コメディ・ライト小説(新)
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- ☆星の子☆ 番外編更新 (2/1)
- 日時: 2021/02/01 12:58
- 名前: (朱雀*@).゜. ◆Z7bFAH4/cw (ID: 3t44M6Cd)
閲覧ありがとうございます^^
はじめまして、またはお久しぶりです。朱雀です。この度執筆活動復帰しました(2019/10/14)。
初めての小説投稿で未熟な部分がありますが、楽しんで読んで頂けると幸いです<(_ _)>
アドバイスや感想などもお待ちしております。
ファンタジー要素満載なラブコメディです。後半からシリアス要素あります。
星の子のキャラ絵を担当して下さっているPANDA。さんがキャラ絵専用ページを作ってくださいました^^
※只今初期のお話を修正中ですので、一人称だったり三人称だったりします。ご了承ください。
>>1 登場人物紹介 (ⅰ) 主人公、部員、クラスメイト、Gトップチーム
>>2 登場人物紹介 (ⅱ) 反乱軍、政府軍
「まとめ」1>>45 〜まとめてみました。
「まとめ」2>>59 〜輝さん(空の義父)の話を簡潔にまとめてみました。
∞1幕∞
1章:1話ー>>3 2話ー>>4 3話ー>>5 4話ー>>9 5話ー>>12 6話ー>>13 7話ー>>15 8話ー>>18 9話ー>>19
2章:10話ー>>22 11話ー>>23 12話ー>>26 13話ー>>31 14話ー>>32 15話ー>>35 16話ー>>36 17話ー>>40 18話ー>>42 19話ー>>44
3章:20話ー>>49 21話ー>>52 22話ー>>56
4章:23話ー>>60 24話ー>>61 25話ー>>64 26話ー>>65 27話ー>>66 28話ー>>67 29話ー>>70 30話ー>>72 31話ー>>80 32話ー>>83
5章:33話ー>>85 34話ー>>90 35話ー>>93 36話ー>>96 37話ー>>97 38話ー>>103 39話ー>>107 40話ー>>114 41話ー>>119
6章:42話ー>>123 43話ー>>132 44話ー>>135 45話ー>>143 46話ー>>148
7章:47話ー>>153 48話ー>>158 49話ー>>163 50話ー>>167 51話ー>>175 52話ー>>191 53話ー>>192 54話ー>>199 55話ー>>202 56話ー>>209 57話ー>>212 58話ー>>214 59話ー>>216
8章:60話ー>>223 61話ー>>237 62話ー>>239 63話ー>>245 64話ー>>252 65話ー>>255 66話ー>>260
9章:67話ー>>275-276 68話ー>>291-292 69話ー>>301
10章:70話ー>>325 71話ー>>328 72話ー>>333 73話ー>>343 74話−>>363-364
∞2幕∞
11章:75話ー>>366 76話ー>>374-375 77話ー>>378 78話ー>>387-388 79話ー>>398-399 80話ー>>403
12章:81話ー>>419 82話ー>>422 83話ー>>426-427 84話ー>>434 85話ー>>436-437 86話ー>>440-441
『戦争』
13章:87話ー>>445-446 88話ー>>452 89話ー>>460 90話ー>>461-46 91話ー>>466-46
14章:92話ー>>469 93話ー>>474-475 94話ー>>479-480 95話ー>>486-487 96話ー>>490-491
15章:97話ー>>498 98話ー>>501-502 99話ー>>505-506 100話ー>>510-511
16章:101話ー>>525-526 102話ー>>532-534 103話ー>>537 104話ー>>539 105話ー>>543-545 106話ー>>551
17章:107話ー>>555-556 108話ー>>566-567 109話―>>779-780 110話ー>>806-807 111話ー>>815 112話ー>>816-817
