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- ベスティア・ラッコント
- 日時: 2015/07/27 23:04
- 名前: いろはうた (ID: 2wn.vvKF)
すべては、あの青い夜に始まった
私の復讐は始まった
あなたの瞳に魅入られた
殺意あふれる琥珀の瞳に
恋するように
狂うように
獣
ベスティアのように
- Re: ベスティア・ラッコント ( No.40 )
- 日時: 2016/03/11 23:21
- 名前: いろはうた (ID: Rj4O5uNk)
登場人物紹介
ナタネ……明るく元気な少女。
今はなき、ヨガリ一族の生き残り。
そのせいもあり、非常に体術に優れているが、その一方で、勉強は苦手。
母の遺言に従って、双子の妹を探している。
実は、寂しがりや。
おっちょこちょいに見えて、意外と現実的なところがある。
ハルナ……ナタネの契約精霊であり、非常に珍しい雷の精霊。
派手な容姿の美しい少女だが、古風な口調で偉そうなことばかり言う。
生前は由緒正しい神社の跡取り娘であり、巫女であった。
武器は槍を使う。
シュナ……ナタネの一つ上の先輩で、ナタネのパートナー。
学校で1.2を争う秀才だが、
性格が熱血漢すぎるほど熱血漢であることが有名。
その暑苦しい笑みは一分でドライアイスを二酸化炭素に変える
という伝説があるが、本当かはいまだにわかっていない。
よく見れば整った顔立ちをしているが、
その暑苦しさですべてが台無しになっている。
ホムラ……シュナの契約精霊であり炎の精霊。
腰にクル美声と、あふれる大人の色気、圧倒的な包容力で
数々の女生徒を虜にしてきた。
そのせいもあって、旦那様にしたい精霊ランキングで、
ぶっちぎりのNO.1を誇っている。
生前は由緒正しき神社の宮司をしていた。
武器は鉄扇を使う。
- Re: ベスティア・ラッコント ( No.41 )
- 日時: 2016/03/25 14:46
- 名前: いろはうた (ID: b4ZHknAo)
*ナタネは半眼になりながら、歩いていた。
その両手にはものすごく大きな紙袋を抱えている。
中にはキラキラしい衣装がいくつもパンパンに詰まっていた。
「……初任務が、雑用って…」
うめきのように愚痴を漏らしてしまうのも仕方ない。
そう。
ナギから言い渡された待ちに待った初任務の内容は、
小さな村の精霊祭りのお手伝いだった。
たしかに、一応精霊関連の任務ではあるが、こう、もっと他にあったような気がする。
「要するに、おまえは、ど派手な戦闘交じりの任務がやりたかったんだろー」
隣で同じように荷物を運ぶシュナが軽い口調でそう言った。
図星をさされたナタネは黙るしかない。
とはいえ、ナタネが失望を隠しきれないのは、そういうこともあるが、もう一つ理由がある。
「……なにか、魔物を倒すとか、そういうものだったら、
詠唱を活用できるのかなぁって思っていただけです……」
詠唱というのは、魔物や悪しき精霊使いなどと戦う際に
精霊使いが使う術のようなものだ。
詠唱文、と呼ばれる、特別な言霊を詠い、術、または霊力で作られた武器を生み出す。
これらが使えて、初めて精霊使いとなれるのだが、
未熟なナタネはこれをまだうまくコントロールできない。
それの練習の良い機会としても今回の任務を心待ちにしていたのだ。
「そういうのは、こういう簡単な任務の休憩時間の時とかに
少しずつおれが面倒みてやることになってる!
ちゃんと詠えもしないくせに、そう危険な任務にホイホイぶち込むほど
ナギ先生は馬鹿じゃねぇよー」
言いようはひどいがたしかにそうだ。
詠唱術を使えない自分は、ただの足手まといで、
そんな自分が任務になどで役に立てる見込みは薄い。
「あ!そうだ!
