コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

少年と洋菓子
日時: 2014/06/09 19:16
名前: はにわ ◆wrfkg3Dbu. (ID: Ib5HX0ru)

初めまして。はにわです。はにわですよ。
わざわざ閲覧しに来てくださりありがとうございます。

独自の世界観をぶちまけて進んでいきたいと思います。
拙い文章ではありますが、是非見てやってくださいませ。
アドバイスや感想を頂けるととってもうれしいです......!!



‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾

プロローグ >>1 置き去りのラナンキュラス

story*1
【わたしと私の名前は】  >>2 >>3 >>6
             >>7 >>10 

story*2
【知識と甘味】     >>11 >>14 >>15
            >>16 >>17 >>22


story*3
【たいせつなひと】   >>30 >>31 >>32 >>35 >>36

随時追加予定です。
 


◆本編完結しました!!

 これまでこの作品を閲覧してくださった方々、本当 にありがとうございました!!!

 実は小説一本を完結させるのはこれが始めてです。
 はにわワールド(?)に同行して頂き、嬉しい限りで す!!!


 これからは前日譚などの執筆となります。
 もうちょっとだけ、お付き合いください。

 【20:01 2014/05/25】


 


後日談

考古学者の独白 >>40


前日譚


少年と洋菓子 >>41

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9



Re: ラナンキュラスと少女 ( No.28 )
日時: 2014/05/14 17:59
名前: 朔良 ◆oqxZavNTdI (ID: 2IhC5/Vi)

 こんばんは! 朔良です。

 クレド君苦労しているなあ〜笑
 フェリスさんがクレド君をからかっている様子に和ませて頂きました(*^。^*)

 ウサギのお人形に!
 うーん、やっぱりリリーちゃんは不思議な少女ですね。
 良い意味で何を考えているのか分からない
 ウサギのお人形がキーパーソンになってくるのか気になるところです(+o+)

 

 はにわさんの物語はついつい読み耽ってしまいますね。
「はにわワールド」全開で、自分の世界を完全に分かっている、という感じがして羨ましいです!


 更新応援していますね!
 

Re: ラナンキュラスと少女 ( No.29 )
日時: 2014/05/15 22:43
名前: はにわ ◆wrfkg3Dbu. (ID: AwgGnLCM)


またまたお越しいただきありがとうございます!!

クレドについてのコメントは我ながら珍しいなと思いました。
和んでくださったようで嬉しいです。
なるべくヘタレになりすぎないよう頑張って描写していきたいのですが……どうも気弱になってしまい、難しいです。


リリーは自分でも割とつかみづらいキャラなのです……
口調も動作も今の所少ないからでしょうか。
うさぎの人形については……考察をめぐらせてくれると嬉しいです。


うわわありがとうございます!!読み耽るだなんて光栄です!!!
はにわワールド(仮)のためまだまだだと感じています。私は。


コメントありがとうございました!!
まだ至らぬ点などあると思いますが、日々進歩していきたいです……!!

Re: ラナンキュラスと少女 ( No.30 )
日時: 2014/05/25 18:43
名前: はにわ ◆wrfkg3Dbu. (ID: AwgGnLCM)


