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- リンゴと毒
- 日時: 2014/05/23 21:53
- 名前: Tao: (ID: ARSa.OgH)
START…2014・05・09
気軽に立ち読みしてください/ 登場人物の記載はのちほど/
内容はまだちゃんとまとめていません。すいません。
just a minutes...
*登場人物紹介*
寿和ソウ(すわ・−)
平和と時間を貴重とするというかこよなく愛する高校1年生。ずばりツッコミ担当。
赤井凛狐(あかい・りんこ)
毒リンゴを作る謎の少女。年齢不詳。感情表現をあまりしない。
坂屋純一郎(さかや・じゅんいちろう)
小夜子に本気になる、根はやさしい男。
小松恭平(こまつ・きょうへい)
だいたい落ち着いているソウの友人。
藤島篠花(ふじしま・しのか)
家庭事情で学校にはほぼ行かないで働くソウの幼馴染。ヤキモチやき。
里中小夜子(さとなか・さよこ)
昼ドラ大好き国語教師。白雪姫になぜか重点を置く。
- Re: リンゴと毒 ( No.1 )
- 日時: 2014/05/09 19:05
- 名前: Tao: (ID: ARSa.OgH)
エピソード1 「感想文」
「先生思います、もっと刺激がほしい」
国語教師、里中小夜子は重みのある声でそう言った。
どうして彼女がいきなりそんなことを言ったのかというと、彼女が課題にしていた感想文。
国語の授業が、ある程度の分野まで終わった。そこで里中の提案で外国文学を読みその話の感想を書こうとなり、高校生相手だしシェイクスピアとか?そういう何か有名で偉大な外国文学を読ませてくれるのやらと思っていた矢先。
里中がコピーしてみんなに配ったのは、『白雪姫』だった。
うん。確かに有名だし偉大っちゃ偉大。けど、え?
高校生相手に『白雪姫』?白雪姫ってだいたいみんな子供のころにもうマスターしてるくね。
とツッコミを生徒たちはもちろんかけたが、彼女は本気でいてマジでまた読んで感想を書いた。
そしてそれを国語係の、寿和ソウが全員分を集めて昼休みという生徒たちにとっちゃ楽園でむしろ勉強よりもそれ目当てで来てる的な貴重で大事な大事な、もう一回言います、大事な大事な時間に職員室の里中のところに届けにいった。
さっさと渡してメシとケータイとゲームのある楽園たるクラスに階段二段飛ばしで帰ろうとしていたつもりが、
「待って。全員分ここで読むから」
とまさかのストップをかけられて、およそ10分、生徒40人分の感想文をすさまじいスピードで読んでいく里中小夜子。
頼むから教室に戻らして……寿和ソウの引き攣った笑顔がまた引き攣っていく。
そうして彼女の一言、(今にいたるわけだが)
「普通すぎる。予想通りすぎる。先生思います、もっと刺激がほしい。白雪姫読んでもっと刺激的な感想書いてほしい」
昼飯を食べている他の教諭たちが、冷めた目で里中を見る。
里中小夜子、まわりに動じない。己の意志を貫いています。
「白雪姫に刺激もとめてどうすんですか。あの帰っていいですか。メシ食いたいんで。俺、メシ食わないで5限目受けるとか自殺行為ですから」
「もとめるわよ!読んで書かせた意味がなーい!ほら、メシ食いたいなら先生の茎わかめ残ってるわよ、ほら」
「いやいらないですよ。てか昼飯に茎わかめって…」
「うるさいわね。とにかくこれじゃ駄目。もう一回原稿用紙あげるからドラマチックにエキサイティングに心改めて書いてもらって」
とりあえずそれらしい横文字ならべて説得力出そうとしている。
「白雪姫のさー、ほら、あの林檎食べる場面。昼ドラみたいに考えてみてさ、実は白雪姫は策略ねらって食べたとか」
「あの、ホントいいです…そういう解釈ひとりでやってください」
「はー寿和はほんとつまんないヤツだねー、顔は結構いいのに性格が引っ張っちゃってるよー」
「え・・まじすか」
「冗談にきまってんだろ話盛ってやったんだよ」
「なんすかそのアメとムチは…もういいです失礼します」
「油断するなよー、アンタ彼女できて、その彼女がアンタ試すために毒リンゴ食っちゃうかもよ」
