コメディ・ライト小説(新)

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

ようこそ、YTM解決団へ!
日時: 2018/05/31 21:32
名前: 井桝美紗 (ID: vnwOaJ75)

これは、ある三人の少年少女の物語。
不思議な力に選ばれて、人生を奪われた哀れな少年少女の……

「ねえ、ネタがない。ネタ探してこい」
「はい!? えっ、いや、何で俺が!?」
「そこにお前がいるからだよ。三十秒で探してこい」
「無茶な! い、行くけどさ……」
「やっぱ命令されんの好きなんだろ」
「そ、そんなこと……!」
「二人共、仲いいなぁ。ユミ~ミヤビ~クッキー作ったんだけど食べない?」
「「食べる」」

哀れ? そんなわけがない。確かに能力持ちではあるけれど、そこそこ充実した生活を送っている彼ら。親とも離れ離れだし、学校にも通えていないけど、楽しい毎日を今日もどこかで過ごしている。

そんな彼らの日常、覗いてみる?

*登場人物*
渋沢 結美 シブサワ ユミ(15) 女 長女(間っ子) 166cm
冬真・雅の幼馴染兼親友 三人の中で唯一女子 中間管理職ポジション
辛口 クール 小説家 S 雅をいじるのが楽しくてしょうがない 冬真が尊い
髪は黒色で肩くらいまでの長さ 前髪にヘアピンを二つ付けている 基本黒パーカー着用
一人称 僕  二人称 君/お前/あんた

安井 冬真 ヤスイ トウマ(16) 男 長男(一番っ子) 163cm
結美・雅の幼馴染兼親友 三人の中で唯一癒しキャラ 長男だが二人に甘やかされている
料理担当 かわいい 動画投稿者 無意識に人々を虜にする 純粋&天然 二人が大好き
髪は雅以上結美以下の長さ 手首にはいつもヘアゴム 8割は白パーカー着用
一人称 僕  二人称 君/あなた

錦野 雅 ニシキノ ミヤビ(16) 男 次男(末っ子) 176cm
結美・冬真の幼馴染兼親友 三人の中で唯一年相応の仕事をしている いじられ大黒柱
超頭脳派 面白い フリーター 若干天然 ドM この中で一番変態 主にツッコミ担当
髪は標準くらいの長さ クリップでよく前髪を上げている 5割は灰色パーカー着用
一人称 俺/僕  二人称 君/あなた/お前

以上、主な登場人物の設定です。ちなみに、全員顔面偏差値高いです。高すぎです。

*アテンション*
・作者、投稿は初めてです。ですので駄作です。ご了承ください。
・亀更新になる可能性大です。気長に待っていてください。
・コメント下さると嬉しいです。作者、舞い上がります。

以上のことがOKの方はこのままどうぞ!

Re: ようこそ、YTM解決団へ! ( No.18 )
日時: 2018/11/12 18:52
名前: 井桝美紗 (ID: lBubOowT)

第十五話 拒絶

 今日は曇り。開けておいた窓から涼しい風が私の頬を撫でる。

「よしっ、で~きた。しょーちゃん、ちょっと来てもらえる?」
「はぁい! しょーちゃんだよ! どおしたの?」
「はい! これ、しょーちゃんに」
「え? え? なぁに?」

 私はしょーちゃんに作っていたものを渡した。するとしょーちゃんは途端に「うわぁ」と目を輝かせた。

「おようふくだ! これ、ぼくに!?」
「うん。しょーちゃん、新しい服欲しいなってこの間言ってたから」
「ありがとう! ゆっきーだいすき!」

 しょーちゃんはそう言うと、私に抱き着いてくる。癒し……

「じゃあきがえてくる!」

 しょーちゃんは私から離れると、パタパタと服を持って自分の部屋に駆けて行った。

「可愛かったなぁ……ん?」

 なんか視線が……

 私が視線の方に目を向けると、そこには、じーっとこちらを見つめているりゅーちゃんの姿があった。壁を掴んで、ひょっこりと顔を覗かせている。そんな彼とバッチリ目が合う。すると、りゅーちゃんは目を大きく見開いて固まった。

