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夢で逢えたら【9/22更新】
日時: 2015/09/22 01:56
名前: ひよこ ◆1Gfe1FSDRs (ID: OcHJFEPy)

はじめての方ははじめまして、ひよこです。
またお前か、という方はこんにちは、また私です。

今回は、名前を取り戻すため奮闘する少女のお話。





*登場人物

・アリス

・白うさぎのお兄さん

・黒猫

・白猫

・狐

・子犬

・ライオン

・女王



*お客様

・はるた様
・左右りと様
・スミレ様
・マヤ様
・アッコ様

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Re: 夢で逢えたら【4/17更新】 ( No.19 )
日時: 2015/04/26 15:59
名前: ひよこ ◆1Gfe1FSDRs (ID: OcHJFEPy)

こんにちは、ひよこです。

とりあえずは落ち着いてきました。
今日か明日、更新したいなと思っています……!!
(´・ω・`)デキルカナ…

もう少しだけお待ちください!!











Re: 夢で逢えたら【4/17更新】 ( No.20 )
日時: 2015/04/26 23:49
名前: ひよこ ◆1Gfe1FSDRs (ID: OcHJFEPy)

「……さて、そろそろ行こうか?」

白うさぎが立ち上がり、服についた土を手で払った。
それに続き、アリスと子犬も立ち上がる。

「……まだ遠いですね」

「そうだね。どれくらいかかるかなぁ」

「もうげんきになったから、いっぱい歩けるよ!!」

そう言った子犬が、先陣をきって歩き出す。
徐々に雲は厚くなって、太陽の光は弱々しくなっていく。
その雲を突き抜けてそびえ立つ城は、まだ小さく見えた。

「近道とか、あったらいいんですけどね」

アリスがそう呟いた。
その時。

「ウゥゥゥ……」

目の前に広がる森の奥から、うめき声が聞こえた。
それは人の声には聞こえず、恐怖を覚えた。
低く、空気が震えるような声。
アリスは息を飲んだ。
そんなアリスを背中の後ろに隠すように、白うさぎがスッと前に出た。
草や枝を踏む音が近づいてくる。

「……!!」

木々の間から現れたのは……

「ライオン……!!」

相手を威嚇するようなたてがみ。
鋭く尖った牙。
大きな体。
その姿は正に、百獣の王と呼ぶに相応しかった。

「アリス……子犬ちゃんと一緒に逃げるんだ」

小声で白うさぎがアリスに言った。

「でも、それじゃお兄さんが……」

「君は、死んではいけないんだ。……頼む」

訴えるような目に、アリスは躊躇いながらも来た道を走ろうとした。
すると__

『……待て』

低い声が、辺りいっぱいに響く。
アリスは思わず足を止めた。

『私は、お前達を襲う気はない』

人ならざる声が、優しさを帯びた口調で言った。

「……喋った……」

『ここでは普通のことだ……驚くな』

白うさぎはいまだ、ライオンを見据えている。

「……僕らになんの用だ?」

『森の奴らが教えてくれた……お前達が、城に行きたがっていることを』

白うさぎの耳が、ぴくりと動いた。

『私は、城に囚われていた……命からがら逃げたし、今ここにいる。あの城は、地獄だ』

淡々と語るライオンから、アリスは目が離せなかった。

『それでもお前達があの城に行くというのなら、近道を教えてやろう』



ライオンの言葉にアリスと白うさぎが驚いているなか、子犬は一人、笑みを浮かべていた。











「……ふふっ」

Re: 夢で逢えたら【4/26更新】 ( No.21 )
日時: 2015/04/27 22:37
名前: ひよこ ◆1Gfe1FSDRs (ID: OcHJFEPy)

