コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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Sweet×Sweet【短編集】
日時: 2016/01/16 16:06
名前: ヒナ (ID: dB4i1UE/)

はじめまして、こんにちは。
ヒナだった、左右りと、と申します。

閲覧頂きありがとうございます。


少し前までこの小説スレは、恋愛もののみ扱っておりました。
ですが、それ以外のものも含まれていたことに最近気づき、変更しました。

なんでもありの短編集です

わたしの妄想力を最大限に発揮させて頑張りますので、応援、又、コメントよろしくお願いします。

【Sweet×Story】

1. 本当の幸せ >>1
2. 雑踏の中で >>2
3. 青春の喜び >>4>>5>>6
4. チューリップ >>16
5. ヒヤシンス・白 >>17>>18>>19
6. スミレ・白 >>20
7. ニオイヒバ >>24
8.  キイチゴ >>25>>29>>30
9. ホオズキ >>35
10.ヤブデマリ >>38>>41
11.雛菊 >>44>>45
12.いつだって答えは、そこにあった >>48 
13.始まりの鐘 >>49
13,5.If Story/嘘 From 始まりの鐘 >>50
14.人生みち >>53 そのあらすじ >>54
15.
16.

【お知らせ】

・4話からは、タイトルをお花の名前にしています。また【】の外に書いてある言葉は、花言葉ですので、よかったら覚えてくださiい(*^_^*)
・6/24……参照500突破!!!
・7/02……↑を記念、感謝して、イラスト公開!!>>31
・7/05……参照600突破!!
・7/16……スランプのようなものに陥りましたので、更新がさらに遅くなります。
・7/21……10話のお話は、長編の練習となっております
     また、その続きを書くつもりなので、短編集とは言えなくなります
・8/01……話数が、10話を突破しましたぁ!!ありがとうございます
・8/07……参照700&10話突破を記念・感謝企画を実行!!>>42
・H26 1/1……あけましておめでとうございます!
      たぶんスランプ脱しました!ありがとうございます
      又、タイトルが花言葉じゃなくなりました


【about me】

名前:左右・りと/さゆう・りと
性別:女
年齢:中3
趣味:小説書く、絵をかく、切り絵、歌うこと
出没場所:コメディ・ライト、雑談掲示板の我がスレ、ツイッターetc...
コメント:ツイッターアカは【@Colalito】です。よく呟きます


よろしくお願いします!!

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Re: Sweet×Sweet ( No.16 )
日時: 2015/04/16 17:38
名前: 左右りと (ID: BKd.hc6i)
参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs/index.php?mode


【チューリップ 1/7】いつでも待ちます。


雨が降っている。このところ、ずっとこの天気だ。もう、4月。なのに、わたしの心にも、彼らの世界にも春はまだ来ない。

*

 雨が降っている。
 わたしは、雲のように……涙を振りまく。数多の人々に、無数の植物に、乱立するビルに。たくさんの色を、少し暗い色に染めていく。そして——わたしの心も。
 100円ショップの傘をさして、とぼとぼ。世界のアンニュイな雰囲気が傘に、肩に、全身に圧し掛かって、歩みも遅くなる。悲しむ彼らに、私は————涙を振りまいた。

 もう、何年もずっと。一人ぼっちのような気がして、そんな自分を悲観した。でも、それを言葉にして誰かに伝えることが、恥ずかしくて、嫌で。辛い、ツラい、ツライ、辛。繰り返しては、ただ一人涙を流した。

*

 たくさんの人がすぐそばにいるのに。自分を含めて43人も、この部屋にいるのに。部屋が狭く感じるほどに、人がいるのに。なぜか心が苦しいんだ。
 たくさんの音がすぐそばにあるのに。シャープペンシルを動かす音が、紙がこすれる音が、黒板にあたるチョークの音が、42人分の息遣いがあるのに。なぜか遠く感じるんだ。

 手を伸ばすだけ、無駄。そう思っていた。否。そう思っている。故に、遠く感じる。いつまでも受け身で、だれかが近寄ってくるのを待った。待って、待って、待って。待ち続けた。

 だけど。
 それも今日でおしまい。もうやめよう。待つのは——————嫌いだ。

*

 雨が降っている。
 アスファルトは、降り注ぐ雨に、濡れて少し暗い色に染まる。人も、植物も、全部。少しだけ色が濃くなって、ちょっぴりアンニュイな雰囲気。雨の日はいつも、少しだけ悲しくなる。
それは多分…………みんなが悲しくなるから。雰囲気に流され、悲しむ彼らの上に、今日も雨が静かに降り注ぐ。

*

 雨が降っている。
 お気に入りの傘をさして、鼻歌交じりに歩く。傘が水を弾いて、水が弾けて、心もハジケル。
 悲しみが降り、悲しみに流され、悲しむ——彼らに、わたしは——————。

*

 雨が降っていた。



————————————————————————————————————————————End.