「っ!?」
「りゅーちゃんも、新しい服欲しい?」
「あ……あ……」

 そう声をかけて微笑んだ途端、りゅーちゃんはカタカタと震えて、顔をどんどん青くさせていった。

「~~~っ!」

 ダッとりゅーちゃんは向こう側に消える。慌てて声をかけたけど、りゅーちゃんは止まらなかった。

「……りゅーちゃんは、厄介だぞ……」

 声かけると逃げられるなんて……仲良くなる以前の問題だよ、コレ。



「……と、いうことがありまして……」
「ほう……」

 いつの間にか私の相談相手になったしーくんに相談をする。すると、しーくんは俯いて、何かをブツブツと言い出した。

 何だなんだと思っていると、しーちゃんは顔を上げて、私の目を見た。

「そのけんにかんしては……わたしより、たーとしょーのほうがいいでしょう」
「えっ……たぁくんとしょーちゃん?」
「はい」

 窓に目をやったしーくん。つられて目をやると、そこには曇りの日なのに元気よく庭で遊ぶたぁくんとしょーちゃんの姿があった。

「……じつは、わたしたち、ぜんいんがぜんいんおさななじみというわけではないんです」
「え……?」
「わたしたちこびとのせかいでは、おさななじみとまったくあったことのないたにんがグループをくまされて、いっしょにせいかつしなければならないんです。まあみっかもたてば、なかよくはなるのですけれど。わたしとゆー、りゅーとりょー、すーとしょーがおさななじみです。たーはすーとしょーのところにひっこしてきたんで、そのふたりとおさななじみのようなものです。それで、りゅーりょーと、すーしょーたーはむかしからたしょうのめんしきがあったようで……ほんとうはりょーにきくのがいちばんなのですが、りょーとしらゆきひめ……ふなかでしょう? りょーがいっぽうてきにきらっているようですが」
「う……っ」

 できれば触れて欲しくないとこに触れられた……

 でも、意外だな。みんな幼馴染かと思ってた。

「ですから、つぎにりゅーとめんしきのあった、たーとしょーにきくのがいいとおもいます。ざんねんなことに、わたしはりゅーのかこをしらないのです。おやくにたてず、もうしわけありません」

 ペコリ、と頭を下げるしーくん。慌てて「顔上げて」と声をかけて、しーくんを抱き上げた。

「ううん、とても役に立ったよ。ありがとう、しーくん」

 にこりと微笑むと、しーくんは顔を赤くして、「そう、ですか……おやくにたてたようで、なによりです」と俯きがちに言うと、私の手の中からひょいと抜け出して、どこかへ駆けて行ってしまった。

 行っちゃった……まあいいか。お礼言えたし。

「しょーちゃん、たぁくん! ちょっと来てもらえる?」



「「りゅー/ちゃんのかこ?」」
「うん! 何か知らないかな? りゅーちゃんがあんな風になっちゃった訳」

 私がそう言うと、たぁくんとしょーちゃんはひそひそ何かを話し出した。そして、キリッとした表情になって、私の目を真っ直ぐ見据える。

「……わかった。はなすね、りゅーのかこ」
「でも、おもったいじょうにりゅーちゃんのかこってざんこくだから、きをつけてね」

 こうして二人は語り出す。りゅーちゃんの過去を。

「……りゅー、むかしね、ひとにおそわれたことがあるんだ」
「りょーちゃんともりにあそびにいって、きのみあつめをしてんだって。そしたらいきなり、きのあいだからにんげんがでてきて……りゅーちゃんにげたんだけど、つかまっちゃって。それで、いろいろされたんだって。おもいだしたくないっておしえてはくれなかったけど、たぶん、なげられたりひっぱられたり、もっとひどいこともいっぱいされたんだとおもう」
「そのあとそのにんげんたちはさっていったんだけど……そのとらうまで、りゅーはひきこもりがちになっちゃって。いっしょにいたりょーは、すごいこうかいしたんだ。なんでたすけられなかった、なんできづかなかったって。そのあとなんとかしてりゅーをそとにだしたりして、そとにでてあそぶことはへいきになったんだけど……いまもそのとらうまがのこちゃってて、にんげんがこわくなっちゃったってかんじかな」
「ついでに、それがりょーちゃんをかほごにしたりゆう」

 話し終えた二人は、悲しそうに微笑んでた。

 ……そんな過去が、あったんだ。

 辛かっただろうなぁ。トラウマも、簡単には抜けられないよね。それじゃ仕方がない。

 ……ユミに、似てる。というか、私にも似てるとこ無きにしも非ず……

 まあそれよりも。

「……話してくれて、ありがとう。二人も、辛かったよね」

 私は二人を抱きしめた。すると直後、二人は張っていた糸が切れたように泣き出してしまった。二人の嗚咽が、頭に響く。

みんな、こんな辛い思いを、私たち人間の勝手な行動でしていたんだな……

 私は二人が泣き止むまで、彼らをずっと抱きしめていた。



「……よしっ、できた」

 やっと完成……徹夜で頑張った甲斐があった。

 喜んで、くれるかなぁ……

「しょーちゃん! いる?」
「はぁい! いるよ! どうしたの~?」

 私が呼ぶと、しょーちゃんはすぐに出てきてくれた。しかも私が作った新しい服、ちゃんと着てくれてる……!

