コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 友達同好会
- 日時: 2014/09/01 19:38
- 名前: コベントリー・プディング (ID: DdpclYlw)
こんばんは。
まだまだ不慣れなところもございますが是非とも
ご覧ください。
感想、批判、リクエスト、お気に入り登録、
なんでも待ってます。
(この作品にはパロディやメタネタが多いです、
苦手な方はご注意を)
読者の皆様(ありがとうございます)
フレンチさん >>19
登場人物紹介 >>14 >>15
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活動5 深海より愛をこめて >>21 >>22 >>23 >>24 >>25
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>>34 >>35
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- 活動5 深海より愛をこめて ( No.24 )
- 日時: 2014/08/18 17:00
- 名前: コベントリー・プディング (ID: DdpclYlw)
「ちょっとあんた、生臭いなんて
かわいそうじゃない?」
小百合が一義を蔑んだ目で睨む。
「わ、悪かったよ……」
一義がアリエンに小声で謝る。
「実は私、溺れていたあなたを助けたんです」
アリエンが一義に告白する。
「そのとき私はあなたに一目ぼれしてしまい、
あなたと結ばれたいと思ったんです
だから魔女と契約して声を失う代わりに
一週間だけ人間の体を手に入れたんです」
「あれっ、今は声を出すことができるのか?」
元治がアリエンに尋ねる。
「はい、このブレスレットを巻いていると
声を出すことができるんです」
「なぜあのときブレスレットをしてなかったの?」
キャロルが尋ねる。
「高くて買えなかったんです、
これ一本八千円するんで」
「そこまでしてあいつに惚れたってこと?」
小百合がアリエンに尋ねる。
アリエンは答えた。
「惚れていたということです」
「あれで私のプライドはめちゃくちゃにされました
だから一義さん、今度は私があなたに
復讐を遂げます」
怒りに震えた声でアリエンが一義に言い放つ。
「待ってくれよ、もう生臭いなんて言わないよ
寿司のわさびも我慢する、だから許してくれ」
一義が必死に頭を下げる。
アリエンがナイフを突き出したが、一義を切りつけようとした途端
アリエンはナイフを床に落とした。
「うぅ……」
アリエンが涙を流す。
「やはりあなたを殺すことはできません、
あなたを愛してしまったから……」
すると、アリエンは突如走り出した。
「おい、待てよ」
一義たちがアリエンを追いかける。
アリエンは深いプールの前に立っていた。
その水槽の中には大きな鮫が泳いでいた。
「おい、まさか……」
アリエンは飛び込むつもりだった。
「だめだ、死ぬことはないだろ」
一義たちが必死にアリエンを羽交い絞めにする。
「いや、離して!」
アリエンは一義たちを突き放し、水槽に落ちた。
「うわっ、助けて!」
アリエンの隣にいた絹恵も水槽に落ちてしまった。
すると大きな口を開けた鮫が二人を飲み込むと、
プールの底に消えていった。
一義は崩れ落ちると、泣きじゃくった。
「全てオレのせいだ、二人はオレのせいで死んだんだ」
「あんたのせいよ、どう責任取るつもり?」
小百合が一義に問い詰める。
「本当にすまない、どうしよう」
「何をどうするって?」
一義の耳に、どこか聞き覚えのある声が届いた。
見ると、その声の主は絹恵だった。
「絹恵ちゃん!」
小百合が絹恵に抱きついた。
「足はあるよね?」
キャロルが尋ねた。
どうやら足はあるようだ。
「あれっ、アリエンさんも!」
元治がプールを見て驚いた。
