ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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漆魔転生物語
日時: 2010/09/25 22:15
名前: 叶嵐 ◆RZEwn1AX62 (ID: fMPELWLk)

初めまして。
初スレの叶嵐です。
今見てくださっている方々に感謝です!


    【注意書き】
 ・初カキ
 ・馬鹿な中2坊
 ・更新が亀よか遅い
 ・意味不明
 ・コメ大好き!!
 ・荒らし消え去れww
 ・挫折可能性アリ
 ・赤い水がたくさん出ます

    こんな感じです。
 この中に1つでも「無理!」というのがあったら、ほかの素敵な作者様のところにいってください。



  はい。
残ってくださった心が広すぎる方、有難うございます!!!


   最終確認です。
  こんなやつの小説でいいんですね?
        いいんですよね??


    でわ、楽しんでくれると光栄です。








※飛べます※
プロローグ >>1
キャラ紹介>>2
第一章 始まりは、その時から>>3-7
第二章 そして、彼らは目覚める>>8-9 >>12-14
第三章 戦う術、見出すは己次第>>15-20
第四章 過去、それは己に巻き付く鎖【朱編】>>21-22 >>24-26
第五章 過去、それは己に巻き付く鎖【蒼編】>>30-35
第五章 過去、それは己に巻き付く鎖【黄編】>>



祝・参照100突破 8/10 >>23
祝・参照200突破 9/25 >>39


*お客様
  ・紅蓮の流星様
  ・アキラ様

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Re: 漆魔転生物語 ( No.6 )
日時: 2010/07/27 19:57
名前: 叶嵐 ◆RZEwn1AX62 (ID: fMPELWLk)

コメントがほs((ry


act.4[人はみかけによらないものだ]



「しっつれいしまーす」

返事も待たずに保健室のドアを躊躇なく開ける。

「あ、チョイ待ち」

奥の方から声が聞こえる。
のぞいてみると、小さい部屋があった。

その直後、ガラスなどの金属物が割れる音が響く。

「あーあ、派手にやったねー」

声に反応して、出てきたのは茶髪に白衣とは呼べないほどボロボロの服を着て、煙草をくわえている男の先生・・・だと思われる人だった。

「あはは。あ、そこ気をつけて。破片落ちてる」

破片が落ちてるって・・・。
なんてお気楽な性格をしているんだ・・・。
これでもいっぱしの教師か。

「あの先生、なんか、溶けてますよ??」
「え?」

黄原 琴音が上げた声に反応し、白衣をみると、すでに腰ぐらいまでしかない白衣が嫌な音を立てながら穴を開けるように溶けている。

「あちゃー、こりゃぁ・・・」
「もうそろそろ新しいの買えば??」
「金ナイ」
「・・・」











・・・
その後、奥の部屋はほおっておくという何とも信じがたい行為に出たこの男。

「あー、入学式?外でたばこ吸ってた」

常識がない。

「ヘビースモーカーはモテないよ、先生」
「はは、ほっとけ」
「ああ、とりあえず1年はそこらへん座って」

適当に進められるがままに椅子に座る。

「ンじゃま、ぼちぼち始めますか。えーと、まずなぜ4人に集まってもらったかというと、実は我がクラブに入会してもらうたです!!」
「入会???」

いまいち分からない。なぜクラブの入会に呼び出し???

「そ、入会。まあ、クラブって言ってもただ放課後集まるぐらいだし、別に絶対毎日来てってわけじゃないけどね」
「実際何をするんですか?」
「あー、簡単にいえば妖怪退治」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はあ??」
「うんうん、わかるわかる。俺も最初そうだった」

何やら一人で納得しているようだが、こちらからしてみれば全く。何が何やら状態だ。

「妖怪って・・・あの古い屋敷とかに住みついてたりする・・・・?」
「そうそう、あと本とかで話題にされることとかも多いよねー」

何だろう、この人たちと話していると本当に気が抜けるというか・・・なんというか・・・・。

「そんな、妖怪なんているわけないじゃない」

黄原 琴音が声を上げる。

「いえいえ、そんなのわからないですよ?実は、あなたの足元にも今、いたりして・・・」
「・・・・」
「とまあ、冗談はさておき。・・・どこまで話したっけ・・・」
「クラブ活動の大雑把な説明まで」
「あーそうそう。じゃあ、クラブ活動は後々分かるから、自己紹介行こうか」