18章:113話ー>>821 114話ー>>822 115話ー>>825 116話ー>>826-827 117話ー>>831 118話ー>>832-833
19章:119話ー>>837 120話ー>>838 121話ー>>839
☆番外編☆
〜葵〜>>410-411
『100話突破記念 短編3本立て!』
1「冥界」>>516
2「科学者Xの休日」>>518
3「星の子学園! Ep1」>>521
『バレンタイン企画!』
「少女と少年と約束」>>553-554
参照10万突破記念
「富士の山頂にて」 >>841
☆読者の皆様☆
*ちり様 *零十様(虎様) *ボリーン様 *貴也様 *恋音様 *友桃様
*星ファン★様 *山口流様 *アスカ様 *青龍様 *PANDA。様
*。・*+みつき*+・。様 *風様 *ああ様 *宇莉様 *杏様 *王翔様
*あんず様 *朝倉疾風様 *ARMA3様(書き述べる様) *黒田奏様
*日織様 *織原ひな様 *てるてる522様 *ひなた様 *ひょんくん様
*イレラ様 *美奈様
☆朱雀のオススメ!本紹介☆
第一回〜<秘密>>>222
第二回〜<トワイライト>>>250
第三回〜<灼眼のシャナ>>>281
第四回〜<妖界ナビルナ>>>329
☆キャラ人気投票結果発表☆
*第一回>>238
*第二回>>435
☆小説大会☆ 投票してくださった皆様、誠にありがとうございます<(_ _)>
2016年度夏 銅賞
2019年度冬 銀賞
スレッド作成日
2010.7.20
- Re: ☆星の子☆ 最新110話更新(10/16) ( No.812 )
- 日時: 2019/10/20 16:49
- 名前: (朱雀*@).゜. ◆Z7bFAH4/cw (ID: /FmWkVBR)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
@ひょんくんさん
はじめまして~!
ありがとうございます、頑張りますっ
@友桃さん
読み直してくださってありがとうございます……っ!
長文感想とっても嬉しいですv
警官3人は私もお気に入りです。なるべくキャラクターの個性が被らないようにしたかったので友桃さんのコメント読んで安心しました! そうなんです、ナツは悪い子じゃないんです。人間味って言葉とてもしっくりきますね笑 多分立場が違ったら3人の中で光聖や空と一番仲良くなれたはず……。残念ながらナツの出番は一幕で殆ど終わりですが、ちゃんと印象に残せたようで良かった^^
リン様! いいですねとても!!笑 今度からそう呼ぼうかしら。←
リンは私の推しなので余計描写に補正がかかってるやも知れませんね……苦笑 準主役の座を奪われそうな光聖君に少し同情してしまいます^^;
それとリンは特に、必死に過去の更新分読んで口調や雰囲気を崩さないよう努めているキャラの一人です。笑 一気読みしてくださる読者様に違和感を与えることなく書き上げたいものです><
お二人とも、コメントありがとうございました♪
- Re: ☆星の子☆ 最新110話更新(10/16) ( No.813 )
- 日時: 2019/10/21 20:22
- 名前: ひょんくん (ID: Uj9lR0Ik)
はじめまして!ひょんくんです。
友達からの紹介で☆星の子☆最新話まで読ませていただきました。
感想としては、
朱雀さんがとても文章能力に長けている方なんだと作中を通してしみじみと感じました。
特に第2幕からは戦闘描写が多く含まれており、とても楽しみながら読むことができました。
そのせいか続きが気になり、夜遅くまで読んでは寝落ちしてしまう日も多々ありました。
申し訳ございません…
キラ、ハクこの2人とてもいいと思います!
"僕の罪を君に罰して欲しかった"
ん〜いい!この2人良き!
後、個人的にガルの能力気になります。
☆星の子☆どんな形で最後を迎えるのか楽しみです!
朱雀さんのペースでいいので、執筆活動頑張ってください!
続き待ってます!
- Re: ☆星の子☆ 最新110話更新(10/16) ( No.814 )
- 日時: 2019/10/23 08:50
- 名前: (朱雀*@).゜. ◆Z7bFAH4/cw (ID: 3t44M6Cd)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
@ひょんくんさん
感想ありがとうございますっ!
