コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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_ほしふるまち 【短編集】
日時: 2015/08/30 21:19
名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: HTruCSoB)

( 空には、こんなに星があるのに )





こんにちは、村雨と申します(^ω^)
最近無性に文章を書きたくなって、スレを立てましたv
多分恋愛ものが多くなると思います(
コメントやアドバイスはいつでも大歓迎です∀




***novel***

【 金魚の飼育係 】>>2
【 キラキラ 】>>4
【 Love Letter 】>>7
【 星明かりが眩しいから、 】>>8
【 別れ話 】>>9
【 愛を晒せ 】>>10
【 ラブリーライアー 】>>15
【 足立くん征服計画 】>>16-17
【 恋路は近くにありて 】>>22-23
【 浴衣と天邪鬼 】>>27
【 FLASH 】>>31-32
【 あいつは××のことが好き。 】>>33 >>
【 豆太と颯太 】>>34 >>37
【 毒針に口付けを 】>>38-39
【 あめふり 】>>40
【 立ち入り禁止区域 】>>43-44
【 泣いてもいいですか 】>>47
【 歩道橋 】>>52
【 ある日美少女に告白されたら 】>>53-54 >>56
【 じめじめ 】>>63-64
【 Good Boy…? 】>>65-67
【 元、彼氏 】>>70
【 部長と副部長 】>>73
【 罵倒したい男子 】>>76-77
【 あいしてる、がつらい 】>>78
【 鳥籠の愛 】>>79
【 私、先輩を襲います 】>>80-81





***お客様***

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Re: _ほしふるまち 【短編集】 ( No.67 )
日時: 2015/05/02 19:58
名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: SiiKM6TV)

3/3





 奇跡的に、というべきだろうか。彼女────宮永日向子は一度出会っただけの僕のことを覚えていてくれた。一年次はクラスが同じになったこともあって、親しい友人といえる関係にまで進展した。そして入学式から丸一年経ち、二年次のクラス替えで別々になってしまった今でも、廊下ですれ違えば挨拶するし時々二人で話すこともある、そんな関係だ。
 ちなみに彼女は僕のことを肇くん、と下の名前で呼んでくれる。おかげで僕は何度か、クラスでそんなに親しくもない奴らから「お前と宮永さんってどういうカンケー?」とニヤニヤしながら訊かれたことがある。でも残念ながら、決して奴らが想像しているような関係ではないのだ。彼女にとって僕はただのお友達にすぎないのであって、下の名前で呼んでくれているのも単に女友達を親しげに○○ちゃんと呼ぶのと同じような感覚なのだ。


 授業が終わると、帰宅部である僕は教室を出て、階段を降り、下駄箱で靴に履き替えようとしていたら彼女に会った。僕と同じく、ちょうど上履きから外靴に履き替えようとしているところだ。

「あ、肇くんだ」
 僕の姿を見つけると、彼女はえくぼを見せて笑った。

「今から帰るんだ?」
「うん、五時半からバイトだから」
 先に靴に履き替えた彼女は、下駄箱から少し離れたところで待っていてくれた。僕が追いつくと、二人並んで校門に向かって歩き出す。

 隣を歩く彼女は僕より頭半分ほど背が低いけれど、同年代の女子の中では高身長の部類に入るのかもしれない。髪は肩まで伸びたセミロングで、毛先は内側にウェーブしている。正規のスカートの長さをダサいと切り捨て、膝上まで丈を短くしている。話し方も仕草も僕の知っている同年代の女の子に比べて大人びているように思えるし、顔立ちだって、実年齢よりいくらか上に見える。制服姿でなければ大学生といっても通用するだろう。

「バイトって、あのビデオ屋?」
 僕は訊く。
「そう。今日は山上さんと同じシフトだからねー!」
 頬を赤らめて幸せそうに笑う彼女。それを見て僕は胃液が逆流したときのような、嫌な気分になる。

 彼女が叶うはずのない恋をしているということを知ったのは、半年ほど前のことだ。
 「山上さん」という男の人は、学校から電車で三十分ほどのビルの一角にあるレンタルビデオショップに勤めている。年齢は確か二十七歳で、彼には婚約者がいる。
 最初、彼女はそのビデオショップにただの客としてきていた。そこで働いている彼と知り合って、彼のことを好きになった。そして少しでもいいから彼に近づきたいと思っていた矢先、店のレジカウンターに「アルバイト募集」と書かれた貼り紙を見つけた────という次第である。

