ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 始まりは懺悔の願い
- 日時: 2010/05/02 19:31
- 名前: 暗刻の導き手 ◆MCj.xXQAUE (ID: khxqjExY)
初めまして。
このサイトに書くのは、初めてです。
緊張してます!
更新が遅いかもしれませんが、よろしくお願いします。
コメントや感想があると頑張れるので、ぜひ読んだら感想お願いします。
ちなみにこれはいじめ小説ではありません。(一部にいじめのシーンがありますが、あくまで一部です)
めだかさん
こたつとみかんさん
尚さん
まろにえさん
羽鳥さん
海さん
アキラさん
から感想を頂きました。ありがとうございます。
更新遅れてすみませんでした。
頑張りますので見捨てないでやってくださいませ。
目次
すべての終わり >>1
プロローグ >>3
すべての始まり >>6
第一章 >>6〜
丑三つ時 >>6
始まりの、ひと月前 >>8〜>>9
二年前 >>11・>>13
間章
始まりの、数日後の夜 >>18
第二章 >>22〜
始まりの直前 >>22
始まりの、数週間前 >>23・>>29・>>30・>>31
始まりの、数週間後 >>31
間章〈二〉
終わりは続く >>32
第三章
始まりの、数日前 >>33
始まりの、一週間前 >>34
一年半前 >>37
- Re: 始まりは懺悔の願い ( No.28 )
- 日時: 2010/04/07 09:47
- 名前: 暗刻の導き手 ◆MCj.xXQAUE (ID: yL5wamFf)
こんにちは、海さん。
三人、かわいいですよね!
こんにちは、こたつとみかんさん。
すごいなんて……。
そんなことないです。今、手探り状態ですし。
こたつとみかんさんも、頑張って!
只今、構想を練ってます!
- Re: 始まりは懺悔の願い ( No.29 )
- 日時: 2010/04/17 16:22
- 名前: 暗刻の導き手 ◆MCj.xXQAUE (ID: PRmCvUEV)
春奈にとって姉、若奈は自慢であり、誇りだ。それは今も昔も変わらない。
そう、変わらない。
けれど。
それと同時に春奈は若奈に対して密かな、小さな負い目を感じていた。
誰にも吐き出していない、心の内に秘めている感情。若奈の評価を根本から間違えている周囲の人間には決して言えない、小さく、けれど確かな痛みを伴う感情。
初老に差し掛かりつつある男性教師の声を堂々と聞き流しながら。一番嫌いな教科、社会を聞き流しながら。
春奈が考えているのは、いつものように若奈のことだった。
社会の授業の時間はたいてい若奈のことを考えていた。否、考えてしまう。社会の授業は、こちらが完全に受け身だから。
「……だから嫌い」
なぜなら、感じてしまうから。
いつも、社会の授業時に感じてしまうから。
感じずにはいられないから。感じなければならないから。
自己中心的な、愚かな自分を感じずにはいられないから。
姉に……若奈に申し訳ないとは思うけど、結局謝りもせず、それどころかその感情を口に出すことも、周囲の評価を否定することもしていない。そんな自分を感じずにはいられないから。
完膚なきまでに自分が可愛い自分を感じずにはいられないから。
だから、嫌いだった。
社会の授業が。
そして。
他の誰でもない、自分自身が。
嫌いで嫌いで、仕方なかった。
それは、今も、昔も変わらない。
そしてきっと、これからも——。
- Re: 始まりは懺悔の願い ( No.30 )
- 日時: 2010/04/18 10:50
- 名前: 暗刻の導き手 ◆MCj.xXQAUE (ID: yL5wamFf)
「きりーつ」
日直のやる気がこもってない、ボンヤリした声。そんな声だが、教師以外誰もしゃべっていない教室に響くには十分な声量を持っていた。
