ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 僕と奇妙な住人たち。
- 日時: 2010/02/22 16:20
- 名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)
ストーリー上ぐろい部分もありますが、お気をつけ下さい。
<登場人物>
『僕』──12歳の時、とある事件で1年間精神科に通っていた。 2年間引きこもり生活を終え、『鳥籠荘』に。
染井芳野──淡々とした性格で誰に対しても敬語。とある事件の関係者。 いくつかトラウマがる。
イタチさん──『鳥籠荘』のオーナー。年齢不詳。住人たちの事情をある程度熟知している。
伏谷そよか──20歳にしては少々子供じみた言動を取る。ある事情からか、『人間はタヒなない』と思っている。
相沢キョウ──切れ目で美形な無口な住人。18歳。『鳥籠荘』の設けている喫茶店でバイトしている。
宮津春日──お茶目な性格で冗談ばかり言っている。少々変質的で周りから引かれる事も多い。20歳。
- Re: 僕と奇妙な住人たち。 ( No.10 )
- 日時: 2010/02/24 13:03
- 名前: 朝倉疾風 (ID: 0N93rCdO)
部屋はキレイで殺風景だった。 必要最低限のものしか置かれていない。
僕の荷物も少ないので、全て収納することができた。
先ほど貰った部屋の配置図で、あと二人住人がいる事を知る。
相沢さんと宮津さん・・・・・・。
名前だけ見ると性別がどっちだか分からない。
とりあえず、部屋にボーといても暇だ。
とか言ってもイタチさんとはあまり関わりあいたくない。 あと、そよかっていう人とも。
十代は今頃学校に行ってるんだろうな。
普通に勉強して普通に遊んで、普通に暮らしてる。
羨ましいのか分からないけど・・・嫉妬とかは生まれない。
「・・・・・・喫茶店ね」
イタチさんの言葉を思い出して、起き上がる。
僕も人間だから、腹が減るのは当たり前。
「厨房、貸してくれるかねー」
「・・・・・・いいけど、でもあんま汚すなよ」
「分かりました」
案外すんなりとOKをもらえた。 てゆーかこの人、どっかの漫画からそのまま出てきたみたいな顔だな。
『鳥籠荘』から出て、その隣の小さな喫茶店でバイトをしている、同じ住人の相沢さんか宮津さんのどっちかが厨房を貸してくれた。
「あの、僕料理とか全然できないんですけど」
「金、ある?」
「親からある程度はもらってきました」
「んじゃ払え。 俺が作る」
いいのか? ・・・・・・いいのか。 別に食い逃げしてるワケじゃないんだから。
親からして見れば僕は色んな意味で泥棒だったんだろうけど。
他のお客さんの邪魔にならないように、隅っこで待機。
そういえば、メニューとか言ってなかったけど何を作ってくるんだろう。
別に文句を言うつもりもないけど。
「文句言ったら、殺.す」
僕の思考を読んだのか、はたまた偶然だったのか、最初にそう前置きされて目の前に置かれたのは、オムレツだった。
「ありがとうございます。 言いませんよ、文句なんて」
「400円だから」
「はい。 『鳥籠荘』の人ですよね」
「・・・・・・・・・」
だから?みたいな顔をされてしまった。
「相沢さん? 宮津さん?」
「相沢だ」
「じゃあ、キョウさんですね」
「・・・・・・・・・・・」
鬱陶しそうな顔をされたので、そろそろ解放してあげましょうか。
「ほら、お客さんの水が空ですよ」
「・・・・・・・・ああ」
相沢キョウさんが慌てたように水を取りに行く。
僕と同い年っぽかったけど、あの人も学校行ってないのか?