「それにね、今日は二人で棚卸し作業をするの」
 僕が相槌を打つと、彼女は更に続けた。
 好きな人の話をするときの彼女の表情はいつも恍惚としていて、思わず見惚れてしまいそうになる。

 もちろん彼女は、山上さんが自分より十歳も年上で尚且つ婚約者のいる人だということをよく知っている。その上で、彼のことを好きになった。
 ────有り得ない。少なくとも僕にとっては。どんなに素敵な人であろうと既に他の相手がいる人を好きになるなんて。そもそも十歳も年上の人を恋愛対象としてみることは絶対にない。

 もし僕にあと少しの勇気があったなら、自分の気持ちを素直に伝えることが出来るのに。彼女を振り向かせることが出来るかもしれないのに。────実際、そんなことは出来ていない。思わせぶりな態度を取ることすらできないのだ。クラスが離れてしまった今、面白くも格好良くもない僕が彼女と友人関係を続けていられるのは、彼女の「恋愛相談役」を引き受けているからに過ぎないのである。

 恋愛相談──そこでは主に山上さんがいかに格好良くて素敵な人かを聞かされるのだが──を受けるとき、僕は否定的なことは言わずにただ相槌を打つだけである。それが彼女にとっては寧ろ嬉しいらしい。でも僕だって、そろそろ我慢の限界なのである。ふと、意地悪を言ってみたい気持ちになった。


「もう本人に言えばいいのに」
 僕は自分でもとげとげしい言い方をしたな、と思った。隣を歩く彼女の表情がこわばる。
「それはつまり……想いを伝えろってこと?」
「うん」

「駄目だよそんなの! 山上さんを困らせるだけだよ」
 彼女の声が珍しく上ずっている。
「でも、今のままだったら何も進展しないだろ」
「別にいいの、それで!」
 語気が強くなったので、僕はびくりとした。

「分かってる。婚約者のいる男の人を好きになるなんて、常識外れだし、上手くいくわけないって。でもね、私山上さんのことが好きなの。もうどうしようもないの。彼女としてじゃなくてもいいから、傍にいたい」
 まるで映画の中の台詞みたいだな、と聞きながらぼんやり思った。それから彼女の瞳に光るものが見えて、唾を飲む。何と言葉を返していいものか分からなかった。

 ────映画。という言葉から、二年前の春休みに観た映画を思い出した。ふとあの冴えない男主人公を僕に、彼氏持ちの美人を彼女に重ね合わせてみる。あの映画の設定と僕の今の現状はどことなく似ている気がする、と思うと複雑な気持ちになった。一つ大きな違いを挙げるとするならば、僕が彼女に想いを伝えられるだけの勇気を持っていないということだ。
 それどころか、今まさに彼女の気持ちをえぐるようなことをしている。

 全く、僕は最低な男だな。






-----

ラストは無理矢理まとめた感じですね←

ちなみにヘタレな男の子を書くのは大好きです(・ω・)

Re: _ほしふるまち 【短編集】 ( No.68 )
日時: 2015/05/02 13:28
名前: 朔良 ◆oqxZavNTdI (ID: 2IhC5/Vi)

 お久しぶりです、朔良です。
 
「 Good Boy…? 」を読ませて頂きました。
 肇君のような若干ヘタレ男子、朔良も好きです←

 恋愛って難しいなあと思いました。
 朔良も客観的に、冷静に見たら日向子ちゃんを呆れた目で見つめると思います。叶う訳もない恋愛をしてどうするの? と。
 でも実際にそういう状況になったら押さえられないんだろうなあとも思いました。常識外れだと知りながらも想うことを止められないのは本人も苦しいんじゃないかと思いました。
 空虚感に塗れたラストの雰囲気も素敵だと思いました!

 
 更新次回も楽しみに待っています!
 頑張って下さい!