「ちょっとりゅーちゃん連れてきてくれる?」
「えっ……りゅーを?」
「うん。話がしたい」
「……わかった。でも……こわがらせないようにしてね?」

 「ゆっきーならだいじょぶだとおもうけど」と付け足したしょーくんを見て、りゅーちゃん愛されてるなぁと思いながら、「うん」と返事をした。

「ちょっとまってて!」

 パタパタと駆けていったしょーちゃんは天使だと思う。いや~天使って羽がないんだね。

「つれてきたよ!」
「えっ、えっ? ちょっとしょーちゃんなに……ぁ……」

 あ……固まっちゃった。

「はい! じゃあごゆっくり!」

 去り際にしょーちゃんが「がんばってね」って口パクで言ってくれた……頑張る……!

「りゅーちゃん」
「ッ! あ……やだ……こないで……」

 りゅーちゃんがカタカタ震えてこちらを見る。その瞳はぐるぐると渦を巻いているようにも見える。

 私が一歩近づくと、りゅーちゃんは腰を抜かしてしまったのかその場に座り込んでしまう。

 ん~……これは……なかなか重症だなぁ。

「こわい……ひと、こわい……」
「…………」

 りゅーちゃんは青い通りこして白い顔をして、独り言のようにブツブツ呟くと、「ごめんなさい」と何度も繰り返した。

 …………

「……うん。うん。怖いよね」

 私はそ、っとりゅーちゃんを抱きしめた。できるだけ優しく、壊れないように。りゅーちゃんの肩がビクッと跳ねる。

「……大丈夫。大丈夫。怖いよね。だから……私のことは、人って思わなくていいから。大きい人形って思えばいいから」
「え……?」

 その方が怖くないはず……私だって、昔、そうしてもらったことがあるから。

『大丈夫、大丈夫。おれが怖いなら、人形っておもえばいいよ』

 ……幼稚園の頃、かな。一番最初にいじめられたとき……ミヤビに、こうしてもらったっけ。ふふっ、懐かしいな。

「……実はさ、りゅーちゃんに服を作ったんだ」
「ふ、く……?」
「そう。服」

 私はりゅーちゃんから離れて、作った服を見せた。その瞬間、りゅーちゃんの瞳が一瞬きらきらと輝いたのを、私は確かに見た。

 オレンジ色の記事で作った服。ワンポイントとしてクマの刺繍もしてみた。あと、袖のところに黄色いラインを入れたんだ。りょーくんが幼馴染って聞いたからね。

「こ……れ……」
「はい。どうぞ」
「……ぁ り が……と、ざい、ます……」
「ん、どういたしまして」

 りゅーくんにしたら頑張った方じゃない? 可愛い……

「ねぇ、りゅーくん」
「ひっ……は、ぃ……」

 やっぱりまだ怖いか~。

 私はできるだけ、警戒されないように近づいた。いや……警戒できないように近づいた。この近づき方は、いじめられた中学時代に身に着けたもの。まさかこんなところで実践するとは思わなかったけれど。

「りゅーちゃんの背負ってる苦痛、全部わかってる、とは言えないけど、少しはわかるよ。私も……いじめられたこと、あるから」
「えっ……」
「人に痛めつけられるのって……辛いよね、きついよね、痛いよね。……大丈夫。私はそんなことしない。その苦痛、ちょっとはわかってるから。大丈夫だよ。大丈夫」
「…………」
「……信じろなんていわない。無理にそんなことしなくていい。でも……」

 私はりゅーちゃんをもう一度抱きしめた。壊れ物を扱うみたいに。もう、彼の肩は跳ねなかった。

「少しずつでいいから、怖がらなくなって、欲しいな」

 りゅーちゃんの耳元で、出来る限り優しく囁いた。

 するとりゅーちゃんの力がふっと抜け、それと同時に嗚咽が聞こえてきた。その声で、泣いていることがわかる。

 私はりゅーちゃんが落ち着くまで、背中を擦った。

 そしてりゅーちゃんが泣き止むと、彼は私の耳元に口を寄せてきた。

「……が、がんば、る……」

 りゅーちゃんはそれだけ言うと、私の作った服を持って、そそくさと去って行った。

「…………」

 私はしばらく呆然としていたが、くすっと笑って立ち上がった。

「ふふっ。やっぱり、可愛いなぁ」

 私は台所へとのんびり歩く。

「今日はブラックコーヒーにしよっかな」

 今日も、私たちは平和です。

Re: ようこそ、YTM解決団へ! ( No.19 )
日時: 2018/06/11 12:34
名前: 井桝美紗 (ID: 9j9UhkjA)

