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リンゴと毒
日時: 2014/05/23 21:53
名前: Tao: (ID: ARSa.OgH)

START…2014・05・09


気軽に立ち読みしてください/ 登場人物の記載はのちほど/
内容はまだちゃんとまとめていません。すいません。


 
 just a minutes...


*登場人物紹介*


寿和ソウ(すわ・−)
平和と時間を貴重とするというかこよなく愛する高校1年生。ずばりツッコミ担当。

赤井凛狐(あかい・りんこ)
毒リンゴを作る謎の少女。年齢不詳。感情表現をあまりしない。

坂屋純一郎(さかや・じゅんいちろう)
小夜子に本気になる、根はやさしい男。

小松恭平(こまつ・きょうへい)
だいたい落ち着いているソウの友人。

藤島篠花(ふじしま・しのか)
家庭事情で学校にはほぼ行かないで働くソウの幼馴染。ヤキモチやき。

里中小夜子(さとなか・さよこ)
昼ドラ大好き国語教師。白雪姫になぜか重点を置く。

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Re: リンゴと毒 ( No.8 )
日時: 2014/05/21 20:48
名前: Tao: (ID: ARSa.OgH)


エピソード8


とんでもない土曜の午前を過ごしているなんて思いもしなかった。病院の廊下を走るのって確か駄目だよな?おこられるよな?と考えながらソウは凛狐の姿を追っていた。


彼女が正面玄関から出ていくのが見え、急いだ。


「あの!毒リンゴさん!!」


名前が分からず、そう言ってしまった。
彼女は自分のことだと気付いて、振り返った。



「なんですか」



凛狐は表情を崩さず言い放つ。毒リンゴさんと言われて何も否定しないしやはり雅也の言っていたことは本当なのだろう。ソウは追ってきたはいいもののどうやって話を切り出せばいいか考えていないし、自分がどうにか出来るわけでもない。

ひたすら「えっと」や「あーそのー」などと言葉を繋げながら彼女の足取りを止めているが、完全にむこうに読み取られているのは事実で、凛狐はため息をついた。



(うわ、ため息つかれた)



「あのー雅也さん本当に悲しんでるし、あれマジだと思うんです。助けてあげてくれませんか」


慎重に言葉を伝えた。
凛狐はずっと同じ表情のままだから、話を聞いてくれているのか信じがたかった。



「あなたはあの人たちの知り合いですか」


やっと答えてくれたかと思えば、自分が伝えた言葉に対する答えではないような・・・

「知り合いっていうか今日初めて会ったばっかだけど…友達の従兄弟なんですが」
「へーぇ——。あなたは初対面の人のことを信じているんですか」
「雅也さんのこと?信じるって———…」
「初めて会った人に何も分かるはずがない。あなたは彼の素性を知らないんじゃないですか」
「素性?」



凛狐は「ふ」と浅く笑って、ソウのほうへ一歩出た。



「彼女がこうなった経緯を教えましょうか。須賀雅也——彼は穏やかな雰囲気だけれど女癖の悪さを隠し持っています」
「は!?雅也さんが——!?」
「あの人に1人の女性を愛すことなんて無理。彼女であるみゆさんも承知で交際していたんでしょうが耐えられなかったんでしょうね。それで——」
「自殺——」
「自殺じゃありませんよ。ただ眠っているだけ———といっても生きているというわけじゃないですが」
「けど、それでそんな行為するってちょっとメンタル弱いんじゃ…」


凛狐の瞳がソウをとらえる。


「試したんですよ。毒リンゴを食べて、彼がすぐに駆けつけてくれることを」


前に、路地裏で雅也に言ったことを思い出しながら、ソウに教えた。


「試すって———」
「女心——あなたも結構分かっていないですね」
「んな———ッ」


なんか頭にきた———ソウは凛狐を見ながら可愛げのないヤツだと初対面ながらもつい思ってしまった。



「誰だって付き合っていれば自分が特別だって信じてるからこそ、試したくなるんです」
「よく分かんねえ」
「私もよくわかりません。気が知れないし、正直馬鹿だと思います」
「え…あんた、さっきまで女性の味方的な発言したわりには、あっさりと裏切ったな」
「私は馬鹿じゃないので。同じ女であってもそのへんが理解できません」