プールには、アリエンの姿もあったからだ。
- 活動5 深海より愛をこめて ( No.25 )
- 日時: 2014/08/19 01:44
- 名前: コベントリー・プディング (ID: DdpclYlw)
一義たちがアリエンの元に駆け寄ると、
アリエンの横に大きな骨が浮いてきた。
「こ、これは……」
一義が骨に驚いた。
実はアリエンと絹恵は飲み込まれたあと、
絹恵が鮫の体を食い尽くしてしまうことで
鮫から逃れることができたようだ。
あの大きな骨は鮫のものだった。
「た、助かってくれてよかった……」
一義が安堵からへたり込んだ。
「あれっ、元の姿に戻ってるな」
元治がアリエンの姿を見て気づいた。
どうやら魔法が解けたようだ。
そして、一義たちが帰る時が来た。
潜水艦で陸に上がったあと、一義は
アリエンから二つの箱をもらった。
「開けるも開けないも自由ですよ」
アリエンが微笑んだ。
「ありがとう、楽しかったよ」
一義がアリエンに手を振る。
「もう二度と会うことはないでしょう、
でもこれで私のことを忘れないでくださいね」
そう言って、アリエンは海の中へ消えていった。
「おいてめーら、三日間も何してたんだ?」
一義たちの後ろから怨念のこもった声が聞こえた。
声の主は家康だった。
「これはオレをほったらかした罰だ、よこせ!」
家康が箱の一つを奪い取った。
「金銀財宝が眠ってるに違いねぇ」
家康が箱を開けた途端、家康は煙に包まれた。
その直後、年老いた家康の姿が現れた。
「これは開けてはならないものだったんだ」
元治が家康を見て呟いた。
結局、もう一つの箱は海の底に捨てられた。
数日後、一義たちは部室にいた。
部室の隅では、年老いた家康が少女漫画を読んでいた。
「気持ち悪さは老いても衰えないとは本当だったんだな」
元治が家康を見て呟いた。
「あっ、あれ見てよ!」
ニュース番組を見ていた小百合が叫んだ。
そこには、真珠のネックレスや金塊などの
大量の財宝を抱えた陽子がインタビューを受けていた。
「一攫千金を狙って海の底を探していたら
これを見つけたんだよ」
笑顔で陽子がインタビュアーに答える。
「あぁっ、持って帰っていればよかったんだ……」
キャロルが残念そうに呟く。
「そうだ、面白いものを見つけたんだ」
陽子が箱の奥から何かを取り出して、カメラに見せつけた。
それは、一義とアリエンの顔写真が入った絵皿だった。
「あれって、結婚式でもらうやつじゃん」
元治が少し引いている。
「もらって困るものランキング上位の常連だよね……」
小百合もドン引きしている。
「もらって困るといえば
・肩たたき券
・熊の剥製
・自作のラブソング
いろいろあるけど、これは特にいらないよね」
キャロルが少し青ざめている。
これを見た一義はまた一つ教訓を得たようだ。
「玉手箱、必ず開けるべからず」と。
- 活動6 ロゼ・マドモアゼル ( No.26 )
- 日時: 2014/08/19 14:50
- 名前: コベントリー・プディング (ID: DdpclYlw)
「お前にいいものあげようか?」
いつもの部室でおっさんが突然、
ソファで元治と野球盤で遊んでいた
一義に笑顔で話しかけた。
おっさんがポケットから一円玉を取り出した。
「この一円玉はすげぇんだ、
裏のデザインが表に、表のデザインが裏にあるんだ」
「おい、それって……」
元治が怪訝な顔をする。
「すげぇじゃん、それって」
一義が顔を輝かせた。
「だろ?
こいつをお前に千円で売ってやる」
一義は財布から千円札を取り出すと、おっさんに渡した。
「毎度あり」
おっさんが一円玉を渡した。
その日、一義は元治の運転する
マセラティ・クアトロポルテ(イタリアの自動車メーカー
マセラティ社が生産する高級セダン)の
助手席に座っていた。
一義の手にはさっきの一円玉があった。
「なぁ、もしかしたらこれって凄い高いものだったりするかな?