最新話まで読んでくださって感無量です(;_;) 最初からだと長かったですよね^^;
友達の紹介って誰なんだろう、気になるなぁ。笑
私には勿体ない言葉の数々、ありがとうございます><
第2幕は確かに戦闘シーン盛り沢山ですね、楽しんで読んでいただけて幸いです。
しかも寝る直前まで……とても嬉しいですv でも夜更かしは良くないですよー^^笑
最新話の感想待ってました!笑
キラハク気にいってもらえて良かった~。ひょんくんさんの感想読むと、二人をあの結末にして正解だったなぁと改めて思えます。
ガルは何と言っても総司令官ですからね、きっと誰よりも強いはず。楽しみにしててください^^
また遊びに来て下さい。コメントありがとうございました!
- Re: ☆星の子☆ 111話「背中合わせの二人」 ( No.815 )
- 日時: 2019/10/29 15:27
- 名前: (朱雀*@).゜. ◆Z7bFAH4/cw (ID: 3t44M6Cd)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
17章 111話「背中合わせの二人」
東軍 密林 リン、空――
ひしめき叢がる樹林の中を、ただひたすら走る。しばらく進んだその先で眩い光が一閃し、木々の隙間から漏れたそれは辺りを一瞬照らした。さらに前方から風に乗ってかすかに硝煙の臭いが鼻をついた。乾いた銃声が何度も聞こえる。
そろそろ丘が見える頃だろうか。静かに、ゆっくりと速度を落とす。
この先で熾烈な戦いを繰り広げていることが予想された。一人は迷い星だろう、そしてその敵は……。
唐突に密林が終わりを迎え、視界が開けた。
光聖君、と少年の名前を小さく叫んだ空の口元を塞ぐ。息を殺して、草木に身を潜め状況を確認した。
――何だあれは。
刀が燃えている。そう錯覚した。
初めに目に飛び込んできたのは、迷い星が手にする太刀と盾だった。煌々と眩い光を放つそれらは、戦いに赴く前に俺が見たものとは全く姿形が異なっていた。ピアぐらい小柄な少女であれば易々と隠れてしまえるほど巨大で重々しい盾。握った鍔から伸びる刀身には火の粉が舞っている。少年は強い炎を瞳に宿し、大きな盾を軽々と持ち上げて跳躍する。
光聖が刀を向けるその先には、紛う事なき、明るい青の警官服に身を包んだかつての同僚がいた。目深に被った帽子と胸元には、この国の象徴である羽を腕一杯広げた金色の鳥の刺繍が施されている。膝丈のスカートが風にはためいた。彼女は息を切らしつつも、手に持った拳銃をまっすぐ迷い星へと向ける。
「うあああぁっ!」
「っ、しつこい!」
パァン、と何度目かの銃声が響く。銃口から飛び出た弾丸は少年の琥珀色の髪をかすめ、夜空に吸い込まれる。女警官は振り下ろされた剣先を危うく躱し、後退して距離を取った。
互いに挑戦的な瞳でぎらぎらと睨み合うこと数秒、
「……隠れてないで出てきなさいよ」
と冷めた声色で、森に向かって彼女は言葉を吐き捨てた。長年共に過ごした俺の気配を敏感に感じ取ったようだ。俺は息を一つ吐いて空に告げる。
「空、ここは危険だ。なるべく奴らと距離を置いて身を隠せ」
「――……うん、そうする。リンさん、光聖君をお願い……」
ここは流れ弾がいつ飛んでくるかわからない。元は均等に刈られた柔らかい緑で覆われていたろうに、今は所々焼け焦げ煙がくすぶっている芝生をちらりと見た。
そんな俺の心配を感じ取ったのか、空は神妙な面持ちで素直に頷いた。夜空を塗り広げたような黒目の奥が不安げに揺れる。「すぐ戻る」と言い残し、俺はふわりと軽い所作で腰を上げた。目にかかった少し長めの前髪を手の甲で払いのける。
左腰の鞘に右手をかけ、俺は数歩前へ出た。鬱蒼とした森の中から姿を現した俺を見て、迷い星があっと声をあげた。
女警官は表情一つ変えずに、冷たい眼差しをこちらに向ける。俺も彼女から目を逸らさず、静かに腰から長い太刀を引き抜いた。月光に反射して刃が妖しげに光る。
「……ヒナ」