にこりと笑い、先生は立ち上がる。

「自分は『河合 遥』。見ての通り保健室の先生だ。煙草が好きだ。ああ。間違われることが多いので言っておくが、自分は女だからな」
「ええ?!」
「ド、どー見ても男・・・」
「て言うか、保健室の先生がタバコ好きって問題ないの??」

驚いた。まさか女の先生だたとは・・・。人はみかけによらないとはよく言ったものだ。

「じゃ、次。紫遠」
「うぇ?ああ。はい」

次にゆっくりと立ち上がったのはショートカットの髪に眠そうな目。雰囲気からしてマイペースそうだ。

「えーと。『紫遠 早苗』です。2年生です。低血圧なので寝起きとか悪いらしいです。実際に自分では分からないのですが・・・。空を眺めてるのが一番好きですねぇ」

あははーと笑うところをみると、こっちまで和やかになってきそうだ。

次に立ったのは、真黒な髪に隠れて見えにくいのだが、なんだか灰色っぽい色の目をしている。

「僕は『黒崎 恋華』だ。3年生で、クラブの会長をやってる。まあ、気軽に会長とか、黒崎さんとかって呼んでいいから」

絶え間なく笑っているとこをみると、人受けがよさそうな印象を受ける。
あと、失礼なのだが女みたいな名前だと思った。

最後に立ったのは、目立たないだろうかと伺いたくなるきれいな銀髪のような髪をしている人だった。

「・・・『白鷹 亜弥香』。3年生。副部長」

それだけ言うと、黙って席に座る。

無口な人だな・・・。

ちらりと横を見ると、いかにも不満そうに口を結んでいる黄原が目に入った。
よくはわからないが、彼女の性格から察すると、やはり不愛想な先輩が気に入らないのだろう。

「さー、自己紹介も終わったし時間も頃合い!そろそろ移動しようか」

黒崎さんはそういうと、席を立ち準備運動のようなものを始める。

「な、何か始まるんですか?」

青井 唯が河合先生に尋ねる。

「んー、行ってからのお楽しみ。じゃあ、自分は片付けが残ってるから、うまくやれよー。恋華会長☆」
「先生。からかわないで下さいよ?」

黒いオーラが上った気がした。

その時、チャイムが鳴り響く。

「さぁ、開始の合図だ」

先生が俺の横を通る時、そうつぶやいた気がした。

「開始の・・・あい、ず・・・??」

言葉の意味を理解しあぐねていると、いつかと同じような痛みが走った。

「いってええええぇぇぇ・・・」

軽く涙目になりながら振り返るとやはり黄原がげんこつを作って仁王立ちしていた。

「何してんのよ、このノロマ」
「ボーっとしてたのは悪かったけど、そんな簡単に殴るなよ。彼氏出来ねえぞ」

恨めしそうににらんでやると、思いっきり不愉快極まりない、という顔をされた。

「余計なお世話よ。それより、早く行くわよ」

背を向け、スタスタと歩きだす。
まだ痛むところをさすりながら、俺は歩き出す。

その後、俺達は奇奇怪怪な世界へと足を踏み出すこととなる。

Re: 漆魔転生物語 ( No.7 )
日時: 2010/07/30 12:28
名前: 叶嵐 ◆RZEwn1AX62 (ID: fMPELWLk)

Let's Enjoy Summer Vacation!!!
投稿したもので、3回連続のエラーをくらい軽く思考が分裂気味です。


act.5[異世界panic]



「なんだよ、これッ・・・なんなんだよおおおぉぉぉぁぁ!!!」


下校のチャイムが鳴り響いた後の無人の校舎に俺の絶叫が轟く。
ここまでの経緯を説明したい。・・・いや、させてくれ!