ちょっと質屋寄っていこうぜ」
一義が元治に質屋へ行くよう促す。
一義と元治が質屋に入る。
質屋の店に入るとすぐ横に、170センチほどの
大きな人形があった。
肩まで伸びた金髪に透き通るような白い肌、
かわいらしいドレスを身にまとい
どこか悲しげな表情をしている。
「随分でかい人形だな」
一義が人形を見つめる。
「ビスク・ドールさ」
元治が答える。
「陶器でできた人形で、昔ヨーロッパの
貴族の間で流行していたんだ、
でもこんなに大きいのは珍しいな」
「まぁどうでもいいじゃん、目的はこれじゃないだろ」
一義が店の奥に向かった。
「これ、いくらになりますか?」
一義がのカウンターの店主に
一円玉を突き出した。
「一円だけど、ふざけているなら
帰ってもらうぞ」
「そんなことあるか、これは裏のデザインが表に、
表のデザインが裏にあるんだ」
一義が反論する。
「だからただの一円玉だぞ」
「やっと分かったか、お前は騙されたんだよ」
元治が笑った。
「絶望した!」
ショックを受けた一義は、近くに置かれていたベルトで
首を吊ろうとした。
「バカ、それはナポレオンが愛用したベルトだぞ」
店主が必死に止める。
「それ信じてるのかよ!」
一義が店主に呆れる。
「何をやっているのかね君たちは」
店に入ってきた一人の男が一連の行動を見て
絶句している。
「が、学長!」
男の正体はギャバン学長だった。
「ここは子供の来る場所ではない、帰りなさい」
学長が一義と元治を追い出す。
「久しぶりに絵画でも買おうかと思ってね」
学長が店主に話しかける。
芸術品のコレクションが趣味の学長は
よくここを訪れているらしい。
「ところで、これは美しいビスク・ドールだね」
学長がビスク・ドールに歩み寄る。
すると、どこからかこんな声が学長に聞こえた。
「私を買っていただけません?」
「何か言ったかね、店主さん」
学長が尋ねるも、声の主は女性だった。
「このビスク・ドール気に入ったよ、買わせてくれ」
学長は店主に金を渡すと、そのビスク・ドールを
愛車の助手席に乗せて帰った。
- 活動6 ロゼ・マドモアゼル ( No.27 )
- 日時: 2014/08/20 01:05
- 名前: コベントリー・プディング (ID: DdpclYlw)
翌日、同好会の部室で一義は
おっさんに詰め寄っていた。
「おいおっさん、千円返せよ」
「何のことだ?」
おっさんがとぼける。
「昨日のあの一円玉、ただの一円玉だったぞ」
「おっ、気づいたか
お前にしては早く気づいたな」
おっさんが感心する。
「聞いたよ、あんたあんなの千円で買うとかどうかしてるよね」
小百合が一義を茶化す。
「そこまでのバカは珍しいよ、
完全試合級のバカだね」
元治もうっすら笑っている。
「てめぇら、もう許さねぇぞ」
一義が小百合たちに向かって歩いていると、
部室のドアが開いた。
「まったく、またあのなんちゃってヒーローね」
絹恵が呆れている。
しかし、ドアを開けたのは陽子ではなく
学長だった。
「君達、もっと静かにやれんのか?」
「これはこれは、宇宙刑事どの」
おっさんがとぼける。
「そのネタは世代的に読者分からないからな」
ギャバン学長が指摘を入れる。
学長は車椅子を押していた。
その車椅子に乗っていたのは昨日のビスク・ドールだった。
「紹介しよう、私の妻のカミーユだ」
カミーユと名づけたビスク・ドールを
まるで人間のように扱っている。
「それでは失礼するよ」
学長はカミーユの車椅子を押して
部室を出て行った。
「なぁ、あの人形ってアレか
空気を入れて膨らまして、いくつか穴がある……」
「あー、それダメダメ
成人男性のお人形遊びの奴とは違うから」
一義がおっさんの口をふさぐ。
「あれはそういうイヤラシイ人形じゃなくて
ビスク・ドールというアンティーク人形さ」
元治が顔を赤らめてフォローする。
「でもあの人形、まるで生きているみたいだったね」
小百合がキャロルに語りかける。
「人形には魂が宿るってよく言われているよ、
もしかしてあの人形にも宿ってるのかも」
キャロルが笑う。
「なんだか気持ち悪かったよなぁあのオヤジ、
人形なんかに恋しやがって」
家康が高笑いをする。
「あんただって二次元がどうこう言ってるじゃん、
紙なんかに恋してるじゃん」
絹恵が冷ややかそうに反論する。