調子に乗りました、すみません。
なんか雨ばっかりで気分もだだ下がりなので、雨にちなんだ話しを——と思ったのですが。

……うん、何が言いたいんだお前ッ!!!!!!!!! +題名と内容が全然あってね——し!!!!!!!!!!

みたいな。はい、文句は受け付けま……………………せn((殴

*

さて、ちょっとだけ解説をします。(醜い言い訳ではありません。決して!)

この話は、雨と主人公アメの心が共通しています。自分に自信が無くて、お気に入りの傘はあるけれど、使えなくて100円ショップの傘を使う。そんなおとなしくて、ネガティブなアメ。そんなアメに、雨は今日も降っては、世界を心を少し暗くします。
 こんな少し暗い世界に、アメの世界はありません。あるのはちょっぴり暗い心と、雨ばかり降る空だけ。学校では、いつも一人。話すことも得意ではないから、話しかけてくるのを待っている。待ち続けたアメはとうとうしびれを切らし、外に出ます。そこには、変わらず雨が降り続いている——しかし、そこでアメはお気に入りの傘を出します
 お気に入りの傘はまだ新しくて、水を弾く。悲しみを弾いたアメは、歩き出します。悲しみに浸る彼らの雰囲気に流されずに。
 そして————雨が降っていた。雨は、悲しみは、止み。アメの世界は始まったのです。

主人公は一応“アメ”って名前で、女の子です。ちなみに『自分を含めて43人も、この部屋にいるのに』というのは、教室の事です。わたしのクラスが(主は中学生です)43人……だった(はず)ので、ちょっぴり拝借しました。そして、雨と悲しみは同義です。
 

 最近は雨ばかりで、春らしくないので……。早く雨が止むことを祈って——。


*


と、ワードでコメントまで書いたのですが…………

晴れましたっっっ!!!!


良かったです(*^_^*)


Re: Sweet×Sweet ( No.17 )
日時: 2015/05/02 18:14
名前: 左右りと (ID: TUeqjs.K)
参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs/index.php?mode


【ヒヤシンス・白 1/4】ちょっとひかえめ



「ねぇねぇ、キミ一人? 一緒にカラオケいかね?」

 喧騒に包まれた駅前。その男は可愛らしい女の子に声をかけている。鼻の下が伸びているがそれを隠そうと努めている。
 そんな彼を鬼のような形相で睨む女の子が、一人。彼女の名前は桧木紗瑛ひのき・さえ。ナンパ男のクラスメイトである。


「風見頼人! 学校をさぼってこんなところで、ナンパなんて悠長なことしているんですか!!」

 先ほどの女の子にOKされたのか、鼻歌でも歌いそうな機嫌のよさで歩き出した男の肩を掴む。
 男——もとい風見頼人かざみ・よりとは紗瑛の声にぎくり、と肩を強張らせる。壊れたロボットのようにぎこちない動きで振り返ったその顔はいくつもの冷や汗が伝っていた。


「か、かいちょー? な、なななんで……こんなところに?」


「ここにわたしが居ては、おかしいですか?」

 わたしが質問に質問で返すと、少し落ち着いたのか先ほど女の子に向けていたような笑顔を貼りつけた。全く。どうして作り笑いなんて。

「おかしいも何も。生徒会長が学校抜けてこんなところいたら、誰だっておかしいと思うはずだよ」

 いつの間にか先ほどの女の子がいなくなっている。だがそんなこと今どうでもいい。

「あなたと一緒にしないでください。わたしはしっかりあなたを連れ戻すという大役の命のもとここにいるんです。先生にも許可はもらっています」

 そういうと頼人の顔に先ほど引っ込んだはずの汗がまた伝い始めた。いくつもの筋となったそれは、ぽたぽたと顎を伝い落ちる。その間にも頼人の目は、あっちこっちに泳ぐ。

「帰りますよ、風見頼人!!」

「えぇ………………でも、でも会長? 俺制服もってな——」

「抜かりはありません」

 言われるであろう言葉を遮り、紙袋に入っている予備の男子制服を掲げてみせる。学校を出る前職員室で借りてきたのだった。

「ですよね—。……じゃ、それ貸して。そこのコンビニのトイレで着替えてくるから。先にもどっ——」

「今日の昼食を買うのを忘れていました。丁度いいです一緒に行きましょう」

「ですよね—」

 

