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ルミエール・エグゾルシスト
日時: 2014/11/08 00:24
名前: 凪乃 (ID: KCZsNao/)



 どうも、凪乃(なぎの)と申す者です。
 今回は閲覧いただきありがとうございます。

 発音しにくいタイトルですが、何卒よろしくお願いいたします。
 タイトルはフランス語を使っております。『ルミエール』が光、『エグゾルシスト』は悪魔祓いという意味の『エグゾルシズム』を、悪魔祓いする人、ということで『エグゾルシスト』と少し変えちゃってます。
 大体の意味としては『光の悪魔祓い』でしょうかね。

 この作品には悪魔は出てきませんが、魔人が出てきます。
 そしてそれを退治する『滅凶師(めっきょうし)』というものも出ます。
 『滅凶師』と魔人の熱いバトルアクション! ——になる予定です。

 出来るだけ個性的なキャラで、読者様に印象を与えるキャラを作っていきたいと思います!

 では、応援? よろしくお願いしますっ!

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Re: ルミエール・エグゾルシスト ( No.5 )
日時: 2014/12/02 09:46
名前: 凪乃 (ID: KCZsNao/)



 4


 双太は色々なことが重なりすぎて、状況の把握が上手くできていなかった。
 まず、一つずつ把握していこうと、腕を組み低く唸りながら考え込む。
 自分は確か咲桜の家にいたはずだ。時間が過ぎるのに気付かずに、あまり遅いと二人の妹が心配するだろうということで帰った。さすがに料理が出来ないほど出来がよくない妹ではないので、そこらへんは自分で何とかしてると思う。帰る途中に咲桜のことで悩みを打ち明け、解決の糸口を示してくれた『いるか屋』の如月依瑠華に感謝していると、突然背後から何者かに刺された。
 激痛とおそらく失血で気を失った自分は、目が覚めると今いる真っ白く何もない空間に寝かされていた。上下感覚もおかしくなってくる。ここが何処か分からないままに、『いるか屋』の如月依瑠華が目の前に現れた、と今までの流れはこんな感じだろう。
 双太は腕を組んだまま数秒考え込むと、目の前にいる依瑠華と目を合わせて、
「さっぱり分からん」
 清々しく言い放った。
 しかしそれは予想していた答えなのだろう、依瑠華は魔女のような帽子を目部下にかぶり直しながら、小さく溜息を一つついた。
「……まあ、全てを理解するのは難しいだろう。それを一気にとなると尚更だ。それは仕方ないとは思うが……」
 依瑠華はちらっと双太を見る。
 その双太は辺りをきょろきょろと見回し、スマートホンに妹からメールが届いたりしてないかなど確認をしている。どうやらメールがきていたようで、その返信を打ち始める。
 その光景を見た依瑠華は少々呆れながら、
「……お前、理解するのを放棄してないか?」
 メールの返信が打ち終わったのか、双太はスマートホンをポケットにしまいこみ立ち上がる。
「とりあえず、俺は速く家に帰らないといけないんだ。妹も心配するし」
「驚いたな。理解も出来ていないうえに、私の話も全く聞いていなかったとは」
 依瑠華は腕を組みながらそう言った。彼女の帽子のつばの影から除く瞳は、真っ直ぐに双太を見据えている。
「……どういうことだよ」
「どうもこうもあるか。言ったはずだ。ここは生界と亡界の境界線……分かりやすく言えば天国の一歩手前だと」
 依瑠華は話しながらゆっくりと双太に近づいて行く。一言一言を相手に理解させるように。割と落ち着いてきたのか、双太もさっきよりは依瑠華の言葉を理解できていた。
 依瑠華は双太の目の前で立ち止まり、彼の左胸に自分の右手の人差し指を触れさせた。まるで心臓を狙っているかのように。
 依瑠華は静かに告げる。

