コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 太陽が金色の光を帯びて昇ったとき
- 日時: 2015/06/20 23:38
- 名前: haya (ID: cdCu00PP)
世界は突如出現した六体の魔神に滅ぼされかけた。だが、ほんの数百年前、戦いは終結した。ある一人勇者であり、魔術師であるものによって。彼はその武功を称えられ救世主(メシア)とよばれ、伝説になった。
第一話
ここは地獄だ。目を閉じただけであの光景が目に浮かぶ。空は赤く染まり、あるのは廃墟。遠くには進Oの巨Oの壁に似たものがぐるりと地区を覆っている。人類と魔神との大戦が終結して百年近くたつが、未だに復旧は進んでいない。世界の約6.5割は廃墟の地となり、魔神の眷属である化け物ーエクスデスーが跋扈している。人口も元は十何億はいたのだが、いまはおよそ一億二千万人が地球の総人口である。必然的に町を、都市を守るための戦力が必要になり、中学から剣術、魔術の授業が取り入れられている。世界が滅びかけている今、人手不足の影響は学生にまで届いている。
「こんな滅亡した世界でのうのうと生きている自分がどうかしてるよ、、」
俺、三輪京介はそっと呟く。現在、俺はエクスデスの進入を阻むための壁の外に立っている。黒い軍服に腰には白塗りの鞘におさまる一振りの刀。俺は孤児だった。親、友達は全て化け物たちの餌食となり、俺だけがゆうゆうと生き延びていた。
『くそっくそっ!!、、、絶対に許さねえ、、!!あいつを絶対に叩き斬ってやる、、、この手で!!!』
そう屍となったみんなに誓ったのだ。それから俺は修練に修練を重ね、その実力を買われ、日本の実権を握る眷属掃討部隊に特別入隊を許可され、壁外の地図作成、復興、眷属掃討を手がけている。そしてなぜ、俺はこの廃墟にいるかというと、、、そのとき交差点を挟んで向かいにあるビルが崩壊し、中から異形の化け物がこちらにかけてくる数人の人間を追ってくる。
「だ、だめだ!!もう押さえきれない!!」
「ここはもうじき陥落ーっ!き、君は!」
「他の部隊は退きました。あいつは俺が捕獲します」
「そ、そうか、、頼んだ!!」
今はエクスデス捕獲作戦の真っ最中だった。
「グオオオオオッ!」
「ぎゃーぎゃーうるせえっ!」
俺は刀を抜き、駆け出す。エクスデスは俺を視認すると巨大な手を勢いよくたたきつけるが俺は造作もなくその手ごと斬りとばし、蜘蛛の様な八本足を全て切り落として行動不能にする。ほんの何十年前までは人間は防戦一方だったがエクスデスの体には様々な神秘があることが判明し、人類は怒濤の反撃にでた。この刀は中に意志を持ったエクスデスが封印されており、ある程度のドーピング作用とかなりの切れ味を持つ。おれは血の雨を浴びながら振り返る。
「お前らは調子に乗りすぎたんだよ、、、」
ー暗い部屋に一人の女性が座っている。目の前には巨大な石版がある。
いま数百行はある古代文字でかかれた文章の十三段目の文字が発光し、光が灯る。
「ふふ、、楽しみねえ、、、」
彼女は静かに嗤った。
- Re: 太陽が金色の光を帯びて昇ったとき ( No.28 )
- 日時: 2016/01/05 10:28
- 名前: haya (ID: cdCu00PP)
「おおし!やっと出れた、、ん?」
足元に牢屋の看守(?)の二人が失神して倒れている。和人の剣どころかなにも当たっていないはずだ。なにせ和人の黒炎は燃焼スピードと着火性が尋常じゃないほど高く、牢の鉄格子は剣に触れた瞬間に灰へと姿を変えたのだ。
「いったろ、〈なんでも燃やす〉って」
『はい、、、?』
「この炎は精神系にも干渉できんの。さっきは二人の意識を燃やした」
『近寄らないで』
「おいコラ」
このとき班員全員の意見が一致した。
「ちっ。心配しなくてもこれは俺が調整いじらない限り引火も飛び火もあ・り・ま・せ・ん!」
「そっか。でも怖いからあんま寄るなよ?」
「はあ?てめえの寿命を燃やし尽くしてやろうか?」
「す、すいません」
そうこうするうちに五人は階段を駆け上がり通路を道なりに走っていた。そして梨花があることに気づく。
「これって、、」
「何?」
「地下アジトっていうより地下居住区みたい、、、」
『はい?』
「うん、、やっぱり。この床の下は地下水が流れてるし、この匂いはたぶん炊いたお米のにおい、、」
『??』
「お前さ、、どんな五感してんの」
「今更だけど私も特異能力の家系よ。九鬼一族ってわかる?」
「聞いたことがあるようなないような、、」
秀が遠い目をしながらぼそっと言う。
「はあ、もういいや」
「次はからは、、って言ってもこれに合格すれば講習もなくなるわけだし」
