コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 魔術剣士と白き剣(第二章開始)
- 日時: 2015/08/26 07:22
- 名前: 宇佐悠兎 (ID: SDJp1hu/)
まず最初に、はじめまして。宇佐悠兎(うさゆうと)といいます。
クリックして閲覧いただきありがとうございます。
この作品のタイトル、最後の『剣』は『つるぎ』と読みます。『けん』じゃないので、よろしくお願いいたします。
タイトル通り『魔術』と『剣士』、そして『剣』もテーマになっていきます。基本的に文中に読み方は書きませんが、作中の『剣』は『けん』とお読みください。ややこしくてすいませんm(_ _)m
では次から始めます。
すぐ書けると思いますので、少々お待ちを。
- Re: 魔術剣士と白き剣 ( No.27 )
- 日時: 2015/07/19 01:44
- 名前: 宇佐悠兎 (ID: 4/G.K5v4)
終章 -Epilogue-
「……んぅ……?」
龍久は重い瞼をゆっくりと持ち上げた。
最初に入ってきた情報は視界で得た真っ白な、清潔感漂う天井と照明。間もなくして自分は寝かされていることに気が付いた。
白い敷布団と掛け布団。洗剤の匂いのせいなのかとても心地良くて、先ほどまで寝ていたというのに、すぐにでも二度寝出来そうだった。
龍久は顔を動かして周りの状況を把握する。
すると傍らに椅子に腰を掛けながら静かに本を読んでいるシャーロットの姿があった。いつもの騒がしい様子とは打って変わって、読書をする姿は神秘的な気品を漂わせていた。
視線を感じたのか、シャーロットは顔を上げて龍久と目を合わせる。彼女は本に栞を挟んで静かに本を閉じると、優しい笑みを浮かべた。
「おお、目が覚めたか。身体は平気か?」
言われて龍久は記憶を遡っていった。
自分がここにいる理由を探ろうとして、シャーロットが答えの半分以上を話し始めた。
「しかし、千尋相手によくあそこまで粘ったもんじゃ。最後、あいつ柄にもなく本気じゃったぞ。死ななくてよかったな」
龍久は全て思い出した。
新入生試合で、優勝候補である綾野千尋と戦うことになったこと。勝てる確率が少なくとも立ち向かったこと。必死で食らいついたが、結局勝つことは出来ず手も足も出ずに負けたこと。
最後は腹に強烈な一撃を叩き込まれたなー、と朧げに思いながら、腹をさすると痛みは消えていた。これも魔術なのか、と呆然と思っていると、椎菜と澄恋 がいないことにようやく気が付く。
「そういや、香椎と静河先輩は?」
「椎菜は試合。澄恋は観戦だとさ。まあ椎菜は『すぐに負けてきます!』と言っとったが」
もうちょい頑張れよ、と思わないこともないが、彼女が剣技に不向きなのは知っている。全力を出したとしてもそれが限界なんだろう。
「椎菜はギリギリまで行くのを渋っていたがな」
「……アイツ、そんなに嫌だったのか……」
たしかに嫌がっていたが、もうさすがに割り切ったと思っていたが、どうやら彼女の心はそんなに強くなかったらしい。
だがシャーロットは小さく笑って、
「いやいや。それも一つの理由かもしれんが、お主の心配をしてたぞ?」
「……俺の?」
「うむ。心配そうに何度も見ておった。たまには手を握ったりして。大袈裟じゃろう? 死ぬわけじゃあるまいし」
シャーロットは笑い飛ばしたが、龍久は彼女なら異常に心配するだろう、とその光景がすぐに浮かんできて小さく笑った。