 
 コンビニで駄々をこねてみたが「着替えないならわたしが着替えさせます」という紗瑛の言葉に頼人は結局観念して着替えた。


*


「手がかかります。面倒です。あなたはトラブルメーカーですか。面倒ごとばかり起こして。それの処理は全部わたし。なぜです? 先生たちはわたしをなんだと思ってるのです。爆弾処理班ですか? だったらあなたを瞬間冷凍していいという許可が欲しいものです。だいたいあなたはカラオケに行って何するのですか。歌を唄って楽しいですか。それともなんですか。不純異性交遊をするつもりだったのですか? それこそダメです。手に負えません。大した見返りもないのに授業の時間を無駄にして。先生たちはわたしに進学させたくないのですか。だから授業に出られないようにして、勉強に追いつけないようにしているのですか。……まさかあなたは先生たちとグルなのですか? そもそも——」

「スト————ップ!!!」

 いつもはすぐ終わるはずの紗瑛の愚痴が、今日は延々と続きそうな——否、続いているので話の変わり目で口を挟む。紗瑛は不機嫌そうに顔を上げると「あなたにストップと言う権利はありません」と低い声で言った。これはヤバい。紗瑛はかなり怒っている。
 何をいってもダメそうな雰囲気。しかたなく諦めて紗瑛の話——ほとんど愚痴だが——に耳を傾ける。

「そもそもなんで私なのです? わたしが生徒会長だからですか。教師どもはあれですか、最近流行っている給料泥棒というやつですか。公務員だからって調子乗ってるんですか。この税金泥棒め。わたしに雑務を押し付けて楽しんで、それでも大人ですか。そのくせわたしたちより長く生きているからって上から目線で叱りつけて。これだから大人は嫌なんです。横暴です。大人の横暴が当たり前のように横行するこんな世界が許されるなんて間違ってます。おかしいです。断固反対します。暴動を起こします。わたしたちが正しいんです、ね? 風見頼人?」

 マシンガントークが売りの芸人も真っ青だよ、コレ。こちらを見上げる紗瑛はなんてことないような顔でサラッと罵詈雑言を敬語(?) で言う。

「給料泥棒は別に流行ってないけどね」

 適当に訂正を入れると、数秒固まる紗瑛。だがすぐに前を向くと「根本的におかしいのは日本人の……」と俺の話を無視してまた喋りだす。 
 はぁ、と息をつくと紗瑛は驚いたようにこちらをまた見た。

「な、なに?」

「いえ、ただおかしなことがあるものだと……」

 ごにょごにょと小さな声で言う。さっきまでの勢いはない。

「え?」

「あなたみたいに口を開けば女の人を惑わすようなことしか言わないような人が、ため息を吐くなんて……世も末です」

 と思っただけです、とタイミングよく来たバスに乗り込もうとする紗瑛。俺は少しムッとして、タラップに足をのせかけた紗瑛の腕をつかんで走り出した。

「は!? な、何しているのです? まさかここから高校まで走って帰ろうとかそういうつもりじゃないですよね? いくら頭が悪いからってそんな無謀ともいえることを——」

「デートしようぜッ」

「はあっ!?」

 ちら、と後ろを見ると目を見開く紗瑛の顔が見える。そんなちょっぴり間抜けな表情の紗瑛にニヤッと笑ってみせると、

「不純異性交遊は認めませんッ!!」

と頬を少し赤くさせそっぽ向かれてしまった。……かわいいところあんじゃん。


*


続く(明日更新します!!)