彼女の名を呼ぶ。信条が違えて敵対関係になってしまった、かつての同僚。願わくはこんな形で再会したくなかった――それは彼女も同意であろう。しかし、俺たちの関係は劇的に変化してしまった。唐突に訪れたナツの死によって。
張り詰めた空気が支配する中、ヒナは口の端を歪めて刺々しく言葉を発した。
「随分久しぶりね、リン。悪いけどここから先は通さないわよ」
相変わらずの高圧的な態度に、思わず心の中で苦笑する。
「ならば、一戦交えるまでだな」
「二対一ね、上等よ。そこの星クズの相手には飽き飽きしていたところなの」
ヒナは少し吊りあがった瞳の奥を爛々と輝かせ、赤い唇をちろりと舐めた。その様はまるで蛇のようである。彼女が空いた左手でホルスターにぶら下がった拳銃を取り出すと、光聖が呻いた。
「うげっ……お前二丁同時に使えるの!? あの威力の弾がまだ飛んでくるのか……」
先の勝負でだいぶ疲弊しているらしく、かなり参っているようだ。
確かに二挺拳銃は攻撃に特化しており見た目こそ派手だが、身を守る術がない。加えて銃を撃った時の反動が激しいため、最悪身体が反動に耐えきれず後ろへ吹っ飛び、弾は狙いを大きく外れることになりかねない。そう、なりかねないのだが。
「もたもたしていると死ぬわ、よっ!」
ヒナは後ろへ跳躍し、両腕を伸ばした。二つの銃口はそれぞれ俺と光聖へしっかり照準を定めている。
流石に何十年も警官をやっていれば、銃の使い方なんぞお手の物か。
「やばっ」
「迷い星、背を借りるぞ!」
ヒナは躊躇なくその引き金を引いた。少年の返事を聞くより前に、俺は素早く身を翻しその後ろへ隠れる。
乾いた銃声が聞こえたと同時に凄まじい速さで弾が横切り、そのままの勢いで後ろに聳えた木の幹を貫通した。あまりの威力に銃弾数発を盾で防いだ光聖の両足が、踏みとどまれず後ろへ後退する。光聖は歯を食いしばり、煌々と輝く盾でヒナの猛攻を耐え抜いた。
迷い星の首筋に汗が流れ落ちた。後ろを見やり、俺をじとっと睨めつける。
「リン……! 僕を盾に使うなっ」
「とっさのことでな、すまない」
瞳を光らせて口先だけで謝る。光聖から機敏に離れると、刀を水平に構え、こちらの様子を伺っているヒナに向かって踏み込んだ。彼女は相変わらず不適な笑みを浮かべ、薙ぎ払われた刀を右手の銃身で受け止める。不快な激突音が爆ぜ火花が飛び散った。互いに睨み合う。
「ふん、無断で警官の仕事を投げ出して政府に歯向かうなんて、良いご身分ね?」
「お前こそ、いい加減目を覚ましたらどうだ? 政府のやっていることは民衆のためにならない。今から謀反するのならば、これ以上傷つけないが」
「はっ――だれが!」
ヒナは絶妙な力加減で刀を跳ね返し、素早く距離をとる。敵との間合いを詰めなければ。俺は再び二太刀目へと踏み込む。銃撃戦になれば刀で応戦する我々は不利である。
俺の意図を読み取ったのか、左手にいた迷い星がすかさず前へ跳躍していた。太刀の切っ先を右後方へと大きく振って脇の構えを取ると、呼応するように剣先から火の粉が迸る。
「はぁっ!」
光聖が刀を斜に切り上げた。その軌跡を火の粉が舞う。寸前、ヒナは歴戦の勘で身を翻す。銃口が素早く光聖に向けられ、引き金に指が置かれる。俺はそのヒナの頭上へと高く跳んで両手に持った武器を、刀身を撓らせるほどの剛力で振り下ろす。
「ふっ!」
「ちっ――!」
振り下ろされた太刀が拳銃へ届いた。その衝撃で武器はヒナの手から離れ、落下する。飛び出た弾丸の軌道は僅かに逸れ、滑空して後ろの密林へ吸い込まれた。
ぞくり、と戦慄が走る。齢13の、国の戦争に巻き込まれた少女の身が心配になる。
――ヒナの持つ銃は威力があまりに強く、射程距離が長い。一刻も早く、けりをつけなければ。
瞬時に間合いをとったヒナが懐から短剣を取り出した。眼前に迫った光聖の強堅な刃と鍔迫り合う。彼女のめらめらと燃える瞳が、俺の視線の先を捉えた。
「ふうん、そういうこと」
口の端を吊り上げて、楽しそうに笑った。
「あの中学生を次は戦争に巻き込んじゃったのね? 光聖」
「っ!?」 (空が近くにいる……!?)
