コメディ・ライト小説(新)
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- 雪と雫と日向
- 日時: 2023/01/14 07:11
- 名前: once (ID: wsTJH6tA)
タイトル
「雪と雫と日向」
あらすじ
容姿も頭脳も生まれも育ちもごくごく平凡な主人公・相沢雫。近所に住む幼馴染の兄弟、篠宮雪と日向は通称「美形兄弟」と名のつくほど端正な容姿を持ち、さらに兄は成績優秀、弟は運動神経抜群という才能の持ち主。決して交わることのないはずの平凡と非凡。日向が雪を溶かして雫が滴る──あるいは雫があれば雪解けを促せて枯渇も防げる……?
目次
プロローグ
>>1
第1章
>>2-25
第2章
>>26-
- Re: 雪と雫と日向 ( No.29 )
- 日時: 2023/01/18 09:49
- 名前: once (ID: wsTJH6tA)
どうしたって
学校生活をエンジョイできそうにない。
青春を謳歌することは困難を極める。
なぜなら。
先輩方の圧が強すぎて
学年問わず生徒全員が仲よくなることは
不可能に等しいし。
若い先生がほぼほぼ見当たらない我が校で
最も若そうなめがね陰気なオタク気質の男性教諭。
向こうから生徒と距離を置いているため、
近づくどころか異様に遠ざけられる始末。
校則に厳しいのは先生よりむしろ生徒会で。
規則通りの格好、生活態度でなければ
目をつけられ、生きた心地がしない日々を送るはめになる。
先日も、校則を堂々と突き破り
髪を真っ赤に染めてきた男子生徒がいて
違反者が1年生だったにもかかわらず、
髪をもとの色に染め直すこと、
反省文を提出すること、
今後厳しく指導されること
などを言い渡されていた。
自分は単に目立ちたかったり
おしゃれのつもりでも
学校は遊ぶ場所ではないと一喝されたのだった。
放課後の寄り道だって
1人で道草食っても仕方ないし。
図書館くらいなら行けるだろうけど。
用事もないし居心地が悪いだけだ。
- Re: 雪と雫と日向 ( No.30 )
- 日時: 2023/01/20 08:50
- 名前: once (ID: wsTJH6tA)
勉強が不得意で苦手で
はっきり言って嫌いで
自分には向いてないなと
つくづく思う。
容姿を気にすることも
そんなになくて……。
──気にする、というより
気にかける、の方が正しいかも。
自分が特別かわいいわけでも
取り立ててきれいなわけでもない
ということは自覚しているし。
身の丈に合った立ち居振る舞いで
出しゃばらず無難に生きる。
それが運命だと重々承知している。
おしゃれするのは美人の特権。
メイクするのも余裕のある人の趣味。
スキンケアは努力する理由がある人だけ。
──まあ、そりゃもちろん、現状維持にも
何かしらの心がけが必要だろう。
毎日のお手入れで結果が変わる。
何もしない人の荒れた肌が醜い。
さらに老後に大変な思いをするのは己。
現状維持が困難を極め始める年頃では
もう遅い。気づくのが遅すぎる。
──美容は、試験勉強と同じ。
まるで、テスト勉強の心得。
授業をよーく聞いておくこと。
テキストをしっかり熟読すること。
予習復習を怠らないこと。
毎日の積み重ねがあって
細かい部分や気になる箇所を入念に手入れ
自分に合った方法で、順番を守って。
- Re: 雪と雫と日向 ( No.31 )
- 日時: 2023/01/20 09:06
- 名前: once (ID: wsTJH6tA)
「ブスでもメイクで生まれ変われるの」
「平均的な容姿も努力次第で平均以上になれる」
──どこかの広告か、
誰かのセリフかで耳にした文句。
嘘くさい、と最初は思った。
ブスはメイクしても所詮ブスだし。
根本が生まれ変われるわけじゃないのが
なんだか残念な宿命というか。
平均的というのはつまり、平凡てこと?
可もなく不可もなくということならば。
別にそれ以上を求めなくてもいい。
今の自分を好きと思えなければ、
一生悶々とした気持ちで
自分のその容姿と向き合わねばならない。
性格と違って自分次第で変われるものじゃない。
体質と違って突然変異する可能性はゼロ。
救いようがない。
──でも、女の子の気持ちを知ったとき。
自分も彼女らと同じ女子と気づいたとき。
誰かのためにきれいになりたいと思う心。
振り向いてもらいたくて努力する心。
わずかでも気づいてもらいたい心。
正直、理解というか共感できる面があった。
原動力があってこそ、
女の子はひたむきにがんばれ続けるのだ。
- Re: 雪と雫と日向 ( No.32 )
- 日時: 2023/01/20 09:27
- 名前: once (ID: wsTJH6tA)
まずは日々のお手入れが重要。
テレビか雑誌で見て、まねし始めた.
運動不足はむくみのもと。
せめてものストレッチで体を動かす。
そしてなるべく意識的に、
用がなくても階段の上り下りを増やした。
ドラッグストアの美容関連コーナーで、
PBの激安商品じゃなくて
ちょっと値は張るけど有名な化粧水を選んだり。
下調べしてきた、モデルさん一押しの
乳液、パック、クリームなんか買って。
リンパマッサージがいいらしい、とか
時間をかけて優しく丁寧に、とか。
そういう情報を取り入れつつ、
女の子らしいことしてるな自分
と鏡に映る目の前の姿を挑発した。
面倒くさがりな自分が長続きするとは、
飽き性な自分でも継続できることがあるとは。
これで劇的に変わるとは思ってないし
今の状態を保つため先手を打っただけで
見た目が華やかになるわけではなかった。
私はいつも通り、いつもの調子で。
誰にも気づかれることのない
自分改革をスタートさせていた。
これはまず初期段階といったところ。
- Re: 雪と雫と日向 ( No.33 )
- 日時: 2023/01/20 09:46
- 名前: once (ID: wsTJH6tA)
日々のお手入れが定番になって、
自分の生活の一部になって
当たり前が必要不可欠になった頃。
ステップアップして
次の段階へ進むことに。
装いや風貌を変化させること。
──校則の厳しい学校では難しい。
校外なら自由だろうけど、
正直校外でいつ顔を合わせるか?
難しい問題だ。
自分自身、割とまじめで
制服を着崩すことは反対派だし
校則違反者とは距離を置きたい。
要するに。
悪目立ちすることは避けたい。
白い目で見られ、腫れ物扱いされ。
後ろ指を差される存在──断固拒否。
誰でもそうかもしれないけど、
こういうときは心配が絶えない。
不本意な形で目立って、意図しない噂が立ち
その噂がもし相手の耳に届いて……。
幻滅されてしまうかもしれない?
可能性はゼロじゃない。
万が一の賭けには慎重でいたい。
──ひとまず。
まずは自分のセンスを磨こう。
流行を知ったり、異性の心に響くスタイルを知ろう。
願わくば相手の好みも知りたい。
それとなく探りを入れてみるか……。