>>>
「じゃ、行こうか!」

黒崎さんが保健室を出ていく。
それに続いて廊下に出た俺が見たのは、いつもの無機質に床が続く廊下などではなく、陰気な空気が漂っているゆがんだ空間だった。

「は、はぁ?ド、どうなってんの???」

緑山 慧が、混乱気味に先輩たちに呼びかける。

「お、おい、会長さんよぉ!俺達を一体どこに連れてきたんだ??」
「んー?どこって・・・分かんない?保健室から出てきたんだから、保健室前の廊下でしょ?」

アハッとおどけて笑う黒崎さんを見た時に、背筋を冷たいものが通り抜けた感覚が襲う。

よくわからない・・・これは、畏れ?なんで??相手は人間。少なくとも、自分と同じ種族のはずだ。

「・・・来ますよ」

無口な白鷹先輩が声を上げる。

「く、来るって・・・??!!!」

突然の揺れ。

思わず膝をつく。

顔を上げると、立っているのは先輩たちと黄原だけだった。

その4人が一点を見つめ、固まっている。

「??」

俺も、後ろを振り向いてみたがものの1秒もせず後悔することになる。

『・・・ウジュゥグアアアアアアアアアア!!!!!』

獣よりも恐ろしい怪物。————そう、≪怪物≫なのだ。

全長は軽く5m。なんか、トカゲが直立したやつっぽいなぁ。色は何だろう。ああ、あれだ。アリアリな緑。あーあ、よだれなんか垂らしちゃってぇ・・・。わー、犬歯(?)すっげーなげー。ん、あれ、もしかして俺見られてる?お、目の色はきれいな黄色だなぁ。




・・・・若干程ではないぐらい軽い怪物紹介をするのは、目の前の現実から逃げたいからです☆


「逃げろ!!鏖也!!」

逃げろって・・・前脚(?)を高ーくあげて、何をするつもりだい?うん??
いやぁ、でかい爪とかはえちゃってこれがまた。

「馬鹿!はやく逃げなさいってば!!!」

分かってる。分かってるけどさぁ、残念なことに足、動かないんだよ・・・。

「やばいかなぁ・・・」

やっぱ、死ぬかな。俺。まぁ、いっか。どーせ、ここまでの運命なんだから。

「いやいや、まだまだ君の人生は終わらないんだよ」

突然飛び込んできた影に何かが重なる。
    





           ——そう、何かが・・・・。




『ギュアルアアアアアアアアガアアアアアアアアオオ!!!!!』
「!!!」

怪物の叫び声に、我に返る。

突然、腰から下の感覚が抜ける。

「ウオァッ?!」

結果、尻もちをつくことなった俺はうまく立ち上げないことに気付いた。

「はは・・・、震えてるよ・・・」

自分の手をみると、尋常ではないほど震えていた。
思わず苦笑が出た。

「こんなことでへばったの?」

顔を上げると、目の前に黒崎さんが立っていた。

「手、いる?」

ひらひらと振られている手の反対には、怪物の血だろうか、赤のような黒のような俺の髪の色に似ている液体がこびりついていた。

俺の視線の先に気付いたのか、日本刀を持ち上げる。

「これ、きれいだろ。俺のなんだ☆」

おどけて笑ったあと、一振りで日本刀についていた血を振り払う。

「ここからだよ。さぁ、立ちあがって・・・」

出された手を素直につかみ、立ち上がる。

俺の中では、確実に何かが変わっている。






    —————さぁ、Gameの始まりだ————

Re: 漆魔転生物語 ( No.8 )
日時: 2010/07/31 13:53
名前: 叶嵐 ◆RZEwn1AX62 (ID: fMPELWLk)



act.6[赤、紅、緋、朱]