動揺して光聖が目を丸くする。と同時に、生まれつきのサイコメトラー能力が働いて思考がすっと頭へ流れ込んできた。
居場所を勘づかれたか……。
彼女への警戒心をもう一段階引き上げる。ヒナとは共に警官をしていたが、チーム内で実行役を任されていた彼女は誰よりも判断が早く、良くも悪くも効率的に仕事をこなす奴だった。H・Fへの盲目的な忠誠心からくる、使命遂行のための血も涙もない作戦の数々。
闇雲にヒナへ武器を振るうより、敵の出方を伺うべきか……?
「ここにいるってことは……ムマの奴、あんな小娘一人捕まえられなかったってわけ?
――ふん、まぁいいわ。私がここでまとめて消してあげるから」
「させるか!」
光聖が刀を押し切る。その反動で後ろへ飛び退いた彼女の身体は既に傷だらけであった。切れた頬や手足から絶えず茜色の火の粉が舞い散っている。それでも彼女は不敵な笑みを崩さない。
「こんな、二人が一大事の時に、お前達のリーダーは何やってんだよ……っ」
光聖が小さく毒づいた。
迷い星にとっては何でもない一言だったろう、がその瞬間、ヒナの纏う空気がより不安定で危ういものに変わったのを俺は見逃さなかった。す、と彼女から一切の表情が消える。冷徹な、暗い瞳を光聖に向けたまま、ヒナは首を傾げた。耳元で切り揃えられた茶髪が揺れる。
「――――は? ……あんた、何も知らないの?」
彼女の地雷を踏んだ、そう直感した。
ナツが絶命したことを今の今まで伝えられずにいた自分を呪う。
「 ―― 」
刹那、金属同士の衝突音が耳を劈いた。
今度こそ本物の殺意を目に宿して弾丸のような速さで襲いかかってきたヒナの短剣を、光聖が咄嗟に受け止めている。ヒナが憎々しげに吐き捨てた。
「あの時、あんたが大人しくしていれば……っ、ナツは、死ななかった――!」
「な……!?」 (ナツが死んだ……? 殺されたのか?)
光聖が絶句する。彼女の眼光に気圧され後退した少年の足がほつれ、その場に尻餅をついた。
何やってるんだあの馬鹿……!
空の安全が第一ではあるが迷い星の窮地も捨て置けず、光聖へ駆け寄ろうとして――左に踏み出した足を、止める。
敵は眼前の滑稽な少年を苦渋の表情で見下ろしていた。どこか哀愁を漂わせる彼女の姿に、3人集まった最後の夜が脳裏をよぎり心臓が痛む。
運良く訪れた間隙を縫って、光聖は瞬時に体勢を立て直し彼女から距離をとる。ゆらり、と緩慢な動作でヒナが顔をあげた。その、無理矢理に貼り付けた狂気的な笑みに思わず背筋が凍る。
ヒナの相手は迷い星に任せて俺は空を――
考えた俺の右後方の、深く茂った暗い森に向けて、ヒナは素早く黒光りする凶器を向けた。彼女が小さく何やら呟くと同時に、銃口の奥から眩い光が漏れ出すのを感じる。
刹那、ヒュンと耳元で風が吹き抜けた。光の残像を視界の端で捉える。
「なっ――――」
振り返ると一帯の木々が真一文字に焼き払われていた。
俺も光聖も、何が起きたのかまるで理解できない。目に止まらぬ速さであの拳銃から光線が噴出し、樹木を燃やしたというのか。
背の高い木々が犇めいていたはずのそこから、恐怖に慄く小柄な少女の姿が見える。パチパチと燃えて緑が灰になってゆく中、少女はへなへなとその場に座り込んだ。
「――っふふ、見つけた」
かつての同僚がにんまりと意地の悪い笑みを浮かべる――が、瞳は全く笑っていなかった。彼女の全身から沸き立つ殺意を感じ取る。迷いなくその銃口が空に向く。
「っ、光聖!」
「わかってる!!」
応えて、少年が太刀を大きく振りかぶり
「――――しね」
敵が引き金に手をかけ
俺は。
- Re: ☆星の子☆ 112話「守りたかったもの」(1) ( No.816 )
- 日時: 2019/11/04 17:45
- 名前: (朱雀*@).゜. ◆Z7bFAH4/cw (ID: /FmWkVBR)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