「つまり、お前はもう死んでいる。私は先ほどそう告げたはずだが?」

 双太は依瑠華の言葉に固まってしまう。
 自分でも驚くぐらい冷静だった。特に驚きもせず、ショックを受けたわけでもない。ただ実感が湧かないのか、自分でも死んだ、ということに理解できていないのだ。
「……ば、馬鹿なことを言わないでくれ。俺が死んだって……確かに刺された時は痛かったけどさ、あれぐらいで死ぬような奴じゃないぜ、俺は」
 双太は依瑠華が冗談を言っているのだろうと思って、適当に笑い飛ばした。だが、依瑠華は『だよねー、あははー』などと笑って、返してくれはせず、溜息をついただけだった。
「……信じたくないのは分かるが……。まあいい。ならば試してやろう。お前が今現在——生きているのかどうかを、な」
 瞬間、双太は自分の左胸に違和感を感じた。
 何かが当たっているかのような——否、何かが左胸に突き刺さっている。視線だけを下に向けて、双太は自身の左胸に突き刺さっているものを確認する。
 依瑠華の右手にはナイフが握られており、それが根元まで深々と突き刺さっていた。
 双太は視線を依瑠華に向けて、信じられないものでも見るかのような視線を向けた。
「……な、なにすんだよ……!?」
「痛いか?」
「え?」
 依瑠華から問われて、双太はハッとする。痛みは全く感じない。あまり痛すぎると痛覚が鈍ると言われている。痛みを感じないのはそれで納得するにしても、もう一つ不可解な点が一つあった。
 それは、血が一滴も出ていないことだ。
 痛みを感じないのも、血が出ないのも、おかしなことだった。そう、生きている人間ならば。
 依瑠華はゆっくりとナイフを引き抜く。双太が着ている制服に穴が開いているだけで、ナイフにも血は一滴もついていない。ただ、身体にナイフが入り込む気持ち悪い感覚を味わっただけだ。
「これで理解できたか? 死者は痛覚を有しない。何をしようとも怪我は負わない。だから私は言ったのだ。死者の世界へようこそ、とな」
 双太は先ほど言った依瑠華の言葉を思い出した。
 そのセリフにも、おかしな点が一つあったのだ。
「……なんで、アンタは俺の名前を知ってるんだよ?」
 双太は『いるか屋』に訪れた際、依瑠華に一度だけ名乗っている。だが、それは名前だけだったはずだ。苗字まで名乗った記憶はない。
「ふん、それにも今頃気付いたか。本当にお前は鈍い奴だな」
 依瑠華は表情にうっすらと笑みを浮かべたが、すぐに慎重な面持ちへと戻す。
「私はこの生界と亡界の境界線の管理者だ。私はここで、死者となるであろう人間達を見極めてきている。亡界……俗に言う天国に行ける人間とそうでない人間がいるからな。私は死者を亡界へ送る際に、その者に正しい亡界へと案内するわけだ。だから、死者の名前を把握している」
「……正しい亡界? 要は天国なんだろ?」
「ああ。だから天国や亡界というのは死語の世界を現す言葉でな。その実は二種類に分かれる」
 依瑠華はピースサインを作って言葉を続ける。
「生前に正しき道を歩んだ者が向かう『善の世(ぜんのよ)』と、生前の大きな罪を犯した者が向かう『邪の世(じゃのよ)』。お前は前者だな」
 依瑠華が双太に背を向けて、虚空に手をかざすと扉が出現した。洋風な作りの扉だ。扉には見るに堪えない字で『ぜんのよだよ』と書かれている。ひらがなだから読みにくい。
「さあ、この扉の先は『善の世』だ。向こうに行っても生界には行けるぞ。ただし、滞在時間は一時間だ。時間を守らないと罰があるからせめて注意して——」
「待てよ!」
 双太が依瑠華の言葉を遮る。
「ふざけんな! このまま死ねるか! 妹も心配してるし、アイツは……咲桜はどうなるんだよ!?」
 双太は感情任せに叫ぶ。
 ここに来て自分が死んだことに理解したようだ。いや、ここまで色んな証拠を見せられたら、嫌でも納得するしかないだろう
「咲桜……? ああ、お前が言っていた大切な幼馴染のことか。お前がその子のストーカーに殺されたのなら……まあ同じ運命を辿るケースもあるな」
 言われて双太は思わず依瑠華の胸倉を掴んでいた。本来なら女性に暴力は振るわないのだが。今回は話が別だった。幼馴染の命がかかっている。このまま死ぬわけにはいかない。
「今すぐ俺をこっから出せよ!」
「出てどうする?」
「咲桜を助ける」
「何が出来る?」
 依瑠華の鋭い瞳が双太を射抜く。
「背後から刺されたから対処できなかった、とでもいうつもりか? どうせ格闘術でも習っていたわけでもないだろう。ひとつだけいいことを教えてやる」
 依瑠華は双太の右胸に手を添える。と、次の瞬間双太は床に叩きつけられた。痛みはないが、口から息が漏れる。
「真正面からの素手の攻撃でもこのザマだ。また死ぬだけだぞ」
 双太は歯を食いしばる。
 そんな中、思い出していたのは咲桜との思い出の数々だった。
 最初の出会いは幼稚園の頃だったか。あの時一人でいることが多かった双太に咲桜がにっこり笑って声を掛けてくれたのを憶えている。当時からたくさんの友人に囲まれていた咲桜は、いつも一緒にいる友達より自分を優先してくれたのだ。
 それから咲桜は自分に関わってくれるようになり、幼稚園から小学校までは咲桜とずっと一緒にいた。最初は咲桜の方が背も高かったが、小学校の頃から徐々に追いつき、徐々に追い抜かしていった。
 小学校では咲桜と一緒にいながらも同性や異性の友達も増え、中学でもその友達と過ごしていた。
 高校だって、咲桜ならもうちょっと頭のいいところに行けたはずだ。なのに、自分のレベルに合わせて、勉強にだって付き合ってくれた。
 そんな大切な、掛けがえのない幼馴染を自分と同じような目に遭わせるわけにはいかない。たとえ自分はどうなってもいい。せめて、せめて咲桜だけは救わなければいけない。
「……俺がどうなろうといい」
 双太は立ち上がる。
「アイツだけは、救いたいんだよッ!!」
 双太は依瑠華に叫ぶ。
 今頼れるのは彼女だけだ。ここから出るのも、咲桜を助けるのも彼女を頼るしかない。
 双太の言葉を受けた依瑠華はニッと笑みを浮かべた。
「本当に聞き分けが悪いな。いいだろう。ならば、お前に一つだけ彼女を救う道を示してやる」