『女王は、本当に酷かった』

ライオンは語る。
遠くの、青く澄んだ空を見上げながら。





***




「ああ……どうしてあなたたちは私の言うことを聞かないのかしら」

彼女は言う。
すべては自分のものだと。

「私のおかげで生きていられるというのに。あなたたちは私の手足のように動いていればいいのに」

城に仕えるものは皆、彼女の支配下にあった。
誰もが不満と恐怖を抱きながら、彼女のいう通りに動くほかなかったのだ。

彼女がいなければ、生きていられないから。

皆、彼女に拾われた孤独な者たちだった。
腐っても彼女は、彼らの恩人だった。

「かわいいかわいい、私の人形。今日も綺麗にしましょうね」

そう言って、まだ年端のいかない少女の髪を撫でる。
少女の目に光はなく、ただじっと耐えていた。

ライオンは、逃げ出した。


目の前に広がる光景を見たくないあまり、大切な人を置き去りにして。


彼は後悔の波に押し潰されそうになった。
何度も何度も、戻ろうと考えた。
だが、足は動かない。
どんなに大きな体をしていようと、どんなに重々しい声であろうとも、彼は臆病者だった。

女王に怯え、一人逃げ出した、臆病者。

百獣の王と呼ばれた姿は、どこにもない。

毎晩毎晩、少女のあの目に捕らえられる。
『どうして置いていったの』『私を見捨てるの』
彼はその度に目を閉じる。
少女の目を見ないように、そっと目を閉じる。

いまだに女王は、人形をかわいがっている。
彼女は、愛されることを知らない。
故に、愛しかたも知らない。

彼女は寂しくて、悲しくて、残酷な人。

使用人は、口々に言う。

『なんて可哀想な女王』

『なんて可哀想な少女』




『この城は、地獄だ』




と。








Re: 夢で逢えたら【4/27更新】 ( No.22 )
日時: 2015/05/23 17:13
名前: ひよこ ◆1Gfe1FSDRs (ID: OcHJFEPy)

ライオンは語り終え、目を伏せた。
忌まわしい記憶だと言わんばかりに、頭をゆっくりと降った。
アリスはそれをみて、一歩ライオンのもとへ近づいた。
近づきたくなったのだ。
近づいて、伝えたかった。
『大丈夫、少女はあなたのこと恨んでないよ』、と。
しかし、止めた。
その少女でもないのに、軽々しく言えるものではないと思ったからだ。
代わりにアリスは、こう言った。

「城の近道を、教えてください」

ライオンはただ黙って、アリスの言葉を聞いた。

「どんなに恐ろしくても、私は行かなきゃいけないんです。そうじゃないと、私の物語は終わらないから。だから、お願いします」

『……君は、強い子だ』

そう言ってライオンは、視線を横にそらした。

『そこの脇道を通れば、すぐ城につく。……気をつけてな』

アリスはライオンに頭を下げた。

「ありがとうございます」

アリスはライオンの言った脇道を一歩進んだ。
普通の道とは違い、草がいたるところに生え、地面も歪な形をしていた。
それでもアリスはしりごみせず、一歩、また一歩進んでいった。
それに続いて、白うさぎと子犬も進む。

しばらく歩き続けていると、急に道が開けてきた。
アリスの目に映ったのは、視界いっぱいに広がる白い壁だった。
空が黒い雲に覆われているせいか、綺麗な白には見えなかった。
目の前には、城の者専用なのだろうか、少々みすぼらしい茶色い扉がみえた。
あたりに花畑でもあるのか、すこしきつめの香りが鼻をかすめた。

「これが、女王の城……」

アリスは息を呑んだ。
気を許すと、また倒れてしまいそうなほどの嫌悪感に襲われる。
深く息を吸い込み、目の前の城を見据えた。

そして、扉に手をかけた。

Re: 夢で逢えたら【5/23更新】 ( No.23 )
日時: 2015/05/23 18:52
名前: アッコ (ID: HU9qn.Bn)

はじめましてっアッコですっ
ひよこ様の小説大好きですっ
応援してまっす!
たびたび・・・コメントしていいですか?


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