Re: Sweet×Sweet ( No.18 )
日時: 2015/05/04 16:00
名前: 左右りと (ID: e22GBZXR)
参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs/index.php?mode



「年々女子の制服のスカート丈が短くなる傾向にありますが、スカートを短くすることの意味が理解できません。意味不明です。複雑怪奇です。笑止千万です。珍妙奇天烈です。労力の無駄です。短くするための時間を勉強に捧ぐべきです——」

 俺は手に持ったハンガーにぶら下がるワンピースを紗瑛の首元に当ててみる。……うん、似合わなくもないかも。

「——だからわたしはそんなもの着ません」


 俺たちは近くにあったショッピングモールの洋服店にいた。まだ肌寒い季節だが、女子のファッションは先取りが重要。故に春っぽいパステルカラーで店内は溢れていた。

 俺はこれまた春っぽい、桜色のワンピースと、パステルイエローのシフォン素材のシャツに白のスカートのかかったハンガーを両手に立っている。紗瑛にはどちらが似合うだろうか?

「わたしにどちらを当てて見ても、洋服が可哀相なだけです。だからやめてください。それにそれを買ったとしてもわたしは一回たりとも来ませんから、お金の無駄遣いになります。だったらワンフロア下のアイスを奢ってください」

「よし、ワンピースにしよう!」

「あなたの耳はおもちゃですか!?」


「すみませ—ん、試着お願いしま—す!」

 店員さんは制服を着た俺らを少し訝しげに見ながらも、そういうと笑顔で対応してくれた。さすがは接客業、ばっちりの笑顔だ。

「ま、ままま待ってください。わたしは着ません。着るのは彼です。彼は性別こそ男ですが、女装という奇怪な趣味を持っていて——あぁぁぁぁあああ!! たすけ——」

 紗瑛のそんな悪あがきとも取れる断末魔をあげる紗瑛を、笑顔で試着室へと連れて行く店員さんに若干の恐怖感を覚えつつ、俺も笑顔で紗瑛を見送る。








「わ、わわわわ……私は生足をさらすとショック死してしまうという特性を持っていましてですねッ!?」

「わたしの親はとても厳しくて制服以外のスカートを穿くことを許してくれな——」

「私はひらひらしたもの恐怖症でしてぇぇぇえ!! 恐怖にほらっほらっ! じんましんがぁああ!!!」


*


「なんか、弱いものいじめしているみたいな気分だなぁ」
 試着室の外。待っている人のために設置された椅子に腰かけて、中から聞こえてくる命乞いのような悲鳴から逃れるように耳を塞ぐ。なんか、ごめん……。


——シャアアッ——

「お……お待たせしましたぁ…………」

 ニコ、というよりはニタァといった表現が似合いそうな笑顔に変わってしまった店員さんは、ちょっぴり疲れた表情で外に出てきた。

「なんか、ごめんなさい……」

 申し訳なくなってそう謝ると、店員さんは少し困ったように笑って、ごゆっくりと、と店内に戻って行った。さて。

「紗瑛?」

「………………」

「出てきてよ」


*


「なんか、ごめんなさい……」

 カーテンの向こうからそんな声が聞こえる。店員さんの笑顔が恐ろしいものになってしまったことに対して謝っているのか……。そんな気遣いができるなら、わたしにもして欲しいものだ…………いろいろと。

「紗瑛?」

 ひぐっ! のどから声にならない声が漏れる。どうしよう、どうしよう、どうしよう……!? 今すぐ脱がなきゃっ……!

「出てきてよ」





 チラ、とカーテンの隙間から覗き見る。いったいどんな表情で待っているのか、少しだけ、気になったのだ。でもきっとそんなのは、口実。あまり今の自分の格好に自信はないのだけれど、それでも…………見て欲しかったのかもしれない。だから……


——シャア——


 外の声に気づけなかったのだ。


「一緒に行きましょっ!!」

 そういって、頼人が女の——とても綺麗な——人に連れて行かれるところなんて、見たくなかった。

——シャアアッ——


*


「……あの」

 『出てきてよ』そう言ったすぐあと。自分に声をかけられているなんて気づかなかった。だけど、クンと服を引っ張られる感覚にそちらを向くと、とても綺麗な女の人たちが俺の事を見ていた。