第十六話 嫌悪

 今朝は小人のみんなが家事を手伝ってくれた。しょーちゃんとゆーくんは洗濯を、しーくんは料理を手伝ってくれたんだ。

 ちなみに、たぁくんとりゅーちゃんとりょーくんはまだ寝てる……はず。もしかしたらりゅーちゃんはりょーくんに通せんぼされてるかもしれないけれど。

「ゆっきー! せんたくおわったよ!」
「…………」
「こちらもりょうり、おわりました」
「ありがとね、みんな。でも……私、こんなゆっくりしていて大丈夫だったかしら?」
「「もちろん!/です」」

 実は、三人に「たまにはゆっくりしてて」と言われ……ずっと椅子に座ってたんだ。なんかすごい罪悪感……

 でもお言葉に甘えちゃった……

「ありがとうね」
「どういたしまして!」
「おやくにたてて、なによりです」
「……どういたし、まして」
「ふふっ」

 可愛いなぁ。

 私がついつい三人を抱きしめたら、しょーちゃんは抱きしめ返してくれて、しーちゃんは「やめてくださいよ」と抜け出そうとして、ゆーくんは真顔。と、三人三色の反応を見せてくれた。

 やっぱり可愛い!

「ん、ぅ……あ……ゆーちゃ、おはよぉ」
「ん、おはよう」

 たぁくんが起きた。じゃあそろそろかな。

「ふぁ……ぁ……」
「……あっ、おまえ……」

 りょーくんが一瞬の間があった後、ハッと我に返ると、りゅーちゃんを庇うようにりゅーちゃんの前に立ちはだかった。

 あらあら、過保護はまだご健在……

「ぁ……ッ……ぉ、はよ……ござ、ま……」
「! りゅー……?」
「! ふふっ、おはよう」
「っ」

 それだけ言うとりゅーちゃんはりょーちゃんの手を引っ張って、さっさと行ってしまった。

 ……ちょっとずつ、怖がらなくなってくれてるのかな。

「嬉しいなぁ」
「? なにがうれしいのぉ?」
「なんでもないよ」

 たぁくんがいたのを忘れてた。まあ別に聞かれたくないようなことじゃなかったからいいけど、軽く流しておいた。

「今日の糧をお恵み下さった神と食材に感謝して」
「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」

 みんなが一斉に食べ始める。しーくんが作ってくれた野菜スープとスクランブルエッグ、それとパンがすごい勢いで減っていく。どれもこれもとっても美味しい。しーくん、料理の才能あるんじゃないかしら。

 ……?

「りょーくん、食べないの? 今日は私の作ったものじゃないよ」
「……いい……食欲、ねえし……」

 りょーくんはそう言い残すと、小さく「ごちそうさま」と呟いて席を飛び出していった。

 ……なんか、りょーくん顔赤かったような……

「……りょー、どうしたんでしょう。いままでは、たべなくてもさいごまでいたのに」
「……しんぱい……」
「……ちょっと様子を見てくるわね。みんなは食べてて」

 私は早めに食べ終わった__もともと少なめにしておいたんだけど__ご飯の前で、「ごちそうさまでした」と手を合わせ呟いて、食器をシンクに入れると、りょーくんの後を追った。



「どこだろう……」

 ん~……見つかんない……

 部屋ももちろん見たし、いろんなところ探し回ってるのに……

「どこ……あっ」

 私は見つけた。普通に探したら見えにくい廊下の隅にうずくまっている小さな影を。

 間違いない。あれは……!

「りょーくん!」



 私はりょーくんを見つけて、その現状に驚いた。顔は真っ赤だし、体もやせ細っている。熱があるのは、誰から見ても明らかだった。

 彼は私を見て、何かを言いたそうに睨んだが、結局何も言えなかったみたい。口から漏れるのは、荒々しい吐息だけ。苦しそう……すごく苦しそう……

 私はりょーくんを抱きかかえて、ベッドまで運んだ。最初はその体の軽さに驚いたが、今はそんなこと考えている暇はない。

 そうやって部屋に運んで彼を寝かせて、今に至る。

「りょーくん……」
「っ……ハッ……ハァ……ハァ……っ……」

 やっぱり返答はない。どうしてこんなになるまで気付かなかったんだろう。私は私を責めた。

「ちょっと待っててね」
「ッ……ハァっ……」

「みんな! 大変なの!」

 私はりょーくんの容態を他の小人のみんなに伝えた。するとこれまた六人六色の反応が返ってきた。

「え!? りょーが!? それはたいへん!」
「ごはん、たべさせたらげんきなるよねぇ。すーぷ、あっためなきゃぁ」
「わたしはくすりをかってきますよ。ゆー、いきますよ」
「……わかった……」
「……ひやしたほうが、いい」
「ぼ、く……ぜんぜん、きがつかなかった……」