17章 112話「守りたかったもの」
東軍 シャイニア 空、光聖、リンVSヒナ――
随分長い距離を走ったので胸が苦しい。酸素を必死に肺に送りたい衝動を押し殺し、冷静に吸って吐いてを繰り返す。
「ふぅ……」
動悸も落ち着いたところで、私は近くの大木に背を預けた。湿っていてひんやりと冷たい。
リンさんに言われた通り、私は光聖君達から少し距離を置いて森の中で息を潜めていた。といっても土地勘がないのであまり遠くへ行くと迷子になってしまうし、東軍とほんの少し離れたがためにムマと夢の中に閉じ込められたのはつい先程のことである。私はヒナさんの攻撃が届かない辺りで様子を伺っていた。
二人とも、大丈夫かな……
高く生い茂った樹木に囲まれているために、3人の様子はちっとも見えない。もしものために、と私は腰元のバッグをごそごそと漁る。何かしていないと落ち着かなかった。
暗い緑褐色の軍服に肩から提げられた小振りのショルダーバッグ。その中には医療用の道具が入っている。『アステリア』に着いてから僅かの間、私は怪我人への簡単な応急術を学んでいた。しなしながら今頃超絶技巧の戦闘を繰り広げているだろう光聖君とリンさんに、果たしてこれが役に立つかわからない。
「塗り薬に消毒液、痛み止め、包帯……っと」
必要分は揃っていることを確認して私はバッグを漁るのを止め、代わりに左腰のホルダーをそっと手で撫でた。
私が唯一護身用に持つことを許された、小刀。一度も人に向けたことはないし、今だって殺傷する目的で使うつもりは微塵もない。
でも。もし大切な人が酷く傷つけられたら? 私は誰かに向かってこれを使ってしまうの?
そう考えると末恐ろしくてぞっとする。数ヶ月前、光聖君に出会う以前の私は、ありふれた平凡な中学生だった。
「――光聖君も、リンさんも、皆無事でいてほしい。誰一人欠けてほしくないよ……」
呟いた、その時だった。
樹木が悲鳴をあげる音がする。眼前に拡がっていた木々が瞬く間に一刀両断されて、重心を失った幹が燃えながら崩れてゆく。
「――――え」
一瞬の出来事だった。
何の予兆もなく私を匿っていた障害物が目の前から姿を消した。同時に、殺気立った女警官が刺し貫くような鋭い視線をこちらに向けているのが見える。
――ヒナ、さん
声にならない。こんなにあからさまに、燃えるような殺意を向けられたのは初めてだった。
足が震える。いつの間にか座り込んでしまった私を彼女の銃口がしっかり捉えた。
――……いや、私、死ぬの?
「――――しね」
低く、彼女が告げた。
とある映像を、スローモーションで眺めているようだった。
黒光りする拳銃の穴が、画面の向こうの私をじっと見つめる。
大気のありとあらゆる力が見えない引力によって引き寄せられ、小さい銃口に圧縮される。
恐ろしいくらいに燦爛たる光が漏れ出る。
頃合いだろうか、青の女警官が乗せた指に力を込める。
そこから飛び出たのはただの弾丸ではなかった。弾けんばかりに力が濃縮した、朱く燃える火の玉。
木々を切り倒したものと同程度、いや、それ以上の威力で、一直線に飛んでくる。
私はそれを瞠目することしか出来ない。
やけに現実的で、生々しくて、緊迫とした映像――――
あぁ、私死ぬんだ。と、ぼんやりとした頭で考えた。
――――とそこで、視界に鮮やかな金髪が映り、我に返る。
ゆったりとした時間の流れが戻り、瞳に映る景色が急速に色づいてゆく。
「リ、リンさん…………!?」
いつの間にか私の目の前に現れたリンさんの身体が、ぐらり、と傾いた。彼はそのまま近くの樹木に背を預ける。隠すように片腕が腹部へ回された。そこから絶え間なく、瑠璃色の火の粉が舞っている。
急いで駆け寄った。
「――!」
私をかばって……!?