Re: ルミエール・エグゾルシスト ( No.6 )
日時: 2014/12/08 02:09
名前: 凪乃 (ID: KCZsNao/)



 依瑠華の言葉を聞いた双太は、真っ暗闇の絶望の中から一筋の光が差し込んだような錯覚をした。
 咲桜を……大切な幼馴染を救う手段がある。
 それがたとえどんな手でもいい。藁にも縋る思いで双太は依瑠華に問いかける。
「あるのか、救う方法が!」
「ある。ただし手段は一つしかない。それでもやるか?」
 悪戯っぽい笑みを浮かべながら依瑠華が問いかけてくる。
 こうなったらどんな手段でも試してやる。僅かでも咲桜を救うことが出来る可能性があるのなら。
 依瑠華の言葉に双太は力強く頷く。
「やるよ、やってやるさ!」
 ニィ、と依瑠華は笑った。
 彼女は双太に背を向けると散歩歩いて立ち止まり、再び双太と向き合うように振り返った。彼女は両腕を水平に広げると、
「方法は単純。だが難易度はSSS(トリプルエス)クラス。私に触れてみろ。それがクリア条件だ」
 それを聞いた双太は——、
 何も言えなかった。
 絶句したとか、難しい過ぎるとかそういう問題じゃない。かなり失礼な言い方だが、依瑠華は頭がおかしくなったのかと思った。いくら双太の咲桜を思う気持ちが強すぎて感情移入したとしても、これじゃ簡単すぎる。SSSクラスじゃなかったのか。
 もしかしたら、触れる場所が限定叉ているのかもしれない、と双太は思った。SSSクラスと言われるくらい触れるのが難しい場所——たとえば、胸とか? 一瞬でも『どんな感じで触ってやろうか』と考えた自分を一発殴っておいて、頭を冷静に回転させる。
「……は?」
 結局出た答えがこれだった。
 いくら考えても依瑠華の言ったSSSクラスの難易度があるミッションとは思えない。目の前の依瑠華といえば困惑する双太を見て、ニヤニヤと腹が立つ笑みを浮かべており、そこはかとなく腹が立つ。
 だが、ミッションがこんな簡単なものならば嬉しい誤算だ。双太はさっきまで身体を強張らせていたが、緊張を解いて友達に声を掛けるかのように、少し開いてしまった依瑠華との距離を取ろうと、彼女の目の前まで着た瞬間、