——————誘い込まれた異世界




  —————————出会った異世界の獣





       ————————————彼が言った






                       「さぁ、Gameの始まりだ」





・・・
日本刀の一振りにより切断された前脚。


吹き出る血液。


唸る異世界の獣。



それを見上げ、満足そうに笑う18歳の少年。




刹那、怒号とともに消えた前脚とは反対の脚で少年を押しつぶそうとする怪物。


「危ない!!!」

すさまじい爆発音。


煙が晴れたその場所にあった光景は、何とも信じがたいものだった。



へこんだ地面。


憤然と立つ少年。



狙った場所と外れた前脚。



笑う少年。



消える脚。




「あはははははははは!!!さようなら、怪物くん!!短い人生の幕引きだぁぁぁ!!!」




一瞬にして消える怪物。



それを見て満足そうに頷き、こちらに向き直る。


「では、少し区切りがついたので君たちには飛んでもらうことにしましょう」

「と、とぶ・・・・???」

先ほどの光景を見せつけられ、1年生は怯えている。

「そ♪んー、じゃぁねぇ、緑山君」
「!!!」

名前を呼ばれた彼は、さっと身構える。


「ああ、そんなに緊張しなくてもいいんだ。ちょっと、死んで?」

「はぁ?!・・・・・!!!」

最後の発言に警戒が緩む。

その瞬間だった。



一気に懐に飛び込んだ黒崎さんは緑山 慧の顔を軽く持ち上げ、自分と目を合わせる。


「うん。いい目だ」
「え・・・」


笑う、嗤う、哂う。

肉の裂ける音がした。



右肩から左側の腰にかけての深い切り傷から赤黒いものが吹き出る。


「・・・っあ・・・」

そのまま、あおむけに倒れる。
制服がみるみる染まる。
だんだんと、鉄臭い水たまりが広がる。


笑っていた彼は紅く染まり、切り倒した者の体を流れていた水を滴らせていた。

「1名様ご案なぁい♪」

言葉のトーンとは裏腹に彼の顔には表情がない。

「・・・・っ、な、なにしてんのよっ?!!」

ショックから立ち直った黄原 琴音が悲鳴に近い声を上げる。

「なにって、彼を飛ばしてあげたのさ☆」

彼は、顔いっぱいに人懐っこい笑みを浮かべた。

「と、飛ばすって・・・た、ただの人殺しじゃない!!!」

全身がふるえている。
全身が、彼女の心が、目の前にいる人間1人に完全に恐怖している。

息が荒い。
膝まで笑いだしている。
間もなく彼女は、膝をつき吐き出した。

青井 唯が駆け寄り彼女の背をさせる。
優しく声をかけているが、はたして彼女の耳には届いているのか。


「んじゃぁ、リクエストにお答えして次は、黄原 琴音さん、君だ★」

「!!!」

うまく呼吸できていない。
体全体がふるえて、立ち上がれない。

ゆっくりと近づく殺人鬼を凝視し、何とか逃げようともがく。


殺人鬼は目を閉じ、大声で歌いだした。


「 薄い緑色の髪が自分自身の血液に染まる時、殺人者は嗤う。
 次の狙いを決めて、嗚呼、歩き出す。
黄色い髪の少女は畏れる。
 自分とは違う。その殺人鬼を。
   嗚呼、だが考えてみよう。
ただ、ついさっき、紅いものを見るまでは、彼もまた、人間だった。
 では、 彼女は何を恐れる。
     彼女は何を怖れる。
     彼女は何を畏れる。

それは、紅き水を浴びし銀白の刃。
それは、刹那の瞬間の自分・・・」


「アッ、はぁ・・・ヒッ・・・」

畏れで呼吸ができないからなのか、彼女の喉からは途切れた音しか聞こえない。


「うーん、今のはいまいちだったなぁ・・・まぁ、いいか。俺、別に歌手とか目指してないしなー」

うんうんと一人納得すると、日本刀を振り上げる。

「じゃ、いってらっしゃーい」

抑揚のない声とともに刃を一気に振り下ろす。


「あと、2人かー」

俺も青井 唯も身構える。
たぶん、あの人の前では無意味なのだろうがみすみす殺されるのはいやだ。






         彼は、本当に楽しそうに笑う。

Re: 漆魔転生物語 ( No.9 )
日時: 2010/07/31 21:54
名前: 叶嵐 ◆RZEwn1AX62 (ID: fMPELWLk)

あと2人、どうやって消してやろうかwww


act.7[死してなお、彼らは哂う]




暗いくらい闇の末、見つけた光は過去の光。





そこでの光景を忘れるでもなく、ただただ頭の中でリピートされる。





染まる赤。流れる紅。浴びる緋。

    




   







      俺は、何だ?





なんでここにいるんだ?





       嗚呼、これはなんだろう・・・。





ほおを伝う、温かい水は・・・。





               忘れていた。





   思い出せ。






         

         お前は、俺は、僕は、私は、我は・・・・。





            ———思い出せ。












・・・
「レッツゴー☆」

気の抜けた号令とともに、黒崎さんの姿が消える。

「!!」

青井 唯は懐に入られる寸前に反応し、後ろに飛びずさる。

「?あれぇ???」

そのまま横に一閃するが、制服をかすっただけだった。


「青井!!」

その時、気付いたのだがあと2人。
白鷹さんと紫遠さんはどうしたのだろう?