「は?試す」
寿和ソウは苦笑いしながら里中に背を向けて、静かに職員室を退出。
その瞬間、猛スピードで楽園(昼休みの教室)に走り出す。
- Re: リンゴと毒 ( No.2 )
- 日時: 2014/05/09 20:33
- 名前: Tao: (ID: ARSa.OgH)
エピソード2 「白雪姫って」
5限目まで残り4分という究極のプレッシャータイムの中、ソウは弁当を無理矢理胃袋に押し込んでいく。
もはや人間を忘れているあわれな行動を、友人の小松と坂屋のふたりは無言で眺めていた。
「感想文渡すだけなのにずいぶん遅かったな。教室戻ってきたときのお前がすげーきもかったよ」
回想
全速力で教室に戻ってきた時の寿和ソウ・・・
『うっぎゃあぁぁ!!あぁとごふんしかねえええ』
回想終了。
「もうクラスのヤツらドン引きな。どんだけこの昼休みという時間に命捧げてスクールライフ送ってんだよ」
小松の言葉にソウが反応した。
「勉強に命捧げんのは進学校だけで十分じゃわい!!こういう普通の学校は昼休みに命捧げないで何に命捧げる!!」
言葉に凄みはきっとないのだろうが、重圧のある顔と声になんとも言えない説得力を感じる小松と坂屋。
「もうちょいさーお前も女子にモテるようなヤツになれよなー、イケメンなのにもったいないだろ」
「い、いけめん?まじか」
「嘘だよ話盛ってやったんだよ一瞬の夢を見させてやったんだよ」
「坂屋、俺、ついさっきそのくだりを里中とやってきた」
「里中先生って彼氏いるのかなー」
「え、お前なに。いきなりその発言おかしいぞ」
里中小夜子、28歳にときめく坂屋純一郎、15歳。
「てかよ、里中の白雪姫の感想文って結局なんなわけ?」
小松が話をふってきた。
「何か刺激欲しいらしいから、もう一回感想文書けだと」
「え?刺激?は?ちょっとおい教師がそういう意味深な発言やめろよ」
「あれだよ。白雪姫を色んな角度から見てみろって話」
って解釈してしまっているけど、正しい・・よな?
「白雪姫ねー、なんかあれ王子と白雪姫の展開早くね?」
「すぐ結婚したよな。現実じゃありえんな、疑うな」
「キスしたのがイケメン王子だったからよかったものの、ブサイク王子だったら眠りから覚めた瞬間、ショック死じゃね」
「ありえるな、白雪姫そこらへん運を持ってたんだよ」
などと夢をぶっ潰すような話を永遠と語っていると、あっというまに5限目のチャイムが鳴った。
「おいおいおい!!俺まだ弁当半分しか!!」
「白雪姫トークが盛り上がったせいだねー」
「里中…許すまじ」
弁当を見つめ、ぐっとこらえてフタをとじた。
—————
「鳴滝先生。私、一度でいいから白雪姫方式つかってみたいんです」
放課後の職員室。小夜子は目の前のデスクの年下教諭の鳴滝に突然とささやいた。
「あの…何ですか。しらゆきなんちらって」
「白雪姫方式ですよー、ほらー、毒リンゴ食べてー、王子様がきてくれるっていうー」
「あー・・・なるほど、里中先生は若いですねー・・・はは・・」
「ちょっとそう引かないでさー。だってロマンチックじゃないですかー危機に訪れる運命の人とかー。あ、私イタかったですか今の??」
「…さあ」
「でも私、女って付き合ってる男を試してみたくなるんだと思うんですよね…どれだけ自分を愛してるかって。ちょっと重いですけど。毒リンゴ食べれば駆けつけてくれるほど自分のこと愛してるのかって…。恋人同士に限らないと思うんです……。」
鳴滝は何だか重くてついていけそうになかった。
小夜子はなおも話す。
「馬鹿になって…わざと毒リンゴ食べて、好きな男が助けに来るのを待ったり、そういうのって現実でも置き換えてみればたくさんあると思いません?本当に毒リンゴ食べちゃって、それでも好きな男が自分のもとへ来なかったらどうなるんだろう…」
「そのまま眠りにつくんじゃないんですか」
「そうなのよねー。あぁ、すんごいロマンティック!!昼ドラ愛する私には何とも大好物すぎる…」
小夜子の謎のテンションに鳴滝はついに肩をすくめる。
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