 と、いうことで、役割を三つに分担した。みんなも手伝ってくれるって言ってるから、ありがたく手伝ってもらう。

 まず一組目が、しょーちゃん・たぁくんの料理係。あっためるだけだから二人でもできそう。いや、しょーちゃんでもできそう、が正しい表現かな。たぁくんは料理上手いらしいから。

 で、次に二組目が、しーくん・ゆーくんの薬調達係。街まで行って、薬を買ってきてもらう。これはしーくんがいるから問題なさそう。

 最後に、すーくん・りゅーちゃんのタオル係。タオル冷やして持ってきてもらう。これは、意外と天才肌のすーくんとりょーくん大好きなりゅーちゃんなら大丈夫。


 と、言った具合に配分して、お願いする。私はその間にりょーくんの部屋へ向かった。

「りょーくん……ぅわっ、あつ……」

 部屋の中は、かなり熱が充満していた。小人って、こんなに熱が出るんだ……

「りょーくん」
「っ……く、……る……なぁ……ハァっ……ハッ……」

 りょーくんはそう言って顔を背けてしまった。

 ……素直じゃ、ないなぁ……

「…………」
「ひゃっ」

 そっとりょーちゃんの額に手を当てる。私、冷え性だから冷たくて気持ちいいでしょう。

「…………」

 りょーちゃんは少し落ち着いたのか、呼吸もさっきよりは荒くなくなった。

「ゆっきー! すーぷできた!」
「あっためなおしただけだけどねぇ」
「! しょーちゃん! たぁくん! ありがとう」

 私は二人が一生懸命持ってきてくれた、小人用の小さな器に入れたスープを受け取って、「うつっちゃうかもだから、戻ってて」と声をかけて彼らを帰らせた。

「りょーくん、二人があっためなおしてくれたスープだよ」
「……ケホッ……しょく、よく……ハァっ……ハッ……な、い……」
「でもちょっとは食べないと。お薬、飲めなくなっちゃうよ」
「……くすり、きらい……」
「薬飲まないと、ずっと辛いだけだよ」
「……けほっ、ごほっ……ん……」

 いつもの強気な態度とか、私を嫌悪している態度は微塵も感じられなくて。というか、看病してるの私って気づいてないようにも感じる。

 素直で、弱々しくて、可愛い。

「ほら、食べよ? ちょっとでいいから」
「……ハァっ……わかっ、た……ハッ……」

 私はスープをスプーンですくい、少し冷ましてからりょーくんの口元へ持って行った。

 拒絶されるかと思ったけど、りょーくんは少し顔を上げて、大人しくスープを飲みこんだ。

「っ……あ、つぃ……」
「えっ、冷ましたりなかった?」
「ん……ハァっ……けほっ……べつにいい」

 彼がそうぶっきらぼうに吐き捨てた直後、こんこん、と弱々しいノックの音が聞こえた。私は「入ってきていいよ」と一言答え、再びりょーくんの視線を戻した。

「りょーちゃん、だいじょうぶ……?」
「りゅー……ハァ……だい、じょうぶ……」
「……これ、たおる。こおりみずも、こっちおいとく」
「うん。わかった。ありがとう」
「……べつに」

 二人の温かさに少しキュンとしてから、二人を前の二人と同じ理由で返した。みんなまで辛い思いをするのは避けたかったからね。それに、うつっちゃったらりょーくん、罪悪感で立ち直れなさそうだし。

「はい、これ。……とりあえず額と、あと首の後ろかな? に置くね。ひやっとするけど、我慢してね。ごめんね」
「ん……っ」

 私はりょーくんに断りを入れてから、タオルを置いた。ちょっとは気持ちよくなったら嬉しいなぁ。

「スープ、飲めそう?」
「……ん……」

 私はりょーくんに、またスープを飲ませる。苦しいだろうけど、一生懸命飲み込んでくれるりょーくん。りょーくんも、普段強がってるけど、ホントは辛いの嫌なんだろうなぁなんて考えたりもした。

 やっとスープが半分空になったとき、コンコン、とまたノックの音がした。私は入ってきて、と答え、スープが冷めるようにもう一度混ぜる。

「買ってきました。薬」
「ありがとう……って、人型のままなんだね」
「私たちが持つには大きすぎたので。お陰でまたいろいろな人に絡まれてしまいました……これ、どうぞ」
「ありがとう」

 自分がイケメンなの気づいていないんだな……なんて思いながら薬を受け取ると、ぽしゅんと煙が出て二人共もとの小人の形になった。

「やれやれ……おだいじにしてくださいね、りょー」
「……おだいじに」

 二人はそう言って、自主的に帰っていった。多分、私の言いたいことを汲み取ったんだろう。

「……あっ、粉薬になってる」
「っ! こ、な、ぐすり……?」
「うん。錠剤だと大きいからって配慮してくれたんだろうね」

 私は粉薬を付属でついていたスプーンに小人サイズに合うようすくい、りょーちゃんに見せた。

 するとりょーちゃんは、赤かった顔を青くしてガタガタと震え、ぎゅっと布団を掴んだ。

「えっ!? りょーちゃん、大丈夫! 寒い!?」
「……こな、りょーいや……」

 !? 今、自分のことりょーって言った?りょーって言った!?