てゆーか、ここで働いてるって事は就職してるって事か・・・。 ケッ。
染井芳野もあの様子じゃ学校なんて行ってないよな。行く訳ないか。
オムレツを食べてみる。
なんとなく、しょっぱかった。
- Re: 僕と奇妙な住人たち。 ( No.11 )
- 日時: 2010/02/24 13:25
- 名前: 朝倉疾風 (ID: 0N93rCdO)
400円という塩味のオムレツの代金を支払って、外に出る。
実家からあまり離れていない所にあるここらの地域は、至って普通。
4年前に起こった事件なんて片隅にも感じさせないような能天気な平和ぶりが伺える場所だった。
「なにしてるのかな」
「ほっといてください」
さっそく嫌われてしまった。
僕は昔から、少し変わった人にモテたはずなんだけどなぁ。
「花ってキレイだよね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
思い切り、敵意むきだしの目で睨まれた。
染井芳野がホースで片っ端から花に水をやっている。
しかも水の勢いが強い為、土が削れて花も沈没。
当の本人はまったく気にせずに水をやっていた。
「そんなにしたら、花が萎れちゃうよ?」
「なんなんですか? 帰ってください」
「今日からここが僕の家なんだけどな。 つまり、キミと僕は同棲してるってこと」
「いい加減にしてください」
ホースをぎゅちりと握り締めているのが分かった。
「どうでもいいですから、黙ってください」
美人に睨まれるとゾクゾクするーってのは置いといて。
「本当に、どうでもいいよ。 まったく」
僕は今、居もしない誰かをかなり憎んでいる。
「なんで・・・・・・また会っちゃったのかな」
「はあ?」
怪訝そうな表情で芳野が僕を見る。
まるで、僕とは今まで一度も会ってないみたいな反応だなー。 そうなんだろうけど。
でも、僕は覚えてる。
だからキミに今日ここで再会してとてつもなく動揺したし、とてつもなく後悔もしてる。
だけどキミの事は恨んでない。 多分ね。
「キレイになったね」
「早く帰ってください」
「今も昔も、変わらない。 変わった所といえば・・・そうだな。 目つきが悪くなった」
絶対嘘だろ。 それ以外にも色々変わってるトコあんじゃん。
芳野はもはや怪訝というか、不思議そうな顔でこちらを見ている。
ふむ、おもしろい。
「まあ、キミが覚えて無いなら仕方ないか」
「・・・・なんの事? なにを言ってるの?」
「いや、あんまり無理に思い出してもいけないと思うから」
「意味わかんない。 黙ってください」
聞く耳持たずと言ったところか。
まあ予想はしてた。 挫けない。 当たり前だけど。
これ以上からかうと本気で水の威力でこっちが挫けそうなので、打ち切って『鳥籠荘』に入る。
ん、そういえば聞くの忘れてた。
思い出して、閉めかかっている扉に振り返る。
・・・・・・・まあいいや。
これが最後って事じゃないんだし。 残念ながら。
また聞けば良い。
本当にキミは芳野ちゃんですか?って。
- Re: 僕と奇妙な住人たち。 ( No.12 )
- 日時: 2010/02/25 19:18
- 名前: 朝倉疾風 (ID: 0N93rCdO)
再会してしまったものは仕方ない。
これだけ聞いたら僕と芳野が昔に会っていると確信する人も出てくるだろう。
それでいい。
何を隠そう、僕と彼女は会ったことがある。
しかも、かなり深い所まで関わっちゃってるんだけど・・・・。 まあ、どうでもいいか。
何を期待しているのか分からないけど、不思議キャラって必要みたいだし。
「むーニュースばっかでつまらんぞぃ」
『鳥籠荘』の一階のかなり広めのリビングで、ソファを陣取ってテレビを見ているのはそよかさん。
二十代なんだろうけど、着ている服とか体格とかでムチャクチャ若く見える。
「あのさ、そんな前居たら俺が見えないっつーの分からんのかえー? ・・・・・・・ん?」
そのそよかさんを鬱陶しそうに睨んでいる男が僕に気づいた。
多分、いや絶対に 『宮津春日』さんなんだろうけど。
「およよっ、新人さんか?」
「どうも。 宮津さんですよね」
なるべく親しみを込めたつもりだけど・・・ダメだ。