本当にそうらしく、そう話しながら表情は完全に興味なさそうだし、見下しているようだった。
ソウはうーんと頭をひねらせる。



「けどさ——、やっぱり助けてやるのが正解なんじゃないのか。雅也さんがそういう悪いトコもっててもやっぱ今の状況でかなり精神的にきてるし痛いほど彼女さんの大切さ感じてると思うし、みゆさんが目を覚ませば雅也さんが変われるかは本人次第だけど気持ちの持ちようはきっと違うと思う」


どこからか風が吹く。


凛狐は相変わらずの表情だったが、ソウの言葉をしっかり聞いていた。




「あんたが雅也さんの全部の全部——見えてるってことはないと思うよ」



ソウの顔は真剣だった。
沈黙が流れるが—————凛狐の言葉を待っていた。

Re: リンゴと毒 ( No.9 )
日時: 2014/05/21 21:45
名前: Tao: (ID: ARSa.OgH)


 エピソード9



「言いたい放題…」
「え——!?」


凛狐の表情が不愛想に————確かにさっきから平然とした顔だったが不愛想ということは少し不機嫌であることも含まれていて…。


知るか、と凛狐のことなどこの際おかまいなしに考えるソウ。


「みゆさんがこれからどうなるか——実際、あんたが決めることになるんだろ」
「その言い方はどういう意味ですか」
「助けられるのはあんたで、そのあんたが助けないんじゃみゆさんの人生はあんたが消してしまうことと同じなわけだし」
「————」

何も言わない。何を今考えているのかも分からない。

「だってこれはさ、簡単に言えば雅也さんとみゆさんの問題であって、外野のあんたがとやかく言うのって反則だと思う。二人の問題を一つのことと考えれば———毒リンゴの道を選んだのはみゆさんだけど、みゆさんを助ける道を選んだのは雅也さんでそれでもうプラマイゼロでいいんじゃないのか」


予想だにしないソウの言葉に、初めて凛狐がほんの少し表情をかえた。

驚いた————。



ソウは凛狐に近づいて、ポンポンと肩をたたいた。



「とにかくさ——いや、とにかくっておかしいな。みゆさん———助けてやってあげなって。目覚めてほしいって願ってる人がいるんだから目覚めさせてやんないと」
「—————バカバカしい」


肩にのっていたソウの手を邪魔そうに振り払う。


「まあ、あんたはそうだろうけど———」




やっぱり無理か————思ったときだった。




凛狐はふところから——————赤いリンゴ—————を出す。



ソウは目を見開いた。もしかして————と言葉を発する前に凛狐がボソリと言った。



「一口でいい———彼女の口の中に放り込めばいいから」



ポン。とそのリンゴをソウに投げた。ソウはリンゴをしっかり掴んだ。
見た目は普通のリンゴとどこも変わらない。
ただその色と艶は何か格別な——ものだった。



「あ、ありがとー!」


ソウは大きな声で感謝の言葉を言った。



凛狐は振り向かず、そのまま歩き出そうとした—————だが、その腕をソウが掴んだ。



「え」


予想外のことにさすがに彼女も少し驚いた。



「あんたも」
「は———」



そう言って、グイッと凛狐を引っ張ってまた病院の中へ走りこんだ。






——————
———……




病室で、雅也は動くことのないみゆを見つめ、彼女の手を取って、ぐっと涙をこらえていた。
すぐ近くには坂屋と篠花が立っていて、二人ともその光景を切なそうに見ている。



「ソウ…遅いな」


篠花が時計をチェックしながらため息をついた。坂屋は肩をすくめて彼女を見る。

「こんな時でも、ソウの心配ですか好きだねえ」
「心配よ…だって女の子追いかけていくんだもん———心配なはずないじゃん」
「えーそっちー…?」


それぞれに個々の思いを持ちながら時間を待っていると、だんだん近くで足音が聞こえてくる。


「ソウだ!」


坂屋が言うと、篠花が反応し、同時に暗い顔をしていた雅也が少しだけ顔をあげる。


鮮明に足音が聞こえてきた瞬間——ソウの姿があらわれた。



「はぁはっ!雅也さん———!!助かりますよ———」


息切れしているソウの隣には、赤井凛狐が並んで立っている。
あまりにも意外な光景に、一同は言葉を言えないでいる。


「ちょっと」


場に応じず、篠花がずかずかとソウの前に立ち、彼を睨むような顔で見た後、凛狐を目につける。
そして———気になっていたものを見て、凛狐の腕をつかんでいたソウの手を振りほどかせる。