「……え?」
リリーを慰めていた彼女の口が、ふと止まる。
流暢に喋っていたのは——別人なのかと思うくらいの沈黙。


今度は俺がその空気を裂く様に、問う。
「このでかい人形に」

——あげるの?リリーちゃん。
隣に座るうさぎの人形——無機物、に食べ物を与えるなんて、俺の知っている常識ではありえなかったから。



リリーは、顔をいくらか陰らせる。
「ううん」
「わたしのたいせつなひとがおいていった、から」
「これを、わたしだとおもって、だって……」

どうやら横槍を入れられないようで、ぽかんとしている。
頼みの綱——フェリスが。それは俺も同じだったけど。
構わず、細々とした口調で、続ける。

「だからこれはわたしのたいせつなひとだって」
「おなじようにはなしかけて、おなじようにたべものもあげたけれど」

「やっぱりあのひとはあのひとで」

表情が曇る。

「こんなの、」

曇る。

「こんなのに、あのひとのかわりができるわけがなかった!」

——突然、声が大きくなり、見開かれた目に動揺する。
その心を読み取ったのか、

「……ご、ごめんなさい」
と今度は目を伏せて謝る。

ああ、失敗した——一番触れられたくない部分に、触れるだけでなく傷までつけた。そう、思った。

「リリー」
フェリスがようやく、といった感じで口を開く。
先ほどの声に驚いたのか、苦笑いをしつつ目を潤ませている。

「じゃあこのケーキはどうしようか」
「私は皆で食べたほうがその人も喜ぶと思うんだ?」
まだ引け目を感じているのだろうか、リリーは頷くだけだ。

俺はいつも、こうだ。
この子の気持ちも分からずに——ああさっきもだっけ、参っちゃうな……


——ごめんね、リリー。
「その大切な人の名前はもう思い出しているんじゃないの?」
「どうやらその人の言動も、覚えてるみたいだし?」

「本当は」

「思い出したくないだけじゃないの?」
「ねぇ」
フェリスが、そんな俺を先ほど部屋を震わせたリリーと同じような目をして見る。

顔、その顔に明らかに焦りが浮かんでる。

——リリーが、俺を目掛けて


フォークを突き刺す、と思った。
でも、違った。

——正確には俺の目の前のケーキ、苺を突き刺していた。
大して手をつけていなかった「それ」はぐしゃり、と形を崩した。

そして、頂上にあった苺を。
俺の口に向かってそれのささったフォークを向ける。

「クレド」
「きかないで、もう。本当にごめんなさい」
「おもいだしたら、つらくなっちゃうから、ごめんなさい」

リリーは、フォークを俄然俺に向けたまま、俯いて喋る。それは、意思の強さを感じさせ、悲しくなった。


ああ、はたから見れば滑稽な図であろう。
仕方なく、その苺を食べる。

その矢先、フェリスに鼻で笑われる。——さきほどまで情けない顔をしていたくせに!!

「なんであんなに豹変しちゃうんだい?」
——考古学者様。

耳元で、嫌味を囁かれる。
そうだ、相手は子供だったのに——なんでだろう。
調べ物となると、口が勝手に動いてしまうのだ。


「さ、ケーキ食べ終わったら——」
「町にでも行こうか、ね?」
またあいつが仕切り始める。リリーは先ほどよりは落ち着いたようで、

少し微笑んで頷いた。その表情を見ると、大人のようにも見える。
ああ、この笑顔を簡単に引き出せるのは


——あいつだけの特権だろう。































Re: ラナンキュラスと少女 ( No.31 )
日時: 2014/05/18 18:59
名前: はにわ ◆wrfkg3Dbu. (ID: AwgGnLCM)

俺は台所に置いておいた本を手に取る。
無意識の内に、安全な所に置いていたようだ。

「フェリス」
リリーは彼女の名前を呼んだ。その顔は一見何ともないように見えるが、良く見ると疲れが浮き彫りになっている気がした。


「わたしもまちへいきたいけど、すこしつかれちゃった……から」
——そんな目で俺を見ないで欲しい。
こんな奴に気遣いなんて必要ないんだよ、仮にも君を傷つけたんだから。

「ここでちょっとだけねててもいいかな」
言いつつ、床にそのまま小さな体を横倒しにした。
綺麗な銀髪がはらり、と床に落ちる。

感情は人を疲れさせるって、俺は思う。とくに、負の感情は。
それを生ませたのは、紛れもない自分で……
だからリリーちゃん、俺のせいだから気にしないで——
ごめんなさい、と先ほどの彼女のように呟いた。

ううん、と疲れきったような笑顔で、目だけこちらに向けられる。



「そーかそーか……じゃ元気になるまで私ら待ってるから」
「ゆっくり休んでね。リリー」
そういつつフェリスがドアに向けていた体を、ぐるり、とこちらに向ける——その拍子に、肩までゆるく巻いてある栗色の髪が揺れた。



「ふぅ……。話は外で聞こうか……ちょっとこい」
リリーが寝息を立て始めたのを確認し、フェリスは俺の手を思い切り引っ張り、ドアを開け、外へと連れ出した。

外の眩しさに目を細め、空けると凄みのある目で睨まれていた。
ああ、この光景は確か前にも見たような——


「リリーには優しくといっただろう!?」
「もう部屋の中にいる時の皮肉程度じゃ私は終わらないぞ!!」


——そして、また怒られる。

「ちょっと待って、それは悪かった。でも、まず分かった事があるんだ」
「はぁ……?その話はすぐ終わるんだろうな、おい」
相手の文句を聞いてから自分の言い分を。割と良くやる。

「リリーは、あのとき」

——あのひとがこれをわたしだとおもってって、おいていった

って言わなかったかい?
じゃああの家にはリリー以外にも誰か住んでたって事さ。
しかも素直に要求を呑んでいた——よっぽど信頼されてたんだろうね、
リリーのいうたいせつなひと、ってやつは。

そこまで言い、怖くなった。どうして?
——彼女は少なからず、俺らが来るまで、あのうさぎのにんぎょうとすごしていたってことが分かったから。

生身の人間と同じように。話しかけて、食べ物まであげてたといっていたっけ。
——あの子は人という領域を逸脱しているのか。
  それに食事は?風呂は?着替えは?