 じゃなくて、粉薬嫌いなのかな……

「……あっ、そうだ」
「っ、……?」
「ちょっと待っててね」

 私は粉薬の入ったスプーンを持って台所へ行った。そして、ホットミルクを用意して、そこにはちみつを入れる。その中に粉薬を投入! 私が風邪ひいた時、ユミによくやってもらったんだ、この方法。

『トウマ、体弱いよな。それに薬嫌いって……大丈夫か? そのうち簡単に死にそう……』

 私は懐かしい思い出にクスッと笑って、それをりょーくんのいる部屋に持って行った。

「りょーくん、お待たせ……」
「……けほっ……おそ、い……ハァっ……」

 えっ……なんか……意外。「まってない」とか言われるかと思った。

 って、そんなことどうでもいい! 今はりょーくんに薬飲ませなきゃ……!

「りょーくん。これなら飲みやすいんじゃない?」
「ハァっ……? ……みる、く……?」
「うん。それに、はちみつと粉薬入れたんだ。薬の味しないと思うよ」
「…………」

 りょーくんはマグカップを渡すと、コクリ、コクリと飲み始めた。

 よかった……飲んでくれた。

 私がそう安堵していると、りょーくんはぼそっと呟いた。

「なんで……なんでめんどうみてくれんの」
「……おれ、あんたのこと、きらってたのに」

 俯きがちに発せられた言葉は、りょーくんの本心なんだろうと思った。直感的に、だけど。

「ん~……なんでだろうね」

 りょーくんが本心で話してくれたのだから、私も本心で話そう。

「正直、よくわかんない。なんで自分を嫌ってるってわかってる人の看病してんだか」

「……わかんないけど、多分それは、りょーくんは優しい人だって思ってるからだと思う」

 私はりょーくんとの距離を詰める。りょーくんがビクッと震えたのがわかった。

「りょーくん、責任感強いんだね。しょーちゃんとたぁくんから聞いた。りょーくんが過保護になった理由」
「っ……」
「あれは、りょーくんが責任感じなくてもいいと思う。悪いのは自分勝手な人間だよ」
「…………」
「その人に代わって謝る。ごめんなさい」

 私が頭を下げると、ハッと鼻で笑われた。

「しらない、にんげんの、かわりに、あやま、る、とか……かわってんね、あんた」
「ふふっ、そうかもね。誉め言葉として受け取っておくよ」

 りょーくんは少し笑って、またホットミルクを飲み始めた。少しずつ、熱も下がってきたような気がする。

「……は、い……ハァっ……」
「ん、全部飲めたね。よくできました」

 私が頭をなでると、彼は恥ずかしそうに私の手を払った。

「……ねえ、りょーくん」
「……な、に」
「りょーくんが人間を恨む気持ちはわかる。その気持ち、忘れてとは言わないし、人間を好きになってとも言わない。だけど……」

 私はりょーくんを抱きしめる。りょーくんは今度は抵抗しなかった。

「私と、友達になってくれたら、嬉しいな」
「…………」

 そ、と私の背中にりょーちゃんの手が回る。そしてまた、嘲笑したように笑われた。

「きらわれてるあいてに、ともだちになって、とか……あんた、やっぱりかわってんね」
「ふふっ、そうかしら」
「でも……きらいじゃない」

 彼は私の耳元に口を寄せて、かんがえとく、とだけ呟いて、さっさと私の腕の拘束から抜け出して寝てしまった。

 三秒もしないうちに、寝息が聞こえてくる。

 ……可愛く、ないなぁ。

「でも、私も嫌いじゃない」

 私はりょーくんが起きないように、しばらくそこでりょーくんの手を握った後、立ち上がった。

「はちみつ入りホットミルク、久々に飲もうかなぁ」

 私たちは、今日も平和です。

Re: ようこそ、YTM解決団へ! ( No.20 )
日時: 2018/06/11 16:33
名前: 井桝美紗 (ID: 9j9UhkjA)

第零話 作者の部屋&感謝&謝罪


……

……(ゴシゴシ)←目を擦った音

(パッ)←再び画面を見た音

ハッ!