 ゴッ!! と鈍い衝撃が腹に当たる。
 痛みはない。だが、双太は口から息を吐き出してそのまま五メートルほど後方へと吹っ飛ばされた。

 双太は蹴られた腹を押えながら、
「ぐ……何すんだよ!?」
「人の話を最後まで聞け。『私に触れるだけ』のミッションがSSSクラス名わけがないだろう? 私はお前に触れられないために攻撃するし、かわすし、必要ならば動き回る。お前の手が届かない場所に入ったりはしなから……まあ頑張れば触れられるんじゃないか?」
 たしかに依瑠華の言う通りだった。
 彼女は『私に触れてみろ』と言っただけで無抵抗で突っ立っている、などとは言っていない。そもそも双太は一度死んでおり、これは死んだ双太が咲桜を助けるための試練だ。それが易しいものなはずがない。
「私が今お前に課している試練は、ただ単にお前の大事な人を救うためのものじゃない。咲桜を助けられてかつ、お前自身も生き返る方法だ」
「なっ!?」
 生き返られる。
 この試練をクリアできれば、咲桜を救うだけじゃなく、またあの世界で生きていられる。
 そう言われれば、この試練の難易度は妥当かもしれない。
「お前は必死に抵抗する私に触れるだけでもう一度生を得られる。妥当な難易度だろう? ちなみに触れる場所はどこでもいいが——」
 一瞬で依瑠華の姿が霞のように消えた。
 双太がどこかと辺りを見回すより早く、双太の背後から手が伸び頬に添えられた。
「私がお前に触れた場合はノーカウントだからな?」
 さらに振り返るより速く、依瑠華の蹴りが双太の背中に命中する。双太は真っ白い空間の中を転がる。依瑠華の表情はいたって涼しいものだった。彼女はまだまだ本気じゃない。
「くそ……!」
 双太は立ち上がって、依瑠華の出方を窺うように彼女をじっと見つめる。
 依瑠華は小さく息を吐くと、
「言っておくが悠長なことをしている時間はないぞ? お前が私とここで戯れている間にも生界では時間は進行している。今は丁度零時かな。猶予はあと三時間だ」
「……三時間!?」
 依瑠華の提示した時間に双太は息を詰まらせた。
 三時間で——たったの三時間で、目の前にいる女の人に触れなければならない。出来るのか? いや、出来なければいけない。だが成功した時のヴィジョンが浮かばない。
「あとで説明するが、お前の殺した相手——つまりは咲桜のストーカーとなるわけだが、アイツらは少し特殊でな。人間じゃない」
「……それってどういう……?」
 依瑠華は深めに帽子を被るように上から帽子を押さえつける。
「動き出すとしたら、三時から三時半の間が妥当だ。ゆっくりしている時間はないぞ」
 依瑠華の手には何処から取り出したのか、日本刀が握られていた。
 柄が赤く、刀身はほんのりと紅色を纏った綺麗な日本刀だ。双太はそれにしばし見惚れていたが、すぐにハッとした。
 このタイミングで刀を出したということは、これも攻撃で使うということになる。
「……マジかよ……」
 双太はもはや苦笑いしか出来なかった。
 依瑠華は刀の切っ先を上に向ける。
「さあ続けるぞ双太。お前の実力を見せてみろッ!」
 ゴゥッ!! という風が唸り刀身に渦巻のように炎が纏う。
 周りの景色もいつの間にか白色の空間ではなく、真っ赤な夕日に包まれた神社の光景になっていた。目に映るすべてのものが赤い。
 依瑠華の衣装も変わっており、淡い桃色を基調とした巫女装束となっている。和装でも帽子は取らず、そこだけミスマッチなのが残念な気がしてならない。
 依瑠華は獰猛に笑いながら双太を見つめるが、炎を纏う刀を手にした帽子を被った巫女装束の女性に見つめられている双太は、生きている心地がしなかった。
「……なにがSSSだよ……」
 双太は口元に引きつった笑みを浮かべながら、呟くように言う。
「……難易度、測定不能じゃねーか、これ……」

Re: ルミエール・エグゾルシスト ( No.7 )
日時: 2015/01/10 10:20
名前: 凪乃 (ID: KCZsNao/)



