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A quirk of fate〜運命の悪戯、君に届けたい〜
日時: 2016/06/18 18:00
名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: 40QPO6LY)

初めまして&こんにちは。音宮(おとみや)です。

今作品も完結…目指したいです、はい。応援、よろしくお願いします。

この作品の見方……、一話=だいたい2スレとなっています。
音宮の小説は話が進むにつれてだんだんと関係が難しくなるので、紙に関係図とか書いた方がもっと分かりやすく物語を読めると思います。

【作品要素はこちら】>>2


【Table of contents】

≪Character introduction≫ >>1【11/6 更新】
           
≪第一章≫
第一話 >>2 第二話 >>3 第三話 >>4 第四話 >>5 第五話 >>6-7
第六話 >>8-9 第七話 >>10-11 第八話 >>12-13 
第九話 >>14-16 第十話 >>17-19 第十一話>>20,>>22 第十二話>>23-25
第十三話>>26-28 第十四話>>29-30 第十五話>>31-34 第十六話>>35-36
第十七話>>37-39

コメント
>>21

今からでも間に合うっ!
≪第十七話までの御話の要約(詳しいことは各お話を見てくださいな)≫

異世界に送り込まれてしまった麗。一国の皇子ショウに助けられ、そこで現代に帰る方法を探しながらも異世界での生活を楽しみ始める。
そんなさなか、ショウは麗に一目ぼれをしたことを伝え、そこから婚約者候補になってほしいと言われる。麗は助けられたお礼として婚約者候補になるべく勉強を始めるが、婚約者候補を決める大会がショウの印鑑が盗まれて麗が大会に参加することを反対する輩がいると分かった。大事をとって大会を中止する。
そんな時、ヴェルハントが麗に近づき、サイトの姉である第一皇女は敵国とヴェルハントが怪しいと睨み、敵国プラッセに出陣。
一方、ショウはヴェルハントの宣戦布告に激怒。麗をできるだけ彼に近づかせないよう、奮闘する。


【新しいキャラクターも続々登場中ッ】

恋愛状況としては
ヴェルンハルト→麗←ショウが中心になってますw

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Re: A quirk of fate〜運命の悪戯、君に届けたい〜  ( No.22 )
日時: 2015/11/08 17:04
名前: ・ス・ス・ス{ ◆93nWkRSozk (ID: KLpo2fZJ)

>>21
採点ありがとうございました。
またいつか、お願いしようと思いますのでよろしくお願いします。


——ここから本編です。

9day —— in the night ——

「そろそろ、行きますか」

ショウ様が、ドアのそばで私に右手を伸ばして言う。
したたかな微笑みは大人の余裕を醸し出して、正装の彼は一段と華やかなものである。


「はい……」

ドレスの端をつまんで裾を持ち上げてパーティー会場へと向かった。


『今回の主役は、あのブリリアント第一皇子が気に入られた方なんですって』

『へぇ……それはどんな方なんでしょう?』

そんな話声は俺の期待をさらに高めた。
心高ぶっていると、誰かが話しかけてくる。

「ヴォルケンシュタイン子爵」

後ろから声を掛けられ、少し驚きながらも振り向いて応答した。

「これはこれは……サイト第二皇子。このたびはどうもお招きありがとうございます」

小柄なその方は、この王国で有名な慕われている方の弟君である。
しかし、その美しい容姿に騙されてはいけない。兄とは違い、気に入らない人にはわがままで意地悪な皇子である。

「ヴォルケンシュタイン子爵にはどうしても知ってほしい方がいましてね……」

腕を後ろで組みながら言った。こういう動作をするときは、自慢したいなどのそんな気持ちの時だ。それほど、素晴らしいのだろうか、彼女は。


「なるほど。それはますます、ご紹介していただきたい」

そんな会話を交わしていると、ファンファーレが鳴った。
今夜の主役がこの会場に入る知らせだ。

『……第一皇太子様のおなり』

会場内に大きく響き渡ると、向こうの先から華やかな人達が現れた。

『わぁ……素敵……。ブリリアント様は相変わらずね……』

女性陣の黄色い声が盛んに飛ぶが、その隣に恥ずかしそうにうつむいて歩いている女性……についても好評であった。

「……そろそろ僕は、兄様のところに行かないと。それでは、お楽しみください、子爵殿」

と言って小柄な悪魔は愛する兄の元にいった。
その声を片端に聞き取りながら俺は、彼女に遠目であるが、見とれていた——


「……大丈夫ですか、麗様」

麗様は、たくさんの人に先ほどご挨拶をされてとても疲れていらっしゃるようだ。壁に寄せてあった椅子の背もたれに寄りかかっていた。

「ええ、大丈夫よ……、そんな心配しなくても私は大丈夫だから。それに私の世話ばかりしていたらパーティー、楽しめないわよ?」
心配してくれるのは嬉しいんだけど……、そんなことをしていたら折角のパーティーが私のせいで楽しめないじゃないかって思う。