閲覧数、100突破しましたあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!

「うるさっ」

うぅ……結美酷い……

しかし! これは叫びたくもなります! 小説を投稿し始めて何日も過ぎ去り……
自分と他の作者さんを比べ、勝手にへこみ……
苦悩の日々を送っていた私が……ついに……閲覧数三桁台に……!

ありがとうございますっっっっっっっっっ!!!!!!!!!

見てくださる皆様のおかげでございます! なんとお礼を言っていいのやら……

とにかく! 本当にありがとうございます!

「ねえ。言いたいことあるんじゃなかったの?」

え? 本題はこr((殴

「嘘。現実逃避すんな。さっさと吐け、駄作者」

うう……痛い……

え~っとですね……皆さまお気付きかと思うのですが……

話が、どんどん脱線していってる……

誠に! 誠に申し訳ございません!!!

「チッ、最近全然僕出てないし。それどころか愛しのトウマが小人たちに夢中になっちゃってるしさぁ……」

「俺なんて、この後も出る予定ないからね? ユミは王子役であるだろうけど……」

「お前はもう出たからいいだろ。僕は九話からぜんッッぜん出てないからな? 七話分だよ? 七話分。主人公なのに。どうすんの、主人公が一向に出てこない話なんて前代未聞過ぎるだろ」

「メッタ!! しかもド正論!」

「黙っとけ」

「はい」

いや、ホントごめんね? 早々に切り上げるつもりが、楽しくなっちゃって……七人の小人たちに愛着が湧いちゃってさ。あっ、ちなみに私が好きなのは、すーくn((殴

「誰もんなこと聞いてねぇ」

はい。申し訳ございません。

もう白雪姫と小人のみんな仲良くなったので、ちゃんとストーリーに沿って話が進められる……ハズ。です。ハイ。

「僕ばっかり出してもらっちゃってごめんね。もうすぐユミ出るし、ミヤビも出るから」

うう……あなたは優しいね、私のミスなのに自分のことのように謝ってくれて……

「え? 普通だよ~」

本当に尊いです、冬真……

と、いうことで、今回の作者の部屋&感謝&謝罪は以上で閉めさせていただきます。

本当にありがとうございます! あの~……できればその……コメントとか……いただけたら嬉しい、なんて……((殴

最後の最後まで申し訳ない……

最後までこの作者部屋ちゃばんを見ていただき、本当にありがとうございました! 井桝美紗でした!

Re: ようこそ、YTM解決団へ! ( No.21 )
日時: 2018/06/12 20:40
名前: 井桝美紗 (ID: 9j9UhkjA)

第十七話 生死

 今日は太陽が眩しい。誰が見ようといい天気。

 ふ~何とか今日までやってこれた……いや、ホント白雪姫の気持ちがわかるわ……何とかみんなと仲良くなってみてわかったんだけど、この子ら、バンドもできるのよ。ハンドメイドらしい小さい楽器でいつも音楽聴かせてくれて。アイドルのなった方がいいんじゃないか……って何度思ったことか……

 まあよかった。アイドルになろうって言わずに我慢できて、本当、よかった。

 ある日、王妃はまた鏡に問う。

 あっ、来た。

「鏡よ鏡。この世で一番美しいのはだあれ?」
 鏡は答える。
「それは、白雪姫です」
「ッ!? 白雪姫……? 白雪姫は、確かに殺したはず……あの猟師、騙しおったな……! 白雪姫……許せん!」
 王妃は白雪姫を今度は自らの手で殺してやろうと、立ち上がた。
「……あら? ここにあったの、リンゴだったかしら……?  まあ、いいわ」

 おっ、ミヤビうまくやってくれた! よかったぁ。

「ねえみんな」
「どーしたの? ゆっきー!」
「私、ちょっと木の実を取ってこようと思うの。お留守番、お願いできる?」
「もちろん!」
「いいよぉ~いっておいでぇ~」
「わたしたちのことならおきになさらず」
「……まってる」
「……いって、らっしゃい」
「あ、の……い、いってらっしゃい……っ」
「おれらのことはきにすんなよ。こころいくまでとってこい」
「ふふっ、ありがとう」

 始めの頃と、だいぶ態度変わったなぁ。よかったよかった。

 って、そんなことしてる場合じゃない!