 5


「……ん……うぅ……?」
 小野咲桜はゆっくりと閉じていた瞳を開けた。
 どうやら知らないうちに眠ってしまっていたようで、持ち上げる瞼が重く感じるし、目を開けても焦点が定まらない。
 いつ眠ったんだろう、という疑問を置いておくとして、咲桜は自分の身体に違和感を感じた。どうも寝転がっている感覚はない。普通誰でも立って眠ることなどないはずだ。咲桜とて普通の人間なので、立って眠ることはないし、そんなことは出来ない。
 そしてもう一つ、腕と足が動かない。手足を動かそうとすればジャラジャラと金属音が微かに聞こえるだけだった。まるで手足を枷で縛られているような……。
 そこで咲桜の意識は完全に覚醒する。
 自分の腕を確認しようと左右に視線を動かすと、自分の腕が枷で縛られていた。両足も同様に縛られており、制服のまま大の字になって壁に磔状態にされていた。
「……なっ……なにこれ……!?」
 枷から脱出しようと咲桜はもがくが、ジャラジャラと音を立てるだけで外せない。そもそも金属を非力な少女の力で壊せないことは誰にだって分かる。手足の自由もきかないなら尚更だ。
 咲桜が恐怖と不安で必死になってもがいていると、自分が磔にされていた暗い部屋で男性の声が響く。
「無駄だ。それは君の力じゃどうにも出来ない」
 部屋に響くかつこつ、という靴底の音。窓から差し込む月光によってその男の姿が露わになる。
 長い銀髪に鋭い目つき、服装は白のスーツを着こんでおり、中のシャツは胸元を露出させていた。その男の顔立ちはとても端正で服装と相まってホストのように見える。
 男は口元に微笑を湛えながら、咲桜から五メートルほど離れたところで足を止め、咲桜の目を真っ直ぐに見つめる。鋭く、刃物を連想させるような冷たい瞳で。
「やあ、お嬢さん。元気そうでなによりだ。中々目を覚まさないから、不安だった」
「……あなたは誰ですか……? どうして、こんなことを……?」
「おいおい、誰とは随分と冷たいじゃないか。直接会ったことはないが、僕はずっと君を見ていたっていうのに」
「……っ!」
 その男のセリフと同時に、咲桜はここ数日感じていた不気味な視線をその男に感じた。
 目の前にいる男が、自分を恐怖させていたあの視線の持ち主なのだと。咲桜は小刻みに震えながら、なんとか言葉を口にする。
「……なんで、わたしを狙ったんですか……? あなたなら、どんな綺麗な女性だって振り向いてくれるんじゃ……」
 その言葉を聞いた男は、
「……ぷっ、あはははははははは!! 引く手数多ってかい? 確かに、自慢じゃないが女性に困ったことは生まれてこの方一度もないよ!」
 お腹を押え、目尻に涙さえ浮かべて爆笑する男。さっきまでの冷たい恐怖を感じさせていた顔は、笑うと子供のような無邪気さを感じさせる。
 男は目尻に浮かんでいた涙を指で拭うと、
「残念ながら僕は普通の女性に興味はなくてね。君のようなちょっと、いやかなり変わった人じゃないと」
「……変わった……?」
 咲桜には男の言葉が理解できなかった。
 自分はごく普通の女子高生だ。喧嘩が強いわけでも、勉強が出来るわけでも、変わった趣味を持っているわけでもない。ただ料理が好きな、いたって普通の女子高生だ。今まで友達から、一度たりとも『変わってる』などと言われたことはない。
「……どういうことですか? わたしは別に何処も変じゃ……」
 咲桜は自然に早口になってしまっていた。自分の知らない自分を、あの男は知っている。それを知りたい、という気持ちが先行してしまっていた。
「……なんだ、気付いていないのかい? 君には魔力に似た特別な力が宿っている。それはとても僕らにとって危険なものだ。取り出しておかないと」
「……ま、りょく……?」
 ますます意味が分からなかった。
 だが、身体の底から恐怖と不安が一気に全身へ駆け巡った。咲桜はじたばたと再びもがくがどうやっても枷を外すことは出来ない。そうしている間にも男はゆっくりと近づいてくる。
「……ぃ、いや……来ないでぇっ!!」
 男が懐から取り出したナイフで咲桜の制服を上から下へと引き裂く。下着までは刃が届かなかったのか無事だが、胸元からお腹にかけて咲桜の白い肌が剥き出しになった。
「……ほお……身体は小さいが、かなり綺麗な肌をしている……。よく見てみると綺麗な脚だ……。これはかなりの上玉だな」
 咲桜はきゅっと強く瞳を閉じていた。
 身体もがたがたと震えている。閉じた瞳の目尻に涙が浮かぶ。
「……っ、ひゃぁ……!」
 男が手の平を咲桜のお腹に這わせていく。気持ち悪い感覚に悪寒を感じ、恐怖で全身ががたがたと震える。全身からは力が抜けてしまい、微かに身体を動かすことしか出来なくなってしまっていた。
 それを受け入れ態勢と勘違いした男の行為はエスカレートしていく。
 無防備な咲桜の脚へ視線を向けると、彼女の太腿へと手を這わせた。
「……うぅ……やめ……て、触らないでぇ……!」
「くくっ、だったらもがいてみたまえ。それをしないということは、君も満更でもないんじゃないか?」
「……そんなこと……んあっ!」
 喘ぎ声を上げ、呼吸を乱しながらも男の恥辱に耐える咲桜。男はそれに気を良くし、咲桜の身体をさらにまさぐっていく。
 怖い、こわい、コワイ……咲桜は無意識のうちに、震えながら言葉を紡いでいた。
「……あなた、なんか……」
 男が手を止め咲桜の言葉に耳を傾ける。
「……あなたなんか……双太が来れば……!」
「双太? もしかして、君の家にいたあの男のことか? あーそうかそうか。君はまだ知らないか」
 男の言葉の意味を理解できなかった。
 この男が双太を知っていても別に不思議ではない。今回も家の付近で待機していたなら双太が咲桜の家を出る瞬間を目撃していてもおかしくはないからだ。
 男は髪をかき上げるような仕草をしてから、咲桜にただただ残酷な真実を告げる。
「その男、死んだよ?」

「……へ……?」
 その言葉を聞いた時、咲桜の時が止まったような気がした。

Re: ルミエール・エグゾルシスト ( No.8 )
日時: 2015/01/19 00:20
名前: 凪乃 (ID: KCZsNao/)