彼女が帰ってきたら、無茶したことを散々責められるだろう。
「……シャーロット」
「何じゃ?」
「……俺、見つけたよ」
「見つけたとは……ここでやりたいこと……目標か?」
龍久は頷いた。
彼にはこの学校に入った明確な理由がない。ただ成り行きで入れられて、そのうち目標を見つければいい、と。そんな軽い気持ちでいた。
だがそれじゃダメだと気付いた。雅の気持ちを知って、そんな中途半端な気持ちじゃ、この学校ではやっていけない、と龍久はそう感じていた。
だからこそ、最強といわれる千尋に挑んだ。何か掴めそうだから。何か得られそうだから。何か見えそうだから。
結果として、龍久はそれを見つけた。
「聞こうか。お主は千尋と刃を交え、何を得た?」
龍久はたっぷりと間を開けた。
右手の掌を開いては閉じを繰り返して、
「……綾野千尋は、強かった。今の俺じゃ足下にも及ばない。アイツは最後以外、まだ手加減してくれていた」
最後、身の危険を感じた千尋は本気で龍久を叩きのめした。
だが、それは最後しか彼女の本気を引き出せなかった、ということだ。
「綾野千尋は、多分この新入生試合で優勝する。頂点に立つ。正直今はホッとしてるよ。初戦の相手が最強の生徒で」
「……ほう?」
龍久は真っ直ぐとシャーロットを見据えた。
自分の意志を、目標を伝えるために。
「俺は、綾野千尋に勝つ。アイツに『強い』と言わせてみせる」
龍久の目標を聞いたシャーロットは、思わずといった調子で吹き出した。
「それは面白い。じゃが、千尋はわらわでも戦慄するくらいの化け物じゃ。生半可な覚悟じゃ、奴にお主の刃は届かんぞ」
「分かってる。だからこそ、目指す価値がある!」
「さすが、わらわが見込んだ男じゃ」
シャーロットはいつも通りの笑みを浮かべた。
少年少女の物語が、今始まる。
- Re: 魔術剣士と白き剣 ( No.28 )
- 日時: 2015/07/19 01:54
- 名前: 宇佐悠兎 (ID: 4/G.K5v4)
あとがき
はじめまして、宇佐悠兎です。
今回は『魔術剣士と白き剣』を呼んでくださってありがとうございます。
最初のあとがきなので、正直何を書こうかなー、と思っているのですが、僕の場合他愛のないことをだらだら書いている間に大体良い感じの長さになるので、今回もその手法でいきたいと思います。しばしお付き合いを!
まず作品の出来た経緯ですが、これといって面白い話がありません。
ただ単に『戦う作品』を書きたくて、一般的に思いついたのが、剣士同士の戦いで。でも剣だけでやるのはあまりにもあれなので、そこに魔術というものを付加しました。明らかに後付です。
今回のお話は魔術の面はあまり出せなくて、主人公も速殺女王様も剣だけでやっていたように思われますが、女王様の方はきちんと魔術使ってます。身体の強化などにも使えるのが魔術の便利なとこです。
そのあたりは本編でいつか補填するとして。
この作品の主人公はもちろん紅月くんですが、女王様とシャーロットも一応キーキャラクターです。女王様にいたっては、もう一人の主人公ポジションです。
最強と最弱の主人公というとても胸熱な展開ですが、自分がそれを皆様にお届けできるかとても不安です。不安で押しつぶされそうです。
なんやかんや書いている間に結構いい文字数になってきましたので、この辺りで切りますね。
キャラクターのプロフィールが知りたい方がいらっしゃれば、一言コメントください。コメント投稿いただいて近いうちに公開したいと思います。
それでは、次回でお会いしましょー!