さっき伝書鳩で伝達をもらったんだけど、
こっちの人出が思ったより足りていないから、応援よこすって!」
「はぁ……そうですか……」
一人前になれる日がものすごく遠くに感じられて、ナタネは
シュナの言葉ですら聞き流してしまった。
- Re: ベスティア・ラッコント ( No.42 )
- 日時: 2016/04/08 22:56
- 名前: いろはうた (ID: b4ZHknAo)
「それにしてもなんのお祭りなんでしょうか……?」
「なんの、って……そりゃ精霊祭りに決まってんだろ」
その言葉を聞いてナタネは首を横に振った。
「違いますよ。
なんの精霊を祀る祭りなのかなって」
あたりを見渡すと、全体的に藤の花飾りや、薄い青色を基調とした装飾品などが多い。
ナタネが現在運んでいる衣装も青色よりのものが多く見える。
なんだろう。
パステルカラーっぽい、寒色系っぽい霊質は。
「水じゃ」
「うっひゃぁっ!!」
背後からの声にナタネは飛び上がった。
慌てて振り返ると、偉そうに腕を組みふよふよと宙に浮かんでいるハルナの姿があった。
いつ見ても美しい少女だと思う。
だが、よく見ると、美しいというか、きんきらしている感じの美貌。
金色のスパンコールが彼女の周りに散っているような錯覚にさえ陥る。
「ハルナは相変わらずいろんな意味で心臓に悪いよね」
「……どういう意味じゃ」
なんだか、この美貌を見ていると寿命が延びるような縮むような不思議な心地がする。
しかし、水の精霊の祭りだったとは。
「アヤメ、という名の、おれらの知り合いの精霊だ」
「へぇ……」
あちこちのたいまつに火を灯しながら、ホムラがそう言った。
名前から女性の精霊なのだろうと推測できる。
きっとハルナに負けず劣らずのものすごい美女なのだろう。
- Re: ベスティア・ラッコント ( No.43 )
- 日時: 2016/11/13 00:34
- 名前: いろはうた (ID: b4ZHknAo)
- 参照: http://ncode.syosetu.com/n1515cf/
*「なぁーちゃん」
やわらかい声で自分の名前が呼ばれた。
聞きなれた優しい声にすぐに振り向く。
「ひぃーちゃん!!」
ナタネは瞳を輝かせた。
そこにいたのは予想通り、ナタネの幼馴染のヒイラギだった。
優し気な笑みを口元に浮かべて、ヒイラギはこちらに歩み寄ってくる。
ナタネは彼のもとに駆け寄った。
シュナの言っていた助っ人とはヒイラギのことだったのだ。
柔らかそうなくせのある栗色の髪が風に揺らしながら彼はナタネの前で立ち止まった。
「来るのがおそくなっちゃってごめんね」
「ううん!!
もう、シュナ先輩ってば、
ひぃーちゃんが来るんだったら先に言えばよかったのに!!」
「まぁ、急に決まったことだし」
困ったように幼馴染が笑う。
彼は、あの青い夜の日にナタネ以外に生き残った唯一の村人だった。
現段階では、ナタネの味方であるヨガリ一族としては最後の一人となる。
大切な大切な幼馴染だ。
「僕に何か手伝えることは?」
「うーん……。
ひぃーちゃんが来るまでにだいたい終わらせちゃったんだよねぇ」
想像以上に手早く準備を進められたため、
祭りの準備はほとんど終わってしまったのだ。
ナタネはうなり声を小さく声を上げながら、ふとヒイラギの後ろに
人影がいくつかあることに気付いた。
- Re: ベスティア・ラッコント ( No.44 )
- 日時: 2017/01/15 22:26
- 名前: いろはうた (ID: b4ZHknAo)
- 参照: http://ncode.syosetu.com/n1515cf/
め、目がつぶれる……!!
思わずそう思ってしまうほどに美しい青年がそこに立っていた。
つややかな灰色を帯びた濃い茶色の髪は肩のあたりで束ねられ、
上質な狩衣にそのしなやかな体を包んでいる。
優し気な灰色を帯びた緑の瞳がこちらを見て柔らかく細められる。
「ヒイラギざま。
こちらは……?」
控えめな態度がグッとくる!!!!!!!
そう思わざるをえないほどに、腰の低い態度だった。
思わずハルナのほうを見てしまう。
何なのだろう。
この絶対に埋められないはっきりとした差は。
「このこは、ナタネちゃん、なーちゃんだよ。
僕の幼馴染だよ」
「ナタネ様ですね。
お初にお目にかかります。
私は、ヒイラギ様の契約精霊である、コトブキと申します」
すっと頭を下げて一礼をするコトブキをまじまじとみてしまう。
所作が流れるようにきれいだ。
動作の一つ一つが洗練されている。
「ちょっとぉ!!
私のこと、忘れないでほしいな!!」
コトブキの陰からぴょんっと飛び出したのは、焦げ茶色の肩までの髪を
揺らす少女だった。
ナタネの瞳が驚きに見開かれる。
「ミヤビ先輩!?
ひーちゃんのパートナーってミヤビ先輩なの!?
ってことは……」
「私もいるわよ。
それに、これは私のための祭りだから」
愛らしい外見のミヤビの背後には慈愛に満ちた笑みを浮かべる
彼女の契約精霊アヤメがいた。
さらりとした藤色の髪を、簪で色っぽく結い上げているアヤメは
たしか水の精霊だったはずだ。
なるほど。
この土地の守護精霊はアヤメだったのか。
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