「じゃああの子は何なの?」
フェリスの苛立った様子はいつのまにか色を引いていた。
当然だ、話しをしているこちらまで、恐怖がこみ上げてきたんだから。



「さぁね……でも一つ言える事は」
「何」

「彼女が東洋人だって事」
——あの綺麗な目、見た?俺らのと違うでしょ?
そういって、自分の目じりを、人差し指で軽くつく。

「じゃああの銀髪はなんだと思う?」
俺はそう問われる。
「突然変異——アルビノかなぁ?」
「そうだったら目も赤いでしょう?」

——もう、自分で質問したくせに。
  俺だって適当な答えを提示して、悪かったとは思うけどね。



そもそもあの子が、どこから来たのかすら知らないことに気づく。
「あの子は、一体いつからあそこにいたんだ?」


小さな足音が近づいてくる。

話の中心となっていた彼女——リリーがドアを思い切り開けて。
その表情は、俺らが浮かべているのとそっくりで、

——恐怖?
そして、リリーは悲鳴をあげるようして言い放った。










Re: ラナンキュラスと少女 ( No.32 )
日時: 2014/05/18 21:18
名前: はにわ ◆wrfkg3Dbu. (ID: AwgGnLCM)

フェリスと、クレドがドアをしめてでていった。
ひっぱられていたけど、あのおとこのひとはだいじょうぶ、かな?

つめたいゆかにからだをたおしたまま、わたしはかんがえる。
クレドのいってたとおり、わたしは——あのひとのなまえをおもいだしていたのかな?
すこし、こわかったなあ。


——ああ、あたりがくろく、せまくなっていく。やっぱりかんがえるのをやめて、しばらくねていよう。




——だれがはいってきたのかな?あしおとがちかづいてくる。

「へぇ、この子が噂の?随分小さいね」

だれだっけ?

「そうだなあ、少しの間なら、うん、うん」
よくみると、いえのそとにもだれかいて、はなしているみたい。
「ちょうど私も寂しかったところさ、いいんだよ」

ぱたん、とドアがしめられて、へやがくらくなる。

このひとのなまえが、しりたいとおもった。わからないのって、おちつかない。


——こんにちは、私の名前は×××××××・リリー

あれ?なまえがきこえなかった。ここはほかのおとはきこえるはずがないのに——


「ううん、君の名前はどーしよっかなー?」
「そうだ」

ぼんやりとしていたすがたが、うかびあがる。——おんなのひとだ


「ラナンキュラスなんてどうだろう?そんで姓は私のをとって——」
「リリーだ、リリーにしよう」

そのひとは、わたしのなまえをつけてくれて……
じゃあこのひとが?


「じゃあほかのひとにあいさつするときは」
「こんにちはっていうんだぞ」

「それじゃ、練習だ。こんにちは」
——ラナンキュラス・リリー!!

「こんにちは……」

わたしのくちから、かってにことばがはきだされる。きみがわるい。
そうおもっていると、まためのまえがくろくなる。


——ぼんやりとしたけしきがうかびあがり、

「ただいま、ラナンキュラス」
「もう、寝ちゃったのか?ケーキ買って来たぞ」
あのひとがちかづいてきた。

このひとがわたしにとってのたいせつなひとなら、わたしにたいしてわるいことはしないはずだ——そうおもってほほえむ、

いや、ほほえもうとした、けれどそこでまたけしきがとぎれる。
ケーキをつかもうとしたうでは、くうきをつかむようだった。


——まただ。こんどはひがくれている。

「なぁ、ラナンキュラス」
「君の親は誰なんだ?どこに住んでた?」

「えっと、××××××××——」

わたしのしらないばしょのなまえと、しらないひとのなまえはまたつぶやかれる。もうおぼえていないはずなのに——

ばち、とめのまえにひかりがみえて、またきりかわる、——きおく?


「おわかれだ。元気でな」

「ラナンキュラス・リリー」

「私はもうここに戻るつもりはない、そしてこの家は誰にも見つからないだろう。わざわざこんな所にたっているのだから。」
「食事をとらなくたって生きていける。今更だけど——君は本当に人間なのかな?」

おんなのひとはじょうだんでも、いうようにわらった。
——なにを、なにをいっているの?


「さあ、この人形をわたしだとおもってもっているんだよ」
「きっと、長い間一人だろうから——」

そういって、みおぼえのあるにんぎょうがさしだされる——
わたしに、だ。

わたしが、もうひとりいて、ないている——
いつのまにわたしは、じぶんのできごとをはたからみていたの?
——わかりたくなかったから?みとめたくなかったから?


「大好き」
おんなのひとがそういうとわたしがだきしめられて、そのひとはドアへと向かった。


ああ、思い出した。

思い出したの。あの人にもらった知識と愛情、私嫌われてなんかなかった。

ごめんなさい。ずっと忘れてた。

でも、もう間に合わない。あの人はドアを開けて、どこか知らないところへいってしまう———

泣いている場合じゃないのよ、とあの子——わたしに怒りたい。
あの人を引き止めたくなった。どんな手を使ってでも。


——でもそれは叶わない。

嫌、嫌、嫌!!!





——そこで、はっとした。
  白昼夢?
暢気な空気が、寝ている私の体を包んでいる。床のひんやりとした植物の感触が、伝わってくる。

——話し声が聞こえる。どうしてか、ドアを開けたくてたまらなかった。
手遅れになってしまう、気がして。



思い切りドアを開ける。
そして、泣きそうな声で叫んだ。


——待って!!









































Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9



この掲示板は過去ログ化されています。