「ぐ、、」
そうやり取りしながらも今度は梨花の先導で出口に向かう
+ + +
「首領。大変です」
「なんだ」
広い岩づくりの部屋に若い男の声と重苦しい声が響く。
「通達に記載されていた。ガキどもを捕らえたのですが、、その、逃げられました」
「ほう、、さすが弓星だ。いい教育をしとる、、、北出口を固めろ。牢から一番近いのはそこだ。あとは俺が出る」
「御意」
そして薄暗い中、丸太ほどもあろうかという巨腕が刃渡り二メートルほどの大剣を掴んだ。
- Re: 太陽が金色の光を帯びて昇ったとき ( No.29 )
- 日時: 2016/01/13 00:09
- 名前: haya (ID: cdCu00PP)
「おらおら、どけどけえ!」
「おい!炎が当たってもしらねえぞ!」
「引火しないんなら大丈夫だろ!」
七班は破竹の勢いで地下居住区(たぶん)を突破していた。
「梨花ちゃん、あとどれくらい?」
「えっと、さっきより風が強く感じれてるんで、あと五分も走れば出れるはずです」
『了解!』
和人の丑鎮めの焔は大変な破壊力を発揮し、襲い掛かる敵を片っ端から気絶させ、罠も見事に秒速で灰に変えた。おかげで残りは索敵とルート探索に専念でき、予定より早めにここを抜けれそうだった。
「次を曲がったら出口前の大広間に出ます!待ち伏せ多数!」
「おし、こいつの出番だ!」
そう言って秀が取り出したのは五枚の呪符だ。
「なんだそれ」
「消音、透明化の幻術符。高い金払って作成を依頼したんだ」
「んなもんにかける時間と金があるならもう少し学習しろよ」
「うるせーよ!今回はこれがめっちゃ役に立つだろ!」
「あーはいはい。そうですね」
軽口をたたく間に秀は呪符を発動させ、術をかける。
「効果は七分。それまでに広間一つ、廊下一本、また広間一つを抜けなきゃいけない。支給品の錠剤を二粒飲んだ方がいい」
「うん。そうだね」
「薬を飲んだら五秒後にダッシュでいこっか。ぶつかんないように注意だね」
『了解』
そして姿と音を消した七班はゆっくり広間の入口に立ち、様子をうかがう。
やはり情報通り、たくさんの黒ずくめ集団が待機していた。すると結衣の小さな声が七班に届く。
「いくよ、、3、2、1、GO!」
そして五人は一斉に走り出しあっという間に大広間を抜け、廊下に差し掛かる。
「廊下の先に一人います!注意してください!」
「おっけー!」
最後の広間に入り込み目の前の入口目指して更にダッシュするが、突如広間に白煙が充満し始める。
『!?』
あわてて足を止めようとするが、和人が制止する。
「無視だ!早く出よう!」
その言葉を聞き、はっとしながら出口をめざすが、、
「よう」
野太い声とともに大きな拳が五人の真上に振り下ろされる。
「うおお!?」
「っ!」
「きゃあ!?」
とっさに全員交わしたが石の床に直径五十センチほどの穴が開く威力に少し吹き飛ばされる。
「な、なんだ!?」
「よう、ガキども。よくここまで生きてたどり着けたな。だが、こっからは誰も通さんぞ!」
煙の中から現れたのは白髪の煙草をくわえた三十代くらいの男だった。二mはあろうかという長身にあちこちに傷跡がある筋骨隆々とした鎧のような筋肉。そして右手には刃渡りが刀の剣先から柄頭くらいまでの大剣。防具の類は一切所持せず、着ているのは所々ほつれたジャケットに簡素なズボン。この男ほど歴戦の猛者、という言葉が合うものはいないだろう。
「ここをでるなら俺を倒していけ」
- Re: 太陽が金色の光を帯びて昇ったとき ( No.30 )
- 日時: 2016/01/23 10:55
- 名前: haya (ID: cdCu00PP)
『はあああ!!』
巨漢の男に向かって五本の刀が前後左右から振り下ろされる。しか帰ってきたのは宙を舞う花弁を斬りつけたかのような空虚な手応えだった。
「遅い」
「ぐっ」
「きゃっ!」
斬ったはずなのにいつの間にか男は五人の背後に移動していた。鋭い蹴りが弥生と和人を吹き飛ばし、大ダメージを与える。
「、、なんで当たらないんだよ」
「この煙、、、何かの能力で作り出されたものよ!」
「だとすると、、あいつも能力者か」
「相談は終わったか?」
『!!?』
今度は秀と梨花の後ろに気配もなく男が立っている。
「お前、九鬼一族の、、しかも感知タイプか。やっかいだな、、先に消えろ」
「え、、」
無慈悲にも放たれた大剣が梨花に触れる寸前、間一髪で秀が梨花を回収し、空いたスペースから和人の黒炎が槍の形になって飛んでくるがもうその時には男の姿はなく、秀の目の前にいた。
「しぶとい奴らだ、、」
「!?」
(つうか、、なんで俺たちの居場所がわかるんだよ!!まだ効果が切れるまで一分半あるぞ!?)