「あの、よかったらお茶でもしませんか?」

 逆ナンだ、そう気づくのと女の人たちが俺の腕に腕をからめて強引に引っ張るのは同じで。踏みとどまれずに出口へと進んでしまう。そんなとても悪いタイミングで……

——シャアアッ——

 カーテンの開く音。慌てて振り返ると、自分が選んだワンピースを着ている紗瑛が立っていた。桜色のワンピースは細身の紗瑛によく似合っていて、長いふわふわの髪の毛も相まって人形のみたいで可愛い。だけどその表情は、驚きと、悲しみと、悔しさと、少しのやっぱり、といったいくつもの感情が入り混じって歪んでいる。

「……あ、彼女いる系? マジないわー」

 さっきまでニコニコと笑顔を浮かべていた女の人たちは、紗瑛をみるなりそう言って離れていく。自分たちから誘って来たくせに、と思うが今はそれどころではない。

「あ、さ……紗瑛…………に、似合ってんじゃん、ソレ」

「………………」

「あ、さっきの人たち……? いや、なんかお茶でもしよう、ってさ。断ろうと思ったんだけどむやみに断れなくてさ……」

 どこかで、聞いた気がした。言い訳をする分自分の評価を下げる、って。多分今の俺もそうだ。誤解を解こうとして、どんどん自分を貶めている。いや、それだけならいい。自分の評価なんてとっくに最低だ。だけど、この言い訳は……

「…………黙れ」

 紗瑛を傷つける——。

 そう気づいたのは、彼女が苦しげそう言ったすぐあとで。どうしようもなく言い訳をしていた俺は、いつもと違った口調の紗瑛に驚いていた。彼女の表情は前髪のせいで、よくわからない。

「さ……紗瑛」




「なんて、冗談です」

 なんと言えば、許してもらえるか、と考えあぐねていた俺に、さっきとは打って変わって明るい声が聞こえた。その声はいつも聞いてる紗瑛の声で、視線を上げると少し不機嫌そうな紗瑛がワンピースの裾を持って文句を言っている。

「やっぱりこんな可愛い服は、わたしには似合いません。これは風見頼人、あなたが着るべきです。なので、着替えてきます」

 さらっと恐ろしいことを言う。そんなところも変わっていない。そのままでいい、と止める間もなくカーテンが引かれる。
紗瑛は、気にしていないのだろうか……? さっきのは本当に冗談で、ふざけていた、とか……?



「おまたせしました。さて、着替えてください」

 にこり、と怪しい笑みを浮かべた紗瑛は、ワンピースを俺に差し出した。

「いやいやいやッ!! 着ないから!!」

「フフッ、わかっていますよ。それじゃ、戻りましょうか、学校に……」


 珍しく笑った紗瑛に——今日何回目だろうか?——驚いていた。だから、気づくことができなかった。学校に、と悲しげにそうつぶやいたのを。


*

(続く)

Re: Sweet×Sweet ( No.19 )
日時: 2015/05/04 17:37
名前: 左右りと (ID: e22GBZXR)
参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs/index.php?mode

*

 学校へもどると、先生はご苦労様、と言った。

「ご苦労様、ってすっごい上から目線ですよね。何様ですか。あ……先生様でしたね。ふざけんな」

 さっきよりも言葉の量は劣るものの、言葉が荒くなった紗瑛は先生の対応に相当イラついているようだ。デートの効果はなかった、否逆効果だったようだ。

「まぁまぁそう怒んなよ。可愛い顔が台無しだぜ?」

 我ながら歯の浮くようなセリフだ。紗瑛は、ポカンと俺を見て

「そういうなら、ちゃんと学校来てください」

 
と顔を紅くした。


*


「お待たせしました。先生は相変わらずつまらない話を武勇伝として話すのが好きみたいで」

 下駄箱に寄りかかっていると、後ろからそんな声が聞こえた。

「アイツは武勇伝だと思ってるんだから、つまんないなんて言ったら可哀そうだよ」

 少し口の悪い紗瑛がなんだかおもしろくて、笑ってしまう。紗瑛もそれをみて小さく笑う。
 紗瑛が靴を履いたのを確認し、歩き出す。





一人の半分だけ空いた2人の間に春はまだ来ない。
しかし春の足音は、すぐ——そこまで。



————————————————————————————————————————————————End.

