コメディ・ライト小説（新）
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- 純度100%
- 日時： 2018/07/29 22:31
- 名前： 片岡彗 （ID: hevWx4Os）
＊プロローグ＊
言いたい。言いたい。言ってしまいたい。
駄目だって、そんなこと分かってる。分かってますよ。
でもこのままじゃ先生と生徒っていう脆い関係で終わって、会えなくなってしまう。
そんなの嫌だ。嫌、なのに…。
何も出来ない自分がもどかしい。
話し掛けられるだけで、頼られるだけでこんなに胸が高鳴って、嬉しくて堪らなくなるのに、遠い。
だって先生は私の担任でもなければ、部活の顧問でもない。
私との接点なんて、社会の授業だけ。
ねぇ…先生…？私………。
～簡単な内容紹介～
ちょっと変態的思考の女子中学生が、これまた少し変な先生に恋をするラブストーリーです。
甘さと苦さの対比は4:6くらい。
前半は苦さ多めです。
後半は、甘くなるように頑張ります。
亜希→→→→→→→（←？）前山先生
↑こういう関係図です。
～主な人物紹介～
・櫻木亜希
先生に不毛な恋をする中学3年生。
二次元の女の子をこよなく愛する。
ときどき、周りをドン引かせるような、変態発言をする。
・前山貴文
社会教諭。基本的に何考えてるのかよくわからない。
優しいのにどこか残念で、独身を拗らせている。恐らく一生結婚できない。
・桧山侑美
亜希の親友。優しく、亜希の恋の唯一の理解者で、謎なほどに協力的。
天然。ときどき、裏の顔を覗かせる。
感想を大募集中です！
いいな、と思ったところはもちろん、厳しいお言葉も欲しいです。
厚かましいお願いではありますが、よろしくお願いします！
- Re: 純度100% ( No.1 )
- 日時： 2018/06/16 23:12
- 名前： 片岡彗 （ID: hevWx4Os）
＊第1話・そういえば、今思い出したんだけど…＊
ジリリリリリーー……！
耳障りな目覚まし時計の音が部屋に鳴り響く。…自分でセットしといてなんだが、正直うるさい。
不快な音をならし続けるそれを止めるべく、そっと重いまぶたを持ち上げる。
｢……ん………んーーー……………。｣
窓の外から明るい光が部屋の中に流れ込んでいた。あまりの眩しさに、もう一度瞳を閉じたくなる衝動を何とか抑え込んで、ゴシゴシと目を擦る。
どこかで何かよくわからない鳥が鳴いている。
いつもと変わらない、何の変哲もない朝。
一つ大きな欠伸をして、起き上がる。そこからはもう光の速さで、隣にあった目覚まし時計を止めた。
そうしてやっと部屋に静寂が訪れる。ここら辺で、やっと私の思考回路もはっきりしてきて。
気分は最悪。…いつものことだけど、朝は本当に気が滅入る。朝が弱い、というのももちろんあるけど、理由はそれだけではないことを私はもう知っている。
私は大きくため息をついて、ゆっくりと立ち上がった。
クリーム色のカーテンを開けて爽やかな朝日を浴びてみるけど、そんなのは気休めにさえならなくて。
そんな思いを吹っ切るように頬を両手で挟み込むように思いっきりビンタする｡
そしてやっとのことで重い足を扉の方に向けると、何の気なしに扉の横にかかった月めくりカレンダーが視界に入った。
｢月曜日……か…。｣
ほとんど無意識で出た声は、自分でも驚くほど暗くて。
これから毎日五日間もの間また学校に行き続けないといけないのかと思うとまた唇からため息が漏れた。
- Re: 純度100% ( No.2 )
- 日時： 2018/08/03 00:20
- 名前： 片岡彗 （ID: hevWx4Os）
起きてからリビングに行くまで、驚くことに気づけば20分近く経っていたらしい。
ため息をつき続けて20分消費するとかどれだけ無駄な朝なんだろう。
キッチンで洗い物か何かしている母からは
「寝坊？最近多いわね。どうせまた目覚まし止めて二度寝したんでしょ。」
なんて言われてしまった。…違うけど。
説明するのも面倒だったので、適当に「そうそう～えへへ～。」と返しておいた。
それで今はただただボーッとよく味もわからないままに、おそらく甘いであろうフレンチトーストを口に運んでいる。
もう最近毎日こんな感じだ。
なにやってるんだろう？と自分でも思ってはいるのだが気づけばいつも考え事ばかりしてしまっているのだ。
そして今も性懲りもなくあーだこーだ頭の中で答えなんて出るわけがない意味がない議論を繰り広げている。
気づいたらやってしまっているのだから救いようがない。と。
ピーンポーン………
客の訪れを知らせる独特のあの大きな音が鳴り響き、やっと我に帰る。
反射的にニュースがかかっているテレビ画面の斜め上…時計のところを見る。
「…！？や……ヤバイ…！！」
7時25分と間違いなく表示されていて呆然とする。
な…なにやってんだ私は！！急いで目の前のフレンチトーストの最後の一欠片をほうばり、立ち上がった。そのとき。
「亜希ちゃーん？まだ～？」
インターフォンから、大親友の少し焦りの色を含んだ声が聞こえた。
私は足をもつらせながら走って玄関まで行き、ドアを勢いよく開けた。
ドン…！！
…い………今…何かすごい鈍い音がしたような………？
「……いっったーい………！！」
ドアの向こうには涙目で額をおさえてこちらを見つめてくる親友がいた。