「はいオッケー」


瞬間、にんまりと天使の笑顔になった篠花はソウを迎え入れる。



ソウは雅也とみゆの元へ行って、りんごを雅也に差し出した。




「このリンゴを、一口だけでいいんで、彼女に」
「————わかった」




——————部屋に響く時計の針の音。

———————それぞれの表情

——————刻一刻と時間は過ぎていく———……







——————そして、彼女は目を覚ました。

Re: リンゴと毒 ( No.10 )
日時: 2014/05/22 19:28
名前: Tao: (ID: ARSa.OgH)


エピソード10



小野寺みゆは、眠りについている間、暗い世界の中でこれまでを思い返していた。



いつになったら私を特別だと思ってくれるの?
信じていいんだよね。他の女の子よりもやっぱり私が一番なんだって。
ならちゃんと証明してよ——…どんな形でもいいから。



—————いつだって不安だった。



不安で不安でたまらなくて、思ってることすべてを本人にぶつけてしまいたいくらいだった。
だけど、いつもこらえて感情を押し殺して、彼が帰ってくることを笑顔で待っていた。


「君が一番だ———君以外にいない」



雅也はそう言っていた。————いつも。
他に言葉は思いつかないのかと思うくらい。
けれどあの信用深い笑顔を見てしまうと、ついケロッと何もかも忘れてしまって。
いつも私は、彼に転がされていた——んだと思う。




「愛してる」



簡単に言わないでよ。じゃあいつになったら証明してくれるの。
いつまで待てばいいの。
いつまで感情を押し殺して笑顔をつくっていればいいの。



—————いつになったら私だけを愛してくれるの。




雅也は———昔から浮気ばかり。だけど別れないでいる。私は彼が好きだから。極力浮気だとわかっていても黙っていれば私を愛してくれる。だけど、だんだんおかしいって思えてきた。
おかしいのは最初からだったに違いない。
嫉妬するし腹が立つし————だけど嫌いになれないでいる。




「ごめん————友達が今ッケンカしてやばいんだ!行ってくる!」




あの夜———その友達って女の人?と聞いた私に、雅也は違うよと笑顔で答えた。




なんだかそのときはっきりと、




———あぁ。こんなにも簡単に嘘をつける程度の存在なんだ、私って。




なんて、今更なのにこの時やっと思った。




彼が出て行ったあと、こっそり後ろからついていった。こんなことしても自分が傷つくだけなのに。
馬鹿だと思った。だけど昔っから雅也に騙されてる自分はもうすでに馬鹿だからいいか、と思った。