恐らく先の攻撃を直に受けたのだろう、首から胴体にかけて焼け爛れ、酷く負傷している。特に腹部が大きく抉られているのを見て、血の気が引くのを感じた。思わず目を背け、救護バッグに手を伸ばす。
「ひ、酷い傷……! 待って、今手当を――」
「いい」
いつもと変わらない、静かな声色で彼は制した。額に汗が滲んでいて、その眉目秀麗な横顔は苦痛に歪められていた。
「どうして……!? このままだったらリンさん――……っ」
ぐっと喉元から熱いものが込み上げる。これ以上言葉を続けられず、私は唇を噛んだ。
そうこうしている内にも、彼の身体は恐ろしい速さで火の粉へと変わり、夜空に散っていく。
飴色の瞳が私を映す。
「――無事で、よかった」
「なにもよくないっ。リンさん、こんなに怪我してるじゃない……!」
目頭が熱くなる。これ以上彼の痛ましい姿を見ていられなかった。
リンさんは無理して口の端を上げ、軍服の懐から傷だらけの腕で何かを取り出した。それを私に差し出す。
「受け取れ。お前のもの、だ」
「……ペン、ダント?」
楕円形の金縁に、磨き上げられた綺麗な石が埋め込まれている。美しい装飾が施された小振りのそれは、きらきらと碧く光輝を放っていた。その輝きにどこか見覚えがある。ふと育て親の姿が頭をよぎった。
「これっ、お父さんの……! リンさんがどうして……」
天野輝(お父さん)が大切に持っていた、ベニトアイト――濃いブルーと眩い輝きが特徴の宝石だ――のペンダントだった。リンさんは先の質問には答えず、半ば強引に私の手を取って装飾品を手渡した。
「天野輝の形見だ。大事に、持っておけ。……渡すのが遅くなってしまって、すまない」
「っ、なんで……どうして、謝るの……ううん、謝りたいのは私のほう……うっ、ごめんね、リンさん……っ、私が弱くって、役立たずで、だからリンさん、けが、しちゃった……うぅ……っ」
嗚咽が込み上げ、ぽろぽろと大粒の涙が堰を切って溢れ出た。水滴が手元のペンダントを濡らす。その碧い輝きが、舞い散る瑠璃色の火の粉と酷似していて、胸が詰まる。
「リンさんっ、いかないで、お願い、いかないで、いかないでっ……」
リンさんの肉体が、無くなっていく。宙へ、還っていく。
苦しい、胸が痛い、体中が熱い。
涙は止まることを知らず、彼の姿が、流れるような長い金髪が、飴色の瞳が、瑠璃色の火の粉が、朧げに映る。
困ったように眉を寄せたリンさんが手を伸ばし、私の濡れた頬を優しく拭った。ひやりとした感触が伝う。
「空……もう泣くな。迷い星がいるだろう」
「だっ、だって……っ」
彼の体半分は、もう消えた。それなのに、端麗な顔立ちはまだそこにある。
身体中が張り裂けるような痛みに襲われる。肺が圧迫されて息が詰まる。
ついに頬の感覚がなくなった。碧い粉が目の端に映る。
「いやっ、リンさん……っどこにも、いかない、で……――」
綺麗な瞳を細め、彼は呟く。
「――愛とは、愚かなものだ……。故に、人はあらぬ方向へと走り、時に破滅する……。しかし、」
いつか、聞いたことのある台詞だった。出会ったばかりの彼を思い出す。
「だからこそ、儚く美しい――――――」
言って、儚げに笑った。
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