「……いいんですよ。私は麗様専属の護衛なのですから」
そうにこやかに笑って言う彼は、やはり優しい人で。
でもその優しさを断ることはできない。なぜなら、せっかく好意をもってしてくれていることなのに、それを断ったら気を悪くさせてしまいそうで怖いからだ。

「……そう、ありがとう、タク」
微笑んで彼に礼を言うと、彼も微笑み返す。
そんな会話を交わしていると、タクは、急ぎの用ができたようで、すいません、すぐ戻りますと眉を曲げながら去っていった。

暇を持て余してパーティー会場をさまよっていると、どなたかに声をかけられた。
その方は、貴族のようであった。容姿端麗で身長もたかい。
なぜ、この世界で会う方たちはみんなそろいもそろって美形なのであろうか。

「……麗様でしたかな?」
あまりにも美しい顔立ちなので私は見惚れていた。しばらく間が空いてしまって焦りながらも返事をする。

「……はい、そうですが……、貴方様は?」
「すいません、申し遅れました。ヴォルケンシュタイン家当主ヴェルンハルトと申します。以後、お見知りおきを」
私の前でひざまついて私の右手の甲に唇を落として挨拶する。
なんて紳士なのだろうかと思いながらまたもや見とれていた——

Re: A quirk of fate〜運命の悪戯、君に届けたい〜  ( No.23 )
日時: 2015/11/08 17:03
名前: ・ス・ス・ス{ ◆93nWkRSozk (ID: KLpo2fZJ)

9day —— in the night —— Someone Side

『おい、そっちは?』

レシーバーで連絡をとる。そう、俺は”黒華”の一味であった。
今日の黒華の目的物は第一皇子の刻印つまり承諾印。
うちのお嬢様がどうしてもそれを欲しいと命令なさったのだ。どうしてそんなことを命令されたのか、分からんが。

「なんとか入手。すぐそっちに……」

俺の班は実行犯を担っていた。三人という小人数だが、完璧な仕事をしていた。

「やばい、クロム、親衛隊接近してきた」
外で見張っていた一人が俺の肩を叩いて知らせる。
思った以上に気付かれるのは早かった。それもそうか、あの国内一の剣豪としらされるタクト=ハーベルの親衛隊が今回の中心の護衛だそうで。

「親衛隊に気付かれた。ルート3で脱出する。準備してくれ」

レシーバーの向こうにいる仲間にそう伝え、俺たちはその部屋から脱出した。


「……隊長!」
俺が心配しながら麗様の世話をしている時、部下のマルセルが焦りながら俺の下へ連絡を送ってくる。

「なんだ、マルセル。どうかしたか」
無線機にそう声を出して落ち着いて何事かと聞く。

「ブリリアント様の部屋のセンサーに不審な……」
「すぐ、行く」
言葉の途中だったが、何を言おうとしているかが分かった。
すぐにブリリアント様に知らせ、現場に向かう。
麗様が心配そうに見送ってくれたが、少しはご自分の体調も心配なさってほしいものだと思いながら現場に到着。


Re: A quirk of fate〜運命の悪戯、君に届けたい〜  ( No.24 )
日時: 2015/11/23 15:03
名前: ・ス・ス・ス{ ◆93nWkRSozk (ID: xqGPflk1)

9day —— in the night —— 

「タクト!一体、何事だ!」

珍しく取り乱したブリリアント様が現場に一足遅れて駆けつけに来てくれていた。

「はい。荒らされた形跡はないのですが、ブリリアント様の刻印がないかと思われます」

「刻印!?あれがないと、婚約者候補を決める祭ができないじゃないか!」
まずいことになったと思う。あれがないと、一刻も早く麗さんを婚約者にしたいのにできなくなってしまう。

「分かってます。親衛隊全力を尽くし、今、捜索中ですが、見つからないのです。私の予測ですが、黒華団に盗まれたかと思います」
彼らの手口である舞踏会や歓迎祭にみんなが気を取られているうちに目的の物を盗み、必ず何かと取引する、交渉を願う書が残される。

だが……、

「黒華団なら交渉を望むものがあるだろう?それはなかったのか?」
ブリリアント様もそれを期待していた。
なぜなら黒華団は金銭目的で盗む場合が多いからだ。金銭で解決するのならそれでいいと思ったのだろう、ブリリアント様も。

「それがなかったのです。黒華団は金銭目的ではなかったようで」
「なかった?では何のために……黒華団は」

こうなると、何をしていいのかさえ、分からない。
相手がどう出てくるのを予測することさえも考えつかなくなる。
どうしたものかとうなるが、どうすることもできず、時間は過ぎ去る。

「とりあえず、このことは麗さんにもリヒトにも皆の者にも他言しないでくれ。パーティーは中止とするが」

「分かりました。パーティー会場にいる皆さんにはうまくごまかして伝えておきます」

そういうと、俺はその言葉通り、実行し、パーティーと共に麗さんを安全な場所へと移動した。
部屋を出るときにブリリアント様がとてもお辛そうに顔を歪めていたのが、印象的であった——