周囲の生徒たちが椅子を引きずるようにして立ち上がる音に続き、春奈も立ち上がる。
「礼」
男性教師はさっさと教室から立ち去り、死んだように静まっていた冷たい教室に本来の明るい温かな空気が戻る。
それぞれが周囲の友人と話しながら、教室の後ろに整然と、ズラリと並べられているロッカーの中に教科書類を詰めている。
「行かなきゃ」
そんな光景を沈鬱な気持ちで眺めながら。
春奈は妙に重く感じる教科書を持ち、廊下にでる。
若奈に教科書を返しに行かなければ。
頭では分かっているのに、体がそれを拒絶するかのように、うまく動かない。
早く行かなければ。若奈が困るかもしれない。
以前教科書を返し忘れた時の若奈の顔を覚えている。困った顔で。けれど頭ごなしに怒らず、今度からは気をつけてねと小さく笑っていた顔を覚えてる。
「行かなきゃ……!」
呪文のように小さく誰にも聞こえないように呟く。
周囲の教室から数人の生徒が出てくる。
けれど、春奈の目にはそんな生徒たちは映らなかった。否、映ってはいた。けれど、それ以上に頭の中にびっしりと展開される思考の処理に必死だった。
行かなきゃいけない。
それは、絶対だから。
だから……。
会いたくないなんて言ってる場合じゃない。
自分がさらに惨めになるなんて、言っている場合じゃない。
なぜなら今も、十分惨めなのだから。
- Re: 始まりは懺悔の願い ( No.31 )
- 日時: 2010/04/20 22:28
- 名前: 暗刻の導き手 ◆MCj.xXQAUE (ID: yL5wamFf)
「あれ……。春奈?」
教室から出てきた若奈と鉢合わせ。
若奈は明音と、数人の友人と一緒にいる。誰もかれも、見たことがある顔ばかりだ。
「若奈……」
口を開いてから、春奈は激しく後悔した。
げっそりした、気落ちした気持ちが思いっきり出ていたから。当然それに若奈も気付くだろう。
「春奈……どうかした?」
控えめな気づかい。
いつもはちょうどいいと思える程度の気づかいなのに。今は、それが痛い。
若奈と違って惨めで、自己中心的な自分には、痛すぎる。
「何でも無いから」
「そ、そう……?」
納得しかねている若奈。
「そ。じゃ、教科書は返したから。ありがと、若奈」
そんな若奈に言葉を投げて、返事も聞かずに背を向ける。
これ以上、話していたくなかった。
これ以上、一緒にいたくなかった。
辛くて、苦しくて仕方なかった。
始まりの、数週間後
自分よりも何もかも優っている女性の前で。
けれど、姉より劣っていると思える女性の前で。
「……こんなのってない。何で……? 何で若奈はこんなことしたの? 何で若奈はわたしみたいな屑にそんなことしたの?」
「……」
感情が抑えられない。自分への怒りがおさまらない。次の瞬間自分を八つ裂きにしてしまいそうな、そんな感情を抑えられない。
抑えることなんて、出来ない。
「きっと、わたしのせいだ……!」
若奈は優しかったのに。
良い姉だったのに。
なのに、わたしが——。
- Re: 始まりは懺悔の願い ( No.32 )
- 日時: 2010/04/20 22:43
- 名前: 暗刻の導き手 ◆MCj.xXQAUE (ID: yL5wamFf)
間章〈二〉
終わりは続く
「……突き詰めれば、全ての原因はわたしなのよ、春奈」
突き刺すような闇夜が女性を包む。それは、彼女自身を責め立てるように、心と体を冷やし、痛めつける。
そんな彼女の頭の中に浮かんだのは、春奈。
彼女に懺悔を語った少女。誰よりも姉思いで強く、正義感がある少女。それゆえ、若奈の願いの結果、自分を責めるしかなくなってしまった少女。
「春奈……。若奈……」
声は、二人にはもう届かない。
分かってはいるけれど、言わずにはいられなかった。
「ごめんなさい……」
この掲示板は過去ログ化されています。