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少年と殺人鬼
日時: 2010/05/13 22:02
名前: カラマワリスト (ID: MT1OWC7F)








初めての小説です。
暇つぶしにでも見てやってください。



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Re: 少年と殺人鬼 ( No.29 )
日時: 2010/07/02 18:54
名前: 時雨 (ID: bQbYMR0G)

うわ・・・・・・すごいかもですよ。
美冬ちゃんカッコよすぎです。
あ、でも前に殺してたのって美冬ちゃんじゃなかったんだ。
よかった。
あ、タメになってすみません。

Re: 少年と殺人鬼 ( No.30 )
日時: 2010/07/02 23:07
名前: カラマワリスト (ID: HW2KSCh3)

宙甜さん

お褒めの言葉
どうも有り難うございます

できれば失望せず見守ってやってください


時雨さん

いつもありがとうございます
さあ、美冬はどうなるのか
これから考えるので応援してあげてください。

————————————————


「お——お前のあんちゃん、
 『俺の妹が人を殺すかよ』とか言ってたぞ」
「うん、人を殺さないってあたしも思ってた」

そこで、美冬は目を伏せる。

「でもさ、あなたの事・・・許せない」

「・・・」
「例え、お兄ちゃんと絶交することになっても、
 あたしの家族を傷つけたあなたを、殺す」

「・・・くくく・・・」

このいつ殺されてもおかしくない状況下で、

恐怖の視線が己の体を刺す中で、

【食人鬼】は笑った。

「いいぜ・・・そうこなくちゃ面白くねえ!!
 端から端まで喰らいつくしてやる!!」

「その足でどうやって?」

美冬は、そんな【食人鬼】を冷めた目で見やる。

「は・・・モチベーション以前に、
 お前とは実力差がありすぎるんだよ・・・
 こんくらいのハンデが丁度いい・・・」

あくまでも、【食人鬼】は笑いながら言う。

「言うねぇ」

「言うぜぇ・・・なんたってよぉ!
 こんな楽しい『食卓』は初めてだよ!!」

斬り落とされた右足を使わずに、

左足だけで、【食人鬼】は跳んだ。

「あ」

真上を見上げる美冬。

「端から端まで喰らわれつくせよ!妹ちゃん!!」

「やーだよー」

その両の拳が、

地面のコンクリートを、一瞬で破壊する。

「おとと・・・」

コンクリートの破片が空中を舞う中で、
動かない春樹と千夏を引きずりながら避ける美冬。

「ちょっと、そこでおとなしくしてて・・・」

二人を蹴っ飛ばし、戦場から逃がす。

数か所、傷が増えたろだうが、
この状況では適切な判断だった。

「ち・・・」

左足で着地した【食人鬼】は、また跳ぶ。

「食事が・・・逃げるな!!」

右腕を、大きく振り被り、放たれた拳を、
かつて、鬼の王と呼ばれた男をも震撼させた一撃を

美冬はひょいと屈んでかわす。

「うるさい」

すれ違いざまに、ナイフを振るう。

刃が【食人鬼】の脇腹を切り裂く。

「あ・・・ぐぁあ!」

転がる【食人鬼】に追い打ちをかけるように、
美冬が飛びかかる。

体を捻り、転がることでかわす【食人鬼】。

コンクリートを刃が切り裂く。

「・・・なっ?!・・・うわっ!」

連続で繰り出される、ほぼ足払いの様な蹴りを
ゴロゴロと転がって避ける。

「冗談だろ、おい——!!」

コンクリートの血の跡をなぞる様に、
美冬の手からナイフが飛ぶ。

投げ放たれたナイフの射程は僅か7m程だと言われるが、しかし

その射程は美冬と【喰人鬼】の間合いに比べて、長過ぎた。


何人もの人間を己の栄養としてきた【喰人鬼】は、
ナイフによって、その頸動脈を切り裂かれた。




「あ・・・・・・・グ、グふぅ・・・」

その声はもはや、言葉とはいえなかった。

「・・・こんな事、もう嫌だよ」

その死にかけた【喰人鬼】に、
答えが無いと知りつつも彼女は声をかける。

「こんな、血の匂い・・・
 堪らなく魅力的ではあるけど、でも嫌」

その眼は、涙でぬれているのだろうか。

それとも、血で濁っているのだろうか。

「うん、もうあたし、これを最初で最後にするよ」

明るく言う彼女の眼は、

俺と違って綺麗だなぁ——と


【喰人鬼】は最期に思う。


眼を閉じる。

Re: 少年と殺人鬼 ( No.31 )
日時: 2010/07/04 11:25
名前: カラマワリスト (ID: HW2KSCh3)