 6


「な……何を、言ってるんですか……?」
 咲桜は男の言葉を理解できなかった。
 いや、理解したくなかったと言うべきだろうか。理解したくなかった。分かりたくなかった。納得したくなかった。そんな思いが、質問に形を変えて微かな声で男に向けられる。
「……そんな、こと……そんなこと、あるわけがない! 双太が死ぬなんて……言ってくれたもん! 守ってくれるって! ずっと一緒にいてくれるって! だから、だから……っ!」
 咲桜の目からは涙がこぼれていた。
 男は涙ながらの訴えに溜息をついた。聞き分けが悪い相手に対して見せるような表情をしている。
「信じたくない気持ちは分かるよ? 誰だって、突然好きな相手が死んだ、なんて告げられたら否定するさ。かくいう僕だってそうだよ」
 でも、と男は一度言葉を区切る。
「君は本当は分かっているはずだ。僕が普通の人間じゃないってことを。そして本当はその双太って少年が死んでいることを」
「……いや、やめて……」
 微かに出た声は震えていて、言葉と理解させることが困難なものだった。
 それでも咲桜は唇を震わせながらも、瞳から涙を流しながらも首を横に振り続ける。
「証拠がない。ただそれだけで、君は現実から目を背けているに過ぎない」
「やめて、見せないで……」
 男は懐に手を忍ばせる。
 咲桜が強気に反論できていたのは、双太が死んだという証拠を突きつけられていなかったからだ。証拠を見てないから。確証がないから。だから反論出来た。折れそうな心を支えることが出来た。
 だがここで証拠を見せられれば……双太が死んだという確証を得られるものを見せられれば、咲桜でも反論が出来なくなる。
「安心したまえ、写真なんかじゃない。これだよ」
 言いながら男が懐から取り出した物はナイフだった。
 ただのナイフだが、咲桜の知っているナイフとはおかしな部分があった。
 ナイフの刃に赤黒いものがべっとりとこびりついている。ペンキのような絵の具のような……もしくは。あるいは。
「……なんですか、それ……」
 何んとなく答えは知っていた。
 だが認めたくなかったのだ。これがその証拠なのだと。ただ絵の具かペンキがついているだけなのだと。
 男は口元に微笑を浮かべながら咲桜の質問に答える。
「これはね、血だよ。それもただの血じゃなく、君の大好きな双太クンの血だ」
「……嘘……」
「やったのは僕じゃないけどね。僕の部下が彼のお腹にぶっすりと刺したんだよ」
「……嘘……!」
「さあこれで君も納得せざるを得ないだろう。君のヒーローは死んだ。君を助けるものはもう何も——」
「嘘だッ!!」
「うるさいな、小娘が!!」
 叫ぶ咲桜に激昂した男が咲桜の服を引き裂いた。
 既に服の役目は果たしておらず、彼女の胸元からおへそまでが晒されている。白く透き通った綺麗な肌に男は思わずといった調子で感嘆の声を上げた。
 咲桜は双太が死んだショックと、辱められている悔しさで涙を流すことしか出来なかった。ただ泣いて、何も出来なかった。
「彼は危険だったんだよ。君とは違って純粋な魔力の持ち主だった。だから障害になる前に潰しておいたのさ。といっても、君には分からないか」
 男は双太を殺した理由を説明し始めていたが、咲桜に言っても無駄だと分かると小さく息を吐いて説明を終える。
 それと同時に男は指を鳴らした。
 すると何処からともなく十数人の男が闇から現れる。
「……な、なに……?」
 咲桜は涙を流しながらいきなり増えた男たちに怯える。おそらく今まで咲桜と話していた男は彼らのリーダー的存在なのだろう。男が状況を把握できていない咲桜に説明する。
「彼らは僕の部下だ。君はただ殺すだけじゃ可哀想だからさ、少しこいつらの相手をしてやってくれないかな?」
 男の言葉が終わると周りの男たちにがにやりと笑う。
 男の言葉の意味を咲桜は理解できていた。自分が今からこの男たちにどういう仕打ちを受けるのかも理解していた。
 全身に悪寒が走る。身体ががくがくと大きく震える。
 単なる恐怖だけじゃない。あらゆる感情がごちゃ混ぜになって咲桜から涙と叫び声を絞り出す。
「いや、いやぁ!! 許して、お願いだから許して!! そんなのいや!! 絶対にいや!!」
 咲桜の叫び声も虚しく男たちはゆっくりと咲桜に近づいて行く。
 拘束された手足を動かすが枷が外れるわけもない。それでも咲桜はもがかずにはいられなかった。言葉には出来ない恐怖が咲桜の心を支配していた。
「来ないで!! やめて、やめてください!!」
 男たちは歩みを止めない。
 先ほどまで咲桜と一対一で話していた男が、堪えられないといった調子で笑い出す。
「く、ふふ……あははははははは!! 君は本当に最高だねぇ!! 良い声で鳴く! ほらお前ら、あとは好きにしろよ」
 男がくく、と笑いながら背を向ける。
 咲桜は近づいてくる男たちに叫び続けるが男たちは聞く耳を持たない。
 ——誰か。
 咲桜は無駄だと知りながらも、心の中で叫ぶ。
 ——誰か、助けて——。
 こんな時、一番頼りになる人の名前を。死んでいたとしても叫ばずにはいられなかった。
 ——双太。
 双太以外に触れられたくない。双太が死んでいたとしても、こんな奴らにだけは触れられたくない。
「……そう、た……」
 微かな音のような声が咲桜の口からもれる。
「双太ぁーーーっ!!」
 咲桜が泣き叫ぶ。
 男が咲桜の腕を掴んだその瞬間、

