向かった。羽野さんの好きなコーラとあたしの好きなミルクティーを手に取り、会計を済ませてコンビニを出た。


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