「うわぁぁ！ごめん！！侑美ちゃん、大丈夫！？誰にやられたの！？」
「亜希ちゃんにだわっ！っじゃなくて！謝った後にボケるのやめて！？どう反応すればいいかわかんないから！」
そっと侑美ちゃんの顔を覗き込めば、彼女はちょっと恨めしそうにこちらを睨んだ。
「ご…ごめんね？本当、これでも反省してるんだよ。全然そう見えないかもしれないけど。」
「……本当に？」
「うん。」
侑美ちゃんは真っ赤になった額を両手で擦りながら、訝しげな顔をする。そして一言。
「じゃあ、なんで笑ってるの？」
「マジか。私笑ってるのか。」
「マジで。すごい頬緩みきってるよ。」
申し訳ないとは思っている。痛そうだし。
それでも、人間の体というのは時に言うことを聞いてくれないことがあるということをどうか念頭に置いてほしい。
「ははっ…！ごめん…、でも笑い止まんない…。」
「亜希ちゃん！？流石に天使のように優しい私でも怒るよ！？」
キッと侑美ちゃんはこちらを尚も睨み続ける。でもその口許は明らかにほころんでいて。
｢フフッ……そう言う侑美ちゃんも笑ってるけど…？｣
その言葉に侑美ちゃんは今度は頬を真っ赤にして反論する。
｢わ……笑ってなんか…なく…ないし！｣
｢笑っとんかーい！！｣
前言撤回。反論してなかった。おまけに私も思いっきりツッコんでしまった。
二人で朝から玄関口でいつものように漫才のような会話を繰り広げていると、急に思い出したように侑美ちゃんがはっと顔をあげた。
｢ん……？侑美ちゃん？どうしたの？｣
私は笑いすぎて出てきた涙を拭いながら聞いた。すると侑美ちゃんは頭上に疑問符を浮かべ、首を傾げた。
｢そう言えば、今思い出したんだけど……。｣
そして少し躊躇うように俯く侑美ちゃん。
｢なになに？勿体ぶらないで早く言ってよ～。｣
そう私が茶化すと意を決したように侑美ちゃんが口を開いた。
｢…あのさ！私、亜希ちゃんが家から出てきたときから思ってたんだけど、その……何で…まだパジャマなの？｣
……………………………え。
｢は！？｣
視線を下げてやっと思い出したその事実。私の今着ているものは,学校指定のセーラー服ではなく、ピンクと白のギンガムチェックのパジャマだった。
そして、その事に気づいた瞬間に振り返りそこにかかっている壁掛け時計を確認する。
えっと……短い針が7と8の間。で、長い針が、6を指している。
えっと…えっと…それって何時だ？混乱しすぎて小学生でも分かる時計の読み方が中学3年生の私に分からなくなる。
｢ヤバいねー………もう30分だね。｣
私の考えがまとまる前に侑美ちゃんに答えられた。ちなみに、学校には45分には着いておかなければならない。要は、この状況はかなり絶望的。
｢ま…マジか！ヤバい！侑美ちゃん、悪いけど先行ってて！私のこと待ってたら侑美ちゃんまで遅刻するから！｣
その言葉に侑美ちゃんは、「了解です！」と敬礼ポーズをとった。
私もそれに答えてとりあえず敬礼ポーズを返しながら、ドアノブに手を掛ける。
そのまま急いでドアを閉めようとしたとき。
｢亜希ちゃん！折角今まで無遅刻無欠席の記録伸ばしてきたんだから、頑張って遅刻しないようにね！｣
親友からの心優しいエールが聞こえた。でも…………
｢ごめん。それ絶対無理だわ…。｣
閉まりきったドアに向かって私は小さく呟いた。だってその時にはもう時計は35分を指していたのだから。
- Re: 純度100% ( No.3 )
- 日時： 2018/06/17 15:33
- 名前： 片岡彗 （ID: qXcl.o9e）
＊第2話・何であなたがここにいるんですか……＊
只今の時刻、7:42。45分のタイムリミットまで残り2分。
私は現在、全力で走っている。学校の門さえ見えていないこの状況で、未だ諦めず、二酸化炭素を大量に排出しながら。
｢…ッハ。…ッハ。｣
元々、普段運動なんか全くもってやっていない私の体が、朝からしんどすぎる運動に耐えられるはずもなく、足元がぐらつく。
いつもなら気分よく楽しみながら見ているこの田舎の大自然（と言えば聞こえが良い畑と山）も見ている暇なんて今は全くなく。余裕0だ。と。
｢が…学校！！｣
普段なら至極嫌そうな瞳でしか写さないそれが、今日は見えた瞬間喜びに満ちる。
｢（やった！もしかしたら間に合うかも！！）｣
束の間の期待に胸を踊らせた時。
キーンコーンカーンコーン………
｢……………………………｣
無慈悲にもチャイムが辺りをこだまする。
脳みそが特別何かの指示を出した訳でもなく、気がつけば足が止まっていた。
間に合う訳ないって分かってましたよ。分かってましたけど…！！
いくらなんでもこんなチャイムが聞こえるくらい近くに来たときにタイムオーバーとか！
｢き……期待させやがって。｣
私は何の罪もない校舎を睨みながら、それはそれは小さい蚊の鳴くような声で呟いた。
- Re: 純度100% ( No.4 )
- 日時： 2018/06/17 22:14
- 名前： 一青色 （ID: TbyJL/UG）
彗ちゃまへ
ごめん、彗ちゃんはちゃんとした感想くれたのに反射でふざけちゃったよ…。
相変わらず面白いよね。キャラ紹介の時点でもうね。ふふふ。
描写がとにかく上手いよなぁと改めて思いました。ギャグねじ込んでくるところとか本当に好きです。続き楽しみにしてます。
私こそ彗ちゃんの文才が羨ましいよ！