 ぴしっ、という微かな音が響く。

 その音に誰もが反応した。
 咲桜の叫びが反響する部屋では聞き逃してしまいそうな音のはずなのに、その小さな音はこの場にいる全員の動きを止めていた。
「……なんだ、今のは……?」
 リーダーらしき男が顔を顰め、辺りへ視線を巡らせる。
 その間にもぴしぴし、という音は響き続けている。
 咲桜はこの音が何の音かなんなのか理解し始めていた。
 亀裂が走る音だ。
 だが、ここは古びてはいるが亀裂が走るほど老朽化もしていない。ならば一体何処に亀裂が走るというのか。
 ピシピシピシ、と音はいっそう大きくなっていく。
「なんだなんだ、なんだというんだ!?」
 亀裂が走る音は、遂にはビキィ!! という砕ける音に変わる。
 音が変わった瞬間だった。
 ボゥッ!! と真っ赤な炎が虚空から噴き出した。
 壁から噴き出したと思われる真紅の焔に全員が驚愕していると、その焔の中からだろうか、誰かの話し声が聞こえる。
「えーと、確かこの辺りだったな。声が聞こえたのは」
「ごほっごほっ! もうちょっとまともな方法はなかったのかよ……!」
「文句を言うな。お前が最短で行ける方法を頼んだんだろうに」
「だからって……って熱ッ!? 火の粉が飛んできたぞオイ!?」
 場違いなほどに呑気な会話だった。
 少年と女性の声。
 咲桜は少年の声を聞いた瞬間に安心と嬉しさでさっきとは違う涙を流す。
 聞いているだけで安心できる。いつも自分の傍にいてくれた。大好きな人の声——。
 咲桜は涙を流しながらその名前を呼ぶが、声が出なかった。
 炎の中の少年は、口元に笑みを浮かべる。それとほぼ同時に真紅の炎の憩いが弱まり、乱入者の姿を露わにしていった。
 一人は真紅のドレスに魔女のような帽子を被った端正な顔立ちの女性。
 もう一人は制服を着た黒髪のいたって普通な少年。
 少年は磔にされている咲桜を見つけると、彼女に向かって言葉を投げた。
「待たせたな、咲桜」
「……遅いよ、馬鹿双太……」
 
 錐崎双太が、如月依瑠華とともに現れた。

Re: ルミエール・エグゾルシスト ( No.9 )
日時: 2015/01/27 02:08
名前: 凪乃 (ID: KCZsNao/)



 7


 突然現れた二人に、周りの男が次々と呻き声を上げる。
 何もない虚空を裂いて現れたこともそうだが、男たちが一番驚いていたのはそこではない。一番驚いたことは殺したはずの錐崎双太が生きていたことだ。実際にリーダー格の男が手を下したわけではないから、自身で確かめることは叶わなかったが、部下の証言では死んだのは確実だ。
 ならば何故今生きている? 何故生きていられる?
 男には分からないことが多すぎた。それよりも今はこの状況を打破するのが先だ。錐崎双太が謎の女を伴って現れたとしても、戦力が二つに増えただけ。元々戦う力がない小野咲桜は戦力にならないだろう。こちらの戦力は十人以上だ。数の差は圧倒的。負けるはずがない。
 敵の戦いそうな雰囲気を察知した依瑠華が、咲桜と感動的な再会を果たしている双太へと声を掛けた。
「双太。どうやら敵が動き出すようだ。準備をしろ」
「分かってるよ。これ着てちょっと待っててくれ……今の恰好、かなりエロいから」
 双太が顔を赤くしながら咲桜の身体に上着を被せる。
 咲桜自身も忘れていたが、今の彼女は半裸状態だ。もはや服などあってないようなもの。この状態で大の字に拘束されているので、隠そうにも隠せない。指摘されて咲桜も今の自分の姿に意識がいったのか、顔を赤くして双太の言葉にこくりと頷く。
 双太は依瑠華と並ぶように立つと、目の前にいる十数人の男を眺める。
「……さて、と。依瑠華さん、半分頼むぜ」
「私に頼るな。お前がほとんどやれ」
「なんでだよっ!? アンタ強いんだから協力してくれたっていいだろ!?」
 双太の反論を、しかし依瑠華はふんっと鼻で笑った。
「これしきの相手、お前一人でどうにか出来なくてどうする? お前は私の修行を乗り越えたのだ。自分に自信を持て」
 依瑠華の言い分も納得できないわけではないが、修行を乗り越えた、といっても依瑠華の攻撃をひたすらかいくぐって彼女の身体に触れただけだ。つまり戦闘と呼ぶには程遠い。
 そんな自分が、今まで喧嘩などやったことがない勉強が出来ない真面目ちゃんな双太には、十数人の相手を一度にどうこうできるとは思わなかった。
「……それに、奴らの相手はお前の方が都合が良い。私の予想が正しければ、だがな」
「……?」
 依瑠華の意味深なセリフに双太は眉をひそめたが、背中に咲桜の心配そうな視線を受け止めた。振り返って、安心させるように微笑を浮かべる。
「安心しろ。聞きたいことは山ほどあるだろうし、俺だって言いたいことが山ほどある。だけど……それは全部終わったらってことで」
 双太が手を前に出して、手をめいっぱい広げた。すると掌の中心に白く眩い光を放つ球体が現れた。その球体が双太の前に出した右手に纏わる。まるで光り輝くボクシンググローブのような装備を、右手だけに纏った双太は十数人の男たちを睨み付ける。
「ちっ、あのガキ……光の滅凶師(めっきょうし)か……!」
 リーダー格の男が忌々しげに舌打ちするが、周りの男に号令する。
「だが怯む必要はない。相手は素人のガキ一人だ。ブチ殺せぇ!!」
 十数人が一気に襲い掛かる。
 さっきまで余裕を持っていた双太は鋭い目つきから一転、