Re: A quirk of fate〜運命の悪戯、君に届けたい〜  ( No.25 )
日時: 2015/12/21 13:20
名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: Jk.jaDzR)

10day —— in the moring—— 

『婚約者候補の大会は中止』

そう告げられたのは一時間前。
これまでフレッドとタクと一生懸命勉強してきただけあって、そのショックは絶大だった。
その落ち込みは自分でもわかるくらいにずどーんっと。
先ほどからタクが心配そうに視線を熱くして私を見ているのが分かる。
ちなみに斜め前にはフレッドも同じようにうなだれてしまっていた。

「……私、ちょっと出かけてくるね。いいでしょ、フレッド?」

重い空気が私にとって嫌で気分転換に外出を試みる。
タクもそうしましょうという目で訴えてきて私が外出することに賛成のようだ。

「ああ、もちろんだ。気分転換にキッフェンでも買ってくるといい」

しおれた笑顔を向けられると、なんだか可哀想に思えるが、キッフェルンかぁ、いいかもと思いながら外出目的にした。

キッフェルンというのは、現代のドイツの焼き菓子で、この世界にも伝統のお菓子として伝わっている。なんか、この世界ってヨーロッパ風のもの多いなぁなどと思いながらタクに外出の支度を整えてもらい、城を後にした。

「外に出られるのは久しぶりですね」
「そうね。この間からパーティーの準備やなんやらで外出できなかったから」

タクがそう爽やかな笑顔で話を盛んにしてくれる。
私がこの世界に来てから日数を数えていたが、もうはやくも二週間が経過していた。それに応じて春のように温かな風が吹いていたこの地域も、今では日差しが少し強くなって夏らしい気候に変化しているのを感じていた。

「麗様は、パーティー、楽しめましたか?」
「……ええ、もちろんよ」

応答が少し遅れてしまったのは、昨夜あったあの素敵な男性を思い出してしまって、またもや見とれてしまっていたから。

「ブリリアント様が麗様のおそばにいられなくて悲しんでおられましたよ?」
「ショウ様が……」

ショウ様を想うと、今の私はほんと、失礼だったな。
ショウ様は私を本当に愛してくださっているのに、私としたら昨夜の男性を少しでも思い浮かべて見とれてしまっていて。

「麗様?」
「……ううん、なんでもないの。それより早くお茶にしたいからキッフェルン、買いに行きましょう?」

彼女はいたって元気そうなので、俺は疑うこともなく、彼女についていった。

Re: A quirk of fate〜運命の悪戯、君に届けたい〜  ( No.26 )
日時: 2015/12/21 13:19
名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: Jk.jaDzR)

10day —— in the moring—— 

麗が出かけた後、すぐに俺はブリリアント様に呼ばれた。

「失礼します、ブリリアント様」

そう声を掛けて部屋へはいると、ブリリアント様は書類を片手に机にむかっていらっしゃった。

「フデリックか。そこに座れ」

ほっとしたように微笑み、俺にまずは座れと勧める。
俺も断る理由がなかったのでそれにしたがって、メイドには下がってもらった。

「……ブリリアント様、話とはなんでしょうか?」

一息ついたところで早速、聞いてみる。

「実は、フデリックも不思議がっているだろうが、僕の婚約者を決める大会の中止の件だ」

「私もそれをぜひ聞きたかったです。麗様もひどくショックを受けていらっしゃって」

ここでまさかその理由が聞けるとは思ってもみなかったので、俺はきゅっと彼のまなざしにまで彼に教えてほしいと訴えた。

「麗さんには本当に申し訳ないと思っている。だが、その大会を開けば、彼女を危険にさらしてしまうかもしれないからだ」

「それは……どういうことでしょうか……?」

俺は彼の話に真剣に聞き始めていた——


「わぁ、キッフェルンがこんなに種類があるものなんて知らなかったわっ」

ガラスケースにキュッと手をくっつけて子供みたいにはしゃぐ彼女は、
もうショックを受けたことすら忘れているようにも見えた。

「そうですね。何味にしますか?シナモン、ストロベリー、チョコなどいろいろありますが……?」

クスッと笑いながら彼女の後ろ姿を見つめてそう聞く。
なんて愛らしいんだろうと彼女にそうばれぬよう瞳でおしゃべりしながらキラキラと輝かせてこちらを振りかえった彼女の目線に合わせて聞いた。

「えっとね……、欲張りなんだけど……全部の種類食べてみたい……」

恥じるようにちょんちょんと人差し指同士をくっつけながらもじもじと小さな声で言って、俺を上目遣いで見上げる。
ねだる時の彼女はとてつもなくその愛らしさを発揮することを俺は彼女との二週間の生活でわかりきっていた。


「しょうがないですね……。いましばらくお待ちください、買ってきますので」

ふふっと笑いながら彼女の頭を撫でて、会計を終えようとしている列にならんだ。


「……」

ふふっとにやつきながら彼のことを店の外で待っていると、誰かが話しかけてくる。


「麗様、ですよね?」

紳士的な態度を思わせるような穏やかな声に私は笑顔を向けながら彼と目を合わせた——


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