「あきらめろ。もうお前たちは袋の鼠だ」
- Re: 太陽が金色の光を帯びて昇ったとき ( No.31 )
- 日時: 2016/02/13 13:02
- 名前: haya (ID: cdCu00PP)
「うわわっ!」
なんとか斬撃を回避するも、よけきれずに左腕に鋭い刀傷ができる。
痛みに顔をしかめながらも間合いを取り直し、状況を確認。和人はまだ蹴りのダメージが抜けきれておらず、近接戦は期待できない。弥生は完全にダウンしている。この戦闘中の復帰は難しいだろう。となると必然的にー
「私たち二人で抑えるよ!」
「は、はい!」
結衣と秀が庇わなければいけないのは当然であった。
「ハッ!」
短い気合いと共に結衣が十個以上の手裏剣を扇状に構え、辺りに投擲する。しかし、どれも当たらずに壁に突き立つ音がするだけだ。結衣はどうやら煙で分身を作り出し、攪乱しているのでは、という予想を持っているようだが、秀の見解は違う。
相手が煙の分身を作る能力ならわざわざ空間を白煙で充満させる必要はないはずだ。−もちろん、視覚を奪う利点はあるが今までの行動を見る限り攻撃の時は姿を現すため意味がないーとなると可能性は一つ。
「先輩」
「何?」
そして秀は結衣に作戦を伝え、行動に移る。結衣が先ほどと同数の手裏剣を二回投げる。どっから出したんだこの人、、という疑問はさておき、あたりは手裏剣が弧を描きながら飛び交う。そこで梨花の出番だ。
「篠崎さん!手裏剣が壁以外に当たる音を聞いてくれ!」
「え、う、うん」
数秒後、すべての手裏剣が沈黙する。
「いくつだ!?」
「えっと、、、ひ、一つかな」
「やっぱり、、、」
となると次はー
「和人!てめえへばってねえで働けっての!」
「ああ!?」
「この霧!燃やせるよな!」
「当たり前だボケ!しゃがんでろ!」
結衣と秀、梨花はその場にしゃがんだ瞬間ー
「獄焔波!」
広間を黒炎の波が覆いつくした。
「く、、!?」
するとにじみ出るようにして男が姿を現した。
「え、、!」
「どうやってー」
「ふん!」
しかし向こうも硬直してばかりではなく、即座に反撃を仕掛けてくるが剣に黒炎がともり、あっという間に灰に変え、今度こそ結衣が放った手裏剣が男を捕らえた。
- Re: 太陽が金色の光を帯びて昇ったとき ( No.32 )
- 日時: 2016/02/19 23:20
- 名前: haya (ID: cdCu00PP)
第七班が謎の集団と遭遇したころ京介はー
「カロロロ、、、」
「グルル、、、」
「はあ、どーすっかねえ、、、」
エクスデスの虎型×二、蜘蛛型×三、鳥型(といっても人より大きい)×一に囲まれていた。そして、
「はわわわ、、、」
木刀を持つ心菜もいた。もともとは心菜の訓練がてら簡単なエクスデス討伐依頼を受けて(今まで蹴っていたのをやっと受けた)現場に赴いたのだが、見ての通り強力なタイプがわんさかいる場所だった。
「はめられたな、、、こんくらいどうってことはないが」
本来、軍に届けられる依頼、協力要請は審査官が現場に出向いて真偽を確かめ、それに見合う料金をクライアントに請求し、戦闘員が事件を片付けて料金を報酬として戦闘員に回すのが一般的で、実力に見合った依頼を中級以上に振り分けていく。基本的にいついつまでにこの二件を終わらせなさい、と通達がある。これがやっかいでしょうがないうえに上級戦闘員には必然的に危険度の高い依頼が課せられるため、なかなかきつい。−もちろん、依頼内容は偽りの無いようにしないといけないため審査も厳しい、というのは上っ面だけである。このような世の中では自然と他人よりも己を大事にする傾向が強い。そのため、地区の中心に住まう権力者の家の者はそれにものを言わせて危険度の低い依頼を横取りしているのだ。そのため、残った高難易度の依頼を四苦八苦しながら外壁近辺に住まう一般人のものはこなしている。
「お、お兄ちゃん、、、ねえ、逃げようよー」
「あ?ここまで時間かけてきたのに何もしないで帰れるか。それに試してみたいこともあるからしばらく動くなよ」
「えぇぇ」
駄々をこねる心菜に呪符を使って前後左右を囲む防壁を作り出す。
「そこでよく見とけよ」
「う、うん」
そうして京介はエクスデスに向き直り、刀を抜く。それを合図とするかのように蜘蛛型が三体同時に襲い掛かってくるが、ガイウスの探知の力ですべてを躱し、すれ違いざまに一閃。一体の核を真っ二つに斬る。
「よし、試すか」
そうして京介は周囲に斬撃を刀の能力で停滞させ斬撃の檻を作り、邪帝の力を放出し始める。しかもただ放出するのではなく、形もつけてそれを実体化ーしようと思ったら形を乱してしまい、力が暴走し、辺りを平らにした。
『・・・』
心菜を覆う防壁も至近距離で暴走を食らって壊れ、二人とも泥、砂だらけになった。
「帰るか・・・」
「うん」
夕日をバックに二人はとぼとぼ帰っていった。
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