「って、やっぱ無理あるだろこれぇぇぇ!!」

 男たちの攻撃をかわした。否、攻撃から逃げた。
 小さい頃からドッジボールでの回避能力は高かった。まさか試合終了寸前まで粘って、結局残りの人数差で相手チームに負けてしまう、なんの役にも立たない能力がこんなとこで活躍するとは思わなかった。
 尚も責め立てる男たちの攻撃をかわし——もとい逃げる双太。だんだん男たちの怒りが募っていくのは目に見えていた。
「……くそ、ちょこまかと……! おい、何してる!? とっとと殺せ!」
 リーダー格の男が部下たちにそう怒鳴る。だが部下たちも遊んでいるわけではなく本気なのだ。本気で双太の回避能力に翻弄されている。
「って言っても、アイツすばしっこくて……!」
「全然当たらねぇ……!」
 部下の男は何人か息を切らしている。彼らの主な攻撃は鋭利な爪で切り裂く、という物理的な攻撃だ。だが双太は相手の疲労が募りやすくなるようにギリギリまで引き寄せて、紙一重でかわしている。ただ単に逃げているわけではないのだ。
 そんな双太をからかうように、依瑠華が小悪魔的な笑みを浮かべながら双太に呼びかける。そんな彼女は咲桜を拘束している枷の解除に尽力していた。
「ほらほらどうした? 逃げてばかりでは終わらないぞ? 相手の方が数は多いんだ。お前の体力が尽きる方が明らかに早いからな」
「わーってるよ」
 双太は周りを見回して、一段と動きが鈍い相手をロックオンする。その相手めがけて強く地面を蹴って、一瞬で肉薄する。
「うっ……?」
 男も急接近されて驚いたのか、僅かに声を上げるだけで回避行動まで間に合っていない。
 双太は思いきり右手を振りかぶって、光のボクシンググローブを装備した右手で渾身の一撃を相手の頬に叩き込む。
 それで双太より頭一つ背の高い男は吹っ飛ぶ。その隙をついて、違う男が双太を背後から襲う。だが双太はそれも読んでいたようで、身を屈めて相手の爪の攻撃をかわし、上手い具合に懐に入れたので、鳩尾に思い切りアッパーの要領で拳を思い切り叩き込む。
 男は肺から息を全部吐き出し、上方に五メートルほど飛び上がって重力に従って地面に叩きつけられる。最初に殴り飛ばした男も仰向けのままピクリとも動かない。
「……馬鹿な、奴は素人じゃなかったのか……?」
 戦慄する男の耳に、がしゃり、という金属特有の音が届く。
 音の方向を見ると咲桜を拘束していた枷は全て依瑠華によって外され、自由になった咲桜は自分の露わになった身体を隠すように双太が渡した上着をぎゅっと抱きしめている。
 彼女の瞳は男たちに酷い仕打ちを受けても、強く睨みつけていた。
 人質もいない。部下たちの強さより双太の方が上だ。おまけに依瑠華も戦いに参加出来るようになった以上、男たちの優位性はゼロになった。
「こいよ。お前には咲桜を泣かせた罪をちゃーんと償ってもらわなきゃいけないんだからな」


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