眼を覚ます。


「・・・どこだ?」

思わず右手を頭にやり——

「おおおおお!!みっ右腕が!!俺の右腕がぁ!!」
「あ、お兄ちゃん」
「お目覚めになられましたか、お兄様」
「おはよー兄ちゃん」

俺のベッド脇に、我が愛しき兄弟姉妹達。
俺の腹を使ってトランプをしやがってる最中だった。

「あぁ・・・嘘だろ、俺の、右手がぁ・・・」
「起きる度にやってるよね」
「だっせーの」
「うるせえ!義手じゃなくてお前らの手移植するぞ!」

怒鳴って、起きる。
腹の上のトランプが床に落ち、
3人があたふたしてるが無視。

「あー今日だっけ?」
「そ。あと——2時間半ぐらい」
「なんか、右腕の生の部分が短くなるんだって?」
「そうなんだよなー、形を整えるためにさぁ」
「泣きっ面に蜂でしょうか?」
「んー、まぁ、【食人鬼】の奴、素手でやってたからなー
 現在、かなり傷口エグイ事になってるんだってよ」
「うわー」
「ひー」
想像したのか、美冬と千夏が呻く。
そんな2人を見て、千秋がくすりと笑う。

のどかで、穏やかな、昼の病室。

ってか、俺昼まで寝てたのか・・・

「けっこーリハビリきついんだって?」
「らしいなー」
やな話ばかり振る奴らだ。

俺は、お婆の知り合いだという義肢師に
特別製の義手を作ってもらえる事になった。

なんでも、『近親相姦大好きの変態』と言う物凄い人らしいが、
その人のスキルはかなり高いとの話だ。
指の関節一つ一つまで動かせるとか何とか。

「さっき、その人がここに来たよ」
「え?マジ?」
「ええ。その方が起こさなくて良いと仰るので、
 起こしませんでしたが・・・」
「感動のあまり泣いてたぜ」
「へぇ・・・」
「手首180度動くようにしておくからねっ、とも言ってた」
「うわ・・・」
便利そうだけど何かヤダ・・・

「あ、そういや、2時間前には迎えに来るとか言ってた」
「そうそう、そうでしたね・・・
 その前に一度、お兄様もご一緒にしますか?」
「いい事いうねーお姉ちゃん」
「いいだろう、片腕ぐらいのハンデが丁度いい」
「トランプにおいて片腕は致命的では?」

ワイワイ騒ぎながら、ふとあの【喰人鬼】の事を考える。

許す気はさらさら無いけど、
それでも、
どこか哀れで寂しげなあいつはどこに行ったんだろう?

こいつらが好きだから、信じれた。

他に理由なんて無い。

美冬を陥れようなんていう
お前のプランには最初から無理があったんだよ。

美冬が人を殺すわけ無いだろ?

俺が家族を疑うわけ無いだろ?

行方の知れぬ【喰人鬼】に、呟いてみる。

諦めてどっか遠くに行っちまえ。


何ぼーっとしてるの?

そう聞いてくる彼女の眼は、
心から楽しげに笑っていた。

Re: 少年と殺人鬼 ( No.32 )
日時: 2010/07/04 02:49
名前: 白魔女 (ID: bEKYC/sm)

上っ……手すぎです!!
……(。゜ω゜) ハッ! い、いきなり失礼しました…白魔女と言います。

面白すぎていっき読みしてしましました……(。-ω-。)眠い・・w
世の中広いものですね…こんなに上手い人がいただなんてorz

もう書き方といい話の展開といい、申し分ないです…
ってか喰人鬼との戦いもカッコよすぎです! こんなにハラハラしたのは久々でした!ヽ(。ゝω・。)ノ

なんかもう、ありがとうございました(ノд<。`)

Re: 少年と殺人鬼 ( No.33 )
日時: 2010/07/04 13:59
名前: カラマワリスト (ID: HW2KSCh3)

白魔女さん

かなり嬉しいコメント
どうも有り難うございます

と、いうか筆者はそんな大した奴じゃないですよ。
ホントです。


———————————————————

そんなわけで、


ちょっと、と言うか結構短い話ですが、
これにて、『少年と殺人鬼』は終了です。

最後まで読んで下さった方々、ありがとうございました。

では


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