深夜の街で、彼氏にフラれたのか可愛い顔した女の子が泣きながら、駆け付けた雅也にしがみついた。
雅也はそれを心配そうに見つめた後、力強く抱きしめた。




———————こんな簡単に、抱きしめれるものなんだ……。



ポカンと心に穴があいたような、虚心になってしまった。




「ありえないよ———君が何したっていうんだろうな。俺だったら泣かせないし不幸にもさせないのに」



そんな言葉を投げかけながら、その女の子の背中をさすってあげていた。



—————馬鹿、だ…。あの男は。俺だったら泣かせない?不幸にもさせない?もう私をそうさせてるくせに。




どの口がそれを言うんだと、憤る。
見ているのもイヤで、何度も奥歯を噛みしめて———涙をためながら。



少しもしないで、女の子は雅也に「好き」だと告白した。
雅也は笑顔で、だけど何も言わない。

「嬉しい」


と一言————。


「君の彼氏よりも何万倍だって愛すよ。ちゃんと証明するよ」




数秒もたたず、私は背を向けて走り出した。




視界がぼやけるなか、ただただ走って走って走って—————。
そして、何もかも馬鹿らしくなって笑ってしまった。


地面にひざまずいて、天を見上げて。



星なんて見えない。暗くて———。





「証明するって———? じゃあ———…私にだって証明してよ…誰よりも特別だっていうことを本当の愛を証明してよ」


泣き崩れながら、地面に手を打ちつけた。



すると、突然前から声が聞こえた。



「みゆさん」



「あ、赤井…さん?」



目の前に、赤井凜狐が立っていた。彼女とはほんの一か月前に出会った。
都市伝説だと聞いていた毒リンゴの噂をたどって、彼女に会ったのだ。
噂は本当だった。


何度だって試みようとしたけど、いつも寸前でやめていた。





だけど、もう決心はついた。




「リンゴをちょうだい———…私……もうだめ」




彼女は快く了承してくれた。

Re: リンゴと毒 ( No.11 )
日時: 2014/05/22 21:24
名前: Tao: (ID: ARSa.OgH)



エピソード11



深い眠りから目覚めたみゆは、きっと白雪姫の気持ちでも実感したのだろう、すがすがしい顔だった。
雅也は泣きじゃくり、彼女の体にしがみついた。


みゆは、何にも言わず、動じず、何の表情も浮かべていなかった。
天井の一角を見つめながら、いまこの状況をゆっくりと把握していく。
そして、今までに見たことのないボロボロの顔をした雅也に目を向けて、じーと眺めていた。
ほどなくして、そんな彼の体を振り払って、バッと起き上がる。




雅也と凛狐以外、病室にいるソウ、坂屋、篠花なんて面識がない。




「誰……」



「あーえっと…こいつは俺の従兄弟———って…んなこと言ってる場合じゃない!!」



雅也はそう言い、彼女の肩をがしっと掴んで、面と向かった。




「みゆ——…俺から言いたいことが…あるんだ」


雅也の顔は決意で満ちていた。どんな結果を下すかは———みゆには想像がつかない。
けれど、その前にみゆにも言いたいことがあった。



「ちょっと待って。その前に、私からさきに言いたいことがあるの」


にっこりと晴れあがった笑顔を浮かべて、肩にのっていた雅也の手を掴んで、ゆっくりと下ろした。




「別れてほしいんだ」




決意はしっかりと固めたのだった。



—————
———……



いつの間にか、午後1時を回っていた。


ソウたちは続々と病室から出て行った。
病室の中には、凛狐だけが残っている。


坂屋はさっきから肩からガクンと下がっている雅也をなだめている。
篠花はまだまだ諦めきれずソウにこの後お買い物に付き合うように促していた。


とうのソウは病室の中を気になってみていた。




凛狐は、ベッドの隣にある椅子に腰かけた。


「お目覚めはいかがですか」
「いい気分」

笑顔でそう答えるみゆを見て、凛狐はふーと息を吐く。


「やっと本当の愛に気づいた男を、フッたわけですけど。よかったんですか」
「うん」

これ以上何を質問しても、きっとこんな調子で答えられるのが目に見えた。


「でも赤井さん———どうして私のこと助けたんですか」
「——ちょっとしつこい人がいたので」
「しつこい人?でもすごい…赤井さん…えっと一回実行したらもう止めることなんてないと思ってたから」
「私もそう思ってました」
「じゃあ、そのしつこい人の言葉に心を打たれたんだぁ」
「それは知りませんが」
「ふふ」


穏やかに笑うみゆは、以前の彼女とはもう違うようなきがした。


「帰ります。もう会うこともないと思いますが——。お大事に」


立ち上がり、一礼してから去ろうとした凛狐に、みゆは——…



「赤井さん—————…、ありがとう」




凛狐の目が大きく見開いた。
足が——止まったしかし、振り返ることもなく、凛狐はまた歩き出す。



病室を足早に出て、病院の正面玄関を通り抜けると、日が差し込んだ。



凛狐はまぶしそうにその日を見つめ、足を進める。


「———…」


だが足が止まった。ちょうど真っ直ぐ前に人が立っていたから。


「何ですか」


不愛想な顔で、目の前にいるソウを睨みつけるように見た。
横にはちゃっかり篠花がついている。彼女は今にもソウを連れていきたそうに彼の服を引っ張っている。



「赤井って言うんだな。みゆさんがそう呼んでたからさー…」
「だから何ですか」
「いや—名前なんてあるんだと思って」
「……ありますけど」
「あんた人間なんだよな?毒リンゴ作ってあーいうことするのか?」
「あなたのお連れさんがさっきからどこかに行きたがっている顔をしていますが」