Re: _ほしふるまち 【短編集】 ( No.69 )
日時: 2015/05/03 18:28
名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: SiiKM6TV)

>>68
お久しぶりです、朔良さま(・ω・)
いつもコメント頂いて…とても嬉しいです+*

ヘタレ男子良いですよね(
心の中の葛藤みたいなものが個人的に書きやすいです←

日向子は「自分の気持ちに正直な女の子」として書きました、
朔良さまに何かを感じ取って貰えたなら幸いですb

ラストが素敵と言って頂けて嬉しいです(^ω^)
出来るだけ印象的なラストを考えていけるようにこれからも頑張ります!

Re: _ほしふるまち 【短編集】 ( No.70 )
日時: 2015/05/03 21:16
名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: SiiKM6TV)

【 元、彼氏 】



「よお」
「晃一」
「久しぶり」
「三日前に会ったばっかりだけど」
 どうしたのこんな時間に、と私は訊く。玄関にある小型のデジタル時計には「22:37」と表示されている。

「いやさっきまで友達と遊んでたんだけど終電逃して。今晩泊めてくんね?」
「一人暮らしの女子大生の部屋に男が泊まりに来るなんて、常識的に考えてどうなのよ」
「いいじゃん。他に行くところないんだって」
 晃一が顔の前で手を合わせる。野宿でもすれば、と言いかけたところで彼が神妙そうな顔つきになって、私は玄関のチェーンを外した。どうせ最初から追い返す気なんてなかったのだけれど。

 晃一とは去年まで付き合っていた。別れたのは単純に一緒にいることが面倒になったから。私と彼は根本的に分かり合えない種族なのだと、その時思った。
 でも、だからといって仲が悪いというわけでもない。たまにはメール交換もするし、それに今みたいに晃一のほうから私の家に来る事だってある。

「シャワー借りていい?」
「どーぞ」
 浴室に向かう晃一の広い背中を見つめていると、彼に日頃から訊きたいと思っていたことが頭の中に溢れてきた。

本当は、終電は十一時半なんじゃないの。
私の他に親しい女の子はいるの。
今、私のことどう思ってるの。





 けれど晃一がシャワーを浴びて戻ってくると、そんなことは頭から吹き飛んでしまった。

「彩菜、」
 彼が私の名前を呼ぶ。私はふらふらと彼の元に近づいていった。
「何」

 次の瞬間、私の身体は晃一の腕の中にすっぽりと収まっていた。熱い抱擁をされ、とろけそうな接吻を受ける。もう好きでもない人にこんなことをされて、それでもドキドキしてしまうのはどうしてなのだろうか。
 今日はこのまま彼に身を委ねてしまいたい気分だった。私はどうせ拒めない。嫌だなんて、言えない。




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ええ、完全に魔が差したのですorz
描写はあまりくどくならないように気をつけたつもりですが…(

Re: _ほしふるまち 【短編集】 ( No.71 )
日時: 2015/05/04 16:33
名前: はるた ◆OCYCrZW7pg (ID: Wz/uC4rR)






 お久しぶりです、はるたです。


 【 Good Boy…? 】読ませていただきました。
 ヘタレ男子……、こう小説の中でのキャラ……肇君みたいな子は好きですが、現実のヘタレは「はぁ」とため息を漏らしてしまいます。いるんですよね、私の知り合いに(笑)
 と、かくゆう私もヘタレなのですが……。
 何も進展しないままの恋、それはそれでいいとは思うのですが、傍から見ればじれったいですよね。肇君から見れば日向子ちゃんの恋は特にじれったいものだと思います。
 でも、婚約者がいる男の人を好きになるかぁ……日向子ちゃんもつらいですよね。それを肇君にまたあおられると思うと、心が痛いですよね。
 肇君は自分のことを最低な男と言っていますが、それは自分の受け取り方によって変わると思います。
 はるたとしては、日向子ちゃんには悪いですが、このことを伝えてあげてよかったと思います。


 【 元、彼氏 】では、ご馳走様でした。
大人な恋の感じが、はるたとしてはとっても嬉しかったです。ドキドキさせていただきました。
 魔が差してしまったのですか、たまにはいいですよね。魔が差してしまったとしても(笑)
 短編の素晴らしさが直に伝わりました。長編より自分でその後を想像できて楽しいです。

 と、最後にですが、すっごく図々しいことなのですが
良かったら私をお客様欄に追加していただけたらと……(汗
 すみません、図々しいことは十分承知の上です、はいっ!



 また次回の更新も楽しみにしています。
頑張ってください。
 


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