- Re: 魔術剣士と白き剣(第一章完結) ( No.29 )
- 日時: 2015/08/26 19:44
- 名前: 宇佐悠兎 (ID: SDJp1hu/)
序章 -Plorogue-
「……ん……ぅ……」
微かな声を上げながら、一人の少女がベッドから身体を起こす。
淡いピンク色のパジャマを着たその少女は、長い茶髪をかき上げて、外の日差しを遮るカーテンを引いた。
一気に視界に殺到してきた日差しに目を細め、手をかざしながら窓の外へと視線を向ける。
空は雲ひとつない快晴。眩しく輝く太陽がよく見えるせいか、心地よい春の気温よりも高く感じそうな気がする。
少女はベッドから降りて、部屋を見渡す。
一人で過ごすには広く感じる部屋。彼女が選んだものではなく、家の人間が勝手に手続きを済ませ、彼女が住むことになった部屋だ。
普通の部屋でいい、と言ったのに、と部屋を見渡すたびに小さい溜息をついてしまう。
何度目かも分からない朝の一連のやり取りをして、洗面所に向かう。
まだ寝ぼけている頭を起こすように顔に冷水をかけ、タオルで拭きながら、彼女は数日前の戦いを思い出していた。
自分が強いと自覚はしていた。
彼が素人だということも知っていた。
少し、いや。かなり手を抜いていたことは弁明しようのない事実だ。
勝つには勝ったが、今まで公式戦では決して振るうことのなかった、剣での十回目の一撃を振るった。
彼は、力がない彼は心で自分に勝っていた。
そう思いながら、自分にない心の強さを持った少年を頭の中に思い浮かべ、小さく笑みをこぼす。
顔を拭き終わると、いつものようにパジャマをベッドの上に雑に脱ぎ捨てて、白のカッターシャツに腕を通し、胸元を赤いリボンで飾る。
青いスカートに足を通し、黒のハイソックスを履いてから、やっぱニーソにしようと、タンスからニーソを出して履きかえる。
慣れた手つきで長い髪をいつもの黄緑のリボン……ではなく、今日はシマウマのような黒と白の縦縞模様のシュシュで、ポニーテールにまとめる。
いつものように朝食は摂らずに用意をしていると、少し早めに身支度が終わってしまった。
あの一戦以降、そんなことが続いている。
今まで楽しみを感じなかった学校に、楽しみを感じているのだろうか。
だとしたらその原因はーー。
そこまで考えて、乙女みたいな自分に少し照れながら早めに家を出ることにする。
ブレザーを着用し、鞄を持ってから、腰に太いベルトを巻き、鞘に納めた二本の短剣を挿す。
短剣の柄を撫でながら、
「……今日は、お話出来るかな……」
小さく呟いて、綾野千尋は部屋を出た。
- Re: 魔術剣士と白き剣(第二章開始) ( No.30 )
- 日時: 2015/08/26 14:36
- 名前: 彼方 (ID: hzhul6b3)
初めまして、彼方といいます。
正直コメントするかどうかすごい迷いました。
どなたもコメントしていないので、もしかして皆さんあえてコメントしないでいるのに俺だけ空気読めてないんじゃないかみたいなこと思って。
でもやっぱりコメントしたいと思いました。
正直、こんなにレベルの高い小説がこのサイトのこの板にあったんだ、と思いました。それぐらいすごかったです。
上から目線ぽくなってしまってとても申し訳ないんですが、文章が本当にしっかりしてて、それでいて読みやすいのがすごいと思いました。
最近文章力上がったかな、と思ってましたが、これ見てまだまだだと思い直しました。
で、キャラの個性もしっかりしてるなと思いました。
俺は結構シャーロットが好きです←
拙者っ娘(変な名前つけてすみません)の子もかなり好きです←
長くなりましたが、とにかく、すごいの一言に尽きる小説だと思いました!
更新楽しみに待ってます!!
- Re: 魔術剣士と白き剣(第二章開始) ( No.31 )
- 日時: 2015/08/26 17:06
- 名前: 宇佐悠兎 (ID: vJF2azik)
>>彼方さん
うわわぁ〜! は、初コメントだ……。ありがとうございます!
正直参照数だけ増えてコメントが来ない、なにこの不思議などと思いながら書いていたので、心がくじけそうになっていました(笑)
文章をお褒めいただきありがとうございます。
僕の場合丁寧に、まだ丁寧に! みたいに書いてるので、もしかしたらまどろっこしく感じる方も多いんじゃないかと思っていたんですよ。キャラの心情や思いはきっちり伝えたいので(笑)
シャーロットがお気に入りですかぁ。彼女は書いてて中々楽しいキャラですね。割とアホみたいな奴は楽しいんで、羽生先輩も気に入ってます(笑)
拙者っ娘(笑)
面白いあだ名をありがとうです! 彼女もあとで出しますよ〜。一応メインになる予定ですんで!
長々と失礼しました。
これからも細々と執筆させていだたきます!
彼方さんの作品にもお邪魔しますね^ ^
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