話をそらして、凛狐は篠花を指さした。


「ねーもういい?話終わった?じゃ行こう」

一方的に話しを進めて、ぐいぐいぐいぐいソウを引きずって去っていく。


「それじゃ」
「えーいやーまて」


ソウたちとは逆方向に、凛狐は歩いていく。



(どうせもう会う事もないだろうし、ペラペラ話す必要ないか——)


そう思いながら、外の空気を吸って、歩き進める凛狐————……。

Re: リンゴと毒 ( No.12 )
日時: 2014/05/23 21:43
名前: Tao: (ID: ARSa.OgH)


 エピソード12



——アナタが私の元へ来てくれると言うのならば
    喜んで毒リンゴを食べましょう———…………


女は馬鹿な生き物だと罵られても仕方がない。
理想にかられ現実を受け入れようとしない……。


私はそう思っていた————。




日がめぐりめぐって月曜日!
きっとみんなが嫌いな嫌いな月曜日!!
学生たちはそれぞれ温度差のある顔つきで学校へ向かう。


寿和ソウは自転車をこぎながら坂道をのぼっていた。
額に汗を浮かべ、初夏の暑さを痛感する。


すると、後ろから一台の車が近づいてきた。



「寿和ーっもっと歩道側はしれー」


窓から顔を出したのは、あの白雪姫を昼ドラ的解釈する国語教師の里中小夜子だった。
朝からめんどくさいヤツに会ったとソウはあからさまに顔に出す。


すぐに消え去るかと思えば、ソウのスピードにあわせながら横を走り始めた小夜子。


いや、行けよ。うしろの車がほら何台もつまってる…って。


「で、どう?白雪姫の感想文のほうは?」
「あーまだ、ですけど……」
「もう早くしてちょうだいよー。待ちきれないわ…」


特大のため息をつくなり、スピードをあげてやっとこの場からいなくなってくれた。


「何だよどうせ自分が読みたいだけだろーが…」


ただの感想文ではなくて、昼ドラ的解釈をした白雪姫の感想文を、な。



月曜日の学校ほど嫌なものはない。ソウにとっては楽園たる昼休みのためだけに行くようなもの。
さて、授業の時間をどう潰すか——。
そうこうしていると、いつのまにか学校についていて、駐輪場に自転車を止めたらさっさと校舎に入っていく。


在籍する1−Dに入ると、ほぼ全員学校に来ている。



「だりーー」


小松の机に勝手にカバンをおいて、おまけにその上から腰を落とした。


「おーい、他人の机上に座るな、そして荷物おくな」

小松は無表情の無表情で棒読み。
それにしてもどけてくれないので、力づくでその男をどかした。


「邪魔だっつの!!」
「けー。怒んなよ月曜の朝から。ピリピリしてるねー」


そんなやりとりをしている2人のところに、坂屋が入ってきた。



「よっす」
「おー坂屋…」


ふと思い出したのは雅也のこと。ソウはあの後彼の様子はどうだったのか聞くか迷った。
すると坂屋からそのことを話す。


「兄ちゃんかなりここにキてた」

ここ、と言いながら胸のあたりにこぶしをあてた。


小松は話が分からないので、無言でケータイをいじり始める。


「だいぶフッきれてないよ、あれは」
「マジか。結局あの2人、復縁できねーのかな」
「みゆさんが完全にフッきれてると思うから無理だろ〜」
「だよなー……」


やっぱりあの2人にはもう一度やり直してもらいたいとソウも坂屋も思っていた。
だがきっともうそれはないのかもしれない。


「それよりもあの子だよな。リンゴの女の子」
「あー赤井なーホント何者だろありゃ」
「毒リンゴとか凶器じゃんそれ作れるとかもはや魔女!!」

なぜだか嬉しそうに口にしているのは気のせいか…。


「あーワクワクするーもう一度拝みたいもんだなー」
「なにおまえ……」
「はーおまえ魅力的じゃんよー!」


わけがわからぬ。里中小夜子に本気になったり、凛狐に魅力さ感じたり。こいつはやはりおかしい。



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