黒崎さんに注意を向けつつ、2人の姿を探す。



そこで俺は、信じられない光景を目にする。


「いやぁ、やっぱ白鷹先輩が入れたお茶、おいしいなぁ・・・」
「ありがとう」
「いえいえ、本心ですよ」

そういって、のんきにお茶をすすりながら笑っていた。


「・・・信じらんねー」


こっちでは、今まさに俺の右腕が別れを告げるところだった。
寸でで反応できたものの避けきれず、二の腕が切られた。


「このッ・・・!!」

ていうか、あちらは日本刀、こっちは素手。

反則すぎる。



「むぅーー」

完全に遊ばれてんだよなぁ・・・俺達。
それは、青井 唯も感じているらしくだんだんとスピードが落ちている。

息が上がる。

黒崎さんは、青井の首一直線に日本刀を突き出したが、避けられる。

ギリギリの攻防だ。

勢い良く行き過ぎたのか、黒崎さんの体が前のめりになる。
青井はそこを、見逃さなかった。


「うああぁぁ!!!!」


脇腹に一発。蹴りを入れた。

油断していたのか殺人鬼は吹っ飛んだ。


「ハッ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

息を整える。

「大丈夫か?!青井」
「・・・ああ・・・ダ、だいじょ・・・」

眼が見開かれる。

彼の視線の先には、パタパタと服に着いたほこりを払っていた殺人鬼だった。


「嘘・・・だろ・・・?」

崩れ落ちそうになる青井の体を支える。

確かに、青井の蹴りはまともに入っていたはずだ。
あそこまで平然とされると、さすがに傷つくぞ・・・。


刹那、殺人鬼は消えた。

少なくとも俺たちの目の前からは。


「!!!」


何が起こっているのか、すべてを理解したのは青井に突き飛ばされた後だった。

彼は、笑った。
泣きそうな顔で。
最後に彼の口から紡がれた言葉は『さようなら』だった。



彼は、前のめりの倒れた。

「さてと・・・、やっとあと1人だ・・・」


こびりついたどす黒い血液に、もう染まる個所もないような制服に身を包んだ殺人鬼は日本刀の血を一振りで吹き飛ばす。


「・・・んだよ・・・」
「へ?」
「・・・んだよこれ・・・・・・なんだよ、これッ・・・なんなんだよおおおぉぉぉぁぁ!!!」


腹の底から声を出す。
俺は、殺人鬼を怨むように睨みつける。

「・・・そっか、怖いよねぇ・・・目の前で3人も殺されちゃったんだもの。でもね・・・怖いのはわかるけれど・・・その目は気に入らないなぁ!!!!」


今までとは比べ物にならない速さで俺に切りかかる。
俺も、全神経を研ぎ澄まし避けていく。
だが、だんだんと傷が広がっていく。
血が止まれない。
だけど、足を、鼓動を、止める気にはならなかった。




「さっさと死ねやあああああああああああああ!!!」

殺人鬼の怒号とともに日本刀の輝きが変わる。
銀白からさらに輝きを増していく。

「・・・ッウ・・・!!!」

殺人鬼を直視できなくなり、思わず腕で目を覆う。

    ドッ・・・・!!

俺の腹に深々と突き刺さった日本刀を彼は軽々と引き抜く。

「・・・・ェ、ガハッ・・・」

口元から盛大に吐血し、膝をつく。





視界がにじむ。
ダバダバと血が噴き出しているのが分かる。
ああ、死ぬのかな・・・俺・・・。
口からも腹に空いた穴からも俺の血液は留まることを知らないかのように流れ落ちる。



「ふぅ・・・全く、こんなにしつこかったのは君が初めてだ」

殺人鬼もとい黒崎 恋華は、しゃがみ込み俺と視線を合わせる。


「けどまぁ、俺的には楽しかったよ?うん。それじゃあ、心おきなく行ってきなさい」


最後に俺が覚えているのは、黒崎さんの、彼のさわやかな笑顔だった・・・・・・・・・・・・・・。








        ——こうして、俺は深い深い暗闇に身を任せた。——

Re: 漆魔転生物語 ( No.10 )
日時: 2010/07/31 22:33
名前: 紅蓮の流星 ◆vcRbhehpKE (ID: Da9K.gCv)

どうもコンニチハ紅蓮の流星です。
・・・やばい、続きがすごい気になる・・・。
更新頑張ってください、応援しています。

「飛ばす」って何?「飛ばす」って何よ?


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