「バカ、二次元というのはお前ら三次元と違って
優しくて温もりがあって……」
家康が必死に語るも、絹恵たちは彼から離れていった。
「かわいそうに、いかれてるんだね」
絹恵が哀れんでいた。
「あの人形はかわいいけどさ、奥さんみたいに扱うのは
どうかと思うな、オレ」
一義が元治に語りかける。
「イマジナリーフレンド作ってたお前が言うか、
随分偉くなったもんだな」
元治の言葉に、一義は悲しげな表情をする。
「そうか、オレも一緒だったのか……」
「まさか学長様はあの人形の下僕にされちまってるんじゃないか?」
おっさんがビールを飲みながら笑う。
「ホラ、そういう話あっただろ
ああいう人形と契約させられて人形達の戦いに巻き込まれるみたいな」
「あぁ、かわいい絵柄だったよなあれ」
元治も同調する。
「たしかこの作者も好きだったよな、
男なのにああいうの大好きだもんな」
元治が笑った。
「アレに影響されて紅茶とか飲んでたよな
ダサい奴だよなぁ」
おっさんも笑う。
「とにかく、あの人形には何かがあるんだ
語りきれないほどの魅力がな」
おっさんが言い放った。
- 活動6 ロゼ・マドモアゼル ( No.28 )
- 日時: 2014/08/20 20:47
- 名前: コベントリー・プディング (ID: DdpclYlw)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
その日の晩、学長は自宅の食卓でカミーユに
ステーキを切り分けると、食べさせるそぶりをした。
食事用のナプキンも首に巻いてあげた。
「どうだい、おいしいだろ?」
「えぇ、でももう少しレアにしてほしかったですわ」
カミーユが学長に話しかけるが、口は全く動いていない。
どうやら声は学長にしか聞こえていないようだ。
「美しい、君はエヴァそっくりだよ」
学長がカミーユに見とれる。
エヴァとは、五年前に白血病でこの世を去った
学長の前妻だった。
壁にかけられたその写真は、カミーユそっくりだった。
「ずっと一人で辛くはなかったのかしら?」
カミーユ(CV:ゆかなさん)が尋ねる。
「寂しかったとも、だが私は今は寂しくはない
君と出会えたからね」
学長が笑顔を見せる。
その後も、学長はひと時もカミーユから離れなかった。
お風呂も一緒に湯船に入り、
寝るときも同じベッドだった。
翌日、陽子が学長室に入ってきた。
「おおっと、学長
その人形はどうしたんですか?」
「人形ではない、私の妻のカミーユだ」
学長はカミーユに紅茶を入れると、
カップを持って口元にあてる。
「おいしいかい?」
「まだまだね、温度が低すぎるし
動物性ミルクも使ってるし……」
「すまなかったよ、今度は気をつけよう」
学長が一人で人形に話しかける光景は
陽子には異様に写った。
「と、いうことだ
人形に恋をするとはあの人も何かを
まいてしまったのか?」
部室で陽子は、一義に相談をしていた。
「でもあの人形に心底惚れているなんて
おかしいよな」
「そうだ、あの質屋の店主に聞いてみよう
何か分かるかもしれない」
元治が提案した。
「あの人形は、19世紀半ばに
フランスの田舎町で当時無名だった
カミーユ・フィリップスという女性職人により
作られたものだった」
店主が人形について一義たちに話す。
「カミーユ?
あの人形の名前もカミーユだったわね」
小百合が一義に尋ねる。
「他に何か知ってることはありませんか?」
陽子が尋ねるも、店主は首を横に振った。
数分後、一義たちは元治の自宅の
豪邸の書斎にいた。
「随分でかいな」
図書館を見渡して陽子が呟く。
「そりゃそうさ、ここには
五万冊以上の本があるから」
元治が誇らしげに言った。
「それはすごい、だがお前には読めなそうな本が
たくさんだな」
陽子が笑う。
「そんなことはないさ、オレが読むのは
小林多喜二(蟹工船の作者)や
ゲーテなんかを嗜むよ」
元治が笑う。
「ゲーテなら私も読んだぞ、
作者が思い出せんが」
陽子が反論する。
書斎の奥から、小百合が大きな本を持ってきた。
「これを探してたんでしょ?」
机の上に本を置く。
800ページはありそうな分厚い本で、
そのタイトルは「人形の歴史」とあった。
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