【ヒヤシンス ちょっとひかえめ】

いかがでしたでしょうか? わたしなりに付かず離れずな関係を書いてみました。
さて恒例にしようかと思い始めている、解説を。

*

 2人は、付き合っていません。最初はそういう設定も面白いかな、と思ったのですが、なんにせよ長くなってしまいそうだったので。
 そして、この話の副題でもある『ちょっとひかえめ』。ヒヤシンスの花言葉なのですが、これは頼人と紗瑛とどちらにも当てはまっています。紗瑛は頼人に、悲しい・苦しい・辛い・などと言った気持ちを打ち明けずにいます。また頼人も頼人で、紗瑛に迷惑をかけるとわかっているのですが、それでも紗瑛に構ってほしいから、サボタージュをしています。だからといって想いを告げるわけでもなく。
 故に、2人はどっちつかずな状態で歩き続けます。ヒヤシンスの開花時期は2〜3月なので、ちょうど春ごろだな、と思い設定を春とも冬ともいえる微妙な時期にしました。またこの時期設定も二人の関係に似ているなと思っていたりしています。
 さて、もうすぐ春がやってきますね。

*

といった感じです。
わたしは紗瑛ちゃんがとってもすきなので、もしかしたら続きを書くかもしれません。その時はこの話ともどもよろしくお願いします。

Re: Sweet×Sweet ( No.20 )
日時: 2015/05/06 15:45
名前: 左右りと (ID: qrfsNuOz)
参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs/index.php?mode



【スミレ・白 1/6】 きっと大切に

詞を書きます。
小説を読みたかった方……申し訳ありません。
これはわたしの自己満足なので、読まなくても大丈夫です。

————————————————————————————————————————————

地に咲いた花は 清らかで
哀しげに揺れては 空を仰ぐ

遠く——遠く離れたあなたを想う

いくつもの感情の中で そっと抱きしめた
たったひとつの感情‐オモイ‐

日をめくるたび 失くしていくもの

日がくれるたび 忘れていくもの


すべて あなたがくれたもの


数えきれない日々を おぼえていますか
もう思い出せない 過去の世界‐コト‐を

あなたのなかで 消すことができますか


星が降るような この場所で
あなたの名前を呼んでいる————

忘れてきた 想い‐キオク‐すべてが
菫‐スミレ‐となり わたしを包んでいく

大切に 想って 思ってきたものが
消えていくことが 怖くかった

失うたびに 空いていく 心の穴が
痛かった


だけど、それさえも……
キエテイク


最後の想い‐キオク‐が 残るこの場所で
あなたという わたしを

きっと


大切に


————————————————————————————————————————————


意味が分かりません。

お察しいたします。ですが、怒らないで下さい。
わたしもよくわかっていませ((殴

では恒例の解説を……

*

わたし——すみれといいます——は、星のよく見える場所で菫に囲まれています。ここでの菫はすみれの記憶、大切だった思い出のことです。
 すみれについてですが、彼女には将来を誓い合った大切な人がいまました。しかし彼は、病気で亡くなってしまいます。彼のいない世界で過ごしていくうちに、彼女の中から彼が消えて行ってしまいます。色を失った世界で、菫は年を重ねていく、その分だけ彼を忘れてしまうのです。
 人間は人の顔から忘れていくらしい(多分※)です。
 彼の笑った顔、怒った顔、寂しげな顔、うれしい顔、泣いた顔、喜んだ顔……。日をめくるたびに彼の新しい表情を知れる……それがすみれにとっての何よりの喜びでした。しかし年を重ねるとともに体も記憶も老いていく。古い記憶ほど霞んで鮮明さを失う。それが彼女に何よりの苦しみを与えます。
 そして、彼女は彼女の記憶の中で、唯一色あせない……ある場所へと行きます。よく星の見える場所——そこは彼と永遠を誓った場所でした。星となってしまった彼に一番近く、そして一番幸せだった場所。そこには彼女のなくした想い(記憶)が菫となって咲いています。菫に囲まれて、すみれは彼との約束を思い出しました——。

*

突然ですが、ボーカロイドの曲を作っていらっしゃる『てぃあら』さんという方をご存知でしょうか?
知らないという方は、ぜひてぃあらさんの曲を聴くことをお勧めします。
そんなてぃあらさんの曲を最近聞いているのですが、とても感傷的になってしまうような、問答無用で涙が出てしまうような曲に、歌詞に憧れまして…………。

このようなものを書いてしまいましたあああっっ!!!!
全然感傷的にならないのはおろか、なにを言っているのかわからない挙句、言い訳をするという愚行
どうかお許しください<(_ _)>


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