「いってきます!」
「「「「「「「いってらっしゃい」」」」」」」

 白雪姫は久しぶりに木の実を取りに出かけた。
 それを待ち構えていた王妃が、通りすがりの老人を装い、白雪姫に近づいた。

「あら? この木の実、たぁくんが好きって言ってたわね。持って帰りましょう」
「そこのお嬢さんや」
「えっ……私、ですか?」
「そうじゃ。どうだい、果物は、いらんかね?」
 そう言い、王妃はかごの中に入れておいた毒リンゴを、白雪姫に渡した。
「とても美味しいよ。ほら、食べてごらん」
「……ありがとうおばあさん。いただきます」
 白雪姫は少しの不信感を抱いたが、もらうことにした。
 そして、一口食べた。
「……っ、ぅ……ぁ……」

 なにこれ……頭、くらくらする……

 ドサッ

 すると白雪姫は意識を失い倒れこんでしまい、そのまま亡くなってしまう。

 そっか……私、死ぬのかぁ……ふふっ、ちょっと、怖いな。
 次に目が覚めた時、私は独りかなぁ。それとも、王子様が迎えに来てくれるのかなぁ。

 なんて考えながら、私は深い眠りについた。

 王妃は白雪姫が死んだことに満足し、帰っていった。

 頭の中に、聞き慣れたナレーションの声だけが、ただただ無機質に流れていた。

Re: ようこそ、YTM解決団へ! ( No.22 )
日時: 2018/06/16 07:13
名前: 井桝美紗 (ID: 9j9UhkjA)

十八話 戦闘

 一方その頃、小人たちは白雪姫の帰りが遅いことを不審に思っていた。

「ゆっきーおそいな~」
「たしかにおそいねぇ」
「もうかなりたちましたよね」
「……ぶじだといいんだけど」
「……しんぱい、だな」
「しらゆきひめ……大丈夫かな」
「ぶじだとしんじたいけど……さすがにしんぱいだな」

 やがて、一人の小人が白雪姫を探しに行こうと提案し、七人全員で白雪姫を探しに出かけることになった。

「ねえ! ゆっきーさがしにいこうよ!」
「「「「「「賛成」」」」」」

「ゆっきー? どこ~?」
「いないならいないってへんじしてぇ」
「へんじできるわけないでしょう。しらゆきひめー! どこですかー?」
「……しらゆきひめ、どこだろう……」
「……あっち、さがそう」
「し、しらゆきひめ……! ど、どこ……?」
「おぉいしらゆきひめ! でてこないとしばくぞこら! ……そんなことしないけど」

「あっ、いた!」
「「「「「「どこ!?」」」」」」
「あそこ! ほら! たおれてる!」

 白雪姫を発見した小人たちは、彼女がこと切れていることに気付き、大声で泣く。

「ゆっきー! だいじょうぶ!?」
「……だめです、もう……」
「ゆ、っき……!」
「うわあああああああああああ!!」
「ひっく、ゆー、ちゃ……! うわぁぁぁん!」
「しら、ゆき、ひめ……っ! ひっく、ぐすっ……」
「ぐすっ、しらゆきひめ……!」
「ひぐっ、ぐすっ、……しらゆきひめ……」
「うわあああああん! しらゆきひめっ! ぐすっ、ひっぐ……あああああああああ!」
「しらゆきひめ……っ。……ゆるさねぇ……だれだ、こんなことしたやつ……」

 そのとき。

「……あっ! あいつ!」
「「「「「「えっ!?」」」」」」
「チッ、気付かれてしまったわ」

 立ち去ろうとしていた王妃は様々な諸事情があって、そこに留まっていた。それを、一人の小人が見つけ、声を張り上げた。
 王妃は老人の変装を解き、自らの姿をあらわにした。
 普通なら王妃の姿に男は皆、目を奪われるのだが、小人たちは違った。なぜなら、それよりも美しい白雪姫を知っているからだ。

「あいつ、まえしらゆきひめがいってたおうひじゃねぇか?」
「あらあら、ご名答ね。黄色い小人さん♪」
「うえっ、きもちわりっ」
「あなたがおうひ……あなたがゆっきーをこんなにしたのですか」
「ゆっきー……? ああ、この女のことね。ええそうよ。私が彼女に毒を飲ませた」
「っ! ……ゆるさない」
「なんとでも言いなさい」
「っ!!」
「しょー、さがってろ」
「りょー……?」

「あんたのことはゆるさねぇ。しらゆきひめをこんなにしたこと、こうかいさせてやる」

〔おうひ が あらわれた!〕

〔りょー の こうげき!〕

〔ミス!〕

〔おうひ は アイテム どくけむり を つかった!〕

〔おうひ は にげた〕

「チッ、あいつ、にげやがった」
((((((なんだいまのせかいかん……))))))

 王妃は小人からの攻撃を避け、毒の入った視界が遮られる煙を使ってその場から立ち去った。
 小人たちはまた、泣き悲しんだ。



「どうしたんだい? そんなに泣いて」


Page:1 2 3 4 5 6 7 8



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。