笑顔っていうものが作れない。
「そうそう。 俺、宮津ね。 宮津春日。 キミの事はさっきそこのそよかさんに聞いた。 少年らしいな」
「はい。 そっくりそのまま少年です」
僕も僕だ。
笑顔も作らず冗談なんて、それは冗談じゃない。
ガラスのテーブルの上にあるお菓子をつまみながら、せっせと絵をかいている宮津さん。
へぇ・・・・・・なんか、アレだ。
二次元ラブの人が好きそうな感じ。
「絵、好きなんですか?」
「こう見えてもイラストレーターだよーん」
「・・・・・まぢっすか」 驚いてないけどね。
「静かな場所を探してて、ここを見つけた。 ここは確かに静かだねぇ〜。 家賃も安いし、現実逃避できるのに打ってつけだ。 ・・・ま、変なのもいるけど」
『変なの』ねぇ・・・・。
誰の事を指し示しているのか分からなくもないな。
「キミは染井に会った?」
ほら来た。
「染井芳野さんですよね。 会いました」
「アイツはさー・・・あんまいねーよ? あんな頭ぶっ壊れた子。 すげーもん。 俺怖くて・・・つか嫌いだから絶対に話しかけねぇ」
あんな華奢で人間を恐怖の塊としか見ていない芳野のどこが怖いんだ。
「何考えてるのか分からんじゃーん。 あー、イタチとか! アイツも腹見えないしさー」
「それは分かります」
「ぬぬ? イタチは分かって染井は分からんの?」
「はい」
「・・・・・・・・キミも変わってるねー」
女子の髪の毛をピンクで塗る宮津さんに言われたくないけど。
そこには触れずに、ニュースを報道しているテレビを見る。
「・・・・ありゃま。 火災だって」
「夏だから花火でもしてたんじゃねーのー?」
「当たりです」
そんな、特別な事でもなく、珍しい事でもなく、女子アナが火災現場で中継しているのが聞こえ───、
ガラスの割れる音が響いた。
宮津さんがペンを置いて振り返る。
僕は一部始終は見えていたからさほど驚かなかったけど。
「ニュースって、まともな放映してねーんじゃね?」
どこかのギャル口調で訊ねてきたのは、そよかさんだった。
距離からして、テレビ画面にジュースの入ったグラスを投げつけたのはそよかさんで。
「人ってさ、タヒぬワケねーのに」
無機質な瞳で画面を睨みつけながらそう呟く。
歪んでいる人間に対しての理解と知識を、僕と宮津さんは訂正する事もなく、
「イタチに怒られっぞ」
「・・・・・ダイジョブだー」
宮津さんも空咳をしてペンを持ち直す。
流れた空気は再び意味を持って流れ出し、そよかさんもテレビを消して、部屋に戻って行った。
「・・・・・・色々と、世界観が変わった人がいるようで」
「なんか、あの人さ。 身内が目の前で自.殺したみてーなんだわ。 それでああなったらしい」
「なる」
ほどー。
要するにスイッチが逆方向に入ったワケだ。
それなら身近にもいるから、納得だ。
「まあ、アレでも染井よりかはマシだ」
人をアレ呼ばわりするとは・・・うぜー奴めっ。
ま、冗談だけど。
「前さ、染井はいっつも包帯巻いてたんだ」
「包帯?」
「なんか、体中にグルグルと。 今包帯切らしてっから巻いてねーけどさ、近々ミイラみてーになるんだよねー」
「・・・・・・・・それはそれは」
包帯ねぇ。 これも見覚えがある。
「完璧頭イッてるだろー。 だから人間てヤなんだよ」
「それで二次元の道に入ったんですか?」
「まーねー。 楽だし。 染井みてぇのに好かれたら、『ヤンデレ』 みてぇな分類に入りそ」
それも悪くない。
・・・冗談、だよ。
- Re: 僕と奇妙な住人たち。 ( No.13 )
- 日時: 2010/02/25 19:57
- 名前: 嵐猫 (ID: vnhp5p3u)
色々な人たちが住んでいますね。 面白いっ!!
人間が嫌だから二次元の道に行くとは・・・・。
そういう道もあるんですね。
- Re: 僕と奇妙な住人たち。 ( No.14 )
- 日時: 2010/02/26 17:07
- 名前: 朝倉疾風 (ID: 0N93rCdO)
基本的に春日はズレてると思います(汗
変だし。
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